戦姫絶唱シンフォギア 夜空に煌めく星   作:レーラ

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遂に輪がグレました。グレ輪です。

あまりにもストーリーが重すぎる上に主役であるはずの瑠璃が一切出てこないので後書きに平和なおまけを用意しました。


敵だらけの世界

 学校に救急車のサイレンが聞こえてきた。音が重なっている辺り一台だけじゃない。まあそれを呼ぶ原因になったのは私なんだけどね。

 私を散々リンチして来た奴を再起不能にしてやった。いつも私に対してやってる事なんだからやり返されても文句言われる筋合いはないし、大体それくらいの覚悟がないのに虐めるんなら最初からすんじゃねえよ……。

 でも結局一人取り逃がしたまま私は先生、もとい大人達に止められて生徒指導室へと連れて行かれた。少しして知らせを受けた小夜姉も入ってくると、大人達は私達を避難した。

 

「なんて事をしてくれたんだ!」

「君の報復は限度を超えている!」

「どんな理由があってもやり返していい事にはならん!」

「君の妹さんはどういう教育を受けてきたんだ?!」

「すみませんでした!ほんまにすみませんでした!輪がご迷惑お掛けして……」

 

 大人達は大勢で寄ってたかって私の小夜姉を責めると、小夜姉は何度も頭を下げて謝った。まあ私のした事は褒められたことじゃないのは知ってるよ。

 じゃあさ、何で今みたいにあいつらを止めてくれなかったの?何で私だけが責められるの?見てたよね?私が痛めつけられてるのに、旭も虐めに巻き込まれている事に。教員すら私達を敵としか見ていないのがよく分かるよ。そんな奴らに、先生って呼びたくない。小夜姉もこんな奴らに謝らないでよ……!どいつもこいつも、私の周りには敵しかいない。それを嫌というほど思い知らされた。結局私は2週間の停学処分、自宅で謹慎するよう言われた。

 

 当然この暴行事件はマスコミや報道機関に取り上げられた。私がいない間、学校に報道機関の人間が押し寄せて、大人達はその対応に困ってたらしい。ざまあみろ。まあ、そいつら以外のマスコミが、今私の家の前にもいっぱいいるんだけど。

 家の中を撮られないよう家にある全部のカーテンを閉めたから日の光が入って来ない。余計に気分も暗くなる。二階の部屋の窓から覗こうとすると、カメラマン達が私の写真を撮ろうとカメラを向けている。どんだけ暇人なんだよマスコミって。まるで性欲に飢えた発情期みたいで馬鹿みたい。だったら芸能人の尻でも追いかけてろよ。 

 あの事件については実名報道はされず、顔も公開されなかったけど、SNSではとっくに特定されている。私があのライブの生き残りである事も含めて。だから私を犯罪者予備軍と避難する人が多かった。だけど、どういうわけか少し経ったら私にやられた被害者達への攻撃が始まり、私の擁護や家族を失った私に対する同情論までもが展開された。スマホでSNSの反応を自分の部屋で見てた私は、余計にむしゃくしゃした。

 

「同情とかいらないんだよ……。あっ……」

 

 記事を見ているとあるニュースが目に入った。天羽奏が亡くなった事で解散した元ツヴァイウィングの風鳴翼がソロデビューシングルを出すというものだった。以前と表情が、どこか冷たくなっているように感じるのはファンであればすぐに分かる。だけど、そんな事を気にする事は出来なかった。

 

(何で……こいつはあんな事があったのに……のうのうと唄えるの……?あんた達のライブのせいで……私達は……!)

 

 スマホを投げつけると、それが壁に貼ってあったツヴァイウィングのポスターに当たった。あれからツヴァイウィングの曲を聴かなくなっていた。どんな曲を聴いても、私の心は晴れない。失ったものは、もう帰って来ない。

 

(そうだよ……元はと言えば、ツヴァイウィング……!あいつらのライブに行ったから……あいつらが私達の人生を……透も家族も……!)

 

 あいつらの顔なんて見たくない。声も、歌も聴きたくない。私はその憎悪と衝動のままにポスターを破って、それを1つの塊にするとゴミ箱にねじ込んだ。CDもジャケットごと割った。あいつらが映ってる雑誌も破いた。グッツもツヴァイウィングのものは全部壊してゴミ袋へと放り込んだ。私の部屋からツヴァイウィングに関わる物を全部処分した。

 私は、ツヴァイウィングが憎い。私の家族を滅茶苦茶にしたツヴァイウィングが憎い。いつか復讐してやりたい、私と同じ地獄を味わってしまえ。そう思うようになった。

 

 停学が解けた日、私は小夜姉の為に仕方なく学校に通った。毎日マスコミが待ち構えていて、しつこかった。マスコミを撒いて学校へ着いたけど、みんな私を怯えて避けていく。教室に入ると、私を糾弾したあの女がいなかった。

 後で知ったんだけど、私がいる学校にいたくないと親に泣きついたらしくて、それで転校していったらしい。あとあの4人組の男達、転校はしなかったんだけど、あれで懲りたのか大人しくなっていた。

 席に座って授業開始を待っていたけど、みんな私を化け物を見ているかのように私を見ていた。

 

「何見てんだよ……?」

 

 ジロジロ見やがって……居心地が悪い。小夜姉を心配させたくないから学校に来てたけど、馬鹿馬鹿しくなってきた。教員が来て出欠確認をとった後、授業が始まる前に私は教室から出て行った。それ以降、私は学校に行かなくなった。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ウチは今、東京で絶賛就活中や。っちゅうのも大阪の病院を辞めて東京へ戻ったんや。看護師の資格があるからすぐに雇ってもらえるもんやと思うてたんやけど、どこもかしこもあのライブの生き残りの家族っちゅうだけでどこも雇ってくれへん。だったらんな器の小さい病院なんざこっちから願い下げや!

 仕方ないからしばらくは昼間と夜でアルバイトを掛け持ちする事にしたんや。昼間から夕方に掛けてスーパーのレジ打ち、夜はコンビニや。少しでもあの子を食わせていく為にはウチが頑張らんといかんのや。まあウチは人より身体頑丈やし、大変やけど苦じゃない。

 そんな時、バイト先へ行こうとした時、電話が入った。それに出ると学校から電話が掛かった。輪が停学が解けたっちゅうのに2ヶ月も学校に来てないって話やった。せやけど、毎朝普通に制服着て見送ってるんやから何かの間違いやないかと思っとたんやけど、どうやらホンマに学校に行ってないみたいや。

 しかも、この2ヶ月で他校の生徒と諍いを起こしとったみたいで、みんな病院送りにされて苦情が相次いどるっちゅう事や。

 

「分かりました。妹にはウチから言いますんで。はい、ありがとうございました。」

 

 着信を切った直後に、今度は輪に電話を掛ける。

 

「もしもし輪?あんた今何処におるん?!」

『何処でも良いでしょ。』

「ええわけあるか!2ヶ月も学校行ってへんやて?!あんた今年受験生やろ?!何考えとるん?!」

『うるさいなぁ……。今家にいるよ……。』

「ちゃんと学校に行き!それじゃあどこの高校にも入れへんの分かっとる?!」

『ウゼえんだよ!!』

 

 輪が突然怒鳴った。

 

『どいつもこいつも私を殺人鬼にして、私達を寄ってたかって袋叩きにして、それでお父さんとお母さん、旭が死んじゃって……それでも誰も助けてくれないじゃん。小夜姉だってそうだよ!なんであんなろくでなしの大人達に頭下げちゃって媚諂っちゃってさ!』 

「何やて?!」

『学校なんか大嫌い!センコーも……それに頭下げてるあんたも大嫌い!!』 

「ちょっと輪?!輪?!」

 

 電話を一方的に切られてもうた。また掛け直すけど、あの子は出なかった。

 

「輪……あ、ヤバっ!遅刻してまう!」

 

 急いでバイト先のスーパーまで走る。輪の事は後で話を聞いておこう。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 私は制服のまま家を出て、外を適当にフラフラしていた。もう誰から見ても私は不良だ。こないだもナンパしてきたどこ中か分からない男どもをシメた。でも危うくサツに捕まるところだった。

 もう学校にいたって良い事は何もない。持ち出したカメラで外の風景を撮っても、殺風景でしかない。自販機で適当に買った缶ジュースを飲み干す。 

 何が高校受験だよ。どうせ私を入れてくれる学校なんてあるわけがない。それにあんな連中のくだらない授業なんか聞きたくない。あのセンコーども私が助けを求めても、誰も助けてくれなかったじゃん!

 でも、小夜姉にあんな態度は無いよね……。大嫌いなんて言っちゃった。たった一人しかいない家族に、大好きな小夜姉に酷いことを言っちゃった。そんな自分が嫌になる。

 イライラして缶を握り潰してそこら辺の地面に叩きつけるように放り投げた。それでイライラが収まるわけないけど。

 

「透……旭……私どうしたらいいの……?」

 

 夕日の空を見上げると、鳥が飛んでる。それを見ながら鼻歌を唄う。そう言えば逆光のフリューゲルにそんな歌詞があったよな……。って駄目だ、ツヴァイウィングの事を考えると、余計にムシャクシャしてしまう。

 

「帰ろう……。」

 

 こんな敵だらけの世界に生きていたって仕方ない。いっそこのまま、消えてなくなりたい。そう思ってたら、目の前に黒いワゴンカーが目の前で止まった?

 

「ちょっと、何……んむうぅっ!」

 

 何なのこいつら?!私を攫ってどうする気?!嫌だ!放して!助けて!!助けて小夜姉!!

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 丁度同じ頃

 

「迷っていたら時間が掛かってしまったな。」

 

巌のように体格が大きく、赤いカッターシャツを着た大男が、レンタルDVD屋の袋を片手に店から出てきた。最近養子に入った娘に映画を見せてやろうとDVDを数本も借りたのだが、つい選ぶのに時間が掛かってしまった。早く帰ろうと車に乗ろうとした時だった。

 

「あれは……!」

 

男達によって無理矢理黒いワゴンカーに乗せられた少女を目撃してしまう。

 

「これは見過ごせないな。」

 

そう言うと男はスマホで電話を掛ける。

 

『もしもし?どうしたの?』

「瑠璃、すまないが少し帰りが遅くなる。」

『え……本当にどうしたの?』

「いや何、ちょっと野暮用だ。」

 

そう言うと通話を切り、男は急いで車に乗った。




おまけ 某ゲームの無線風やり取りその2

「ねえクリス。少林寺蹴球って知ってる?」
「いや、知らねえな。」
「元プロサッカープレイヤーだったコーチが、新しいサッカーチームを作る為に奔走するの。それで出来上がったのはなんと少林拳を使うサッカーチームなの!彼らの独特の少林拳を使ったプレイで大会優勝を狙うってお話なの!」
「それってカンフーってやつか?でもサッカーって手を使ったら駄目なんだろ?」
「そうなんだけどね、足だけじゃなくて、鋼の身体、旋風脚、空渡り、鉄の頭もあるの。」
「それ本当に人間が出来るのかぁ?!」
「ふむ、少林拳を使ってサッカーをすると聞いた時は、衝撃だったな!」
「お父さん?!」
「オッサン?!」
「よし!そうと決まれば早速特訓だ!お前達、準備を急げ!」
「お、おいオッサン!行っちまいやがった……。」
「何か、お父さん変なスイッチ入っちゃったね……。」

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