本当に申し訳ない……
その頃、一人外に出ているジャンヌ。
というのも調と切歌が独断で二課の装者と戦おうとしていると知り、連れ戻しに来た。
とは言っても行き先はだいたい分かるのでそこを目指しているのだが……
「ここは何処だ?」
土地勘などない外国人が一人で歩き回っていれば迷いこむのも必然である。
現在住宅街に迷い込むジャンヌである。
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同じ頃、エアキャリアを隠し身を潜めているマリアは、今自分がやっている事は本当に正しいのかと自問自答している。
「後悔しているのですか?」
そこにナスターシャが話し掛ける。
「大丈夫よマム。私は、私に与えられた使命を全うしてみせる。」
だがその途端に警報が鳴る。
モニターを見ると米国兵士がアサルトライフルを構えてこちらに侵入してきている。
「今度は本国からの追手……。」
「もうここが嗅ぎつけられたの?!」
「異端技術を手にしたと言っても、私達は素人の集団……。訓練されたプロを相手に立ち回れるなどと、思いあがるのは虫が良すぎます。」
聖遺物も扱えなければただのガラクタとも取れてしまう発言だった。
ナスターシャは冷静にマリアに伝える。
「踏み込まれる前に攻めの枕を取りましょう。マリア、排撃をお願いします。」
つまりガングニールで排除しろというものだ。
だがガングニールも人を殺められる武器でもあり、マリアはそれにどうしても躊躇する。
「ライブ会場の時もそうでした。マリア……、その手を血で染めることを恐れているのですか?」
「マム……私は……。」
「覚悟を決めなさい、マリア。」
マリアの決意と覚悟が試されるこの瞬間、それに水を差す者が現れる。
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カラオケ大会に乱入参加した調と切歌。
歌う曲はツヴァイウィングのORBITAL BEAT。
仲間の持ち曲である歌を敵が歌うなど明らかな挑発とも取れる。
しかし調と切歌の歌う表情を見る限り楽しそうであり、憎む気持ちにはなれない。
歌い終わると観客の歓声が巻き起こり、審査員達もまた甲乙付けがたい歌声に戸惑うばかりである。
だが楽しい時間はナスターシャの通信により終わりを告げてしまう。
『アジトが特定されました。襲撃者を退けることは出来ましたが、場所を知られた以上、長居は出来ません。私達も移動しますので、こちらの指示するポイントで落ち合いましょう。』
「そんな?!あと少しでペンダントが手に入るかもしれないのデスよ?!」
『緊急事態です。命令に従いなさい。』
通信が切断されると、二人はやむを得ず舞台から逃げるように降りて行った。
「姉ちゃん、あたしらも行くぞ!」
「え、ちょっと!」
クリスに腕を引っ張られながら、二人を追う。
講堂から脱出したが、校門の前に翼が立ちはだかり、後ろからも響、クリス、瑠璃に追いつかれてしまった。
「4対2……数ではそっちが有利だけど、ここで戦う事であなた達が失うものの事を考えて。」
生徒の方を見やる調。
「おまえ、そんな汚いこと言うのかよ!さっき、あんなに楽しそうに歌ったばかりで……」
「ここで今戦いたくないだけ……。そうデス!決闘デス!然るべき決闘を……」
「何をしているんだ?!」
校門から怒鳴り声が聞こえる。
そこにいたのはジャンヌだった。
「ジャンヌ……!」
「早く撤収するぞ。奴らもここでは戦えない。」
「うん。とにかく、決闘はこちらが告げる。」
そういうと調と切歌はジャンヌと共にリディアンを離れた。
程なくして弦十郎から通信が入る。
『全員そろっているか?ノイズの出現パターンを検知した。ほどなくして反応は消失したが、念のために周辺の調査を行う。』
4人はそのまま調査へと向かった。
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飛行しているエアキャリアの中でマリアは己の無力さを嘆いていた。
侵入してきた米国兵士は、ウェルがノイズを召喚し炭屑と化した。
だがそれだけではなく、ウェルはたまたま近くに通りかかっていた野球少年達にまで手を掛けてしまった。
自分が躊躇った事で何の関係もない無垢な子供の命までも奪われてしまったことに深く後悔している。
(セレナの遺志を継ぐために、あなたは全てを受け入れたはずですよ、マリア。もう迷っている暇などないのです。)
ナスターシャの言う通り、中途半端な覚悟だった事に気付かされる。
亡き妹のギアのペンダントを握りしめるマリア。
マリアには妹がいた。
名はセレナ・カデンツァヴナ・イヴ。
F.I.S.のレセプターチルドレンの中でも数少ない正規適合者だったが、ネフィリムの暴走を止める為に絶唱を使い、最期は燃え盛る炎の中、瓦礫と共にその命は果てた。
今、その妹と唯一の繋がりが『Apple』という歌だけだった。
『まもなくランデブーポイントに到着します。いいですね?』
「OKマム。」
エアキャリアが着陸する。
だがそのランデブーポイントがかつてルナアタックの激闘の爪痕、カ・ディンギル跡地だった。
殆ど岩場になってしまった場所からジャンヌが姿を現し手を振る。
エアキャリアからマリアが降りてきた。
「ジャンヌ、調、切歌!」
マリアが三人の名前を呼ぶと調はマリアに抱きつく。
「よかった……!マリアの中のフィーネが覚醒したら、もう会えなくなってしまうから……。」
「フィーネの器となっても、私は私よ。心配しないで。」
そう言って調の頭を撫でてやると切歌もマリアに抱きついた。
だがジャンヌはマリアの様子を見て違和感を感じる。
「マリア、顔色が悪そうだがどうした?」
「何でもないわ。」
ジャンヌは心配するが、ナスターシャが車椅子を動かし、話し掛ける。
「3人とも無事で何よりです。さぁ、追いつかれる前に出発しましょう。」
「待ってマム!私達、ペンダントを取り損なってるデス!このまま引き下がれないデスよ!」
「決闘すると、そう約束したから……」
調と切歌がナスターシャに抗議するがジャンヌに遮られる。
「2人とも、まだそのような事を。二課だけでなく、米国に追われている以上迂闊には……」
「そのくらいにしましょう。まだ取り返しのつかない状況ではないですし……ねぇ?それに、その子たちの交わしてきた約束、決闘に乗ってみたいのですが……。」
ここでウェルが何か閃いたようだが、邪悪な笑みを浮かべていた。
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ノイズの発生パターンを調査した結果、これまでとは異なる状況に弦十郎は悩む。
(遺棄されたアジトと、大量に残されたノイズ被災者の痕跡……。これまでと異なる状況は、何を意味している……。)
「司令、永田町深部電算室による、解析結果が出ました。モニターに回します。」
そこに藤尭があるものをモニターに映し出す。
それはマリアが使うガングニールと響が使うガングニールの波形パターンを比較したものである。
結果は寸分違わず同じものである事から両者のガングニールは同じものである事が判明した。
「考えられるとすれば、米国政府と通じていた了子さんによってガングニールの一部が持ち出され、作られたものではないでしょうか?」
「だけど妙だな。」
藤尭の意見にクリスが割って入った。
「米国政府の連中は、フィーネの研究を狙っていた。F.I.S.なんて機関があって、シンフォギアまで作っているのなら、その必要はないはず……。」
「政府の管理から離れ、暴走しているという現状から察するにF.I.S.は、聖遺物に関する技術や情報を独占し、独自判断で動いているとみて間違いないと思う。」
そんな時、瑠璃が手を挙げる。
「あの……。フィーネがF.I.S.に関わってたって……。あの人が私に与えたバイデント……もしかしてF.I.S.でも使われていたんじゃないでしょうか?」
弦十郎が驚いたように聞き返す。
「何か気になることでもあるのか?」
「うん。マリアはバイデントを知っていたみたいだし……調っていう子がバイデントを何処で手に入れたのか聞いてきたの。それで話したら……『何であなたが……メルの時は呪い殺したくせに』って……。」
弦十郎の中で点と点が繋がった。
米国政府が突然バイデント返還要求を取り下げたのがバイデントが絡んでいること、そのメルという少女がバイデントに呪い殺されたという事実。
「なる程……そういうことか。」
だがその途端にアラートが鳴り響く。
「ノイズ発生パターンを検知!」
「古風な真似を。決闘の合図に狼煙とは!」
「位置特定。ここは?!」
その場所は二課であれば誰もが知る因縁の場所。
「東京番外地、特別指定封鎖区域!」
「カ・ディンギル跡地だとぉ?!」
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4人は激闘の跡地へと出動する。
既に夜であり、夜空には星が彩る。
だがそこには既に待ち構えていたジャンヌとウェル。
ウェルがソロモンの杖でノイズを召喚する。
Balwisyall Nescell Gungnir Tron……
4人はそれぞれ詠唱を唄い、ギアを纏う。
調と切歌がいない事に気付いた響はウェルに問いただす。
「調ちゃんと切歌ちゃん達は?!」
「あの子たちは謹慎中です。だからこうして私が出張って来てるのですよ。お友達感覚で計画遂行に支障をきたされては困りますので。」
ノイズが襲い掛かるが、装者達はそれぞれノイズを蹴散らしていく。
瑠璃は左右の手に持つ槍を水平にすると、ベイゴマのように高速回転し、ノイズを屠る。
【Spiral Circinus】
ノイズを蹴散らした瑠璃だがそこに、もう一人敵が現れる。
「あなたは……。」
現れたのはジャンヌだった。
「私はジャンヌ・ベルナール。風鳴瑠璃、おまえのギア、貰い受ける!」
ジャンヌが戦闘態勢に入り、瑠璃も槍を構えた。
ジャンヌさんの戦闘スタイルを早く決めなくては……
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