ちなみに私は切ちゃん推しデス。
(もちろん調も好きデスよ)
発電所を守る為にバイデントのギアを纏い、戦う瑠璃。既に発電所は防衛部隊による銃撃戦が繰り広げられているが、相手はアルカ・ノイズ。通常のノイズと比べて解剖器官による分解能力にエネルギーを周した為に位相差障壁が低い為、シンフォギアでなくても現代兵器が通用するが、数の暴力の前に防衛戦は徐々に後退してしまう。
瑠璃が到着しても、迫りくる解剖器官を避けながら戦わなくてはならず、たった一人の援軍では状況は覆らない。また一人、また一人とアルカ・ノイズによって防衛部隊は分解され、その数はどんどん減っていく一方である。
その様子をジークが発電所のパネルから脚を組んで見下ろしていた。隣にはミカがいる。
「人間にしてはそれなりによく足掻く。」
「珍しくジークが人間を褒めてるゾ。」
ミカがそう言うとジークは不快感を露わにする。
「褒めたつもりは微塵もない。だが退屈しのぎには丁度いい。精々虫ケラらしく踊ってもらうとするか。」
そう言うと立ち上がり、飛び立つ。
「あ!ズルいゾ!」
抜け駆けされたと思ったミカも後を追う。
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瑠璃の活躍によりアルカ・ノイズの大群を相手に何とか防衛線を後退させずに踏みとどまっているのだが瑠璃も人間である限り、体力の限界というのはいつか訪れる。もう何体倒したのか数える事すら面倒になるくらいの量を倒していた。だがそれでもアルカ・ノイズは大群をなして襲い掛かってくる。
「キリがない……。」
額から頬に伝う脂汗を拭って、構える。だがそこにバイザーが2体の敵の反応をキャッチした。頭上を見上げるとジークがハルバードを振り下ろして来た。
二本の槍で受け止めて、押し返すも今度はミカのカーボンロッドが大量に降り注いだ。何とか被弾を避けるべく避けるも、避けた先にジークのハルバードの石突によって腹部を打たれてしまい、飛ばされた先にあったコンテナに背中を強く打ってしまう。
痛みを押し殺して起き上がるもアルカ・ノイズとジーク、ミカに囲まれ逃げ場を失ってしまった。
S.O.N.G.ブリッジのモニターでもその絶体絶命の窮地が映し出されている。この絶望的な状況から脱する術がないという事実を突きつけられていた。だがその中に、調と切歌の姿がなかった。
二人は今どこにいるのかのいうと、響が眠るメディカルルームにいた。二人はかつてリディアンに潜入した時に使われた美人潜入捜査官メガネを着用して忍びこんでいた。調に引っ張られる形で連れて来られた切歌は、彼女が何をしようとしているのか掴めていない。
「調……メディカルルームで何をするデスか?」
「時間稼ぎだよ切ちゃん。ギアの改修までの。」
「でもメディカルルームでどうやって……」
調は辺りをキョロキョロと見回している。何かを探しているようだ。
「このままだと瑠璃先輩までやられてしまう。そうなったらメディカルル-ムの維持もできなくなる。そうなったら……」
調は響の眠る顔を覗き込む。調の思いを察した切歌は微笑む。
「だったらだったで、助けたい人がいると言えばいいデスよ。」
「嫌だ……。切ちゃん以外に私の恥ずかしい所見せたくないもの……。」
恥じらいながらそう言う調に切歌は嬉しそうになる。
「調~!」
有頂天になった切歌は調に抱き着こうとするが、調が探し物を見つけてその方へと身を翻してしまい、切歌はそのまま床とごっつんこしてしまう。
「見つけた……!」
「これを持って、急いで助けに行くデスよ!」
調はかがみ込んでお目当てのものを見つけた。笑顔になった二人はそれを持ち込んでメディカルルームを後にしたが、行く先はブリッジではなかった。
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アルカ・ノイズと二体のオートスコアラーに包囲され、逃げ場を失った瑠璃。前衛のアルカ・ノイズが瑠璃のギアを分解しようと攻撃を仕掛けるが、瑠璃の攻撃で塵と化す。だが再び襲い掛かる攻撃に対応しきれず、解剖器官が黒槍の穂先に触れてしまう。
「しまった……!」
無情にも黒槍は分解され、右側の守りが消えた事で、襲い掛かるアルカ・ノイズの解剖器官が迫って来た。
だがそれは突然放たれた無数の小型の鋸と投擲された鎌の刃に切り刻まれた事で、届くとなく分解された。
「今のって……!」
放たれた方を見ると、切歌と調が施設の屋根に、それぞれのギアを纏って現れた。二人が飛び降りると、外から包囲するアルカ・ノイズに攻撃を仕掛ける。
調はアルカ・ノイズの懐に入り込み、スカートを鋸に変形させると自身ごと高速回転させて、ノイズを切り刻む。
【Δ式・艶殺アクセル】
切歌も自身を軸に大鎌をコマのように高速回転させてアルカ・ノイズを真っ二つにする。
【災輪・TぃN渦ぁBェル】
二人の攻撃でアルカ・ノイズの数が減ると、包囲が僅かに綻びが生じた。
「瑠璃先輩!」
「今のうちに!」
包囲の抜け目を通り、脱出に成功する。二人はある程度アルカ・ノイズを倒すと距離を取り、瑠璃と合流する。
「チッ……また虫けらが入り込んだか……!」
包囲を崩され、計画の邪魔をされた事に苛立つジーク。ミカは獲物が増えた事に無邪気に喜ぶ。
「調ちゃん……切歌ちゃん……どうして?!」
「瑠璃先輩一人で戦わせて、黙って見ているだけなんて出来ない……!」
「アタシ達にも守らせてほしいのデス!」
調と切歌が言い切ると、弦十郎からの通信が入る。
『お前達!何をやっているのか、分かってるのか?!』
「もちろんデス!」
「今のうちに、強化型シンフォギアの完成をお願いします……!」
弦十郎のお叱りを受けながらも切歌と調はアルカ・ ノイズの殲滅に掛かる。言うことの聞かない子供二人に弦十郎は頭を抱えた。
『また勝手な事を……』
「お父さん、お願い!今は見逃してあげて!」
『お前まで……!』
「私が責任を持って二人を送り返すから!」
部下としてでなく、娘として父親に願い出た。そんなわがままを通すわけにはいかないが、二人が瑠璃を助けなければ、今頃はバイデントを失いアルカ・ノイズに分解されていたであろう。ましてや瑠璃の体力もあまり残っていない。発電所を守る為には切歌と調の力を借りるしかない。
瑠璃は残った白槍だけで目の前のアルカ・ノイズを殲滅させるが、ジークが目の前に立ちはだかる。そうなるとミカは必然的に切歌と調に頼むしかない。二人の方を向いて
「切歌ちゃん、調ちゃん!その赤いのは二人に任せても大丈夫?!」
二人に確認を取る。瑠璃に頼られている事に嬉しく思ったのか調はそっと笑みを浮かべ、切歌は元気よく答える。
「はい……!」
「こいつはアタシ達に任せるデス!」
瑠璃は頷き、ジークの方に向き直る。
「薬頼みの装者がミカを止められはしない。そして、お前も私の領域を破れる事はなく這い付くばる定めだ。」
「出来るよ。あの二人なら。」
瑠璃は白槍を構えた。 そしてジークはハルバードの穂先を地に刺し、トポス・フィールドを展開させる。
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艦内では戦いの様子がモニタリングされているが、オペレーター陣が切歌と調のバイタルを確認した時、ある異変を感じていた。
「シュルシャガナとイガリマ、装者二人のバイタル安定……?ギアからのバックファイアが低く抑えられています!」
「一体どういうことなんだ?」
本来、二人は適合係数が低く、LiNKERの補助がなければギアをまともに運用出来ず、ギアのバックファイアによる苦痛が全身に襲い掛かる。だが今の二人のバイタルを見ると友里と藤尭が確認した通り、そのような様子は全く見られない。
疑念を抱いていると、緒川と弦十郎はある事を確信した。
「さっきの警報……そういう事でしたか。」
「ああ。あいつ等メディカルルームからLiNKERを持ち出しやがった!」
「まさかmodel_Kを?!奏の残したLiNKERを……」
model-K。かつて二課のガングニール装者だった亡き天羽奏が使用していたLiNKER。彼女もまた、マリア達と同じく、LiNKERを使用する事で後天的に装者となった。しかしこのmodel-Kはウェルが作った以前に作られた旧式であり、彼のような個人に合わせた優しいLiNKERとは程遠い、まさに劇薬そのものである。当然身体に掛かる負荷も段違いであり、調と切歌はそれも覚悟の上で使用した。
「ギアの改修が終わるまで!」
「発電所は守って見せるデス!」
だがそれでも二人は瑠璃の期待に応える為に、守るべきものを守る為に目の前の強敵と対峙する。
同じ頃、メディカルルームで眠っていた響の意識が戻った。
次回、瑠璃VSジーク戦