その後、クリスと瑠璃は響に起こっている事態について知った。
響の体内にあるガングニールの破片が、人体と融合し、ギアを纏う事でそれを促進させてしまっているということに。
もしこのまま融合が進めば、やがては人として生きていけなくなってしまう。
それを知ったクリスはテーブルを蹴り、瑠璃は戦わせてしまった自分を責めた。
特に瑠璃はAnti LiNKERによるギアのバックファイアを受けて倒されてしまい、大事を取って入院しているが、結果的に響に絶唱を使わせてしまった事で、融合を促進させてしまった事に責任を感じ、病室で静かに泣いていた。
そんな瑠璃を心配したクリスと輪がお見舞いに来た。
当然輪は写真を5枚撮るが、全部落ち込んでる顔しか撮れないのが気に入らない。
「もう瑠璃、少しは前を向きなよ。そんなに落ち込まれちゃ、写真にまで伝染するじゃん。」
「写真じゃなくて姉ちゃんを心配しろよ!」
「心配してるよ〜。落ち込んだ時には笑ったほうが良いって聞いたことない?」
「んなんで元気になれるんなら今頃お花畑でみんなハッピーエンドだ!」
クリスがツッコむ。
「ねえ……ここ病院。」
「「あ、ごめん。」」
瑠璃が注意するがどこかよそよそしい。
「はぁ……相当引きずってるみたいだね……。」
「なあ、姉ちゃんは悪くねえよ。むしろあの状況下でよく動いたと思うぞ?」
「守りきれなかったら意味がないよ……。私のせいで……響ちゃんが……。」
何とか瑠璃に元気になってもらいたくて励ますクリスだが、イマイチ届かない。
「そんなの姉ちゃんのせいじゃないって。姉ちゃんはあいつの事情を知らなかったんだ、そりゃ仕方ねえよ。それにあたしらがもっと早く来てればこんな事には……」
「事情を知らなかった……?だから何……?」
クリスの励ましを冷たく遮る瑠璃。
「響ちゃんの命に関わってるんだよ?!それを知らなかったとか仕方ないで……済まされるわけないじゃん!!」
瑠璃は思わず怒鳴ってしまい、クリスが申し訳なさそうな顔になる。
「ごめんクリス、輪、今日の所は帰ってくれるかな……。」
「待ってよ瑠璃!そんな言い方……クリスは瑠璃の事を……」
「いい……。ごめん姉ちゃん……また来るよ。」
そう言うとクリスは病室を出て行った。
「せっかく来てもらったのにごめん……。クリスにごめんねって伝えてくれる?」
自分は伝書鳩かと思いながら呆れるが、輪は了承する。
「分かったよ。けど、後でちゃんと謝るんだよ。」
輪は笑った顔で瑠璃にそう言うと、病室から出てクリスを追いかける。
一人になった瑠璃はまだ昼間であるが、そのまま眠りについた。
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「クリス、クリス?」
病院の外で追いついたが呼びかけても反応がなく、俯いていた。
「クリス、一時的なものだよ。確かに瑠璃が怒鳴る所なんて初めて見たし、ちょっと怖かったけど……けど瑠璃は……」
「分かってる。」
クリスも瑠璃が怒鳴る所は初めて見た。
少し怯んだが、今ここで何を話しても瑠璃を刺激してしまうだけだと思っての行動だった。
「さて、あの人を飯にでも誘ってみるか。」
クリスはどこかバラバラになってしまった仲間との連携を繋げる為に行動に出る。
「ん?どういう事?」
輪を置き去りにして。
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同じ頃、小夜はスーパーで買い物をしていた。
看護師の仕事は忙しく、一緒にいてあげられる日が少ないので、家の事は輪に任せているが、小夜も料理は作れない事はないので、今日は小夜が作ろうと食材を買いに来ていた。
「東京は相変わらずケチ臭いなぁ。大阪やったらもうちょい安くしてくれるっちゅうんに……。」
豚肉のパッケージに貼られている値段を見て愚痴を零す。
仕方ないので一番安いものを選んで買い物籠に入れた時、見覚えのある二人組を見かけた。
「あれ?あの子達確か……。おーい、そこのお嬢ちゃん二人ー!」
追い掛けて声をかけて見る。
その二人が振り返るとやはり見覚えがあった。
「あ、やっぱりあの時のお嬢ちゃん達やんか!」
「あ……。」
「デース。」
調と切歌がここで買い物していた。
二人はLiNKERの過剰投与によるオーバードーズにより、安静を言い渡された二人はスーパーまで買い物に出掛けていた。
カップ麺や菓子パン、野菜にお菓子など買い物籠に入れていき、会計に行こうとした時、後ろから小夜に声を掛けられた。
「あなたはあの時の……。」
「先日はどうもデース。」
切歌は色々奢ってくれた事もあり、小夜の事を好意的に見ているが、調は良い人だと思っているが、強引すぎる行動から苦手意識を持っていた。
「いや〜まさかこんな所で会えるなんてなぁ。あれから二人がどっか行ってしもうから、お姉さん心配しとったんやけど……っていうかそっちのお嬢ちゃん大丈夫かいな?」
さっきから調がボーッとしている事に気付いた小夜。
「デデデッ?!調?!」
「あ、うん……大丈夫。」
「ホンマかいな?何か心なしか顔赤いで?風邪引いとんちゃう?」
調の額に手を当てると熱は無い、恐らく慢性的な疲労によるものかと考える小夜。
「じゃあアタシが多く運んであげるデス!」
「ならウチも手伝うで。」
「いえ!大丈夫デス!色々気に掛けてくれるのありがたいデスが、気持ちだけで十分デス!」
そういうと買い物籠を持って会計へ行った。
「ホンマに大丈夫かいな……?」
残された小夜は気になりながらも買い物を続けた。
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(……べ!……しら……!ちょ……だっ……ス……?!)
(大丈夫……ここで……休んだから……あっ……)
(調!)
「はっ……!」
瑠璃は急に目を開いて起き上がる。
空を見るとまだ日が傾いていない昼時だった。
何か夢を見ていたようだが妙に生々しく、しかも自分ではない誰かの名を呼ばれた気がした。
「でも今の声……何処かで……。」
夢で見た内容が霞がかり、全て思い出せないまま次の日に退院した。
多分小夜さんG編での出番はもうないかな……。
ご感想お待ちしております。