ちょっと短めですが、最後にG編の前日譚があります。
・誰かの為の料理
クリスが越してから数日、早速クリスの部屋に泊まりに来た瑠璃。
まずは線香をあげて、両手を合わせる。
「パパ、ママ、忘れて遅くなってごめんね。」
その後、二人で食材の買い出しに行き、食材を揃えると帰宅、調理に掛かる。
瑠璃の手際の良さにクリスは驚いた。
「随分と手慣れてるな。やっぱりおっさんの飯を作ってるからか?」
「そうだね。お父さん、いっぱい食べるからその分大変だけど、全部食べてくれるから嬉しくなるの。」
「そう……なのか……。」
誰かの為に作る料理だから頑張れる、それを学んだクリスは瑠璃にご馳走を作ってやろうと考えた。
「というわけで今日の夕飯は任せろ!」
「だ、大丈夫?」
「へ、平気だ!よし!じゃあ昔ママに作ってもらったオムライスを、あたしが作ってやる!ちょっと待ってろ!」
しかしクリスは思い切り自爆する事になった。
まずチキンライスなのだが具を大きく切り、白米も量は適当に入れ、乱暴にかき混ぜる。
その結果キッチン周りは米が飛散、クリスにも何粒か着いてしまった。
まあチキンライスを作れたのは辛うじて良しとして、問題はオムレツだった。
なかなか上手くオムレツを作れず、どうしてもスクランブルエッグになってしまう。
「クリス、ちょっと貸して。」
すると瑠璃にバトンタッチされ、今度は瑠璃がオムレツを作る。
外側から内側へと巻き込むように掻くようにかき混ぜて、ある程度固まった所でチキンライスを入れて卵を包み、フライパンをトントンしてひっくり返したら、皿に移して出来上がり。
「おおぉ!」
完成、オムライス。
「よし!次は成功させて……って卵がねえ!」
オムレツは卵を多く使うので消費が激しく、クリスが4回やって全部失敗した為、卵があっという間になくなってしまった。
「じゃあこの卵を貰っていい?」
クリスが失敗したスクランブルエッグを、瑠璃のチキンライスの上に乗せる。
「お、おい!良いのかよ?!」
「良いの。私はクリスが作った料理が食べたいから。」
瑠璃とクリスは向かい合うようにテーブルに座る。
「じゃあ」
「「いただきます。」」
それぞれ作ってもらったオムライスを一口、口運んで味わう。
「うんめぇ!中が半熟になっていてトロトロだぁ!」
「ちょっとクリス、もうちょっとゆっくり食べないと……ほら……。」
かきこみ過ぎて喉に詰まらせたクリスはグビグビと水を飲む。
「悪い悪い。だって美味かったんだよ。それより、そっちのオムライスまずいか……?」
「え?美味しいよ?形はあれだけど、味は本当に良いよ。これは本当に練習あるのみだから。」
「あ、ありがとう……。」
今度は成功させて姉を喜ばせようと決意するクリスだった。
・G編前日譚
今日は瑠璃、輪、響、未来、クリスとカラオケに行っていた。
それぞれ歌いたい曲を予約して、熱唱する。
瑠璃とクリスはツヴァイウィングの逆光のフリューゲルを熱唱し、響は弓美から教えてもらったアニソンなどなど思い思いの曲を熱唱していく。
そして輪はというと……
「Dark Oblivion?!」
この曲は今全米ヒットチャートNo.1をデビューから2ヶ月で登りつめた気鋭の歌姫 マリア・カデンツァヴナ・イヴの曲である。
輪は最近マリアの曲にハマっていて、英語の歌詞であるにも関わらず、最後まで完璧に歌い切った。
「凄ーい!輪さんカッコよかった!」
響から盛大な拍手を贈られる。
「ありがとー。いやー歌った歌った。いやほら、今度のライブに出るじゃない?ちょっと触発されちゃってさ。」
先日翼から近日開催される音楽ライブの祭典、QUEENS OF MUSICの特別席の招待状を貰った。
当然翼も出演するのだが、さらに翼との特別コラボレーションでマリアと共演するのだ。
「いやぁ生マリアをこの目で見れる日が来るとは、生きてるって素晴らしいねぇ〜。」
なんとこのライブのチケットの抽選予約開始日に殺到し、超高倍率の中、輪は堂々と予約したのだが獲得出来なかったとの事。
だから特別席招待をされた時は滅茶苦茶喜んでいたのだとか。
「あの時の輪、もの凄く喜んでたもんね。」
「土砂降りの涙から一気に立ち直りやがったからな。」
「でも楽しみだよね〜!」
響も楽しみで眠れないというのだが、まだ一週間以上も先なのでいくら何でも早すぎる。
女子高生らしい会話で盛り上がっていた所、装者達の通信機から連絡が入った。
「お父さんからだ……。すぐに招集って、何するんだろ。」
「あぁ……。じゃあ早いけど今回はお開きだね。」
「そうですね。また今度ゆっくり行きましょう。」
5人は会計を済ませて輪と未来はそれぞれ帰路に着き、装者三人は本部へと向かった。
かつての二課の本部は壊滅した為、仮設の本部は潜水艦となった。
装者達は本部に集まり、弦十郎主導のミーティングが始まった。
ちなみに翼は歌手活動に専念してもらう為、招集されなかった。
「一週間後、ソロモンの杖をアメリカへ返還する為に、岩国の米軍基地へ移される事になった。そこで響君とクリス君は友里と共に岩国まで護送の任務に行ってもらう。」
「はい!」
「おう!」
ここで呼ばれなかった瑠璃が手を挙げる。
「あの……私は……?」
「ああ、それについてだが……瑠璃はまだ実戦経験が浅く、戦力としては不安要素が大きすぎる。そこで、瑠璃には特別メニューを熟してもらう!」
それから一週間、瑠璃は今……山中で走り込みをしていた。
G編へ続く
というわけで、次回G編開幕です。
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