戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

2 / 190
瑠璃か輪が絡まない場面は飛ばしていく予定です。
その為、結構進んでしまう事もあります。


流れ星が見える戦場

 渡り廊下で二人の驚嘆が響く頃、瑠璃は自分の教室へ入った。

 

「瑠璃おはよ~。」

「おはよう輪。今日の帰りにCDショップ寄るでしょ?実はもう二人来ることになったんだけど大丈夫かな?」

「ん~?まあいいけど、どちらさん?」

「一年生の確か立花響さんと小日向未来さん。」

「立花響?」

 

 その名前を聞いた輪は腕を組んで首を傾げた。

 

「え、知ってるの?」

「いや、何か聞いたことあるような名前だなって思ってさ。でもそれが思い出せないんだよねぇ。」

 

 

 

 しかしその件について、思い出すことなく放課後を迎えた。二人は待ち合わせ場所である校門に向かう。

 

「あ、いた。あの子が小日向未来さんだよ。小日向さーん!お待たせー!」

「あ、瑠璃さん!」

 

既に待機していた未来が手を振っていた。だが肝心な響がいなかった。

 

「あれ?立花さんは?」

「ごめんなさい。響ったら用事がある事を忘れていたみたいで、つい浮かれて……」

 

 未来が申し訳なさそうに頭を下げる。

 

「だ、大丈夫だよ!そういう事なら、仕方ないからね!そ、そうだ!紹介するね!こちら、出水輪!」

「どうも~。瑠璃のクラスメイトで新聞部所属、出水輪ね。よろしく~。」

 

 一先ず話題を変える為に輪の自己紹介を済ませた。

 

「ところで小日向さん、記念に一枚良い?」

「え?」

「ちょっと、だ、駄目だよ!初対面の人に!」

 

 既にデジタルカメラを構えて撮影の体勢に入っていたが瑠璃に止められたので諦めた。

 ちょっとしたハプニングがあったが、三人はCDショップでの買い物を済ませると帰り際に、今回合流できなかった響に瑠璃が買った初回限定盤CDを渡せるように、未来に預けた。

 そこで三人はそれぞれ家路に着き、瑠璃は今夜の晩御飯のおかずを何にしようか考えながら帰って行った。

 

 それからというもの、瑠璃と輪は後輩二人と仲良くなり、さらに響と未来のクラスメイトである安藤創世、寺嶋詩織、板場弓美が加わり、交流の輪が増えていった。

 ある昼休み、瑠璃と輪は二人で食堂で昼食を取っていた。

 

「ねえ、今度のこと座流星群の撮影なんだけど、瑠璃も手伝ってくれないかな?」

「え?良いけど何するの?」

「それは当日に教えるよ。」

 

 いつにも増してご機嫌な様子だった。その日の夜はこと座流星群が観測されると報道されてから、輪は普段使用している物とは別に、最新のカメラを購入したという。

 当然、狙うはベストショットであり、その為に使い慣らそうと、持ってきている。

 既に瑠璃と後輩達の写真を撮っていて、ベストな状態までなった所で、あとは撮影場所の確保だけだった。

 

「でもいくつもの候補は押さえておいたんだ~。で、その一つの下調べの為に悪いけど今日は先に帰ってて。」

「う、うん。でも、準備が早いね・・・。」

「ふっふっふっ。甘いよ瑠璃君!戦いというのは、開始前が勝負なんだよ!」

 

 漫画にありそうなポーズでどや顔を決めた。いつもは天真爛漫で活発なのだが、今日はそれに一段と磨きがかっている。

 他の生徒の視線がこちらに集まっていても、輪が気づいていないのが何よりの証である。

 輪は鼻歌を歌いながらスキップで先に食器をカウンターまで片付けに行った輪。

 

「よっぽど楽しみなんだなぁ……」

 

 そう呟いて瑠璃も食器を片付けに行こうとして席を立った時

 

「瑠璃。」

 

 後ろから声を掛けられ、振り返るとそこに従姉の翼がいた。

 

「お、お姉ちゃん……!」

 

 慌てて席から立ちあがる。

 瑠璃は翼が苦手だった。話しかけても無愛想なのもそうなのだが、どこか怒りをぶつけているようにも見えた。学院でも殆ど会話したことがなく、会ったとしても挨拶程度くらいで言葉を交わす事は殆どない。

 しかし、それでも瑠璃はトップアーティストとして表舞台に立っている翼に憧れを抱いているし、カッコいいと思っている。

 

「あ、あのね、お姉ちゃん。もし今度……お休みがあったら……」

「誘ってもらって悪いけど、私にそんな余裕はないわ。」

 

 今度一緒に食事に行こうと勇気を持って誘ってみたが結局断られてしまった。

 

「う、うん。ごめんね、忙しい時に誘っちゃって。じゃあね。」

 

 無理やり笑顔を作って、この場を去った。

 

 その放課後、輪がこと座流星群観測まで新聞部の仕事を早めに済ませたいという事で、今日は瑠璃一人で帰る事になった。だが瑠璃の気分は沈んでいた。昼頃の翼との出来事で、翼とは上手く行ってない事にため息をつく。

 学校以外で会う時も、翼は笑わない。それが良いという人も中にはいるかもしれないが、瑠璃はそれが嫌だった。小さい頃は知らないが、以前に翼が天羽奏とユニットを組んでいた時は喜怒哀楽が激しかったという。しかし奏が亡くなってから変わったと弦十郎が言っていた。

 お互いが初めて会ったのは瑠璃が事故で病院に入院していた時だった。奏が亡くなってからまだ日が浅い頃だったとのことだった。あの時から翼はどこか余所余所しいというか、冷たかった。それが忘れられず今でもそれを思い出す。

 それから瑠璃は頑張って翼と仲良くなろうとしたが上手く行かなかった。

 

(もしかして私を避けてるのかな・・・?私の事・・・)

 

 気分が沈んでいるのが余計に悪い方向に考えてしまう。瑠璃は夕日が沈む中、トボトボと歩いていると

 

「おーい!そこの黒髪!」

 

 後ろから声を掛けられた。振り返るとそこには日本人離れした銀色の髪をした同い年くらいの女性が手を振っていた。

 

「私?」

「お前だよ。これ、落としたろ?」

 

 その少女の手に持っていたのは瑠璃の家の鍵だった。バッグの中を確認したら無かった。恐らくチャックの隙間から落としていた事に気付かなかったようで、目の前の少女が拾ってくれたようだ。

 

「あ、ありがとうございます。」

「いや、良いってことよ。」

 

 瑠璃が微笑むと少女は恥ずかしそうに目を逸らした。少女から鍵を受け取る。すると瑠璃は少女の風貌を見て、首を傾げる。

 

「もしかして、外国人の方ですか?」

「ま、まあな。とは言っても日本人とのハーフなんだ。だから日本人には変わらねえ。それがどうかしたのか?」

「そうなんですね。その……綺麗な人だなって思って……。」

 

 瑠璃が顔を赤くして聞いたわけを答えると、思わぬ発言に少女は顔を赤くして目を逸らしてボソッと言う。

 

「そ、そういうのはあまり言うもんじゃねえぞ……。」

「え?」

「何でもねえ!」

 

 拗ねた児童のようにプイっと背を向ける。だが首を左回旋して瑠璃をジト目で見る。

 

「なあお前、名前何て言うんだ?」

「あ、私は風鳴瑠璃って言います。」

 

瑠璃が名乗ると少女は驚いたのか一瞬目を見開いた。

 

「そうか。良い名前だな。じゃ、じゃあな!」

 

 そういうと少女は走って行ってしまった。瑠璃は少女の名前を聞きそびれてしまった事を気にしながらも、真っすぐ家に帰った。

 

 

 こと座流星群が観測される前夜。瑠璃は弦十郎と夕食を囲んだ。弦十郎は人より何倍も食べる為、おかずやよそう白飯も多くしている。

 

「ねえお父さん。明日なんだけど、輪とこと座流星群を見に行くから、帰りちょっと遅くなっちゃうかも。」

「ああ、分かった。気を付けていくんだぞ。どこまで行くんだ?」

「あ、まだ教えてもらってないんだ。とっておきの穴場だから情報を漏らしたくないって。」

「ハッハッハッ!まるでスパイ映画みたいな事を言うな!」

 

 弦十郎は厳つい風貌とは裏腹に優しい。無類の映画好きで、特にアクション映画を好む。

 

「だが、もし場所が分かったらちゃんと教えるんだぞ。」

「うん。」

 

 弦十郎からの許可も得たことで次の日の放課後、輪とその穴場へ向かった。到着した後、弦十郎にメールで場所を教えた。

 

 そして夜を迎えた。

 

「遂に来た……この時が!天候良し!カメラ良し!穴場も良し!準備は完了!後は星を待つだけ!」

 

 先程まで入念に準備を進めていた輪は、わんぱく少年のようなテンションになっていた。曰く、昨夜は楽しみすぎて眠れなかったという。

 この穴場というのは電車で一駅先にある自然公園のような広場で、あまり知られていないのか二人以外誰もいなかった。

 

「さあ来い来い星々よ!この輪様が、お前たちの燦然と輝く雄姿を写真に収めて進ぜよう!」

 

 あまりのテンションの高さに瑠璃は苦笑いするしかなかったが、ここは切り替えて瑠璃も星を眺める事にした。

 

「でも本当に綺麗な空だね。天気が良くて良かった。」

「ホントだよ~。これで雨だったら輪さん大泣きだよ。」

 

 輪がカメラを構えているのを他所に、瑠璃は美しい夜空を見上げていた。

 

「綺麗な空・・・綺麗な・・・」

 

 ほら!見て!空が綺麗だよ!

 待ってよお姉ちゃん!

 パパ!ママ!早く早く!

 

「り・・・瑠璃?瑠璃!」

 

 思わず見入っていたのか変なビジョンを見たような気がしたが、輪の声で我に返った。

 

「どうしたの?」

「う、ううん。何でも・・・あ、見えた!」

「え?!嘘?!あぁ!ホントだ!シャッターチャンス到来!」

 

 早速シャッターを押して流れ星を撮影していた。

 

「よし!次は瑠璃、そこに立って!」

「え?!」

「良いから早く!」

 

 瑠璃を撮影ポジションに立たせた所で、輪は少し離れてカメラを構えた。

 

(輪……これが目的だったんだ。)

(最高の絶景には最高のモデル!これを取ればもう完璧!)

 

こうなった輪は暴走機関車のように突っ走り、誰にも止める事は出来ない。

 

「はいじゃあ撮るよー!はいチー……」

 

 シャッターを押そうとしたその時、瑠璃の後ろから爆風と物凄い衝撃が響いた。

 

「な、何今の?!」

「わ、分かんない……。」

 

 輪はカメラを構えて辺りを見回すと、木々が多い方に土煙が立ち込めていた。

 そのせいか何も見えないが……

 

「歌が……。歌が聞こえる……。」

 

 瑠璃の言葉に輪はよく耳をすませるが何も聞こえてこない。そしてほんの一瞬の出来事だった。

 

(あれって……)

 

 瑠璃は何か見たのか、その方へ向かっていった。

 

「え?!ちょっと瑠璃!待ってよー!」

 

 輪もカメラを持って後を追った。

 

 時を同じくしてここは特異災害機動対策部二課。

 その本部に、風鳴弦十郎が腕を組んでモニターの様子を真剣に見ていた。

 現在、外では響と翼がパワードスーツを着て謎の襲撃者と戦っている。さらに翼は日本刀の形をした武器を手にノイズを斬り、倒した。

 現在、響がノイズの粘着液によって拘束され翼が襲撃者と戦っているが一方的に押し込まれており劣勢を強いられている。内外問わず、緊張感が絶え間なく続くその状況にオペレーターである藤尭朔也から報告があった。

 

「司令!民間人二名が戦闘区域に!」

「何だと?!モニターを映せ!」

 

藤尭が操作するとモニターが映し出された。

そこにいたのは……

 

「なっ……まさか……」

 

 まさに戦場に向かっている事を知らずにそのまま進んでいる瑠璃と輪だった。




ここでオリキャラプロフィール

風鳴瑠璃(16)
誕生日:12月28日 B:90 W:57 H:85
パーソナルカラー:藍

リディアンに通う二年女子高生。
黒髪のショート、ラピスラズリのような瞳のタレ目、左目の下に泣き黒子が特徴。
控えめでな争いを好まない性格でトラブルに巻き込まれるとパニックになりやすい。
だが時々大胆な行動に出る事も。

父親である風鳴弦十郎の影響で映画好きになる。


出水輪(16)
誕生日:6月21日 B:84 W:58 H:86
パーソナルカラー:緋

瑠璃のクラスメイトで親友。新聞部所属。
茶髪のロングだが、時々ポニーテールやお下げにしたりと髪型を変える。
ミーハーかつ好奇心旺盛。自らの探求心が満足するまで突き進すむが、時にそれが命の危険に晒される事が多い。しかもなかなか懲りない。
しかし大人顔負けの洞察力から、物事の本質を突く発言も珍しくはない。

看護師として働いている姉の小夜とマンションで暮らしている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。