戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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オリジナルオートスコアラーの名前と設定はある程度決めてるから後は出すだけです。
果たして受け入れられるだろうか


後悔

 急いでクリスがいる場所まで急行するが、その途中でバイザーが捉えていたイチイバルの反応が消失した。最初は何が起きたのか戸惑ったが、弦十郎からの通信でクリスのギアが分解された事を知った

 

「ギアが解除された?!」

『ああ。しかもイチイバルのプロテクターを無力化した上でな。良いか、奴らの攻撃を相殺しようと思うな。アームドギアを失うぞ!』

「了解!」

 

 瑠璃はバイザーの道案内でクリスのいる所まで飛行する。まもなくクリスがいる場所まで辿り着けると思っていた矢先、突如下からコインが飛来し、瑠璃のすぐ横を通った。

 

「のわっ!」

 

 身体を左に反らすことで回避するが、咄嗟に避けた事で操作が乱れてしまい、バランスを崩してしまう。辛うじて落下は避けられたが、今度は瑠璃のギアのマイクコンバーターを狙うかのようにコインが放たれる。瑠璃は何とか避けるが、これでは思うように近づけない。

 

「何とか敵の位置を割り出せば……!」

 

 バイザーの戦闘補助システムでアルカ・ノイズを除いた敵の位置とクリスの位置を割り出し、敵の 姿形を捉える。すると瑠璃は腰部のブースターを点火させて、そのまま突っ込む。

 

「派手に特攻……いや違う……!」

 

 なんと瑠璃は空中で槍の連結を解除させて、黒槍をオーバーヘッドキックで投擲したのだ。勢い良く蹴りこまれた黒槍はそのまま女の方へと向かい、女はコインを弾いて応戦するが、そのパワーは相殺しきれない。だが軌道が僅かに逸れた事で女には当たらず、代わりにアルカ・ノイズがその餌食となった。

 瑠璃はそのまま落下しながら、白槍の穂先に集めたエネルギーの波動をアルカ・ノイズに撃ち込む。

 

【Shooting Comet】

 

 被弾したアルカ・ノイズは赤い塵となって消え、その地点に着地した瑠璃。黒槍を遠隔操作で手元に移動させると、クリスの所へ駆け寄る。

 

「クリス!クリス、しっかり!」

   

 身体を揺さぶるが、クリスはギアが分解されて一糸纏わぬ姿で気を失っていた。

 

「バイデントの装者……雪音ルリさん……。」

 

 エルフナインが小さく呟く。その呟きは瑠璃に聞こえていたが、今の瑠璃にはそれに構う余裕がない。アルカ・ノイズに囲まれた今、何とかしてこの包囲網を突破しなければならないが、攻撃を受け止めようとすればアームドギアが分解されてしまう為、今まで通りの立ち回りでは自分も同じ運命を辿る事になる。

 

「今のは地味に焦った……。だが次は……」

「させないデス!」

 

 女は次の標的を瑠璃に変えようとした時、上から声が聞こえ、その方を向くと切歌が布をマントのように脱ぎ取った。

 

 Zeios igalima raizen tron……

 

 イガリマのギアを纏った切歌は、大鎌の刃を3枚に展開させて、それを投擲する。

 

【切・呪りeッTぉ】

 

 その刃はアルカ・ノイズを刈り取るが、適合係数の低い状態でギアを纏った事で、切歌の全身に激痛が走る。

 

「切歌ちゃん……何でここに……?!いや、それよりも……!」

 

 ここに切歌がギアを纏って現れた事に一瞬驚愕した瑠璃だが、それよりもクリスとエルフナインの周囲に跋扈するアルカ・ノイズを、槍で突いて塵にしていく。だがアルカ・ノイズの攻撃を的確に避ける為の集中力と大群による数の暴力が、瑠璃の体力を少しずつ削っていく。

 さらに背後からもクリスとエルフナインを襲うアルカ・ノイズが迫って来た。虚を突かれたエルフナインが振り返ると、無数の小型鋸によって、そのアルカ・ノイズは切り刻まれた。

 

【α式・百輪廻】

 

「女神……ザババ……。 」

 

 助けが来た事で緊張の糸が切れたエルフナインはそのまま気を失った所を調が回収。さらに、切歌の方も先程取った布でクリスの身体を包んで抱える。

 

 調は鋸を車輪のように走行して、道中遮ろうとするアルカ・ノイズを蹴散らすが、調もまたギアのバックファイアによる激痛を伴っている。

 

(やっぱり、私達の適合係数では、ギアをうまく扱えない……!)

「殿は私が!二人はそのまま撤退して!」

「「了解(デス)……!」」

 

 調と切歌はそのまま戦線を離脱、それを確認した瑠璃は槍を連結させてから、高速回転させると竜巻のエネルギーを発生させる。

 

【Harping Tornado】

 

 竜巻に巻き込まれたアルカ・ノイズはそのエネルギーによって切り刻まれるように分解される。頃合いと判断した瑠璃は、連結させた槍に跨り、低空飛行でそのまま撤退する。

 

「マスター指示を。」

「追跡の必要はない。レイア、帰投を命ずる。ファラも十分だ。」

「了解。」

 

 レイアと呼ばれたディーラーの女とロンドンで翼と交戦したフラメンコの女、ファラは液体が入ったアンプル、テレポートジェムを地面に投げて割るとそのまま転移するように姿を消した。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 戦いが終わりを告げたように朝日が登り、海面がそれを一層と輝かせる。それぞれ抱えながら湾岸沿いの道を走る切歌と調。そこに殿の務めを果たして撤退した瑠璃が二人の前で降り立つ形で合流する。バイザーを解除して、二人に駆け寄る。

 

「二人とも、大丈夫?!LiNKERがないのに、そんな状態になってまで……」

「LiNKERが無くたって、あんな奴に負けるもんかデス!」 

 

 切歌は悔しさと怒りのあまり、思わず瑠璃に当たってしまった事に気付いくが、既に手遅れだった。

 

「ごめん……。」

 

 瑠璃は申し訳なく俯き、調がそんな切歌を落ち着かせようと声を掛ける。

 

「切ちゃん……。」 

「分かってるデス……。」

 

 切歌の方も、瑠璃が心配してくれているのは分かっていたのに、焦りと悔しさで強い言い方で、つい瑠璃を傷つけてしまった事に申し訳なく思っている。

 

「私達、どこまで行けばいいのかな……。」

「行けるとこまで……デス。」

「でもそれじゃ、あの頃と変わらないよ?」

 

 瑠璃は二人の悩みを少しでも解決してあげたいが、二人の痛みは二人にしか分からない。こその悩みを共感する事が出来ない瑠璃は口出しする事は出来ない。

 

「マムやジャンヌ、マリアのやりたい事じゃない。アタシ達が、アタシ達のやるべきことを見つけられなかったから、あんな風になってしまったデス。」 

「目的もなく、行ける所まで行った所に、望んだゴールがあるなんて保障なんてない……。我武者羅なだけでは……ダメなんだ……。」

 

 弦十郎だったら、ジャンヌがいたら、何て言ってあげられたのか。だが自分は弦十郎でもジャンヌでもないし、特にジャンヌには未来を託された以上、二人を支えてあげられるのは自分達しかいない。瑠璃は意を決して話す。

 

「無責任かもしれないけど、結果なんて……誰にも分からないよ。調ちゃんの言う通り、どんなに努力したって……望んだ結果が待っているわけじゃない。だけど、少しでも自分が望んだ結末に辿り着けるように、行動する事は出来るよ。」

「瑠璃先輩……。」 

「私が出来る事は……話を聞いてあげるくらいしか出来ないけど、それでも二人が後悔のない選択が出来るように手伝えたらって思う……。」

 

 今自分が出来ることは、精々これくらいしかない。だがそれでも二人が少しでも前に進められるならと、瑠璃は話してあげた。

 そこに気を失っていたクリスが目を覚ます。

 

「クリス!」

「クリス先輩……!」

「大丈夫デスか?!」

 

 クリスもまた、怒りと悔しさを露わにした。

 

「大丈夫なものかよ……!」

(守らなきゃいけない後輩に、ずっと姉ちゃんに守られて、大丈夫なわけないだろ……!これじゃあ9年前から……何も変わってねえじゃねえか……!)

 

 全員が悔しさに苛まれる結果に終わったこの戦い。しかし、まだ戦いは始まったばかりだ。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ロンドンでもファラに勝ち逃げされた結果に終わった。翼のギアも分解され、一糸纏わぬ姿だったが、マリアの衣装の一部を借りて、隠している状態だった。

 

「完全敗北……いえ、状況はもっと悪いかもしれません。ギアの解除に伴って、身に着けていた衣服が元に戻っていないのは、コンバーターの損壊による機能不全であると見て間違いないでしょう。」

 

 翼のギアペンダントが損傷した状態で元の形に戻っていた。

 

「まさか、翼のシンフォギアは……。」

「絶刀・天羽々斬が手折られたということだ……。」

 

 S.O.N.G.の艦内では完全に意気消沈していた。天羽々斬とイチイバルが損壊してしまったことでまともに戦えるのが響と瑠璃の二人だけになってしまった。櫻井理論のデータは残っていても、それで直す腕を持った者が存在しない以上、実質直すことが出来ない。

 

「響君の回収はどうなっている?」

『もう平気です。ごめんなさい……。私がキャロルちゃんときちんと話が出来ていれば……。』

「話を……だと?」 

 

 響の行動に思わず面を食らった弦十郎だった。

 

 一方ロンドンでは黒塗りの車がマリアを囲うように配備され、そこから降りた黒服達が銃口を向けていた。

 

「状況報告は聞いている。だがマリア・カデンツァヴナ・イヴ、君の行動制限は解除されていない。」

 

 目的は多くの規定を超えてしまったマリアを捕らえる為のものだ。だがここまでの事が起こった以上、ただ偶像でいる事に耐えられるわけがない。マリアは翼の通信機を借りる。

 

「風鳴司令。S.O.N.G.への転属を希望します。」 

「マリア……」

「ギアを持たない私ですが、この状況に、偶像のままではいられません。」

 

 そう言うと、マリアは月を見上げた。




蹴って投擲はクー・フーリンが実際にやってるので、瑠璃にもやっていただきました。
特に深い意味はない!
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