まあ実を言うと最初はそんな予定無かったんですけどね。
それはさておき、いよいよ佳境を迎えた無印編。
一体何が起こるのか。
突然だが小日向未来は今、一人で下校している。
先日響にふらわーというお好み焼き店でご馳走してもらうという約束をしていたのだが、突然響に諸用が出来てしまいドタキャンされてしまったのだ。
気分が落ち込んだまま一人でふらわーで食事をしていたのだが、そこの店主であるおばちゃんから励まされた事で響と向き合う事を決め、店を出て今に至る。
すると丁度向かいに響が走っている。
「響ー!」
未来は響に手を振るがここで思わぬ事態が起こる。
「未来!来ちゃ駄目だ!」
響が警告するも二人の間に鞭が通った。
その衝撃で地面は抉れ、未来は吹き飛ばされた。
「しまった、他にも人が……!」
犯人はネフシュタンの鎧を着たクリスだったが、未来を巻き込むつもりはなかったようだ。
だが既に打ち上げてしまった車が未来の頭上に襲いかかっている。
Balwisyall Nescell Gungnir Tron……
ガングニールを纏った響が車を吹き飛ばした。
「響……」
「未来、ごめん……」
シンフォギアを纏った響を見てしまった未来は何て声を掛けたらいいか分からず戸惑っていると、響はそう言い、巻き込まれないよう市街地から離れる。
ある程度離れると、戦闘再開の合図をするかのように少女は鞭を振り下ろし、響はこれをガードする。
「どんくせえのがやってくれる!」
「どんくさいなんて名前じゃない!」
そう反論すると
「私は立花響、十五歳!誕生日は9月の13日で、血液型はO型!身長は、この間の測定では157センチ!体重は……もう少し仲良くなったら教えてあげる!趣味は人助けで好きなものはご飯アンドご飯!あと……彼氏いない歴は年齢と同じぃ!」
突然の戦場のど真ん中で自己紹介を交えた反論に、クリスが口を開けて引くには十分だった。
「な、なにをトチ狂ってやがるんだお前?!」
確かに突然の自己紹介の上に身長やら彼氏いない歴なんてもを聞かされたら、この反応は至極当然であるが、響は真剣だった。
「私達はノイズと違って言葉が通じ合えるんだからちゃんと話し合いたい!」
「なんて悠長!この期に及んでぇ!」
少女は鞭で攻撃を繰り出すが、今までの響から見られなかった動きと反応の速さに内心驚いていた。
(ガングニールの動きが変わった!覚悟か?!)
「話し合おうよ!私達は戦っちゃいけないんだ!だって、言葉が通じていれば人間は……」
「分かり合えるものかよ!人間が、そんな風に出来てねえんだよ!気に入らねえ!気に入らねえ!気に入らねぇ!分かっちゃいねえことを知った風に口にするお前がぁ!お前とギアを引きずってこいと言われたがもうそんな事はどうでもいい!お前らをこの手で叩きつぶす!今度こそお前の全てを踏みにじってやる!!」
響の説得が癇に障り最早かなりふり構わず、鞭から球体状のエネルギー弾を放った。
「吹っ飛べぇ!!」
それを響は受け止める様に防ぐとまさかの2発目が飛んできた。
「持ってけダブルだぁ!!」
今度は反応しきれず吹き飛ばされるが受け身を取って、ダメージを軽減させた。
だがアームドギアは形成されず、力を出し切れていない。
どうすればいいか考えると、だったらそのままそのエネルギーを拳に託せばいいと考えると、右腕のガントレットを手前に引いてエネルギーを集中させる。
「この短期間でアームドギアまで手にしようっていうのか?!させるかあぁ!!」
阻止しようと鞭を振り下ろすがそれを右手で受け止める力いっぱい引っ張る。
引き寄せられた少女は響の腰のブースターで接近を許し、強烈なパンチが少女の胸に直撃した。
その一撃は鎧に風穴を開け、倒れると咽ぶ。
畳み掛けるチャンスであるにも拘らず、響は追撃するどころかつっ立っている。それは殺意と戦意は消えていないどころかさらに焚きつけられる。
「お前……馬鹿にしているのか?!あたしを!雪音クリスを!」
「そっか、クリスちゃんて言うんだ」
クリスの名を聞けたのか、響は嬉しそうに語りかける。
「ねえ、クリスちゃん。こんな戦い、もうやめようよ。ノイズと違って私たちは言葉を交わすことが出来る。ちゃんと話をすれば、きっと分かり合える!だって私達、同じ人間だよ!」
響は説得を続けたがクリスは内なる思いを曝け出した。
「くせえんだよ……。嘘くせえ!青くせえぇ!そうやって姉ちゃんを騙して、弄んで、苦しめやがって!」
「え?姉ちゃん?姉ちゃんって誰の事?」
響の知る限り、知人に雪音という名字はいない。心当たりもなく、響は戸惑った。
「惚けんな!あたしには雪音ルリっていうたった一人の、掛け替えのない家族がいたんだ!なのに……姉ちゃんは……!!」
「待って!その話、詳しく……」
「いい加減に沈めよおぉ!!アーマーパージだあぁ!!」
身にまとっていたネフシュタンの鎧の破片を弾丸の様に脱ぎ捨てた。
響は直撃を避けたがクリスの周りには砂煙が立ち込め、視界が効かない。
Killter Ichaival Tron……
そこに聞こえたのは紛れもなく詠唱
「これって歌?!」
「見せてやる、イチイバルの力だ!」
クリスが纏っていた赤いシンフォギアは、かつて二課で失われたはずの聖遺物第二号「イチイバル」だった。
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同じ頃、二課でもその反応をキャッチしてモニターにイチイバルと表記されている。
「イチイバル……だとぉ?!」
弦十郎は驚愕を隠せなかった。
それはかつて二課で失われたはずの聖遺物だったからだ。
しかもそれが敵側に渡っている。
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砂煙が晴れるとその姿を見せた。
(あれ……?瑠璃……さん?!でも…………)
髪の色、泣きぼくろが無いことを除けば本当にそっくりである為、見間違えてしまうのも無理はなかった。
「歌わせたな……!あたしに歌を歌わせたな!教えてやる……あたしは歌が大っ嫌いだ!!」
「歌が嫌い……?」
イチイバルの左右腕部装甲がクロスボウへと可変するとそれを容赦なくエネルギーの矢をそれぞれ乱射。
あまりの速さに、響は何とか回避する事しか出来ず接近もままならない。
今度はガトリング砲へと可変し、乱射する。
【BILLION MAIDEN】
何とか距離を取って被弾の確率を減らそうとするが、腰のバインダーが展開されると追い打ちを掛けるように2発のミサイルを発射させた。
【MEGA DETH PARTY】
弾速は速く、響の目の前まで近づくと爆破、砂煙が立ち込めても容赦なくガトリング砲をぶっ放していた。
発射をやめ、砂煙が晴れた……が見えてきたものは
「盾?!」
「剣だ」
何と巨大な天羽々斬が全弾防いでいた。
翼は柄の部分から、青い髪を風で靡かせて見下ろしている。
「死に体でおねんねと聞いていたが、足手まといを庇いに現れたかぁ?」
「もう何も、失うものかと決めたのだ。」
翼の新たな決意。
そこに弦十郎から通信が入る。
『翼。無理はするな』
「はい……!」
天羽々斬が防いでくれたお陰で無傷だった響は見上げる。
「翼さん!」
「気づいたか、立花。だが私も十全ではない。力を貸してほしい」
「はい!」
クリスが翼を狙ってガトリング砲を斉射するが、軽やかな身のこなしで軽々と躱し、あっという間に接近を許してしまう。
頭上からの斬撃をクリスは避けたがガトリング砲を蹴られ体勢を崩してしまう。何とか立て直したが後ろには振り向きもせずに天羽々斬をクリスの首元に触れていた。
(この女、以前と動きがまるで……!)
以前戦った時は感情に左右されていたが、今回は逆の立場となっている。
「翼さん、その子は……」
「分かっている。」
響の頼みを聞き入れ生け捕りを狙うが、如何せんクリスの抵抗は激しかった。
翼とクリスは互いに正面から構えて対峙する姿勢になった。
(刃を交える敵じゃないと信じたい。それに、十年前に失われた第二号聖遺物、瑠璃のことも正さなければ……。何よりこの子……瑠璃と……)
互いに一歩も譲らない状況だった。互いに動き出そうとした
「まさか詠唱?!」
詠唱と共に黒い光が発した。そこから黒い槍が飛来してきた。しかもその軌道には
「クリスちゃん、避けて!」
響が咄嗟にクリスにタックルした。
すると先程クリスが立っていた場所に黒い槍が刺さった。
「立花!」
「お前、何やってんだよ?!」
クリスを守ろうと突然の行動だったが、結果的にお互い無傷であるものの、響がクッションのように下敷きになっていた。
「ごめん。クリスちゃんに当たりそうだったから、つい……。」
翼は槍を見るとそれがアームドギアであると気付く。
「これは……アームドギア……!まさか新たなシンフォギアが?!」
翼はクリスの方を見るが、当の本人は何の事か分からず、困惑が顔に出ている。
「知らねえよ……!こんなの聞いてねえぞ?!」
「翼さん!あれ!」
響が指した方には藍色のシンフォギアを纏った装者が歩いて現れたが、どこか禍々しい雰囲気を醸し出す。
藍色を基調としたインナースーツ、上肢右側が黒、左側白の左右非対称の装甲、下肢の装甲は藍色でブーツを彷彿とさせる。
顔はヘッドギアと連結されているバイザーによって隠されており、素顔が見えない。
一方司令室では新たに現れたシンフォギア装者についてデータを集めている。
「新たなアウフヴァッヘン波形を検知!照合します!」
友里、藤尭が解析するが、モニターにはUnknownと表示される。
つまり日本では未確認のシンフォギアということになる。
「データバンクに一致される聖遺物がありません!」
「未知のシンフォギア……だとぉ?!」
見たこともないシンフォギアを目の当たりにし、驚愕していた。だがそれだけでは終わりではなかった。
「何者?!正体を現せ!」
翼が剣先を装者に向けて警告するとバイザーがヘッドギアの一部になるように解除された。
だがその素顔にその場にいた全員と本部にいる弦十郎は驚きを隠せなかった。
「なっ……馬鹿な!」
「嘘……だろ……?!」
「そんな事って……」
発する言葉は三者三様でも、反応は敵味方問わず一致する。
その風貌を見間違えるわけがない。
短い黒髪、ラピスラズリのような瞳だが輝きが無く淀んでおり、左目尻の泣きぼくろがあった。
本部でもその様子が映し出されていたが、弦十郎の額から脂汗が一筋伝わる。
「ま、まさか……」
何故ならその正体はクリスによって攫われ、行方不明となっていた少女……
風鳴瑠璃だった。
これによりタグが追加されます。
それと皆さん、ババアではなくオバハ……
あ、ノイズせんぱ……(塵になる音)