戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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お待たせしました!

それぞれの戦いに決着をつけさせる為に今回長くなってます!


それぞれの戦いの結末

 二課の潜水艦のハッチではウェルを逮捕するべく弦十郎と緒川がジープに乗り込んだ。緒川がハンドルを握った時、ブリッジから通信が入る。

 

『司令、出撃の前にこれをご覧ください!』

 

 タブレットで確認すると、そこにはマリアが映っていた。

 

『私は、マリア・カデンツァヴナ・イヴ。月の落下がもたらす災厄を最小限に抑えるため、フィーネの名をかたったものだ。』

 

 藤尭によるとフロンティアから中継されており、世界に向けて発信しているとの事だった。

 

 

 その中枢、ブリッジでマリアが世界中に訴えかけるように演説をしている。

 

「全てを偽ってきた私の言葉が、どれほど届くか自信はない。だが、歌が力になるという真実だけは、信じてほしい!」

 

 目を瞑るマリア。

 

Granzizel Bilfen Gungnir Zizzl……

 

 黒いガングニールを纏ったマリアは目を見開く。

 

「私一人の力では、落下する月を受け止めきれない……だから貸してほしい!皆の歌を、届けてほしい!」

 

 世界を救いたいという偽らざる思いを胸に歌う。

 

(セレナが助けてくれた私の命で、誰かの命を救って見せる。それだけがセレナの死に報いられる!)

 

 あの日、燃え盛る研究所で伸ばし、届かなかった妹の手。そしてもう一人、冥槍を手にして果てた友の妹、メル。

 二人の死に報いる為に、この歌を唄う。

 

 そして二課の潜水艦のハッチが開いた。

 

「緒川!」 

「分かっています!この映像の発信源を辿ります!」

 

 アクセルを強く踏み、ジープを発車させる。 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 その頃、ウェルは翼とクリスの激戦によって穿たれた穴にやって来た。

 

「シンフォギア装者は僕の統治する未来には不要……!」

 

 二人を確実に殺す為にここに踏み入れたのだが足を踏み外して情けない声が響き渡る。

 

 

「その手始めにぶつけ合わせたのですがぁ……こうもそうこうするとは……チョロすぎるぅ〜!」

 

 歓喜していたウェルだったが、それはすぐに消え失せた。目の前にはギアがボロボロになったクリスの背、そしてギアを纏っていない翼が倒れ伏せている。

 

「約束通り、二課所属の装者は片付けた。だから……ソロモンの杖をあたしに……。」

 

 振り返って、右手を出す。振り返った際、ヘッドギアの一部が半壊する。だがウェルが出した答えは……

 

「こんな飯事みたいな取引にどこまで応じる必要があるんですかねぇ?」

 

 ポケットからギアスと呼んでいたチョーカーの起爆装置をスイッチを取り出し、それを押す。これでクリスの首が吹っ飛ぶ……

 

「何で爆発しない?!」

 

 事はなかった。

 

「壊れてんだよ!約束の反故とは悪党のやりそうなことだ!」

 

 クリスは損壊していたチョーカーを強引に外す形で破壊する。最初から約束を反故にする事は想定内だった。

 クリスに詰め寄られたウェルは恐怖の悲鳴を上げながら腰を抜かすも、すぐにソロモンの杖でノイズを呼び出す。

 

「今更ノイズ……ぐっ……!」

 

 アームドギアを展開しようとした時、ギアのバックファイアに襲われる。

 

「Anti LiNKERは、忘れたころにやってくる。」

 

 ギアのバックファイアに苦しめられている間、ノイズで一網打尽。ウェルは勝利を確信したかのように下卑た笑みを浮かべるがクリスはそんな事はお構いなしだ。

 

「なら……ぶっ飛べ!アーマーパージだ!」

 

 纏ったギアの装甲を弾丸のように、それを全方向に放つ。穿たれたノイズは塵となる。

 ウェルは回避したが、土煙で周りが見えない。柱から顔を出した瞬間、一糸纏わぬクリスがウェルの持つソロモンの杖を奪い取らんと急襲。突然の不意打ちにソロモンの杖を手放してしまう。

 

「杖が?!」

 

 これにはウェルは焦った。杖が手から離れてしまえば今残っているノイズの制御は失われ、機能通りに人間を襲う。そのノイズの標的は紛れもなくクリスとウェルである。

 

「先輩!」

 

 クリスが叫んだ。

 

 Imyuteus Amenohabakiri Tron……

 

 聞こえたのは天羽々斬の起動詠唱。翼が立ち上がり、ギアを纏う。だがそのギアはルナアタック時に纏っていた時の形状のものだった。

 しかし、翼は逆立ちから脚部のブレードを展開させると高速回転して、ノイズ達を斬る。

 

「そのギアは……!馬鹿な。Anti LiNKERを抑える為、敢えてフォニックゲインを高めず、出力の低いギアを纏うだと……?!そんなことが出来るのか……?!」 

「出来んだよ。そういう先輩だ!」

 

 あの時の一撃も、クリスのチョーカーを斬った時も、互いを信じ合い、鍛練を積み上げてきたからこそ出来た芸当だった。これを人は絆と言う。

 

「付き合ってられるか!」

 

 ウェルは形勢不利と見てフロンティア中枢へと退却する。そして翼がノイズを殲滅させた後、クリスはギアを纏っていた事で分解された制服が元に戻り、身に纏う。掌にはイチイバルのギアペンダントがあった。

 翼もライダースーツの姿へと戻り、ソロモンの杖を広い、クリスに手渡す。

 

 

「回収完了。これで一安心だな。」

 

 クリスが照れながら謝る。

 

「一人で飛び出して……ごめんなさい……。」

「気に病むな。私も一人は何も出来ない事を思い出せた。何より……こんな殊勝な雪音を知る事が出来たのは僥倖だ。」

 

 翼の台詞が追い打ちを掛けた事で、クリスはプイッとそっぽ向く。

 

「それにしたってよ、なんであたしの言葉を信じてくれたんだ?」

「雪音が先輩と呼んでくれたのだ。続く言葉を斜めに、聞き流すわけにはいかぬだろう。」

「それだけか?」

「それだけだ。さあ、立花たちと合流するぞ。」

 

 翼が響の所へ向かおうとした時、クリスがもう一つ聞く。

 

「なあ、姉ちゃんは何処にいるんだ?」

「瑠璃なら、ジャンヌという者と戦っているはずだ。向こうから決着を望んでいるようだったが……それがどうしたのか?」

「いや……何か嫌な予感がする。」

 

 何とも言えない胸騒ぎがクリスの表情を曇らせた。だが翼、クリスの肩に手を置く。

 

「案ずるな。瑠璃とて立派な戦士だ。きっと無事に帰って来ると信じよう。私達はあの子の姉妹なのだからな。」

 

 血の繋がりに関係なく、二人は瑠璃を信じると決めた。二人はこの場を後にした。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 切歌と調、ザババの刃同士による一騎打ちも終局を迎えようとしている。

 互いに一歩も譲らない状況に埒が明かなくなった切歌、調にLiNKERの入った注射器を投げ渡す。そして切歌もLiNKERを投与する。

 

「ままならない思いは、力づくで押し通すしかないじゃないデスか。」

「切ちゃん……。」

 

 調もLiNKERを投与した。

 

 

 Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el zizzl

 

 二人は絶唱を唄い、フォニックゲインを高めていく。

 

 Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el zizzl…… 

 

 切歌の大鎌の先端を地面に刺すと、柄が伸長し、刃の部分もそれに見合った大きさへと変え、それを手に背部のブースターで上昇する。

 調はツインテールのアームが伸び、鋸が四肢として組み換え、それは二足歩行の巨大ロボットを彷彿とさせる。

 

「絶唱にて繰り出されるイガリマは、相手の魂を刈り取る刃!分からず屋の調から、ほんの少し負けん気を削れば!」

「分からず屋はどっち……!私の望む世界は、切ちゃんもいなくちゃダメ……!寂しさを押し付ける世界なん て……欲しくないよ!」

 

 切歌が接近し、調は右腕のアームで迎え撃つ。

「アタシが調を守るんデス!たとえフィーネの魂に、アタシが塗りつぶされる事になっても!」

 

 防がれようとも、鎌のエンジンブースターを点火させて高速回転しながら再び襲い掛かる。

 

「ドクターのやり方で助かる人たちも……私と同じように、大切な人を失ってしまうんだよ!」 

 

 再びアームで迎撃するが、イガリマの威力が上回った事を表すようにアームが一本砕け散る。

 だが調は諦めず、涙ながらに訴えかける。

 

「そんな世界に残ったって、私は二度と歌えない!」 

「でも……それしかないデス!そうするしか、無いです!たとえ私が……調に嫌われてもおおぉぉ!!」

 

 切歌が叫ぶと同時に鎌を振り下ろすと、もう片方のアームが破壊された。

 

「切ちゃん……もう戦わないで……!私から……大好きな切ちゃんを……奪わないでええええぇぇ!!」 

 

 切歌が鎌を振り下ろし、調は咄嗟に両手を翳す。その時だった

 

「えっ……?」

「何……これ……?」 

 

 調の手から展開されたバリアが、切歌の鎌を防いだ。弾き飛ばされた切歌、何でこのバリアを出せたのか分からない調、両者ともに困惑していた。

 だがその意味を理解した切歌は膝をつく。

 

 

「まさか……調……デスか……?フィーネの器になったのは調なのに……私は……調を……。調に悲しい思いをしてほしくなかったのに……出来たのは調を泣かす事だけデス……。」

 

 自身の誤解から大好きな調を傷つけてしまった自己嫌悪に陥った切歌。切歌が手を動かした。

 

「アタシ……本当に嫌な子だね……。消えてなくなりたいデス……。」

 

 その瞬間、イガリマの刃が高く翔び、回転しながら切歌の方へ向かった。その意味を理解した調は脚部のローラーを全力で回転させて切歌の方へ走る。

 

「駄目!!切ちゃん!!」

 

 切歌を突き飛ばしたが、その代償としてイガリマの刃が調を背中から貫き、倒れた。

 

「調……?!調ええええええええぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 バイデントとタラリアのエネルギーのぶつかり合いによって発生した土煙が晴れていき、唯一の見届け人である輪が呼びかける。

 

「瑠璃!ジャンヌ!あっ……」

 

 瑠璃は仰向けで大の字で倒れているジャンヌに穂先を向けている。二人とも外傷は無いが、ジャンヌは左手で胸を抑えており、右足のタラリアは損壊していて、既に機能を停止している。

 

「負けた……。でもこれで、思い残すことは無い……。」

 

 勝負に負けたジャンヌだったが、その表情は晴れやかだった。

 瑠璃は穂先を降ろしてジャンヌに駆け寄る。瑠璃は座ると、膝を枕のようにしてジャンヌを寝かせた。

 輪もジャンヌに歩み寄ってしゃがんだ。

 

「ジャンヌ……。」

「見せてもらったよ……瑠璃。君とバイデントの力……。」

 

 エネルギーがぶつかり合った際、ジャンヌのタラリアのエネルギーが徐々に弱まっていた。

 戦う前から既に肉体は限界であり、ジャンヌはこうなる事を分かった上で、あのぶつかり合いを選んだ。

 

「瑠璃……ウェルの野望を止めてくれ……。」

「え……?」

「私はバイデントと共に在る君の意志を、絆の力を、可能性を見た。そして確信したんだ。マリア達を託せるのは、君達しかいない。」

 

 メルが亡くなってから、バイデントを憎むようになっていた。いつしかバイデントを支配する事しか頭になかった。

 だが瑠璃は、バイデントを支配するのではなく、共に戦いリスペクトし、繋がる事が出来た。瑠璃の、絆を信じる性分だからこそバイデントを手にする事が出来た。

 

「まさか、最初から私達に……。でもジャンヌ……あなた程の人なら、私達に託さなくても……止められたはず。どうして……?」

 

 瑠璃の問いにジャンヌは自らを嘲笑するように笑む。

 

「私はいつだって、何かを見届ける事しか出来ない……傍観者でしかなかった。自分の手で掴みとろうとして……手を伸ばしても……結局は届かない。皆が先へ行く中、私だけが闇に残った。私は誰かを導く光にはなれない。でもみんなは、そんな私を照らしてくれた。だから私はみんなの影となって……みんなの行く末を見届けようって決めたんだ。」

 

 その思いを馳せたジャンヌは瑠璃と輪の方を見ると目を瞑る。

 

「瑠璃、輪、君達とは……違う形で出会いたかった……。そうすれば……君達と……本当の友に……なれたかもしれない……。」

「そんなことないよ。」

 

 瑠璃が遮り、目を見開いたジャンヌは瑠璃の方に向く。

 

「ジャンヌと私は……既に友達だよ。」

「私の事を……友と呼んでくれるのか?」

「ジャンヌは……マリアや調ちゃん、切歌ちゃん達を守る為に戦って来た。私はこの戦いを通して、ジャンヌの優しさ、強さを知った。ジャンヌだって、私の事を知ってくれた。誰が何て言おうと、私はあなたの友達だよ……!」

 

 瑠璃はジャンヌの手をそっと握る。ジャンヌは嬉しそうに涙を流す。

 

「ありがとう。」

 

 ジャンヌは瑠璃の手を握り返す。 

  

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 絶唱状態のイガリマの刃によって貫かれた調は意識が戻らず、生死の境を彷徨っていた。イガリマの絶唱には魂を刈り取るという特性があり、それが調を死に至らせようとしていた。

 

「調!目を開けて!調えぇ!」

 

 切歌の声にも反応しない。

 

 調の意識はどんどん闇へ誘われるように、沈んでいく。だが何か聞こえ始めた。

 

「切ちゃん……じゃない……。だとすると、あなたが……。」 

  

 目をゆっくり開かせる。

 

「どうだっていいじゃない、そんなこと。」

 

 白いローブを着た女性、フィーネが調を抱擁する様にそこにいた。

 

「どうでもよくない。私の友達が泣いている……。」

「そうね。誰の魂も塗りつぶすことなく、このまま大人しくしているつもりだったけれど……そうもいかないものね……。魂を両断する一撃を受けて、あまり長くは持ちそうもないし……。」

 

 そう言うと、フィーネの身体が少しずつ黄金の粒子となり、消えゆこうとしていた。

 

「私を庇って……?でも、どうして……」

「あの子に伝えてほしいの。」

「あの子……?」

 

 調の問いに答えることなく、フィーネは調に伝える。

 

「だって、数千年も悪者やって来たのよ?いつかの時代、どこかの場所で、今更正義の味方を気取る事は出来ないって……。」

 

 フィーネの身体が透け始める。

 

「今日を生きるあなた達で何とかなさい。いつか未来に……人が繋がれるなんてことは……亡霊が語れるものではないわ……。」 

 

 最期にそれを言い残し、フィーネの魂は、完全に消滅した。

 

 

 現実世界では切歌が涙を流し、それが調の頬に落ちる。

 

「目を開けてよ……調ぇ……!」

「開いてるよ……切ちゃん……。」

 

 突然調の声が帰ってきた事で驚く。すると調の身体は光の粒子に包まれ、それが消えるとそのまま静かに起き上がる。立て続けに起きる不可解な出来事に切歌は困惑する。

 

「体の怪我が……!」

 

 背中を貫いた傷が跡形もなく消えていた。調が意識を完全に取り戻した事で喜び、調を抱きしめる切歌だったが、それでも何故こうなったのか理解出来ずにいる。

 

「調!でもどうして……?!」

「多分……フィーネの魂に助けられた……。」

「フィーネに……デスか……?」

 

 一度切歌は調を離すが、今度は調が切歌を抱きしめた。

 

「みんなが私を助けてくれている……。だから切ちゃんの力も貸してほしい……。一緒にマリアを……ジャンヌを救おう?」

「うん……。今度こそ調と一緒に、みんなを助けるデスよ……!」

 

 二人は立ち上がり、和解した。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 フロンティアのブリッジでは月の遺跡を再稼働させる為に、マリアが歌でフォニックゲインを高めようとしていたが、それでも足りなかった。

 どんなに足掻いても、自分では世界を救えないという事実を突きつけられ、絶望した。

 

『マリア、もう一度月遺跡の再起動を……!』

「無理よ……!私の歌で世界を救うなんて……!」

『諦めるなマリア……!』

 

 するとジャンヌから通信が入った。

 

「ジャンヌ……?」

『マリア、歌ってくれ……!』

 

 ジャンヌは瑠璃と輪に肩を借りて、やっと歩ける状態であるが、それでも必死にマリアに呼びかける。

 

『君の歌は、どんな困難を前にしても立ち向かう勇気をくれる歌だ!』

「無理よ……!私じゃ……もう……」

『君は一人じゃない!』

 

 ジャンヌから檄が飛ばされる。

 

『メルが死んで、私が受けた実験でボロボロだった私を、そう言って手を差し伸べてくれたじゃないか!あの時と同じだ!今度は……私が……ぅっ……!』

 

 通信越しに倒れる音が聞こえた。

 

「ジャンヌ?!どうしたの?!」

『構うなっ……!世界を救いたいなら……躊躇うな……!』

 

 ジャンヌの必死の檄を受けたマリア。だがそこにソロモンの杖を失ったウェルがブリッジに戻り、マリアを退かすように突き飛ばした。

 

「月が落ちなきゃ、好き勝手出来ないだろうが!」

 

 ウェルはネフィリムの左腕で球体に触れ、制御を開始する。

 通信越しにウェルの声を聞いたジャンヌは怒号を浴びせる。

 

『ウェル……!貴様……!』

「くたばり損ないが、やっぱり死にかけのあんたじゃ完全聖遺物を持ってしてもバイデントの欠片に敵わないのかぁ?」

 

 最早今までの紳士的な態度が、化けの皮を剥いだかのようにかなぐり捨てている。

 

『私の問題に……貴様に指図など受けたくない……!とっとと失せろ!』

「そうかい!じゃあその面二度と拝まなくて済むようにしてやるよ!」

 

 ブリッジの球体に指示を送ったウェル。その瞬間、瑠璃達がいるフロアに地響きが起こった。そして、そのフロアの壁が瓦礫となって崩落を始めた。

 

 

 ジャンヌに肩を貸し、支えた状態で急いで移動している瑠璃と輪だったが、その歩みは遅く、徐々に瓦礫が崩れ落ちるのが近づいている。いくらバイデントのギアがあっても大量の瓦礫から見を守れる術はない。

 

「瑠璃、輪……私を置いて逃げろ。」

 

 突然ジャンヌが言い出すが、瑠璃と輪は反対する。

 

「嫌だ……!出来ないよ……!」

「一緒に逃げよう。そんであのマッドサイエンティストに一泡吹かせよう!」

 

 二人は諦めずに歩むがジャンヌが、強引にその腕を振り解く。

 

「無駄だ。このままでは三人ともあの世行きだ。それよりも、生存確率の高い君達が生き延びた方が良い。」

「そんな……そんなの……」

「私からの頼みだ!」

 

 瑠璃が涙混じりの拒否をジャンヌが遮る。

 

「友として、君達に頼む。マリア達を……世界を頼む!皆で、未来を切り開いてくれ!」

 

 ジャンヌは残った左のタラリアにエネルギーを込め、クラウチングスタートの体勢に入る。

 

「行けぇ!瑠璃!!輪!!」

 

 そして勢いよく僅かな距離を走り出すと猛スピードで二人を抱え、フロアから投げ出す。

 投げ出された二人はジャンヌに腕を伸ばす。

 

「ジャンヌ!ジャンヌ!!」

(瑠璃……)

 

 タラリアのエネルギーを使い切り、その場に残ったジャンヌ。最期は瓦礫によってその姿が見えなくなってしまった。

 

「ジャンヌゥゥゥゥ!!」

 

 瑠璃が叫ぶ。

 投げ出された二人は、瑠璃が侵入した出入り口から外へと放り出され、転がる。

 起き上がると、その出入り口は瓦礫によって塞がれ、二度と入れなくなった。

 

「瑠璃……あれ……!」

 

 輪が指した先には、あるものが落ちていた。それはジャンヌが大切にしていたロケットだった。

 ジャンヌが二人を放り投げる直前、ジャンヌはロケットを外し、その手に持っていた。そして瑠璃と輪を投げた時に、同じタイミングでその手から放したのだ。

 

「ジャンヌ……。」

 

 瑠璃はそのロケットを拾うと、涙を流しながら喪った友の名前を叫んだ。

 

 

  

 

 

ジャンヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

 

 

 

 




これにてジャンヌさん、退場となります……

ジャンヌはシンフォギアを纏う為に度重なる無茶をして来ましたが、それを懸命に止めたのが当時セレナを亡くした直後のマリアでした。
それ以降、ジャンヌはマリアを親友として彼女を支え続けました。
調と切歌からも面倒見の良いお姉さんとして信頼されていました。
それでもバイデントへの拘りを捨てきれずにいましたが、瑠璃の人となりに触れた事でバイデントへの拘りにも踏ん切りをつけられるようになりました。

結果的にウェルの膨れ上がった欲望からマリア、調、切歌を守る為に自らの身を犠牲にして彼女達を守りました。


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