戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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 急遽XDのキャラをアレンジして、登場させることにしました。

一応瑠璃にぶつける予定です。


平穏を望む少女、力を欲する少女

 アリーナでの戦いをモニタリングする初老の女性、ナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤ。世間からはナスターシャ教授、そしてマリア達からはマムと呼ばれている。現在は下半身不随となった影響で車椅子に乗っており、その右目には眼帯がされている。

 今回マリア達に指示を出していたのも、増殖分裂型のノイズを召喚したのも彼女である。

 

『スパーブソング!』

『『コンビネーションアーツ!』』

『セット!ハーモニクス!』

 

 今回の戦いは全て録画されており、それを観察している。

 

(他者の絶唱と響き合うことでその威力を増幅するばかりか、生体と聖遺物のはざまに生じる負荷をも低減せしめる……。櫻井理論によると、手にしたアームドギアの延長に絶唱の特性があると言うが……。誰かと手をつなぐことに特化したこの性質こそ、まさしく立花響の絶唱……。)

 

 その思考から彼女の持ちうる聖遺物に関する知識は櫻井了子に匹敵すると窺える。

 

(降下する月な欠片を砕くために絶唱を口にしても尚、装者たちが無事に帰還できた最大の理由。絶唱の四重奏ならばこそ計測される、爆発的なフォニックゲイン……。それをもってしてネフィリムを、天より堕ちた巨人を目覚めさせた。覚醒の鼓動……。)

 

 モニターを切り替えると、響達の絶唱のフォニックゲインを利用して起動させた化け物と相違ない完全聖遺物、『ネフィリム』。聖遺物でありながら生命を持ち、自律行動を取れる、他の聖遺物とは異質なものとなっている。

 

 そこにマリアと同じ雰囲気を持った女性が入り、ナスターシャを呼ぶ。

 

「マム、バイデントの適合者が現れたって本当?」

 

 振り返るナスターシャ。

 

「ジャンヌですか。気になりますか?」

     

 再びモニターの方を向いたナスターシャはモニターに瑠璃を映した。

 

「当たり前よ……。忘れられるわけがない……!あのギアは……あの子を殺した呪いのギアだ……!」

「ええ。まさか、今になってバイデントを纏える装者が現れたとは……。どうやら一波乱が起きようとしてますね。」

 

 モニターの電源を落とし、部屋は暗闇に包まれた。

 

(許せない……。)

 

 ジャンヌと呼ばれた女性のその目には怒りの炎が宿っていた。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 あれから一週間、武装集団フィーネの行方をオペレーター達が全力で追っていた。しかし、手掛かりらしい手掛かりは何一つ見つからずお手上げ状態だった。そんな中、藤尭がため息混じりでボヤく。

 

「ライブ会場襲撃から今日で一週間ですね……。」

「ああ、何もないまま過ぎた一週間だった。」

 

 藤尭のボヤきに弦十郎が乗った。

 

「政府筋からの情報では、その後フィーネと名乗るテロ組織の一切の恣意行動や、各国との交渉も確認されていないとのことですが……」

「つまり、連中の狙いはまるで見えて来やしないということだ。」

 

 友里も集めた情報を整理する。しかし、それも殆どちっぽけな情報整理みたいなもので手掛かりと言うには到底程遠いものだった。

 

「傍目には、派手なパフォーマンスで自分たちの存在を知らしめたくらいです。おかげで、我々二課も即応出来たのですが……」

「ことをたくらむ輩には、似つかわしくないやり方だ。案外、狙いはそのあたりだろうが……」

 

 敵もただの武装集団ではないという事を認識付けたその時、緒川から通信が入った。

 

『風鳴司令。』

「お?緒川か。そっちはどうなってる?」

『ライブ会場付近に乗り捨てられていたトレーラーの入手経路から遡っているのですが……。』

 

 通信の背後から屈強の男と思われる怒号が混じりながらも冷静に通信している。それもそのはず。緒川がいるのは端的に言ってしまえばヤクザの事務所だ。緒川はドスやチャカを向けられようともまともに相手にせず、華麗にいなしながら調査報告をしている。

 

『たどり着いたとある土建屋さんの出納帳に、架空の企業から大型医療器具や医薬品、計測機器が、大量発注されている痕跡を発見しまして……。』

「ん?医療機器が?」

 

 それの報告に、顎を当てる弦十郎。一方緒川は影縫いで動かなくなった黒服達を他所に金庫から封筒を出し報告する。

 

『日付は、ほぼ二か月前ですね。反社会的なこちらの方々は、資金洗浄に体よく使っていたようですが……この記録、気になりませんか?』

 

「うむ……。追いかけてみる価値はありそうだな。」

 

 ようやく掴んだ一縷の望みに、賭ける。

 

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 武装集団フィーネは現在地下施設を拠点に潜伏していた。その一員である切歌と調はシャワーを浴びている。

 

「でね!信じられないのは、それをご飯にざっばーっとかけちゃったわけデスよ。絶対におかしいじゃないデスか!そしたらデスよ……」

 

 切歌が何か面白そうな話題を話しているが、調は無反応だった。調は響の事で怒りがこみ上げている。

 

「まだ、あいつの事……デスか?」

「何も背負ってないあいつが、人類を救った英雄だなんて。私は認めたくない……!」

 

 調はシャワーの元栓を閉じて、壁を殴りつける。その手を、切歌の手が優しく包む。

 

「困っている人たちを助けるというのなら、どうして……」

「うん……本当にやらなきゃいけないことがあるなら、たとえ悪いと分かっていても背負わなきゃいけないものだって……。」

 

 そこにマリアも加わり、シャワーの元栓を開く。

 

「それでも私たちは私たちの正義とよろしくやっていくしかない。迷って振り返る時間は残されてないのだから。それに……」

 

 シャワーのお湯を浴びながら言い切る。

 そして思い出す瑠璃が纏うギア、かつてそのギアを手に入れる為に命を落とした少女を。

 

(バイデント……。使用者に災いを齎す、まさに呪われたギア……。それをあの子は手足の様に……一体何が違うというの……?)

 

 そこに水を指すように警報が鳴る。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 先程の警報はネフィリムが暴れ狂った事によるものだった。すぐに隔壁を作動させて隔離する。作動させたナスターシャとジャンヌはモニターに映るネフィリムの映像わ見て溜息を、ジャンヌは不安そうにナスターシャの方を見る。

 

「マム……。本当にあれが世界を救えるの?」

(あれこそが伝承にも絵がかれし共食いすらいとわぬ飢餓衝動……。やはりネフィリムとは、人の身に過ぎた……)

「人の身に過ぎた、先史文明期の遺産……とかなんとか思わないでくださいよ?」

「Dr.ウェル。」

 

 姿を表したのは、岩国で行方不明とされていたDr.ウェルだった。

 

「たとえ人の身に過ぎていても、英雄たるものの身の丈にあっていれば、それでいいじゃないですか。」

 

 まるで自分の事を指すかのような口振りだった。

 そこにシャワーを浴び、着替えたマリア達が扉を開けて入って来る。 

 

「マム!ジャンヌ!っ……!」

 

 だがウェルを見た時、不快感を表していた。

 

「次の花は未だつぼみゆえ、大切に扱いたいものです。」

(けっ……英雄信仰者め……。)

 

 ジャンヌは胸の内にウェルを蔑む。

 

「心配してくれたのね?でも大丈夫。ネフィリムが少し暴れただけ、隔壁を下ろして食事を与えているから、じきに納まるはず。」

 

 しかし衝撃で施設が揺れる。

 

「マム!」

「対応措置は済んでいるので大丈夫です。」

 

 マリアはナスターシャを信じている。しかし、ネフィリムに関しては過去に因縁がある為に余計に不安を駆り立てる。そこにウェルが横槍を入れる。

 

「それよりも、そろそろ視察の時間では?」

「フロンティアは計画遂行のもう一つの要……。起動に先立って、その視察を怠るわけにはいきませんが……。」

 

 ナスターシャはウェルを信用していない。彼の野心を見抜いている。だが計画実現の為には彼の力が欠かせない故に、仲間に加えた。

 

「こちらの心配は無用。留守番がてらにネフィリムの食糧調達の算段でもしておきますよ。」

「では、調と切歌、もしくはジャンヌを護衛につけましょう」

「こちらに荒事の予定はないから平気です。むしろそちらに戦力を集中させるべきでは?」

「分かりました。予定時刻には帰還します。あとはお願いします。」

 

 そう言うと、車椅子を操作して装者達を連れて行く。残されたウェルはというと

 

(さて、まいた餌に獲物はかかってくれるでしょうか……)

 

 狡猾な笑みを浮かべていた。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 瑠璃や響達は三日後に開催される秋桜祭の出し物の準備の手伝いをしていた。

 瑠璃のクラスの出し物はクレープ屋という事になり、瑠璃は調理担当に抜擢された。というのも、試しに瑠璃が作ったのだが、それがクラス内でも評判となり、まだ開かれていないのに、クレープ作りを依頼する者が後を絶たなかった。

 そのせいで、パニックになり今にも泣き出しそうになっている。

 

「はいはーい。これ以上はキリがないから、当日にお金払って作ってもらいなよー。ほら、仕事に戻った戻ったー。」

 

 輪が割って入ってこの場を収めた。集まった生徒は解散し、それぞれの仕事場へと戻った。

 

「ありがとう……輪。」

「良いってことよ。それにしても、瑠璃のタダ飯を強請るなんて図々しいっての。」

「輪もいつも食べてるよね?」

「そこは親友特権ってやつ。」

 

 と輪は笑った。するとそれに釣られて瑠璃も笑った。

 

「そう言えば、まだこっちに残ってたの?新聞部はどうしたの?」

「あれ、言ってなかったっけ?私辞めたの。」

 

 輪はリディアンの校舎移転に伴って新聞部を退部した。

 途中から幽霊部員になっており、このままぐだぐだと居続けるくらいならスパッと辞めたほうが良いとの事だった。

 

「まあ向こうには何の未練もないし、これで放課後いっぱい瑠璃といられる〜!」 

「あはは……。あれ?そういえばクリスは?」

「それが逃げられちゃってねぇ。」

 

 輪がやれやれと呆れるジェスチャーをする。

 ちなみにこのリディアンはルナアタック後、崩壊した校舎の代わりに廃校となった学校の敷地を政府が買取り、そのを校舎として運営している。

 生徒が6割まで減少したが、皆いつもの学校生活を送っている。

 

 もちろん良い事もあった。

 クリスが同じクラスに編入し、クラスメイトとなった。

 ちなみに自分達が双子である事は認知されておらず、学校内で知っているのは響、翼、未来、弓美、創世、詩織の6名である。

 もちろん同級生の中では知っているのは輪だけであり、瑠璃とクリスは幼馴染で、昔お姉ちゃんと呼んでいたということになっている。

 しかし、クリスは今までの事もあり、クラスに馴染もうとせず逃げている。

 いつも瑠璃と輪が匿っているのだが、そろそろ他のクラスメイトと仲良くなってもらえないかと考えている。

 

「じゃあクリスを探そっか。」

「りょーかい!」

 

 輪が大袈裟に敬礼する。二人はクリス捜索の為、校舎中を周る。

 

「そういえば、輪ってクリスといつの間に仲良くなったね。」

「あぁ……そうだね。」

 

 輪は元々クリスが好きではなかった。というのもクリスが瑠璃との関係を侮辱したからであって、クリスから謝罪されてからはお互いに水に流すという事で和解した。

 それからクリスが入学した時も、クリスを何かと手助けしている。

 

「けど、あの子はただ純粋なだけなんだよ。まあそれでも、あのじゃじゃ馬っぷりには参るけどね。」

「あはは……。」

 

 少し談笑しながら周るが、すぐに情報が入った。

 

「あれ?あなたさっき翼さんと教室にいたよね?」

「え?お姉ちゃんのクラスに?」

「あ、もしかして翼さんの妹さん?!ごめんなさい!あまりにも後輩の子に似てたからてっきり……。」

 

 その後輩の子の正体がクリスであると容易に辿り着いた。

 

「いえいえ、よく言われますから。教えていただきありがとうございます。」

「ううん。こっちこそごめんね!」

 

 上級生が去る。

 

「よし、じゃあ行こうか。」

 

 2人は翼のクラスである教室へ向かう。話し声が聞こえているので戸をそっと開けて、覗き見る。中ではクリスが翼とそのクラスメイト3人と、翼のクラスの出し物の準備の手伝いをしている。意外と満更でもないクリスの表情に、2人は邪魔してはいけないと思い、そっと閉めた。

 

「あれを見せられちゃあ……ね?」

「そう……だね。今はクリスのやりたいようにしよう。」

「うん。ただその前に……」

 

 輪がカメラを出してクリスの写真を撮った。だが輪が昨夜のライブの一件でフラッシュの設定を変え忘れていた為にフラッシュを炊いてしまった。

 

「ちょっと輪……!」

「ヤバっ……」

「「あっ……」」

 

 クリスがこっちを見ていた。完全にバレている。僅かにしか開いていなかった戸が急に全開になる。

 

「「のわあああぁぁ!!」」

 

 支えるものが急に無くなり前に倒れる2人。輪が下になり、瑠璃がその上に倒れる形になるが、輪の後頭部に瑠璃の胸が押し当たり、「にゃふっ」というだらしないうめき声が聞こえた。

 

「覗き見とは感心しないな。」

「お、お姉ちゃん……」

 

 声がした方を見上げると翼が腕を組んで立っている。

 

「ちょっと、瑠璃。重い。特に胸。当たってる。」

「あ、ごめん!」

 

 輪の後頭部に柔らかい果実が当たっている。男からしてみれば羨ましいシチュエーションなのだろうが、瑠璃より大きくない輪にとってはコンプレックスである。

 瑠璃が慌てて立つと、押してくるものが無くなり、自由となった身体を起こす輪。

 

「いやぁ……クリスがいないもので、探してたらここに。ついでにいい写真も撮らせてもらいました。」

「てめえぇ!消しやがれ!」

 

 輪は瑠璃を退かして逃げる。クリスが顔を真っ赤にして追いかける。

 

「何だ、雪音め。すっかり馴染んでいるじゃないか。」

「そう……なのかな?」

 

 翼は一連のやり取りを見て和やかに見ている。ただ、こんな日常が続けばいいのに、そうおもう瑠璃だった。

 

「逃げんな悪徳パパラッチがああぁーーー!!」

「逃げろ逃げろー!」

 

 なおこの一連の騒動はクリスが大きく騒いでしまった為、多くの野次馬が集まった。当然その中には響と未来、後輩トリオもいた。

 

「クリスちゃんと輪さんだ!」

「これ止めなくて大丈夫なの?」

「良いんじゃない?アニメみたいな展開で面白いし。」

「キネクリ先輩もう馴染んでるじゃん。」

「良かったですわね。」

 

 輪の逃走劇は教員が来た事で終結され、両者は指導室で叱られ反省文を書かされた。それにより帰りが遅くなり、それを瑠璃経由で聞いた弦十郎も呆れたという。

 

 

 




というわけで同じレセプターチルドレンからジャンヌさん参戦です。
設定等は私の改竄となっています。

ジャンヌ・ベルナール

マリアと同い年で同じレセプターチルドレン。
武装集団フィーネの中では唯一ギアを持たないが、ナスターシャの助手として暗躍する。
機械に精通しており、独自のセキュリティやナスターシャの車椅子などもお手製。
バイデントに執着しているらしく、浅からぬ因縁がある。
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