戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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今回は瑠璃の初陣となります!

そしていつもより倍長いです!


初陣と4つの絶唱

「瑠璃、あれ!」

「うん、信じられない……。ガングニールは響ちゃんの……」

 

 輪はこの状況に臆する事なくカメラを取り出し、写真を撮影した。被写体は当然、黒いガングニールを纏ったマリア。

 

「我ら武装組織フィーネは各国政府に対して要求する。そうだなぁ……差し当たっては、国土の割譲を求めようか!」

「馬鹿な……」

 

 マリアは翼がギアを纏えないのを良い事に無茶苦茶な要求を宣言するが、さらにそれだけではない。

 

「もしも二十四時間以内にこちらの要求が果たされない場合は、各国の首都機能がノイズによって憮然となるだろう。」

「何処までが本気なのか……」

「私が王道を敷き、私達が住まうための楽土だ。素晴らしいと思わないか?」

 

 翼の方を向いて笑う様に言う。

 

「何を意図しての語りか知らぬが……」

「私が語りだと?」

 

 翼の発言に、マリアの眉が僅かにピクッと動いた。

 

「そうだ!ガングニールのシンフォギアは、貴様のような輩に纏えるようなものではないと覚えろ!」

 

 翼がギアのペンダントを握る。

 

「マズい……!お姉ちゃん……駄目だ!」

「瑠璃?!ちょっと何処に行くの?!」

 

 急いで特別席から出て、ライブ会場の裏方へ走り出す。

 

「アニメみたいに行っちゃった……」

 

 残された者たちはただ、この状況が良くなる事を願うしかできない。

 だが今の瑠璃には力がある。それを、姉の夢を守る為に、今使おうとしている。

 

(お姉ちゃん……早まっちゃ駄目……!お姉ちゃんが世界中に、歌を届ける夢が……絶たれる!そんなの、嫌だよ!お姉ちゃん歌、大好きなんだから!)

 

 一刻も早く、翼がギアを纏えるようカメラ機材がある制御室へ向かう。その途中で緒川と遭遇する。

 

「緒川さん!」

「瑠璃さん!今向こうが観客達を解放したそうです!」

「えっ……?!」

 

 マリアが自らアドバンテージを放棄した事に理解が出来ない瑠璃。

 だが好都合だった。瑠璃はただの学生である為、ギアを纏っても今後、生活に支障をきたすわけではない。

 またバイデントには戦闘補助の為にバイザーが搭載されており、それで顔を隠せば後は情報封鎖すればどうにでもなる。

 

「緒川さん、私はこれから制御室へ……」

「それは僕がやります!瑠璃さん、ステージの方へお願いします!万が一はギアを纏って素顔を隠してください!」

 

 考えている事は同じだった。

 

「分かりました!緒川さん、カメラのケーブルを切断をお願いします!」

 

 目的地を変え、瑠璃はアリーナを目指す。

 走りながら弦十郎に通信を入れる。

 

「司令!」

『ああ、お前の初陣だ!派手にブチかまして来い!』

「了解です、司令!」 

 

 瑠璃はギアのペンダントを強く握る。

 

 Tearnight Bident Tron……

 

 身につけていた衣服が消失し、一糸纏わぬ姿になると藍色を基調とするインナーとなり、脚、前腕にアームが装着、さらにルナアタックには無かった上腕の方にも黒いインナーが追加され、更に背中に翼を模した装飾も左右対称に3つ追加された。

 瑠璃はバイザーを展開し、顔を隠す。

 黒槍を右手に、白槍を左手に持つと急いで戦場へ向かう。

 

 

 一方アリーナの方では観客を解放した事でむしろ晴れやかな表情となったマリアと、険しい表情で彼女を見る翼が対峙している。

 

「観客は皆退去した。もう被害者が出る事はない。それでも私と戦えないと言うのであれば、それはあなたの保身の為。あなたは、その程度の覚悟しかないのかしら?」

 

 マリアは翼がギアを纏えない事を良い様に好戦的な物言いで挑発をする。防人としてはそれは許しがたい侮辱ではあるが、今の翼は歌姫である。今ここでギアを纏えば歌手としての自分は死に絶える。

 だがマリアは選択を迫るかのように、剣を彷彿とされるマイクを翼に向ける。だが翼はここでやられるわけにはいかない。振り下ろされたマイクを避け、同じマイクで太刀打ちする。しかし、マリアはギアのマントで、翼のマイクをへし折ってしまう。

 第2波が来るも翼は宙返りでこれを避ける。しかし、もうマイクは使えないと判断し、自ら得物を手放す。それでも翼は持ち前の身体能力を活かして、ギアの有無という不利を感じさせない立ち振る舞いで、戦っている。

 

(もう少し、もう少しで下がれば……!)

 

 さらに翼は徐々にステージから後退しつつある。中継の範囲外に出てしまえば、ギアを纏ったとしても人の目に触れずに済む。

 だがこの目論見は看破されていた。マリアが翼を目掛けてマイクを投擲した。翼はこれを跳んで回避し、舞台裏まで撤退を図る。だがここで思わぬアクシデントが発生した。翼の衣装のヒールが折れてしまい、重心が崩れそうになる。何とか直立に保ってみせたが、その為に動けない所を、マリアに胴を蹴られてしまう。

 

「あなたはまだステージから降りる事は許されない。」

 

 しかも蹴り飛ばされた先が、ノイズが跋扈する観客席だった。このまま落ちてしまえばノイズによって塵にされ、命は終わりを告げる。翼は瞼を閉じる。

 

(さよならね……歌女の私……)

 

 決別を決意し、詠唱を詠い始める。

 

 

 お姉ちゃん!!

 

 

 妹の声が聞こえたような気がした。

 翼は目を見開き、振り向くと何者かがこちらに急接近している。

 そして、気付いた時には、お姫様抱っこされたいる。

 

「瑠璃……!」

 

 連結された槍の操作の応用で、箒のように乗りこなし翼をお姫様抱っこでキャッチした瑠璃だった。

 

「お姉ちゃんの歌が聞けなくなるのは、嫌だよ。それと、あの人には言いたい事が山程ある。」

 

 姉には笑顔を、敵には怒りを向ける瑠璃。せっかくの姉の舞台を台無しにしてくれたマリアには、相応の報いを取らせたいと、心の底から腸が煮えくり返っている。

 

「バイデント……やはり纏えたのか……。」

 

 一連の事態を見ていたマリアは驚いた表情で呟いた。

 ここで緒川から通信が入った。

 

『中継を遮断しました!翼さん!』

「はい!瑠璃、参るぞ!」

「うん!」

 

 これで翼を縛るものは何もない。枷から解き放たれた鳥の如く、翼は高く飛翔する。

 

「聞くがいい、防人の歌を!」

 

 Imyuteus Amenohabakiri Tron……

 

 降下しながら、ギアを纏った際に発生したエネルギーがバリアとなってノイズを塵にした。

 リビルドによってギアの形状が変化しており、性能も格段に上がっている。その力を持って、ノイズ達を一刀両断する。

 瑠璃も連結した槍を解除、二本の槍に戻すと黒槍を振り下ろし、白槍を右から左へ払うように振るうと、十字の斬撃のエネルギー波を放ち、ノイズの群れに穴を空ける。

 

【Cross Gemini】

 

 そのまま空いた場所へ着地すると二本の槍を上空に放り投げると、遠隔操作でノイズを塵にしていく。

 

【Assault Pisces】

 

 全てのノイズを殲滅した2人はアリーナに舞い降り、マリアと対峙、瑠璃は槍の刃先をマリアに向ける。

 

「2対1で卑怯、なんて言わせない。」

「ええ、元からそんなつもりはない!」

 

 瑠璃が黒槍で急襲すると、マリアは軽い身のこなしで避ける。

 黒槍と白槍での連続突きを繰り出すも、それをマントで防いで見せる。

 その瞬間、攻撃に転じ瑠璃を襲う。瑠璃はそれを槍でいなす。

 この応酬を見た翼は確信した。

 

「見て分かった。あれはまさしくガングニール、やはり本物……!」

「ようやく、お墨付きを付けてもらった。そうだ。これが私のガングニール。何物をも貫き通す、無双の一振り!」

 

 今度はマントでの攻撃を刃のように二人に向けて放った。

 

 瑠璃と翼はそれを受け止める。

 

「だからとて!私が引き下がる通りなど、ありはしない!」

「お姉ちゃんの言う通り、負けられない!」

 

 2人は奮起し、それを押し返した。

 

 ここで、マリアに女性から通信が入った。

 

『マリア。フォニックゲインは現在、二十二パーセント付近をマークしています』

(まだ七十八パーセントも足りてない?!)

 

 それに動揺したのを、翼はそれを見逃さない。

 

「瑠璃、先陣を!」

「うん!」

 

 二本の槍にエネルギーが集約し、その穂先をマリアがいる虚空に放つと、二本のエネルギー波が放たれた。

 

【Shooting Comet:Twin Burst】

 

 マリアはこれをマントで弾く。

 

「こんなもの……はっ!」

 

 瑠璃の背後から飛び立ちながら、剣を連結させる。

 そして脚部と背部のブースターを点火させて、剣を高速で回転させる。そして高速でマリアとの距離を詰めて斬りつけた。

 

【風輪火斬】

 

「なるほど、本命はこっちだったのね……。」

「話はベッドで聞かせてもらう!」

 

 これで詰めと思われた瞬間、瑠璃のバイザーが反応をキャッチした。

 

「お姉ちゃん、上!」

 

 瑠璃の言う通り、上空から無数の鋸が降り注いだ。翼はギリギリの所でこれを捌く。だがそこにピンク色のギアを纏った黒髪のツインテール少女、月読調が追撃に出る。

 

【α式・百輪廻】

 

 さらにその背後から緑色のギアを纏った金色の短髪少女、暁切歌が翼の身体を拘束し、鎌の刃を3つ投擲する。

 

【切・呪りeッTぉ】

 

 翼の死角から狙われるも、瑠璃が黒い槍で防ぎ、白い槍を投擲して、拘束を破壊する。

 

「形勢逆転。」

「間一髪だったデスよ!」

 

 それを見た瑠璃と翼は驚愕した。まさか他にも装者を抱えているとは思いもしていなかった。

 

「調と切歌に救われなくても、あなた程度に後れを取る私ではないんだけどね?」

 

 それはまるで勝ちを確信したかのように見下ろしていた。

 

「バイデント……。」

「何であんな奴が纏えるデスか!」

 

 調と切歌は瑠璃、というよりバイデントのギアを見て、怒りを表している。

 

「バイデントを知ってるの……?っ……!」

 

 だがこの時、瑠璃のバイザーに反応がキャッチされ、翼の方も笑みを浮かべていた。

 

「貴様みたいなのはそうやって……!見下ろしてばかりだから勝機を見落とす!」

「上か!」

 

 突如上からガトリング砲の弾丸の雨が降り注ぐ。

 

【BILLION MAIDEN】

 

 切歌と調は左右にそれぞれ散会、マリアはマントでこれを防ぐが、そこに響がマリアに拳の一撃を繰り出す。だがダメージを与えるとまでは行かず、逆にマリアがマントで反撃する。これを回避して、瑠璃も翼と共に距離を取る。

 再び形勢逆転した。

 

「やめようよこんな戦い!今日であった私達が争う理由なんてないよ!」

 

 響はクリスと瑠璃の時と同じように対話を試みた。

 

「そんな綺麗ごとを!」

「へ?!」

「綺麗ごとで戦うやつの事なんか、信じられるものかデス!」

 

 だが同様に拒否される。しかし響は一度拒否された程度では諦めない。

 

「そんな。話せばわかり合えるよ!戦う必要なんか……」

「偽善者……!この世界には、あなたのような偽善者が多すぎる……!」

 

 特に調の方は真っ向から拒絶し、響に対して憎悪の目を向け、鋸を放つが逆に響は接近して、攻撃の死角を突く。

 一方クリスの方も切歌と好戦しているが、遠距離特化のイチイバルでは白兵戦は致命的な不利となってしまっている。やむを得ずクロスボウへと可変して放つも、切歌は全て鎌で捌ききり、クリスに振り下ろす。だがこれを阻む者がいる。

 

「姉を見捨てたデスか?」

「違うよ。お姉ちゃんは強い、だから託した!」

 

 クリスを守る様に瑠璃が攻撃を防いだ。

 

「そんなハッタリ、マリアの方が強いに決まってるデス!」

「いいえ!お姉ちゃんの方が強いもん!」

「マリアデス!」

「お姉ちゃん!」

「マリア!」

「お姉ちゃん!」

「マリア!!」

「お姉ちゃん!!」

「戦場で場違いな事で揉めてんじゃねえええぇぇ!!」

 

 2人はそれぞれを思っての喧嘩だったが、それを見兼ねたクリスがツッコミを入れた。

 

「しっかりしろよ姉ちゃん!」

「あ、うん。そうだったね……ごめん。」

「ん?姉ちゃんデスと?」

 

 切歌はその意味を理解できず首を傾げるが、瑠璃とクリスが構えた事で、切歌も構える。

 

「行くぜ!」

「うん、クリス!」

 

 瑠璃が切歌を目掛けて走り出す。左手に持つ白い槍を水平に、左へ払うように振るうと切歌は大鎌で防ぐ。だが残った黒い槍で突く。

 

「舐めんなデース!」

 

 なんと柄で槍の穂先を弾く事で、軌道を逸した。しかし瑠璃がしゃがむと切歌の顔が青くなった。

 なんと至近距離までクロスボウを構えているクリスが突撃してきた。撃たれれば文字通り蜂の巣だ。

 

「切ちゃんしゃがんで!」

 

 無数の鋸が切歌を守る様に降り注いだ。

 

「片方のアームで両者を……響ちゃん?!」

 

 調が切歌を守れた理由、それは響が項垂れていた。

 あれほど前向きな響がここまでの事になるとは余程のことなのだろうが、今はそれどころではない。

 響の戦意が喪失している事で今は無防備、そこに調の鋸が襲って来た。

 今から調に槍を投擲しても間に合わない。瑠璃は決死の行動に出る。

 

「姉ちゃん!」

 

 響に向かって全力で走り出す。響を庇うように調の前に立ち塞がり、連結させた槍を高速回転させると、放出されたエネルギーから発せられた竜巻で鋸を弾き、かつ調に返す。

 

【Harping Tornado】

 

「瑠璃さん!」

「大丈夫!それよりも今は……っ!」

 

 調がツインテールのアームの先端が巨大鋸へと可変させると、刃を回転させて二本同時に瑠璃の頭上に襲い掛かる。

 

【γ式・卍火車】

 

 槍を連結させたまま柄で防ぎ、押し返した。

 

「邪魔しないで……!」

 

 右から来るアームを黒、左から来るのアームは白い槍で捌く。刃が接触する度に火花が散っている。双方激しい殺陣を繰り広げる。

 

「響ちゃんに何て言ったの?!」

「偽善者よ……!あいつは人の痛みを知らないで、話し合おうだとか信じられるわけがない……!」

 

 静かなる怒りが込められた攻撃に、瑠璃は捌くのが精一杯だった。

 調の方が攻撃する時間が長く、先程から瑠璃の攻撃を出す前に、鋸がその行く手を阻み、攻撃に転じると調は槍が届かない距離まで徐々に後退する。

 瑠璃は槍が届かないばかりか、リーチの差によって防御に徹するしかない。

 

「姉ちゃん!交代だ!」

 

 クリスが瑠璃の方まで走って向かっている。

 

「逃さないデース!」

 

 切歌が鎌の刃を3本投擲してクリスの背後を狙う。それを瑠璃が二本の槍で弾き返す。

 クリスが調の方に、瑠璃が切歌の方を向く。遠距離には遠距離を、近距離には近距離をぶつける。2人は背中を合わせ、各々のアームドギアをを構える

 

 だがここで思わぬ横槍が入った。

 

「あれは……!」

 

 その瞬間、アリーナの中央部に巨大なノイズが出現した。

 

「何あのデッカいイボイボ?!」

「増殖分裂タイプ……」

「あんなの聞いてないデスよ?!」

 

 響が素直な感想を述べる。マリアは両腕のガントレットを連結させると、ガングニールの象徴とも言える槍を形成する。

 

「アームドギアを温存していただと?!」

 

 さらにその矛先をあろうことかノイズに向けると、そこからエネルギー波を発射する。

 

【HORIZON † SPEAR】

 

「自分たちで出したノイズだろ?!」

 

 マリアの意図が理解できないクリスは素っ頓狂な声を上げる。まともに食らったノイズは破裂したかのように爆ぜた。だがマリアが放った閃光が目晦ましとなり、それに気を取られていた4人はマリア、切歌、調の撤退を許してしまう。

 

「引くわよ、調、切歌。」

「せっかく温まって来たところでしっぽを巻くのかよ?!」

「ノイズが?!」

「また集まって……大きくなった?!」

 

 響と瑠璃が声を挙げる。爆散したノイズが塵になる事なく、そのまま増殖している。さらに最初の状態よりも一回り大きくなっている。

 

「はぁっ!」

 

 翼が斬刃刀に形状を変えた刀でノイズを斬る。だがそれはそこからノイズを増殖させる事しか出来なかった。

 

「こいつの特性は増殖分裂。」

「放っておいたら際限ないってわけか……。」

「でもそれじゃずっと増え続けたら、ノイズが外に!」

「趣味の悪いサプライズプレゼントを置いて行きやがって!」

 

 さらに制御室にいる緒川から通信が入る。

 

『皆さん、聞こえますか?!会場のすぐ外には、避難したばかりの観客たちが居ます!そのノイズをここから出すわけには……!』 

 

 瑠璃の指摘通り、このまま増殖させたら観客達がノイズの被害に晒される。

 その中には避難した輪や未来達もいる。

 

「観客?!みんなが!」

「だが迂闊な攻撃では、いたずらに増殖と分裂を促進させるだけ……。」

「どうすりゃいいんだよ?!」

 

 打開策を考えても焦りで答えは出ない。そこで響はある案を出す。

 

「絶唱……絶唱です!」

「で、でもあの技は未完成だよ?!」

「うん。」

 

 響の提案に瑠璃が懸念を示す。

 

「増殖力を上回る破壊力を持って一気殲滅。立花らしいが、理にはかなっている」

「オイオイ本気かよ?!」

 

 増殖されるなら増殖出来ない程のダメージを与える。それが出来るのは絶唱だけ。だが瑠璃とクリスが苦言を呈した通り、絶唱はその絶大な威力と引き換えに使用者にまでダメージを与える諸刃の剣である。だが、もう迷っている暇はない。

 

「立花、やれるな?」

「はい!」

 

 4人はノイズの前に立ち、左から翼の右手が響の左、響の右手はクリスの左手、そしてクリスの右手が瑠璃の左手を握り、繋ぎ合わせる。

 

「行きます!S2CA スクエアブラスト!!」

 

 Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el baral zizzl……

 

 4人が絶唱を詠う。4つの絶唱が、4人の歌声が、4人の力が、4つの想いが調律されていく。

 この奏でがハーモニーがまるで命を紡ぐ歌と思わせる。

 

 Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el zizzl

 

 この星空の下に、幻想的な音楽が響き鳴り渡る。

 

「スパーブソング!」

 

「「コンビネーションアーツ!」」

 

「セット! ハーモニクス!!」

 

 絶唱の負荷が4人に降りかかる。暴れ狂う膨大なエネルギーを前に、4人は脂汗を滲ませながらも制御する。そして、その力は1つとなり、響に集約される。

 だがその分負荷も響に集中する。

 

「耐えろ、立花!」

「もう少しだッ!」

「負けちゃ、駄目……!」

 

 絶唱のエネルギーがノイズの身体を抉る。そして、露わになるノイズの脊椎のような骨格。

 

「今だ!」

 

 翼が好機を響に伝える。薄くなった所で、響が左腕のガントレット、右腕のものと繋げ、一箇所に連結させる。ここに絶唱のエネルギーを集める。

 

「ぶちかませ!」

 

 響の腰部のブースターが点火、薄くなったノイズにアッパーを決める。そして、ガントレットがブレードの形となりそれを高速回転させてドリルの様に回転する。

 

「これが私達の……!」

「絶唱だあああああぁぁぁぁーーーー!!」

 

 集まった絶唱のエネルギーが高速回転により、巨大な虹色の竜巻を起こす。その竜巻で残ったノイズの骨格が天へ還るように塵となる。その余波で上空の雲を突き破り、天へと昇った。

 

 

 その様子を近くのビルから見ていたマリア達は驚愕する。

 

「何デスか、あのトンデモは?!」

「綺麗……」

「こんな化け物もまた、私達の戦う相手……」

 

 切歌はただ驚愕し、調はその美しさに感銘を受け、マリアは強大な化け物を倒した敵の強さに、悔しさを滲ませるように歯噛みする。

 

 ある場所ではそれをモニタリングしている初老の女性が見ていた。

 

「ふっ……夜明けの光ね」

 

 不敵な笑みを浮かべるとそのモニターにはCOMPLETEの文字が表示された。

 

 

 ノイズを倒した事で一時的に脅威は去った。しかし、ここからが戦いの始まりである。敵は武装集団フィーネ。かつてルナアタックで激闘を繰り広げた宿敵の名を冠した組織。

 その緒戦で、響は古傷が蘇った。

 

「響ちゃん、大丈夫?」

 

 膝から崩れ落ちた響を心配し、瑠璃が声を掛けたが反応が無かった。

 

(それこそが偽善!痛みを知らないあなたに、誰かの為に、なんて言ってほしくない!)

「へいき……へっちゃらです……」

「へっちゃらなもんか!痛むのか?!まさか、絶唱の負荷が中和しきれて……」

「ううん……」

 

 蘇る、あの地獄の日々を

 

「私のしている事って、偽善なのかな……?胸が痛くなる事だって、知っているのに……」

 

 弱々しく、今にも泣き崩れそうな声で思いを吐露した。

 

「響ちゃん……。」

 

 3人は響の苦しみを慰める事が出来ず、ただ見ている事しか出来なかった。




感想とかでレズキスというパワーワードを見かけるようになった今日。

どうしましょ……

ちなみに瑠璃の使用技は星や星座など天文学をモチーフにしています。

 槍の遠隔操作の応用で、箒のように乗りこなすようになったのは、板場さんに勧められたアニメの影響です。


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