戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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無印編 ラストバトル





決戦、エクスドライブ

 エクスドライブになった事で空を飛べるようになった四人、その背には朝日がある。

 

「みんなの歌声がくれたギアが、私に負けない力を与えてくれる。瑠璃さんやクリスちゃん、翼さんにもう一度立ち上がる力を与えてくれる。歌は戦う力だけじゃない、命なんだ!」

 

 その四人を苦々しく地上から見上げるフィーネ。

 

「高レベルのフォニックゲイン。こいつは二年前の意趣返し……」

『んなこたどうでもいいんだよ!』

 

 クリスが口を動かさずとも、脳に直接話しかける。

 

「念話までも……!限定解除されたギアを纏って、すっかりその気か!」

 

 ソロモンの杖と呼ばれる杖から放たれたその閃光はノイズを大量に召喚する。

 

『またノイズを……!やっぱり今までに起きた……まさか世界に起こるノイズの厄災は、全てあなたの仕業なの?!』

 

 瑠璃の念話に、フィーネも念話で答える。

 

『ノイズとは。バラルの呪詛にて、相互理解を失った人類が同じ人類のみを殺戮するために作り上げた自律兵器』

『人が、人を殺すために……?!』

 

 人との繋がりを重きに置く響が困惑した。

 

『バビロニアの宝物庫は、扉が開け放たれたままでな。そこからまろび出る十年一度の偶然を、私は必然と変え、純粋に力として使役しているだけの事……。』

『またわけ分かんねぇことを……!あいつ何を……?!』

「怖じろ!!」

 

 フィーネは杖を天に掲げると、先程とは比べ物にならない量の光線を放ち、それが空中で拡散されたそれは形は関係なく大量のノイズが展開される。

 空だけでなく、地上を、覆い尽くさんとする量を相手に、四人は背中を合わせる。

 

「あっちこちから……!」

「この量を相手に……いくら何でも多すぎじゃ……」

「何弱気になってんだよ姉ちゃん!今のあたしらなら、これくらい余裕だ!」

 

 圧倒的な数に弱気になった瑠璃だったが、クリスが強気に鼓舞する。

 

「翼さん……。私、翼さんに……。」

 

 一方響は翼に申し訳なさそうに謝る。

 暴走していたとはいえ、味方である翼に攻撃してしまった事に謝りたかった。

 だが翼は……

 

「どうでもいいことだ。」

「へ?」

「立花は私の呼びかけに答えてくれた。自分から戻ってくれた。自分の強さに胸を張れ。一緒に戦うぞ!」

「翼さん……!」

 

 翼は響に檄を飛ばすと、今度は瑠璃の方を向く。

 

「共に戦うのは初めてだな。」

「うん。いきなりこんな事になったのは……正直戸惑っている……。それに……私、皆に迷惑掛けちゃって……ごめんなさい……。」

 

 意識をフィーネに支配されていたとはいえ、今まで敵としてギアを纏い、刃を交えた事に罪悪感を抱いていた。

 その事を認識し、自分を責める瑠璃だが……

 

「瑠璃。帰って来て良かった。」

 

 翼はただ、微笑んだ。

 姉として、妹が帰って来た事が嬉しかった。

 

「お姉ちゃん……。」

「そう言えば、翼さんの妹なら、クリスちゃんも翼さんの妹っていう事に……」

「は、はぁ?!冗談じゃねえぞこんな剣だけの姉貴とか御免だね!姉ちゃんは一人で十分だ!」

 

 響の疑問という名の茶々に、クリスは顔を真っ赤にして否定するが、翼は何気にショックを受ける。

 そのやり取りを見ていた瑠璃は、思わず笑ってしまう。

 

「よし、じゃあ早く終わらせて、平和な日常に戻らなきゃだね。」

「そうだな。」

「ったく、しょうがねえな。」

「行きましょう!」

 

四人はそれぞれ散開した。

 

 瑠璃は形状が変わった二本の槍を一つに繋げ、それを上空に放り投げると、狙いを定めたようにノイズ達に向けると、槍が十二本に増えた。

 上げた右腕を振り下ろすと、十二本の槍は上空にいる無数のノイズを殲滅しに飛来する。

 

【Saint Constellation】

 

 目の前に映るノイズを殲滅するが、背後からノイズに急襲される……が、左手を振るうと、瑠璃に触れる事なく上から降ってきた槍によって塵になる。

 まるでコンダクターの様に槍を全方向に操り、周囲に蔓延るノイズを殲滅させる。

 

『やっさいもっさいだぁ!!』

 

 クリスも腰部の装甲からレーザー砲を一斉掃射、有象無象のノイズを貫いていく。

 

『何処で覚えたのそんな言葉……?!』

 

 瑠璃はクリスの独特の言葉遣いに突っ込むが、構わずクリスはノイズの殲滅に掛かる。

 

 響も両腕部のユニットを伸長させて、そのエネルギーで大型ノイズにぶん殴ると、その軌道線上にいたノイズも纏めて穿つ。

 

 翼は通常より一回り大きい斬馬刀へと可変させて、振り下ろすと、威力が跳ね上がった斬撃のエネルギー波を放つ。

 

【蒼ノ一閃】

 

 小型はおろか、大型のノイズを一刀両断していく。

 

 

 ノイズの大群もみるみるその数が減っていくが、翼がリディアンの方を見ると、フィーネがソロモンの杖で自らの身を貫いた。

 

「トチ狂った真似を……っ?!」

 

 しかし、自身の腹貫いたソロモンの杖がネフシュタンの再生能力によって取り込まれた。

 これにより、杖無しでフィーネの意思でノイズを操り、召喚していくが、さらに新たに召喚したノイズ、まだ生きているノイズを自らの下に集めていくと、人ではない、異形な化け物へと姿を変えた。

 

「ノイズを吸収している?!」

「人の在り方だけでなく、人の形までもを捨て去るというのか?!」

 

 異形の怪物からフィーネの一部が見えると叫ぶ。

 

「来たれ!デュランダル!」

 

 カ・ディンギルの炉心となっていたデュランダルをその身に宿すと、竜の姿へと変貌した。

 頭部であろうものからレーザーを放ち、その軌道線上にあった町が燃え上がる。

 その光景を見た瑠璃は、フィーネの所業に腹を立てる。

 

「酷い……なんて事を……!」

「逆さ鱗に触れたのだ……。相応の覚悟は出来ておろうな?」

 

 胸部からフィーネの一部が姿を見せ、デュランダルを片手に高笑うと、再び竜の頭部から今度は装者達に向けてレーザーを放つ。

 避けても強大な火力から発生する熱量と衝撃で、装者を吹き飛ばす。

 

「無事か?!」

「紙一重でなんとか!」

「クソッ!少しデカくなった程度で調子に乗ってんじゃねえ!」

「これ以上破壊させない……!絶対に止める!」

 

 クリスがレーザー砲、瑠璃が黒槍の穂先からエネルギー波をフィーネに向けて放つが、鱗が盾のように守り、簡単に防がれる。

 逆に今度は翼状の部位から、追尾するレーザーを放ちクリスと瑠璃を狙う。

 

「させない!」

 

 クリスを背に立つ瑠璃は一つの槍へ連結させてから槍を高速回転、回転から発せられるエネルギーを竜巻として放ち迎撃する。

 

【Harping Tornado】

 

 しかし徐々に押されていき、レーザーが迫るが、軌道を上空へと逸して事なきを得る。

 翼が蒼ノ一閃、響の渾身の力を込めたパンチで傷を与えても、高まったネフシュタンの再生能力の前では有象無象に等しい。

 

『いくら限定解除されたギアであっても、所詮は聖遺物の欠片から作られた玩具!完全聖遺物に対抗できるなどと思うてくれるな!』

 

 フィーネが悦に浸るかのように念話で見下すが、この時、翼、クリス、瑠璃は起死回生の策を思いつく。

 

(完全聖遺物……!この場に完全聖遺物に対抗できる武器はある……!)

 

 その唯一の策こそが、今フィーネの持つ完全聖遺物、デュランダル。

 

「瑠璃!雪音!」

「分かってるっての!姉ちゃん、もういっぺんやるぞ!」

「うん、ただその為には……」

 

 なお、響だけはその策について考えていなかった。

 

「ええと……何だかよく分からないけど、やってみます!」

「頼んだ!私と瑠璃、雪音が露を払う!」

「手加減はなしだ!」

「勝機は一度きり……なら全力で!」

 

 クリスが先行し、翼は巨大な斬馬刀で最大出力の斬撃のエネルギー波を放つ

 

【蒼ノ一閃 滅破】

 

 フィーネを守る鱗を破壊し、その斬撃の隙間からクリスが内部へ侵入する。

 

「フィーネエエエエェェェ!!」

 

 クリスがレーザーを乱射して爆風による煙を引き起こす。

 

「所詮は聖遺物の欠片!たかが一匹で……」

「一人じゃない!!」

 

 瑠璃が巨大化、連結させた槍を手に猛スピードで特攻する。

 

「相も変わらず特攻か!」

 

 翼状からレーザーを放ち、槍ごと瑠璃を撃ち落とそうとするが、瑠璃は槍を両足で蹴った。

 宙返りのような軽やかな動きで、レーザーを避けるだけでなく、槍の投擲速度を上昇させた。

 

「おのれえぇ!猪口才なぁ!!」

 

 フィーネはデュランダルで槍を打ち払う。

 

「クリス!」

「狙いはついた!くらいやがれぇ!」

 

 振った時の隙を狙い、クリスはデュランダルにレーザー砲をこれでもかと撃ち込む。

 フィーネはレーザーによってデュランダルを弾かれ手放してしまい、斬撃の隙間からデュランダルが放り出される。

 

「そいつが切り札だ!勝機をこぼすな!掴み取れ!」

 

 響はデュランダルを手にしようとするが、如何せん距離が足りない。

 だがクリスが拳銃でデュランダルを跳躍させ、遂に響の手にデュランダルを掴む。

 が、その瞬間、響の中にある破壊衝動の闇が響を食らい尽くさんと覆い出す。

 響は辛うじて踏ん張るも飲み込まれつつある。

 

「正念場だ!踏ん張りどころだろうが!」

 

弦十郎の声がスピーカーから聞こえる。

 

「強く自分を意識してください!」

「昨日までの自分を!」

「これからなりたい自分を!」

(みんな……!)

 

 緒川、藤尭、友里が檄を飛ばしてくれた。

 

「屈するな立花!お前の構えた胸の覚悟を、私に見せてくれ!」

「お前を信じ、お前に全部かけてんだ!お前が自分を信じなくてどうするんだよぉ!」

「諦めないのが響ちゃんの強い所でしょう!ならしっかり前を、未来を見てぇ!」

 

 右肩に翼、左肩にクリス、背中に瑠璃が響を支え声を送る。

 

「あなたのお節介を!」

「あんたの人助けを!」

「今日は、私達が!」

 

 詩織、創世、弓美が応援する。

 

「響!あんたに託した思いを思い出せ!」

 

 輪があの日託した思いをもう一度送る。

 

 フィーネがデュランダルを手にした響を葬らんと職種を伸ばすが、エネルギーのバリアが装者達を守る。

 だが遂に響の全身が真っ黒に染まる……

 

「響いいいいぃぃぃぃーーーー!!」

 

 何と外に出た未来の叫び声が、響の意識に届いた。

 

 

(そうだ……。今の私は、私だけの力じゃない……!そうだ!この衝動に!塗りつぶされてなるものかあああぁぁぁぁ!!)

 

 破壊衝動の闇を消し去り、完全に己を制御した響はデュランダルを両手に持ち上げる。

 デュランダルが響の想いに答えるかのように、その剣身に光が輝く。

 

「その力!何を束ねた?!」

「響き合うみんなの歌声がくれた!」

 

 

 

 

 

 

 

シンフォギアでええええええええええええぇぇぇぇぇぇ!!

 

 

 

 

       【Synchrogazer】

 

 

 

 

 

 

 デュランダルが振り下ろされ、ネフシュタンの鎧……完全聖遺物同士がぶつかり合った。

 デュランダルの無限のエネルギー、ネフシュタンの鎧の無限の再生能力が相反するように、二つの完全聖遺物は崩壊を始めた。

 

 

(どうしたネフシュタン?!再生だ!この身……砕けてなるものかあああああああああぁぁぁぁぁ!!)

 

 ぶつかり合った力は超爆発を引き起こした。




次回、無印編最終回
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