ただ今までのオリジナルエピソードが長すぎたので今回は短めになります。
輪の意識が戻った。現実世界に戻っていた。着ている服もそのままで。
「瑠璃……。」
起き上がると瑠璃はギアを纏っている姿に戻って立っていた。
「輪……ありがとう。」
「元に戻ったんだね……!良かった……!」
戦闘中だったジークと装者達も瑠璃が元の姿に戻った事に驚き、装者達はそれに加えて歓喜した。
「姉ちゃん!」
「瑠璃さん……!」
「元に戻ったデース!」
「良かった……。」
だが喜んでばかりではいられない。ここがまだ戦場でジークがまだ健在であることを。
「やっと闇から抜け出せたか。だが今更虫けらが一匹増えたところで……!」
ジークは不敵な笑みを浮かべる。やっとこれから本当の戦いが始まる。
「皆!この戦い、私に委ねてほしい!私があれを倒す!絶対に倒すから、私に力を貸してほしい!」
覚悟に満ちた瑠璃の顔。皆は今の瑠璃ならイグナイトを制御出来ると確信している。その意図を組んだマリアは瑠璃に駆け寄り、微笑むように告げる。
「良い顔になったわね。」
無言で頷く瑠璃。
「私は賛成です!」
「ああ。真打ちは瑠璃に任せよう。」
「その代わり、絶対に倒せよ!」
「瑠璃先輩なら絶対出来ます。」
「あいつをぶっ飛ばすデース!」
皆は快く了承してくれた。ここまで託された以上、その期待に応えなきゃならない。
「私は親友を助ける……!胸を張って親友でいられるようにしたい!皆が託してくれた……だから必ず勝つ!イグナイトモジュール 抜剣!!」
再びマイクコンバーターに入力、宙に投げると外殻が変形し、エネルギー状の刃が展開、それが瑠璃の胸を貫く。
「ぐぅ……!ぅっ……!」
再びその身に闇が降りかかる。
(私達は人間……。何度でも間違えるし、仲違いだってする……。だけど絆は、それを乗り越える度に、その絆は強くなっていく……!)
「負けるな瑠璃!闇なんか乗り越えろー!」
輪が応援してくれている。装者の皆が期待してくれている。弦十郎が帰りを待ってくれている。
(何度間違えたってやり直せる……!その度に強くなっていく……それが……本当の絆の力なんだ!!)
ダインスレイフがその思いに応えるように、インナースーツが黒く染まり、胴には藍色の鎧が形成される。左右非対称だった四肢の白い装甲も黒に統一され、藍色のラインマーカーが命の鼓動を表すかのように光る。
瑠璃がイグナイトの支配に成功した。
「瑠璃……。」
「輪、行ってくるよ。」
その背中は大きく、逞しくなっているように思えた。
「分かった。絶対に勝ってね。」
瑠璃が振り返って輪に微笑む。バイザーはイグナイト時にオミットされている、その為、戦闘補助システムは使えない。だが今の瑠璃にはそんなもの不要だ。
ジークを見据え二本の荒々しくなった槍を構える。
「何が絆の力だ……!そんなもので、絶望的な状況から何を変えられると言うのだぁ?!」
アルカ・ノイズの召喚石がばら撒かれ、大量のアルカ・ノイズが召喚された。
「瑠璃!私達が活路を作る!」
「雑魚は私達に任せてあいつを!」
翼とマリアがアルカ・ノイズを前線で蹴散らす。クリスも後衛からガトリング砲を乱射する。クリスに襲い掛かるアルカ・ノイズから守るように響、切歌、調が返り討ちにする。
「今です瑠璃さん!」
「ぶちかませ姉ちゃん!」
「絆の力を信じて……!」
「行ってくるデスよ!」
「ありがとう、皆!」
瑠璃はそのまま単騎でアルカ・ノイズによって塞がれ、仲間が開いてくれた道を駆け抜ける。
「貴様らぁ!!」
ジークは特大の波動を両手から放った。しかも自ら召喚したアルカ・ノイズごと装者達をまとめて吹き飛ばそうとした。その強大な力に瑠璃は一瞬怯む。
『立ち止まるな!』
喝を入れてくれたその声。
「うん!」
瑠璃はそのまま走り、二本の連結させた槍を高速回転させて、そこから発せられる竜巻のエネルギーで、波動を打ち消した。
【Harping Tornado】
「何ぃっ?!弾いただと?!」
(馬鹿な?!私の最大出力を……!!ふざけるなあぁ!!)
「ふざけるなあああああぁぁぁーーーっ!!」
両手を振り下ろすと、爪の斬撃が放たれるが瑠璃は連結させた槍の穂先にエネルギーを集め、そのまま2つの斬撃を弾く。
【Raging Hydra】
ジークは連続で爪の斬撃を繰り出すが、瑠璃の動体視力で迫りくる斬撃を避け、連結された槍で弾く。
斬撃を相殺した瑠璃は槍に跨って飛行、その高い機動力を持ってジークを惑わす。
「虫けらがちょこまかと!!」
叩き落とすべく腕を振り回すが、瑠璃の高い機動力では捉えきれない。だが先程から避けるばかりで攻撃しようとしない。次第にスピードが落ちていき、ジークの尻尾が伸長、槍となって瑠璃の身体を貫いた。
「瑠璃!!」
「姉ちゃん!!」
翼とクリスが悲鳴に似た叫びを挙げる。ジークは勝利を確信し、笑みを浮かべるが
「何?!」
引き裂かれた瑠璃の形が歪み、消えた。これは幻影だった。
【Mirage Virgo】
「おのれ……本物はどこに……?!っ!」
本物の瑠璃は下にいた。幻影に囮をさせ、瑠璃は攻撃のチャンスを窺っていた。そして、その隙だらけとなった鱗の守りがない脇をRaging Hydraで穿ち、左腕を破壊した。さらに瑠璃は急旋回してそのまま急降下、右肩を破壊する。
「馬鹿な……ぐぁっ!!」
そのままジークの腹部を蹴り上げ宙へ打ち上げる。連結された槍にエネルギーを限界まで集約させて、腰のブースターを点火、打ち上げられたジークに狙いを定める。
「貴様一人ににここまで……!」
「それは違う!」
ジークの言葉を真っ向から否定する。
「これは、私と輪、そして、皆が繋いでくれた絆の証!私達の絆は、永久に繋がる
それを見ていた輪が叫ぶ。
「やっちゃえ、瑠璃いいいいぃぃぃーーーー!!」
「皆の絆がここに集まったこの一撃!貫けえええええええええぇぇぇぇーーーーー!!」
槍を突き出すと、集まったエネルギーが槍を覆い、まるで天へ昇る龍の頭となってジークの胴体を捉えた。そのエネルギーと勢いを乗せた一撃で胴体を貫いた。
ジークは最期に己の使命を思い出した。それが果たされたのは良い。だが1つだけ認めたくないものがあった、
(馬鹿な……!!これが……絆の力だというのか……?!)
「この私が……負けたと言うのかあああああああぁぁぁぁーーーー!!」
瑠璃の、装者達の絆の力の前に敗れ、断末魔を挙げたジークはそのまま爆散した。
【Twilight Drago】
ジークを貫いた瑠璃は槍を天に掲げると、そこを中心に夜空を遮っていた雲が払われ、夜空が姿を現し、そこには星々が燦然と煌めいていた。
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瑠璃が降り立つと、勝利を称えるように日輪が昇り、夜明けの光が射し込んだ。
皆ボロボロだったが、その疲れはジークを倒した勝利で吹き飛んだような気がしたのか、装者達は瑠璃の所へ集まった。
「凄いですよ瑠璃さん!本当にドラゴンが出てきたみたいで……痛たた……!」
「おい、無茶すんな!」
「よくやったな、瑠璃。」
皆が勝利を、イグナイトを支配出来た事を祝福してくれた。そしてもう一人
「瑠璃ー!」
輪が手を振ると、瑠璃はギアを解除して駆け寄る。そして、互いに勝利を喜び合うように抱きしめ合う。
「やったよ輪!」
「見てた見てた!凄かったよ瑠璃!あんなの倒しちゃうなんて!」
「あの時輪が来てくれなかったら……私は闇に囚われてたままだった。これは皆と輪と、一緒に掴んだ勝利だよ……!」
そう言うと、輪は大粒の涙を流して瑠璃を強く抱きしめた。
「ごめんね……っ!ごめんね瑠璃ぃ……!私……私……あの時、酷い事を言って……もう……嫌われちゃったんじゃないかって……!」
人目も憚らず、輪は泣き叫ぶ。
「ありがとう……輪。やっぱり輪は、私の最高の親友だよ……っ!」
「ぅっ……うぅっ……ありがとう……ありがとう瑠璃いぃ……っ!」
それを遠目から見ている他の装者達。瑠璃と輪の蟠りは完全に無くなっていた。
「瑠璃さんと輪さん、仲直り出来て良かったぁっ……!」
「めでたしめでたし、デスね……!」
「一件落着……。」
響、調と切歌は思わず貰い泣きしてしまう。
「あの二人、よくお似合いだな。」
「けど、そういう事は家でやれっての。」
「そう言う割には、満更でもないんじゃない?」
クリスも半ば呆れているが、嬉しそうに笑っている。翼もマリアも、微笑する。すると、落としてきたカメラをマリアが拾う。
「マリア?」
「良いから。せっかくのベストショット、逃したくないじゃない。」
マリアはカメラのシャッターを押す。瑠璃と輪の写真を撮った。その写真に写る瑠璃と輪は、涙を流していたが、どんな写真よりも輝くような笑顔だった。
良かった……救われた……。ちなみにその後の処理については番外編にて書こうと思います。
輪の名前の由来
輪→「日輪」と「輪舞曲」のダブルミーニング。
出水→出
瑠璃は夜空なので朝日を連想させる日輪から作られました。故に太陽のように明るい性格なのです。
オルガニック・ドラゴ
ジークの強化形態。
手持ちのハルバードと合体すると3m近くにまで巨大化し、今までの急所を突いた戦い方からパワフルなものへと変わる。
トポス・フィールドは使えず、その巨体故に攻撃は避けられないが、分解した鎧が鱗となって全身を守る為、攻撃はさらに通りにくくなっている。ただし胴体前方、関節の裏側を覆えない為、そこの守りは脆い。
アリストテレス著作 オルガノンから