戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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今回、瑠璃と輪が作中初のデュエット!

何を歌ってるかは想像におまかせします


帰る場所と夜空に差しこむ日輪の二重奏

 突然だが今、瑠璃は非常に気まずい空気に戸惑いながらも調理している。

 何故かというと、小夜が連れてきた子供が今まさに敵対している調と切歌だったからだ。

 だがここでやりあったらお互い何の得もない為、切歌と調はそのまま自然な形で注文する。

 二人のお代は小夜から受け取った為、輪はオーダーを伝える。

 ちなみに他の装者三人はこの場におらず、小夜は勿論、輪も事情を知らない。

 

(まさか小夜さんがあの二人を連れてくるなんて……。)

(迂闊だった……。)

(食べ物に罪はないけど、何だか美味しく食べられそうにないのデス……。)

(何かあるな……この三人。)

 

 輪はこの重い空気を察知したが、場所が場所の為、何も言わない。

 だが瑠璃は手際よく作り、あっという間に注文の品を作り上げる。

 

「お待たせしました。チョコ生クリームチョコレート増し、チョコバナナクレープとイチゴと生クリームのチョコソース掛けです。」

 

 小夜のチョコレート生クリームチョコ増し、切歌のチョコバナナ生クリーム、調のイチゴ生クリームを渡す。

 

「ほないただきま〜す!」

 

 呑気な声を出すと、チョコ生クリームチョコ増しにかぶりつく。

 切歌と調も恐る恐る一口食べる。

 

「っ……!」

「美味しいデース!」

「よ、良かった……!」

 

 敵であるにも関わらず、瑠璃は作ったクレープを食べて喜んでいる二人を見て嬉しそうにしている。

 やはり食べ物には罪はないということであろう。

 

(程よく薄い皮で形を崩さないように包まれてる……。くどくない生クリーム。みずみずしいイチゴ……。見た目も出来も凄い……。この人、侮れない……!)

 

 一方調は瑠璃を評価すると共に、同じおさんどん係としてライバルが出来た。

 

「風鳴さーん、出水さーん!休憩入ってー!」

「あ……はい!」

 

 瑠璃は制服の上に着ているエプロンと三角巾を脱いで出店から出ると、輪に引っ張られて行った。

 

 

 校舎裏に連れて行かれた瑠璃は、階段に座って輪の尋問攻めに遭い、少しだけ白状した。

 

「え?!じゃああの子達、こないだの……。」

「うん。それに、先日あの二人とまた戦った。」

 

 あの時感じた気まずい空気でただならぬ事情があると見抜いていた輪だったが、まさか敵対組織の、しかもその中にフィーネがいる事には驚いていた。

 

「で、どうすんの?他の三人に言う?」

 

 瑠璃は少し考えた。

 

「私は……」

「ここにいた。」

 

 目の前に調と切歌がいた事に驚いた二人は立ち上がる。

 

「な、何?!口封じ?!って小夜姉は?!」

「帰ってもらった。」

「奢ってもらった恩があるデス。」

「それよりも聞きたい事がある。バイデント、何処で手に入れたの?」

 

 前からバイデントを知っていたようだったので瑠璃も気になっていた。

 

「フィーネから貰った。」

「フィーネから……?」

 

 調がオウム返しに聞く。

 

「フィーネに攫われて、私は操られるがままにバイデントを纏った。だけど、私が意思を取り戻した時、バイデントは応えてくれたの。」

「応えてくれた……?」

「調……?」

 

 調の声に怒りが表れているのを切歌が気付いた。

 輪も瑠璃が意図して地雷を踏んだわけではないとはいえ、不穏な空気になっているのに気づく。

 

「何で……何であなたが……メルの時は……呪い殺したくせに!」

 

 声を荒げる調、突然怒ったことにビクッと怯えた瑠璃。

 輪が気になる事を聞こうとする。

「呪い殺した?それって……」

「いた!雪音さん!登壇お願い!」

「え!ちょっと……」

 

 するとクリスを探していたであろうクラスメイトに引っ張られるが、クリスと誤認されたまま連れて行かれる。

 

「ちょっと!その子は瑠璃だよ!クリスじゃなーい!」

 

 輪が瑠璃を連れ戻しに行った為、取り残された切歌と調だったが……

 

「調!何処へ行くデスか?!」

 

 調は瑠璃が行った方へ向かい、切歌も後を追う。

 

 

 同じ頃、講堂でカラオケ大会が開催されており、盛大に盛り上がっていた。

 

「え〜!まだフルコーラス歌えてないのに〜!」

 

 先程まで弓美がアニソン同好会を設立するという野望を掲げて、詩織、創世と共にコスプレしながら『電光刑事バン』を歌っていたが、残念ながら途中で不合格の鐘がなってしまい、あえなくご退場となった。

 

 そしてクリスも、クリスの歌の評判を聞いていたクラスメイトに登壇してくれと頼まれ、今その舞台に立っている。

 

 席では翼、響、未来、小夜が見ている。

 そして瑠璃もクラスメイトに連れて行かれる形で舞台の袖にまで来たが、本人が舞台に立っていたことでようやく誤解を解くことができたのだが、せっかくのクリスの歌なのでここで聞くことにしていた。

 

 自己紹介を終え、綺麗なイントロが流れるがクリスは緊張の余り、上手く歌えない。

 

「クリスったら……。」

 

 変な所で繊細な所が出た事に呆れる輪だったが……

 

「クリス!」

 

 瑠璃が声を掛け、クリスが振り向く。

 そこには瑠璃と輪、クラスメイトのみんなが応援している。

 瑠璃が応援するように頷くと、クリスは歌い始めた。

 恥じらいが残るが、美しくも可愛らしい歌声にギャラリーは感銘の声が聞こえる。

 

 何で頼まれたのか、それは……

 

 だって、クリスったら楽しそうに歌うんだもん。

 

 以前に瑠璃からそう言われ、そして先程クラスメイトにも同じ事を言われた。

 

(楽しいなぁ……あたし、こんなに楽しく歌を歌えるんだ……。)

 

 今なら分かる。

 歌う事がこんなにも楽しい事に。

 前は歌が嫌いだと言ったクリスだったが、本当は歌が好きだ。

 それに気付かせてくれたのは仲間であり、大好きな姉である。

 

 

(そっか……ここはきっと、あたしが居てもいいところなんだ……)

 

 歌い終わり、観客から盛大な拍手が贈られる。

 判定の結果、なんと新チャンピオンに認定された。

 

「勝ち抜きステージ、新チャンピオン誕生!さあ!次なる挑戦者は?!飛び入りも大歓迎ですよ~!」

 

 それを聞いた輪は瑠璃の背中を押す。

 

「うわぁっ!」

 

 押された事で舞台に立ってしまいスポットライトを浴びてしまう。

 

「おおっと!ここでまさかの飛び入り参加だ〜!」

「え?!いや、私は……」

「二回生の風鳴瑠璃と出水輪のコンビで参戦します!」

 

 突然の飛び入り宣言に巻き込まれただただたじろぐ瑠璃。

 彼女が一番苦手な事、それは注目され目立つ事。

 今まさにその状況になってしまい、今にも泣き出しそうになる。

 次第に始まるイントロ。

 まるで不気味なメロディで闇を、夜を表しているように見える。

 だが瑠璃もクリスの時と同じように上手く歌い出せない。

 そこに輪が歌い出す。

 いつも快活な声色から出るミステリアスな歌声、彼女を知る者なら意外だと驚く。

 

(瑠璃、やろう。二人なら出来るよ。)

(輪……。)

 

 瑠璃も意を決して歌う。

 クリスに勝るとも劣らない美しい歌声で歌い始め、サビに入る直前に、二人の歌声が重なり合う。

 サビに入った直後に別々に分かれるも再び一つに重ね合わせ、闇夜を表した音色が輝かしい朝を迎えるような歌へと変わった。

 

 席から見ていた4人は感嘆する。

 

「瑠璃さんと輪さん、いいコンビですね。」

「ああ、さしずめ夜明けの日輪というところだな。」

 

 二人が歌い終わるが、審査員がチャンピオンであるクリスと甲乙つけ難いとの事でチャンピオンが二組になってしまう。

 

「さあ次なる挑戦者は〜?」

 

 ここにまた二人組で飛び入り参加する者がいた。

 

「チャンピオンに……」

「挑戦デス!」

 

 調と切歌だった。

 

「あ、あの時のちびっこ達!」

 

 小夜が席から調と切歌を指す。

 

「知ってるんですか小夜さん?!」

「何か上手いもんマップ完成させるんや〜!みたいでなぁ。」

 

 装者達はそれが偽装であると判断するが、ここでやり合うわけにはいかない為、二人が何をしでかすか、成り行きを見守るしか出来なかった。

 

 




瑠璃と輪が歌っている曲のモデルは鬼滅のEDです。

これ作ってる時にあれ聞いて、これ二人に合いそうだなと思ったましたw

後悔はない。

ちなみに響や翼は少し前に輪経由で小夜と知り合っています。

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