戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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三ヶ所で戦いが幕を開けようとしています。


それぞれの戦い

 二課の潜水艦、ブリッジに調がいた。

 というのも、響が調にも一緒に戦ってほしいと願い出たのだ。元々瑠璃が弦十郎に願い出た事もあってそれが認められた事により、独房から出されたのだ。

 

「捕虜に出撃要請って……どこまで本気なの?」

「もちろん全部!」

 

 だが響の事を知らない調はその台詞、その表情を疑う。

  

「あなたのそういう所、好きじゃない……。正しさを振りかざす、偽善者のあなたが……。」

 

 そのセリフに響は悲しそうな表情をするが

 

「私、自分のやってることが正しいだなんて、思ってないよ……。以前、大きなけがをした時、家族が喜んでくれると思ってリハビリを頑張ったんだけどね。私が家に帰ってから、お母さんもおばあちゃんもずっと暗い顔ばかりしてた……。それでも私は、自分の気持ちだけは偽りたくない。偽ってしまったら、誰とも手を繋げなくなる。」 

 

 響は自らの手を握って、調に過去を話した。響の言葉に偽りはない。それだけは信じてほしくて、打ち明けた。これには調も一瞬揺らいだが、それでもまだ信じきれていない。

 

 

「手を繋ぐ……。そんな事本気で……。」

「だから調ちゃんにも、やりたい事をやり遂げとほしい。」

 

 調の言葉を遮って、彼女の手を握る響。

 

「もし私達と同じ目的なら、少しだけ力を貸してほしいんだ。」

「私の……やりたい事……。」

 

 瑠璃にも同じ事を言った。暴走する仲間を止める事だと。また前のように皆と笑って過ごしたいから、調は素直になりきれないが

 

「みんなを助けるためなら、手伝ってもいい……。」

 

 少し恥ずかしそうに、響の手を解いてそう言う。

 

「だけどそう信じるの?敵だったのよ?」

 

 そこに弦十郎が立ち上がって言う。

 

「敵とか味方とかいう前に、子供のやりたいことをさせてやれない大人なんて、カッコ悪くてかなわないんだよ。」

「師匠〜!」

 

 弦十郎が調にシュルシャガナのギアペンダント渡す。

 

「こいつは、可能性だ。」

 

 受け取った調は流しかけた涙を拭う。

 

「相変わらずなのね……。」 

「甘いのは分かってる、性分だ……」

 

 この調の台詞に一瞬だが違和感を覚えた。調とは初対面のはずなのに相変わらずという言葉など普通は出ない。だがその違和感は響が調の手を取って、ハッチまで連れて行った事で有耶無耶となった。

 

 調を送り出した弦十郎はモニターに集中させるが、それを目にした途端驚いた。

 調がギアを纏い、ツインテールのアームと脚部の走行ユニットを連結させて、タイヤの様に走っているが調の肩に掴まる形で響も乗っていた。

 これには弦十郎が立ち上がって驚くのも無理はない。

 

「何をやっている?!響君を戦わせる心算はないと言ったはずだ!」

『戦いじゃありません!人助けです!』

「減らず口の上手い映画など、見せた覚えはないぞ!」

「行かせてあげてください!」

 

 そこに未来が割って入る。

 

「人助けは、一番響らしい事ですから!」

 

 これに呆れた弦十郎は頭を掻きながら

 

「それは本来俺の役目だったはずなんだがな。」

「弦十郎さんも?」

 

 未来はキョトンと目を丸くする。

 

「帰ったらお灸ですか?」

 

 緒川は笑ってそう聞くと

 

「特大のをくれてやる。子供のやりたい事を支えるのは、俺たち大人のやる事だしな!」

「バックアップは任せてください!」

「私達のやれる事でサポートします!」

 

 藤尭、友里もやる気満々だった。

 

「子供ばっかりに、良い格好させてたまるか!」

 

 弦十郎は腕を組んでそう宣言するように言う。

 

 

 ノイズを殲滅させた翼はバイクを走らせ、フロンティア中枢へと向かう最中、弦十郎から響も出撃した事を知る。

 

「立花があの装者が一緒にですか?」

(想像の斜め上過ぎる) 

 

 だがそれが立花響という人間である。

 翼はギアを失っても走り続ける響の変わらなさに笑みを浮かべるが、すぐに表情を戻し引き締める。

 

「了解です。直ちに合流します。」 

 

 そう言って通信を切った途端、上空から大量の矢が降り注いだ。寸での所で気付いた翼は跳躍して避けたが、バイクは直撃し、大破した。

 この矢を撃てるものは一人しかいない。

 

「そろそろだと思っていたぞ、雪音。」 

 

 崖上からクリスが見下ろしていた。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 響と調の方でも、似たような状況にあった。

 フロンティア中枢へと目指していた二人だが、そこにイガリマのギアを纏った切歌が立ちはだかった。

 

「切ちゃん!」

「調、どうしてもデスか?!」

「ドクターのやり方では、何も残らない!」

「ドクターのやり方でないと何も残せないデス!間に合わないデス!」 

 

 切歌には焦りがある。もう時間が残されていないような、そんな思いを抱いて大好きな調と刃を交えようとしている。

 互いの意地はもう止まることは出来ない。だが響がそこに割って入る。

 

「二人とも!落ち着いて話し合おうよ!」

「「戦場で何を馬鹿な事を!!」」 

 

 切歌と調の声が重なった事で響は少し萎縮してしまう。だが調は切歌の方へ向いたまま

 

「あなたは先に行って。あなたならきっと、マリアを止められる。手を繋いでくれる。」

「調ちゃん……。」

「私とギアを繋ぐLiNKERにだって、限りがある。だから行って!」 

 

 そして響の方へ向くと先程まで向けなかった笑みを浮かべる。

 

「胸の歌を信じなさい。」

 

 この時、調の瞳は黄金になっていた。

 その台詞は、消滅する際に響に最後に贈られたフィーネの遺言だった。

 その記憶が蘇った事で一瞬だけ呆けたがすぐに頷き、走り出した。

 だが切歌がそうはさせるかと響に大鎌を振り下ろすが、調の鋸によって阻止される。

 切歌は何故調が響を庇い、背中を押したのか理解出来なかった。

 

「調!何であいつを?!あいつは調の嫌った、偽善者じゃないデスか?!」

「でもあいつは、自分を偽って動いてるんじゃない。動きたいときに動くあいつが、眩しくて羨ましくて、少しだけ信じてみたい……。」 

「さいデスか。でも、アタシだって引き下がれないんデス!アタシがアタシでいられるうちに、何かを形で残したいんデス!」

「切ちゃんでいられるうちに……?」

 

 切歌はフィーネになっても忘れてほしくない、だからウェルの強行路線に賛同した。その思いを調にぶちまけるように打ち明ける。

 

「調やマリア、マムにジャンヌが暮らす世界に、アタシがここに居たっていう証を残したいんデス!」

「それが理由?」

「これが理由デス……!」 

 

 鎌を握り構える切歌、二つの鋸を展開させる調、二人の意地のぶつかり合いが始まろうとしていた。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 セル型ノイズの案内により内部への侵入に成功した瑠璃。だが内部では槍に跨って乗る事は出来ない為、瑠璃は自らの足で走っているが、ノイズはどこまでも走り続け、止まる気配がない。

 

(ちょっと、どこまで行くの?!)

 

 

 階段を降り、地下広間にたどり着いた途端、ノイズは急に停止する。すると、役目を終えたように緑の閃光と共に消えた。

 

「待っていたぞ、風鳴瑠璃!」

 

 声が聞こえた後、向かいの扉が開くとそこにはジャンヌがおり、その後ろに手錠を掛けられた輪がいた。

 

「輪!」

「瑠璃!」

「感動の再会と言いたいところだが……お前には唯一のギャラリーとしてそこで見学させてやる。」

 

 そう言って、手錠を外させる。

 

「風鳴瑠璃、君との戦いが私の最後の戦いになる。」

「それって……どういう……。」

「私は今まで、バイデントを手に入れる為にこの身を犠牲にした。メルの為にも、私がバイデントを支配出来るようにならなければと。だがやはり……私には駄目だった……。バイデントは私を受け入れない……。」

 

 ジャンヌは自分の胸に手を置く。

 

「だが君は、それを操る事が出来る。君との違いが何か、私はそれを知りたかった。だから……この戦いで私の全てをぶつける。君も全力で来い!」

 

 そう言うと、足に装着しているタラリアが輝きを帯びる。対照的に瑠璃はジャンヌと戦う事を躊躇っている。

 

「どうしても、戦わなくちゃいけないの?調ちゃんは、みんなを止めてほしいって……今ならまだ……」

 

 瑠璃は説得しようとするがジャンヌに遮られる。

 

「無駄だ。今の私は、調のいう止めなくてはならない敵だ。もしここで戦いを放棄しようなどと考えてみろ。お前の学友の身柄を、ウェルに引き渡す。」

 

 それだけは駄目だ。自らの欲望を叶える為に月の落下を早めた凶人に、輪を渡す事だけは避けなければならない。

 覚悟を決めた瑠璃は二本の槍を構える。

 

「分かった……。決着を着けよう。」

「ありがとう……。君に敬意を表する。さあ、来い!」

 

 遂に二人の因縁の対決が始まった。 

 

 

 




次回は恐らく長くなると思います。

瑠璃とジャンヌの運命はいかに……

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