オレ、重要なことは何も教えてくれない人の養子になったんだけどやばくないかこれ?   作:Luke Black

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ルーク、ドアマンに起用される

 

 ハッフルパフ対グリフィンドールのクィディッチ戦でグリフィンドールが勝利した日の夕方、ハリーはまるで闘牛のように険しい顔をしながらお祭りムードのオレたちに一直線に突撃してきた。

                                                                

「3人とも、どこか誰もいない部屋を探そう。大変な話があるんだ」ハリーは、オレ達を空き教室の中に引き入れて扉を閉めた。

 

「僕らは正しかった。『賢者の石』だったんだ。それを手に入れるのを手伝えって、スネイプがクィレルを脅していたんだ。スネイプはフラッフィーを出し抜く方法を知っているかって聞いてた……それと、クィレルの『怪しげなまやかし』のことも何か話していた……フラッフィー以外にも何か別なものが石を守ってるんだと思う。きっと、人を惑わすような魔法がいっぱいかかってるんだよ」

 

「惑わすってあの鏡みたいな? 教授が鏡と睨めっこしてたらさぞかし面白いだろうな」

「ルーク、ふざけている場合じゃないわ。もしそれが本当なら、クィレル先生がスネイプ先生に抵抗している間だけしか『賢者の石』は安全じゃないわ」

「それじゃ、三日も持たないな。すぐ石はなくなっちまうよ」とロンは言った。

 

 オレたちの予想とは裏腹に、クィレル教授はめちゃくちゃ粘っているらしい。むしろ逆にオレたちの顔色が青白くなる番だった。

 

「あと十週間先に試験があるわ。二年生に上がるには試験をパスしないといけないのよ。私たちみんな進級するために、勉強予定表を作ってきたわ。本当はあと1ヶ月はやく始めればよかったんだけど」

「なんだって? 十週間なんてまだまだ先じゃないか」とロン。オレも同意だ。

「ニコラス・フラメルからしたらほんの1秒よ」

「オレ達六百歳じゃないんだハーマイオニー」

 

 ただ、教授達も生徒のことをニコラス・フラメルと勘違いしているようだ。復活祭の休みには山のような宿題がでて、試験勉強もついでにはじめるようにと宣われた。

 

 オレはドラゴンの血の12種類の利用方法をネビルの横で念仏のように呟かなくちゃいけなかったし、ちょっと紙に羽をはやして遊んでいるとハーマイオニーと魔法史の問題の出しあいを強要された。しかも毎回のように「それ教科書の文言とちょっと違うわ」「いいだろ、狼人間と人狼って同じ意味なんだから」なんて会話もセットだ。

 

 今日も今日とてオレ達は図書館の片隅で『薬草とキノコ1000種』のクイズ大会をしていたら、ハグリッドの後ろ姿を見かけた。すかさず、ハリーが声をかける。

 

「ハグリッド! 図書館で何をしてるの?」

「いや、ちーっと見てるだけだ。おまえさん達は何をしてるんだ?」

「試験勉強だよ。あとは宿題」

「そうか、そうか。それはご苦労なこった。午後にでも息抜きにお茶しにこないか? いいもん見せてやる」

「いいもん? わかった楽しみにしてるよ」

 

 

 オレ達はキリがいいところで勉強を切り上げ、ハグリッドの小屋を訪ねた。小屋はカーテンを閉め切り、案内された中は窒息しそうなほど灼熱だった。

 

「ハグリッド、オレ達をハムとかソーセージにする気がないんだったら窓をあけてほしい」

「悪いなルーク、それはできん」

 ハグリッドはちらっと暖炉の方を見てそう言った。

 

「ハグリッド、あれは何?」ハリーが勇敢にもそう尋ねた。

 

 あきらかに季節にあわない暖炉の火、その上には大きな黒い卵があった。

 

「おまえさん達にはこれを見せようと思ってたんだ。昨日の晩、賭けに勝ってな。もらってきたんだ」

「これってドラゴンよね。もし卵が孵ったらどうするつもりなの?」

 ハーマイオニーの真っ当な指摘にハグリッドは尻の下から一冊の本を取り出した。タイトルは『趣味と実益を兼ねたドラゴンの育て方』。

 

「もちろん、ちいと古いがなんでも書いてある」

「そりゃあドラゴン飼育の規制が1709年で、その前の著書だからね。古いに決まってるよ。ハグリッド一つ忘れてると思うんだけど、この家木造だぜ」

 

 オレの言葉はハグリッドには届かなかったようだ。ルンルンで薪をくべている。

 

 

「ハグリッドから手紙がきた。もうすぐ孵化するって。どうする? 薬草学ぬける?」

「だめよハリー、試験前に授業をさぼるなんて。今日習った範囲がテストに出るかもしれないのよ」

「なら、午前の休憩時間に抜け出そう。授業終わった瞬間抜ければまにあ――やっべ」

「どうしたんだいルーク?」

「ドラコに聞かれたかも。あいつ不自然な場所で足止めてたし」

 

 4人は不安げな顔をしながらお互いを見つめあったが、解決策は出てこなかった。過去には戻れない。

 

 授業の終わりのベルがなるや否や、オレ達はいち早く立ち上がり小走りで廊下をあるいた。もし今スネイプ教授に出くわしたら「走るな、グリフィンドール5点減点」と言われるに違いない。

 

「もうすぐ出てくるぞ」ハグリッドは興奮で顔が紅潮していた。

 

 卵はテーブルに置かれ、深い亀裂が入っている。そして小刻みに揺れていた。椅子をテーブルに引き寄せ、5人で息をひそめて見守った。

 

 突然キーッと引っ掻く音と共に卵がパックリ割れ、赤ちゃんドラゴンがテーブルに出てきた。オレはハグリッドが赤ん坊に夢中になっているのを確認して、割れた殻を回収した。

 

「素晴らしく美しいだろ?」

 ハグリッドが手を差し出すと、ドラゴンは思いっきり手に噛み付いた。

 

「こりゃすごい。ちゃんとママちゃんがわかっとる!」

「ハグリッド、ノルウェー・リッジバッグ種はどのくらいで大きくなるの?」

 

 ハグリッドが答えようとした瞬間、固まって顔から血の気が引いた。

 

「カーテンのすきまから誰かが見とった……子供だ……学校の方へかけていく」

「マルフォイだ!」ハリーが叫んだ。

 

 

 オレ達は暇さえあればハグリッドのもとに通った。そして手放すように説得をしていた。ただハグリッドも念願のドラゴン飼育、なかなかうんと頷いてくれない。

 

「ハグリッド、二週間もしたら、ノーバートはこの家ぐらい大きくなるんだよ。マルフォイがいつダンブルドアに言いつけるかわからないよ」

 ハリーがハグリッドの耳元で叫んでいる。そうでもしないと聞いてもくれない。

 

「そりゃ、俺もずっと飼っておけんことくらいわかっとる。だけんどほっぽりだすなんてことはできん」

「じゃあどっかに預ければいい。専門の飼育機関とかあるだろ、杖芯用のとか」

 オレの意見にピンときたのかハリーが勢いよく立ち上がった。

 

「チャーリーだ! チャーリーはルーマニアでドラゴンの研究をしてるんでしょロン! ノーバートをそっちで飼って貰えばいい。大きくなったら自然に返してくれるよ」

「名案だ!」ロンもハリーの意見に同意した。

 

 ハグリッドは渋々チャーリーに手紙を書くこととなったのだった。もし自分で最後まで飼うと言い出したら完全に大きくなる前に魔法薬の素材にしてしまおうと思っていたからノーバート的には運が良い結末だろう。あー、ドラゴンの皮とか心臓欲しかったな。

 

 

 ロンの右手がノーバートに噛まれた以外は順調にことが進んだ。

 

 チャーリーからOKの手紙が来たし、ドラコも別になんのアクションもしかけてこなかった。ついでにハグリッドも気変わりすることなく、ノーバート用の持ち運びゲージを作っていた。

 

「ロン、それ放置してたらやばいって。医務室いこ。『ハグリッドのペット、ファングにかまれました』とか言えばなんとかしてくれるだろ」

「だよね、もう右手が腫れすぎて感覚がないんだ。僕のノートは君に任せるよルーク」

「それはいつもだろ」

 

 軽くロンを送り出したら、まさかの入院という結果になってしまった。ロンはドラゴン引き渡し作戦にはとても参加できそうになかった。

 

 ドラゴン引き渡し作戦はこうだ。

 

①ハーマイオニーとハリーが透明マントの中にノーバートをもって運ぶ。オレは野球帽をかぶってそこまでのドアの開閉をする。ついでに足跡を残さないようにするのも担当する。(使わない塔とか廊下もちゃんと掃除しておいて欲しいものだ)

 

②土曜零時、塔のてっぺんでチャーリーの友人が来るのを息をひそめて待つ

 

③バレないうちに寮に帰る

 

 とうとう計画の実行が今夜にせまった日、とんでもない事実が発覚した。

 

「どうしよう……マルフォイに取られた本の間にチャーリーとの手紙がはさまったままだ。僕たちがノーバートを処分しようとしていることがマルフォイにばれちゃう」とロンが真っ青な顔して言った。

 

 計画の練り直しをしようとオレが口を開けた瞬間「面会は終わりです。病人の顔色が余計悪くなりました。はやくお戻りなさい」なんてマダム・ポンフリーに追い出されてしまった。

 

「いまさら計画は変えられないよ。もうフクロウ便じゃ連絡が間に合わない。こっちは透明になれるんだ。なんとかなるよ」

 

 ハリーの押せ押せ作戦以外に代替案も見つからず、今日の夜予定通り抜け出すことになった。

 

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