戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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遅れてもうしわけありません。
色々やってたら遅れてしまいました。

今回メルの事と輪の秘密が明かされます。


守りたかったモノ

 瑠璃は響と未来を回収する為にスカイタワーの中を探しているが、バイザーが反応を示さない辺り、ギアを纏っていない事が分かる。

 だが突然襲い掛かるノイズが立ち塞がり、煩わしく思いながらも全て片付け、先へ急ぐ。

 走りながら響に通信を入れる。

 

「響ちゃん!大丈夫?!」

『瑠璃さん!今階段が瓦礫に塞がれてしまって……。』

 

 響と未来は迷子になった子供をスタッフに預けた後、自身たちも避難しようとした時、突然崩れた瓦礫が唯一の避難経路であった階段を塞がれてしまったようだ。

 

「待ってて!すぐに……のわぁっ!」

 

 展望台フロアが爆発し、支柱の数が少なくなった事で支えきれなくなり傾き始めた。

 当然展望台フロアの上にいる瑠璃もバランスを崩して倒れる。

 

「もうこの近くに人はいない……!なら!」

 

 その階にはもう避難が遅れた人はいない事を確認した瑠璃はガラスを割って上空へ飛び降りて、連結した槍を箒のように乗りこなし滑空する。

 

「いた!響ちゃん!」

 

 周りを飛行すると今にも落ちそうな響の手を掴む未来を確認すると一直線に向かう。

 

 

 展望台フロアにいた響と未来は絶体絶命の窮地に立っている。

 先程の爆発で展望台フロアが傾き、外へ放り出されそうになった響は未来に摑まれた事で落下は免れたがこのままでは二人とも落ちてしまうのは時間の問題だった。

 

「未来!ここはもう持たない!手を放して!」

「駄目!私が響を守らなきゃ!」 

 

 もし手を放せば再びギアを纏う。

 そしてガングニールとの融合が進み、響は人としての在り方を失う。

 お互いに失いたくないといあ思いは同じだった。

 

「いつか……本当に私が困ったとき、未来に助けてもらうから……。今日はもう少しだけ、私に頑張らせて。」

 

 そう笑顔で言う響と、涙が溢れる未来。

 

「響ちゃん!飛んで!」

 

 そこに槍を箒のように跨いで飛んでいる瑠璃がこちらに向かっており、両腕を広げている事から受け止める体勢に入っている。

 

「未来、手を放して!」

 

 未来は響と瑠璃を信じて手を放す。

 響はそのまま落下するも、瑠璃がキャッチする。

 キャッチした時、二人分の重さが槍に掛かるが、何とか踏ん張る。

 三人だと恐らく確実に落ちるだろうがそれでも何とか踏ん張れば急速に落下する事は避けられるかもしれない。

 

「よし、次は未来ちゃ……」

 

 未来がいた場所に爆発が起きた。

 その爆風が発生した事で、瑠璃と響はスカイタワーから離れてしまう。

 かなり離れた所で体勢を立て直したが、未来がいた場所はもう吹き飛ばされている。

 

「未来……未来ううううぅぅぅぅ!!」

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 同じ頃避難誘導を終えた輪も避難行動に移ろうとした。

 

「ん?」

 

 河川敷の方へ行く人影が見え、輪は追い掛ける。

 

 

 マリアはナスターシャと気を失った未来を抱えて、合流地点である河川敷に到着した。

 そこにはジャンヌが待っていた。

 

「マム、これに。」

 

 ナスターシャの予備の車椅子を出す。

 こちらは先程スカイタワーで破棄されたものと形は同型だが、機能が異なる所が多々ある。

 

「ありがとうございますジャンヌ。ではこのまま撤退を。」

「了解。所でマリア、その娘は?」

 

 マリアが抱えている未来を指すジャンヌ。

 

「連れて行くのか?」

「ええ。この娘は……」

「マリア……さん?」

 

 声がする方を見ると輪がいた。

 

「やっぱり……。抱えてるのって……未来だよね?未来をどうするつもりなの?!連れて行くってどういう事?!」

 

 輪はそこで拾った木の棒を武器に構えるが、ギアと完全聖遺物を相手に出来るわけがない。

 ジャンヌが前に出る。

 

「マリアはマムを頼む。私が相手をする。」

「分かったわ。」 

 

 そう言うとマリアは未来を抱え離脱する。

 

「待って!未来を返して!」

 

 木の棒をマリアに向けて投げると、ジャンヌが蹴り返す。

 すると輪は素手で戦闘態勢に入る。

 

「いい度胸だ。悪くない。だが見られたからには帰すわけにはいかない。」

「口封じってわけ……?でもね、こっちは何度も死にかけてるからね。元スケバンをナメんなよっ!」

 

 輪が走り出して、ジャンヌに殴りかかろうとした。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 新たに出現したノイズを、到着した翼とクリスと共に殲滅させた。

 

「ノイズは問題ない……けど……。」

 

 展望台フロアが崩壊する寸前、未来を懸命に探したが見つけられず、結局助けられなかった。

 未来を失った響が車内で項垂れてしまっている。

 

「響ちゃ……」 

 

 響に声を掛けようとした時、河川敷から爆発音が聞こえた。

 

「な、何だぁ?!」

「まさか……」

「お、おい姉ちゃん!」 

 

 バイザーがタラリアの反応をキャッチした。

 急いで連結した槍に跨り遠隔操作で浮遊して移動する。

 

 その情報をもとに河川敷へと向かった瑠璃だが……

 

「え……何で……?」

 

 河川敷に到着すると、そこには破壊された通信機とデジタルカメラが残されていた。

 しかもこのデジタルカメラには見覚えがある。

 

「これ……二課の……しかもこれって……」

「瑠璃さん!」

 

 そこに一課の捜査員と緒川が到着した。

 

「その通信機とカメラは……?」

「ここに落ちてました。二つとも。カメラの方は輪がいつも使ってるものです。」

 

 あの爆発から何が起きたのかは定かではないが、ここに未来の通信機があるということは未来は生きているという事になる。

 では輪は?

 不安になった瑠璃はギアを解除してスマホで電話を掛けるが、繋がらない。

 

「輪……!輪!」

 

 輪に何があったのか分からない瑠璃は不安に押し潰されそうになる。

 カメラを確認していた緒川が口を開く。

 

「瑠璃さん。このカメラ、録画中になっているみたいです。」

 

 緒川は録画を停止してビデオを保存する。

 

「もしかしたら、このビデオに何が起こったのか分かるかもしれませんね。」

 

 真相を確かめる為に、二人は再生されたビデオを見る。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 その頃、エアキャリア内の後部内の牢の中で気を失っていた未来は目を覚ました。

 ここは何処なのかと思いながら辺りを見回すと隣に輪が倒れていた。

 

「輪さん?!」

 

 腕に包帯、頬に湿布が貼られてあり手当された形跡があった。

 

「ぅ……。いっ……痛てて……っ……!」

 

 少し遅れて輪も意識を取り戻すが体中の痛みで起き上がれない。

 心配した未来は輪に尋ねる。

 

「輪さん、その怪我は……。」

「その……久しぶりのタイマンで……ちょっとヘマしちゃった。あはは……。それより、ここは何処……って言っても分からないか。」

 

 何処にいるのかも分からないのに怯えた表情を一つも見せない辺り、こういうのに慣れているのかと思ってしまう未来である。

 そこにマリアとジャンヌが現れ、鉄格子越しに対面した事でここが敵の縄張りである事はすぐに分かった。

 

「まさか、生マリアをこんな形で見る事になるなんてね……。」

「捕まっているというのに、随分な減らず口を叩ける余裕があるのね。」

「伊達にこういうトラブルに首を突っ込んでいないんで。それより、私はともかく何で未来まで攫ったの?」

「それは……。」

 

 マリアが黙ってしまう。

 

「まさか、無関係な人を見殺しに出来ないから連れてきちゃいましたっていうわけ?ライブ会場ではあんな威勢の良い事言ってたくせに、いざとなったら殺せませんか……。大方、生半可な気持ちであんなテロ紛いの事をしたって事でしょう?」

 

 図星を突かれ、眉が動いたマリアだったがここでジャンヌが割って入る。

 

「それ以上減らず口を叩いてみろ。お前を海に落とすぞ。」

 

 ドスの効いた低い声で脅す。

 流石の輪も命は惜しいので大人しくした。

 

「でも、一応聞いておく。何しに来たの?」

「ただの様子見だ。」

 

 そう吐き捨てるように言うと、出ていこうとした時

 

「ねえ、メルって何の事か知ってる?」

 

 するとジャンヌたけが血相を変えて、戻って来た。

 

「どこで聞いた?!」

「あのツインテールの子が言ってた。メルの時は呪い殺したくせにって……。あんた、まさかメルって子のお姉さんか妹さんだったりするの?」

 

 しばしの間静寂が漂うが

 

「メルは……私の妹で……バイデントの適合者だった。」

 

 衝撃の真実に輪は驚きを隠せなかった。

 

「適合者だった……って事は何かあったの?」

「メルは……私よりも適合係数が高かった。故にあの子はバイデントの装者に選ばれ、起動実験が行われ、無事に纏ったと思っていた時だった。夜が訪れる度にあの子は悪夢に囚われ苦しむようになり、次に纏った時にはあの子は発狂しだして……最期は私に助けを求めながら、自分で空けた穴の瓦礫に潰されて死んだ。」

 

 メルについて話を聞いていた輪だったが、過去の傷を掘り返してしまった事に申し訳なさそうに謝る。

 

「ごめん。辛かったはずなのに……。」

「同情などいらん……。」

「同情じゃないよ。本心だよ。私も妹が死んじゃったから……。」

 

 ジャンヌだけでなく、側にいる未来も驚いている。

 

「二年前に彼氏とライブに行った時にノイズに襲われてね、私だけが生き残ったの。けど、ある日私の周りが敵だらけになった。生き残っただけで、その家族ってだけで石を投げつけられて、暴力も振るわれて、妹もお父さんもお母さんも巻き込まれた。だから私は強くなって皆を守ろうとしたのに……私が帰ってきた時には、耐えきれなくなったお父さんとお母さんが無理心中しちゃったんだ。妹も巻き込んで……。」

(二年前のライブって……まさか!)

 

 輪もまた、響と同じツヴァイウィングのライブにいた被害者の一人だった。

 旧リディアンの校舎が崩壊した時、妙に冷静に立ち回っていた理由がまさにそういう事だった。

 

「そうか……お前は妹も家族も……。」

「これでおあいこかな?」

「そうだな……。お前には少し興味が湧いた。ありがとう。」

 

 ぶっきらぼうな顔しか見せなかったジャンヌに笑みが浮び、そのまま出て行った。

 

「え?どういうこと……?」

「それよりも輪さん……今の話、本当なんですか?」 

 

 未来が心配そうに輪を見ていたが、輪はキョトンとした顔になっている。

 

「え?なんの事?」

「え?だって、二年前のライブって……」

「あ、あれか。二年前のライブにはいたけど、一家心中の話は嘘だよ。」

「え?!」

「いやぁ……あの子の同情を誘うにはこうでもしないとね……。」

 

 結構生々しい話だっただけに未来もジャンヌもあっさり信じた。

 しかし、未来は怒っていた。

 

「未来?どうしたの?なんでそんなにお怒りなの……?」

「輪さん……いくら何でもその嘘は不謹慎です。二度としないでください。」

「あ、それなんだけどね……本当は……」

「輪さん?」

「は、はい……すみませんでした……。」

 

 未来から醸し出す威圧感に負けた輪。

 この時、未来を怒らせるような真似は絶対にしないと固く誓った輪だった。




実は輪はG編では出番少なめにしようと思ってたんですが……
少し増やす事に決めました!

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