発電施設を襲っているのはミカとジークだけではない。残りの3体も他の発電施設を襲っていた。無制限で活動出来る装者が瑠璃のみだった為に、3体が襲っていた発電所はあっという間に陥落してしまった。これで残るは瑠璃、切歌と調が守る発電施設のみとなってしまった。
3箇所の破壊を確認したキャロル。ファラからの報告を受ける。
『該当エリアのエネルギー総量が低下中。まもなく目標数値に到達しますわ。』
「レイラインの解放は任せる。オレは、最後に仕上げに取り掛かる。」
鎮座した玉座から立ち上がる。
「いよいよ終わるのだ。そして万象は、黙示録に記される。」
いよいよキャロルが動き出そうとしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ジークとの交戦を始めた瑠璃。瑠璃は先手必勝と言わんばかりに接近し、白槍を突き出し、ジークはそれをハルバードで受け流してから石突で瑠璃の鳩尾を狙う。瑠璃も、柄で受け止めてジークの腹に蹴りこもうとするが、それもハルバードの柄で防がれる。
長物の戦いは、刃だけでなく全ての部位が武器となる為、その場でどのような攻撃が最善かを一瞬で判断しなければならない。瑠璃はその高い動体視力によって、その場で適切な攻撃と防御を繰り出すが、ジークはそれ全て防ぎ、攻撃に転じている。さらに瑠璃は黒槍を失っている為、バイデントの本来の力の半分を失った状態で戦わなくてはならなかった。
対するジークは的確に人の急所を狙っている。だが瑠璃の的確な防御と、響戦の時のデータによって今の所は防ぎきれている。ジークは一度距離を取る。
「少しは出来るようだな。」
「私は負けられない……。皆から託されてるから。だから私は戦える……!」
瑠璃の仲間の絆を信じる力によって支えられている。それがいかなる逆境も乗り越え、今回も乗り越えられると信じている。だがジークは
「愚かな……人間の絆など簡単に壊せる。そんな不確かなものを信じ切るお前の愚かさには心底呆れる。」
「一度繋がった絆は、簡単には壊れはしない!」
瑠璃は再び接近して白槍を振り回すが、ジークはそれを柄で受け止め鍔迫り合いに持ち込む。
「どうかな?貴様らのすぐ近くに裏切り者がいる事を知っているはずだ。それでよく他人を信じられるな。」
瑠璃は一瞬揺らいでしまった。ジークの指摘通り、キャロルに情報を流すスパイは未だに誰なのか分かっていない。その事実を突きつけられてしまった瑠璃は、鍔迫り合いを解いて、距離を取る。
その様子は艦内のモニターでも映されているが、エルフナインは何かに気付いた。
「もしかして、あのオートスコアラーの能力は……!」
「何か気付いたのか?」
「はい。恐らくジークは、最初に展開していた領域、トポス・フィールドによって、範囲内にいる相手の動きを読んでいるものと思われます。」
エルフナインは響の攻撃が全て避けられ、さらに背後を突こうとしても逆に返り討ちにあったというデータで、ある程度の推測していたのだが、今回で確信が持てた。
「瑠璃さんの動体視力は並外れた才能です。ですが、トポス・フィールドによってその動体視力による行動パターンをジークに読まれてしまえば、瑠璃さんの攻撃と防御を先読みして、その上から叩き潰されてしまいます。」
「そんなの後出しジャンケンみたいなものじゃん!そんなのに一体どうやって対抗すればいいの?!」
輪がジークの能力の優位性に腹を立てるがエルフナインは冷静に教える。
「ジークの先読みを封じる必要があります。恐らくあの領域の範囲外であれば、それが出来なくなります。」
すると弦十郎が瑠璃に指示を送る。
「瑠璃!距離を取って戦え!そいつの土俵の上では勝ち目はない!」
通信を聞いた瑠璃は、一度距離を取る為に後退する。そして白槍の持ち方を変えるとそれを思い切り投擲する。
ジークは叩き折ろうとハルバードを構えたが、何とジークの目の前で真っ直ぐ向っていた軌道が、直角に、変則的に変わった。
【Assault Pisces】
「何……?!」
初めてジークが狼狽えた。瑠璃はフィールドの範囲外で槍の遠隔操作を行っていた。ジークは追尾する槍を弾き返すが、白槍が何度も変則的に襲い掛かる為、防御に徹する事で精一杯だった。
思考を持たない無機物である槍が相手ではトポス・フィールドは無力である事が判明し勝機が見えて来た。
(エルフナインちゃんが繋いでくれた!)
エルフナインを信じていたから、絆を信じたからこそトポス・フィールドの弱点に気付けた。このまま一気に畳み掛けようとした、まさにその時だった。
「「きゃあああぁぁ!」」
調と切歌の悲鳴が聞こえ、振り返ると発電施設のソーラーパネルが破壊され、二人は倒れていた。
「二人とも!」
だがそれに気を取られた事で遠隔操作が切れてしまう。白槍の奇襲攻撃が止まってしまい、ジークは攻勢に転じようとしていた。
切歌と調はLiNKERのオーバードーズを利用してミカと戦ったが、ザババの刃のユニゾンを持ってしてもミカには届かない。その非情な現実に突きつけられていた。
「このままじゃ変わらない……変えられない……!」
「こんなに頑張っているのにどうしてデスか?!こんなの嫌デス……変わりたいデス!」
「まあまあだったゾ!でもそろそろ遊びは終わりだゾ!」
ミカが切歌に目掛けて急接近してきた。
「バイラアアァァーー!」
切歌は反応しきれず、カーボンロッドによってギアのコンバーターが砕かれた。そのまま倒された切歌はギアが分解され、一糸纏わぬ姿へと変わってしまう。
「切ちゃん!」
倒された切歌に気を取られている隙に、ミカが後ろからカーボンロッドで殴ろうとするが、辛うじて防ぐ。
「お前のギアも壊してやるゾ!」
イガリマのギアを壊された事を目の当たりにした瑠璃はジークとの戦闘を辞め、二人のもとへ駆けつけようとする。
「逃がすと思うな!」
瑠璃の進行方向にアルカ・ノイズの大群を召喚してきた。だが瑠璃は真正面から戦わず、跳躍してアルカ・ノイズの群れを飛び越える。
「切歌ちゃん!」
「瑠璃先輩……!調が……調が……!」
切歌を抱えて、今度は調の救援に駆けつけようとするが、既に調もまたギアを分解されてしまっていた。一糸纏わぬ姿で倒され、アルカ・ノイズが迫るが白槍を投擲して、調に襲い掛かるアルカ・ノイズを蹴散らし、調と切歌を守る様に立つ。
「やらせない!二人には手を出させない!私がいる限り!」
既に体力は限界であるが、それでも瑠璃は己を鼓舞して奮い立たせる。
「ならば貴様から始末してやる!精々蝶のように舞い、無様に散って見せろ!」
さらに追い打ちを掛けるようにアルカ・ノイズの数を増やす。
「せ……先輩……」
「大丈夫……二人は絶対に守ってみせるから……!」
「逃げて瑠璃!このままじゃアンタまで!」
艦内で輪が必死に呼び掛ける。
「輪さん……。」
振り返ると、今しがた目が覚めた響がいた。輪は両目尻に涙が溢れそうになっていた。
「どうしよう響……。このままじゃ瑠璃が……!」
だが響はガングニールを破壊されてしまい、戦う事が出来ない。このままでは瑠璃を失ってしまう。それだけは嫌だった。
それでも瑠璃は逃げずにアルカ・ノイズ倒していく。だがとうとう残った白槍も分解され、守るものがなくなってしまった隙に、アルカノイズの解剖器官がギアコンバーターに直撃してしまう。瑠璃もバイデントのギアを分解されその裸体が全て露わになって倒されてしまった。
そこにジークが目の前に現れ、見下ろしていた。
「無様だな。その程度で私に勝つつもりだったのか?」
「がぁっ……!ぐぅっ……ぎぃぁ……!」
ジークは無抵抗の瑠璃の身体を蹴り、仰向けにするとその腹を何度も殴って必要以上に痛めつけていた。
「やめて……これ以上先輩を……。」
調の懇願もジークには届かない。彼女は好き好んで甚振っている。次第にエスカレートしていき、ジークは瑠璃の左肩を踏みつけ、徐々にその力を強めていく。
「ぎゃあああぁぁ……っ!ぁぁっ!!」
瑠璃が悲鳴を挙げ、苦痛に苦しむ姿を、ジークの顔はその悦楽にふけっているかのように嗤っていた。
「もうやめてよ!これ以上瑠璃を傷つけないでよ!誰か……誰か瑠璃を……助けて……!」
瑠璃に対する虐待に、輪は見ていられず助けを求めていた。
「もう少し貴様の悲鳴を聞きたかったが……お前にはもう用はない!」
そうして瑠璃の身体を蹴り上げる。だが蹴り飛ばした先の下にはアルカ・ノイズの群れがいた。そのまま落ちてしまえば瑠璃は分解されてしまう。託されたはずなのに、無様にギアを分解されてしまっただけでなく、自分達を守ろうとした瑠璃が死んでしまう。
「誰か……先輩を……誰かああああああぁぁぁぁ!!」
切歌の叫びが響き、瑠璃はアルカ・ノイズの餌食に……
「誰かだなんて、つれねえこと言ってくれるなよ!」
聞き覚えのある声が聞こえた。切歌と調はその方を向くとアルカ・ノイズは蹴散らされ、瑠璃は翼に抱えられていた。
「剣……?」
「ああ……振り抜けば、風が鳴る剣だ!」
翼とクリスが強化型シンフォギアを纏って、瑠璃を救ってくれた。瑠璃に託し、託された絆の力が実を結んだ。
瑠璃をもっと痛めつけてほしいと思った方、正直に手を上げてくださいw(イイゾーモットヤレー。)