戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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G編最終回になります。

みなさん、ここまで読んでくださってありがとうございました!

最後は無印編と同様、輪視点でG編が終わります。


絆の証

 時が流れ、夕焼けが地上を照らしている。誰かがこちらに駆け寄って呼び掛けている。

 

「起きた?」

 

 既にギアが解除されていた瑠璃、目を開けるとそこには輪が膝枕をして、覗いていた。

 

「終わったんだね……。」

「うん。何もかも。」

 

 瑠璃は何とか起き上がるがまだダメージが抜けきれていないせいでよろけてしまう。

 

「ちょ……立って大丈夫?!」

「うん。ほんの少しだけね。」

 

 そう笑うが、突然その笑みは消えてしまう。

 その先には二課の独房からロータリーへ移送されようと連行されているウェルの姿が映った。

 

「どうしたの瑠璃?瑠璃?」

 

 瑠璃はよろけながらもウェルの方へ歩いて行く。ウェルは自らの野望が打ち砕かれた事に意気消沈しており、後ろの軍人には銃が突きつけられている。

 

「間違っている……。英雄を必要としない世界なんて……ん……?」

 

 足音が聞こえ、その方を向くと瑠璃がこちらに向かって歩いている。

 

「お前は……ぐほぉっ!」

 

 突然ウェルの顔面を瑠璃が拳で殴りつけた。誰も予想しえなかった突然の行動に、全員が驚愕する。

 

 殴られたウェルはその拍子で倒れ、尻餅をつく。

 

「き、貴様!英雄である僕に何するんだ?!」

 

 ウェルは瑠璃に憤慨するが、瑠璃はそんなもの知ったことではない。瑠璃はジャンヌが殺された事、そしてウェルがネフィリムの心臓をフロンティアの制御から外した事でフロンティアは取り込まれ、ジャンヌの遺体が残らなかった事に、瑠璃は激しい怒りがこみ上げていた。

 

「これは……ジャンヌの分……です。」

 

 見下ろして言うと、瑠璃はウェルに背を向け去って行く。

 

「瑠璃……。」

 

 輪が心配そうに声を掛ける。響、翼、クリスも駆け寄った。

 

「あの人は許せない……。けど、これ以上怒っても……ジャンヌは帰って来ない。それに……」

 

 瑠璃は俯向きながら、吐露する。

 

「痛いなぁ……人を殴るって。」

 

 瑠璃は生まれて初めて人を殴った。右手から伝わる痛みに、左手で優しく擦っているとマリアに声を掛けられる。

 

「瑠璃。」

「マリアさん……。」

 

 マリアの後ろには切歌と調がいた。

 

「ありがとう。私達の代わりに、彼女の為に怒ってくれて。でも、殴るのはよしなさい。」

 

 確かに褒められるべき行動ではないと殴った本人も認めており、反省する瑠璃。

 そこに輪がある事を思い出した。

 

「マリアさん、これを。」

 

 輪は胸ポケットからあるものを取り出した。それはジャンヌが肌見放さず掛けていたロケットだった。

 

「これは三人に返します。ジャンヌもそれを望んでると思います。」

「ジャンヌ……あら?」

 

 ロケットのチャームを開くとそこにはジャンヌとメルが笑顔で写っている写真が飾られていたが、もう一つ、マイクロチップがテーブでくっつけられていた。

 

「これは……。」

「あ……それなら、私の通信機で流しますね。」

 

 輪はマイクロチップを通信機の中に挿し込んで、中身をロードすると、音声データがあった。輪はそれを流す。

 

『マリア、調、切歌、これを聞いているだろうか?』

 

 声の主はジャンヌだった。

 

『これを聞いているということは、私は既にこの世の者ではないのだろう。もしかしたら……マムも……。

 私は三人に秘密にしていた事がある。私は、度重なる実験で、心臓はほとんど弱っていた……。医者曰く、今生きているのが不思議だと驚かれたな。』

 

 三人はこの時、ジャンヌの心臓病について初めて知った。調と切歌はジャンヌの体調の異変について知ってはいたが、まさかそんな事になっていたとは露知らず、マリアはその異変に気付けなかった。

 

『私がみんなに付いて行ったのは……残り少ない命で、私が出来る事をしたかった。世界を救い、皆が歩む未来を見てみたかった。けど……それはマリア達に任せる事にする。

 マリア……セレナを失ったばかりだったのに、メルの事で自棄になっていた私を、目を覚まさせてくれてありがとう。

 調、君の作る料理、美味しかったよ。ただ……もっといっぱい君の料理が食べたかったなぁ……。

 切歌、これからはしっかり者の君が、皆を支えてやってくれ……任せたぞ。

 もしこれを聞き終わったら……みんなの足枷にならないよう、捨ててほしい。みんなには、未来を見てもらいたい。それが過去に囚われていた私の……遺言だ。皆と出会い、過ごした時間は……最高に楽しかった。ありがとう……皆。ありがとう……マム……。』

 

 それを最後に、停止した。調と切歌は嗚咽交じりに泣き、マリアも静かに涙を流している。

  

「ありがとう、瑠璃、輪。君達がジャンヌの最後の友になってくれて。」

 

 マリアは二人を見据えて言う。 

 

「月の軌道は、正常値へと近づきつつあります。ですが、ナスターシャ教授との連絡は……。」

 

 そして弦十郎と緒川の報告を耳にしたマリア、調、切歌は夕焼けの空を見上げる。マリアの手に握られたギアは半壊していた。

 

(マムが未来を繋げてくれた……。)

「ありがとう……。お母さん……。」

 

 マリアが呟くと響が歩み寄る。

 

「マリアさん……。」

 

 響の手にはガングニールのギアが。響はこれをマリアに返そうと出すが……

 

「ガングニールは君にこそ相応しい。」

 

 そう言って、マリアは響に優しく微笑む。

 

「だが、月の遺跡は再起動させてしまった……。」

「バラルの呪詛か……。」

「世界を救う為とはいえ……」 

「人類の相互理解は、また遠のいたってわけか……!」

 

 皆が悔しそうにするも響だけは違った。

 

「へいき、へっちゃらです。だってこの世界には、歌があるんですよ!」

 

 響だけが前を向き、ポジティブになっている。皆は驚くも、翼とクリス、瑠璃、未来、輪はそんな響を知っているから笑みを浮かべる。

 

「歌……デスか……」

「いつか人は繋がれる……。だけどそれは、どこかの場所でも、いつかの未来でもない。確かに、伝えたから。」

 

 調を守り、消滅した先史文明の巫女の遺した言葉を、調は伝えた。

  

「うん。」

 

 響は優しく頷く。

 

「立花響。君に出会えてよかった。」

 

 マリアは響を見据えて、そう言った。マリア、調、切歌はその後、ロータリーへと乗り、去った。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 そんなこんなでフロンティア事変から日が過ぎました。皆普通に学校に通って元の日常に戻ったんだな〜って感じます。ただ一人除いて……

 

 あれからマリアさん、調、切歌の三人は裁判に掛けられましたが、何かバイデントの返還要求に応じなかったとして日本政府が訴えられ、それに飛び火する形で所有者である瑠璃までもが裁判に掛けられる事になりました。オジサン曰く米国主導で……。

 

 ねえ、おかしくない?普通第三国に審議してもらうでしょう?それなのにバイデントを手に入れたい為にほんなセコい真似するなんて……。

 でもそこはオジサンが何とかしてくれるそうです。オジサン曰く

 

「俺の娘に手出しはさせん!どんな手を使っても必ず取り戻す!」

 

 だそうです。確かにこの人なら拳一つで何でも解決しちゃいそうだけど……。まあそれはそれとして、その道のスペシャリストが何とかしてくれるそうです。

 

 まあそういうわけで、今は瑠璃がいない日常を過ごしています。

 

「おい、いつまでしょげてんだぁ?」

 

 クリスに話しかけられるけど、私は瑠璃もいない嫌だ!だから私はそっぽ向く!

 

「そりゃああたしだって心配するさ!けど、落ち込んでたって仕方ないだろ?」

 

 私の半分は瑠璃で出来ている。だから瑠璃がいないといつもの70%力が出せないのだ。ちなみに学校の方には病気という体で押し通した。けどこうも瑠璃がいない日が続くとつまんない〜!って輪さんは輪さんは駄々っ子のようにジタバタしてみたり!

 

「お前も難儀なやつだな。」

 

 クリスに何か言われているが別にどうだっていい。早く帰って来ないかな……

 

 プルルルルル

 

 おっと電話だ。誰々?オジサン?どうしたんだろ?

 

「もしもし?」

 『輪君、瑠璃の事なのだが……喜べ!瑠璃の全面勝利が確定した!』

 

 それは一番の朗報で私とクリスは盛大に喜んだ。

 オジサンによるとF.I.S.にいた頃のジャンヌに行われた実験が米国政府の独断であったこと、それによりジャンヌが心臓病を患った事、さらにメルがバイデントの起動実験で亡くなった事が明らかになって、さらに元はフィーネがドイツから盗んだという事実もあってドイツの機関から横槍が入ったらしい。

 それで米国政府はバイデントを諦める事になって、ドイツ政府からも承認を得られた事で、晴れて瑠璃はバイデントの所有者である事が認められたんだって。

 

「それで瑠璃はいつ帰ってくるの?!」

『それが今度はドイツに出向になってな。もう少し時間が掛かりそうだ。』

 

 こ、今度はドイツに?!それは少し羨まし……ゲフンゲフン。何でもないよ。けど帰って来れることになって良かった。

 

『帰ってくるまでもう少しの辛抱だ。』

「うん、ありがとうオジサン。」

 

 良かった〜!これでまた瑠璃に会える!早く帰って来ないかな〜。

 

 

 輪は空を見上げると、そこには虹色の羽根が舞っていた。




これにてG編完結になります!

次回少し番外編を挟んだ後、GX編に入りたいと思います。

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