オレ、重要なことは何も教えてくれない人の養子になったんだけどやばくないかこれ? 作:Luke Black
「なんかスリザリンとグリフィンドールちょっと点数減ってない? 昨日まであのライン超えてたよね」
「一年がちょっとやらかしたっぽいよ。まぁどうせクィディッチでひっくり返るだろ」
「なんだ、またグリフィンドールの双子がなんかやらかしたのかと思った」
朝起きると何人か得点について話している人もいたが、その日の夜にはそんな噂どこかに吹き飛んでいた。
ただ、ハリーとオレにはもう一つ試練が待っているのを忘れちゃいけない。
『罰則の内容が決まりました。今夜11時に行います。玄関ホールでミスターフィルチがまっています。マクゴナガル教授』
とのことだ。なんで深夜抜け出すのは禁止なのに、罰則は深夜なんだと思ったが罪人の立場でそんなこと言えるはずもない。
「ハリー、ルーク、がんばって」
「あぁハーマイオニー。罰則ってよりドラコと一緒ってとこが微妙だけどがんばるよ」
「終わったら僕たちが受けた罰則の話を僕たちの気が済むまで聞くことが、君への罰則だよハーマイオニー」
「もちろん。しっかりその罰を受けるわ。ついでにロンも」
◆
「ついて来い」
フィルチはランプを灯し、先に外に出た。
「規則を破る前に、よーく考えるようになったろうねぇ。どうかね?」
「はいとっても」
オレのフィルチへの返事にハリーがクスリと笑ったのに気づかれていたらもっと罰則が重くなっていたかもしれない。
真っ暗な校庭を横切って一行は歩いた。なぜかハグリッドの小屋に近づいているきがする。
「フィルチか? 急いでくれ。俺はもう出発したい」
「お前ら、ハグリッドが一緒だからか楽しそうな顔をしているが、おまえたちが行くのは森の中だ。もし全員無傷で帰って来れたら私の見込み違いだねぇ」
フィルチの言葉にドラコはさらに顔を青くしたし、なぜかハリーの顔からも血色がひいていた。
「森だって? そんなところ夜にいけないよ。それこそいろんなのがいるんだろう……狼人間とか、そう聞いているけど」
マルフォイの声は震えていた。
「そんなことは今更言ってもしかたねぇ。問題を起こす前に考えとくべきだったな」
とフィルチは捨て台詞のように言った。
そのあとも、ドラコは森に入るなんて召使のやることだとか、父上に言ったらとか色々言っていたが、この場にいる大人は誰も彼の主張を聞き入れなかった。むしろ恐怖を煽って来る。
「よーし、俺達は今から何者かに襲われて怪我したユニコーンを探す。最近よく襲われているんだ、かわいそうに。助からないとわかっても、楽に逝かせてやらにゃいかん。そいつをみつけたら終わりだ。二手に分かれて探すぞ」
「じゃあオレ、ファングと二人で行くからドラコとハリーはハグリッドといけばいい」
「いんや。ルークを一人にするなとマクゴナガル教授から直々に言われておる。なんでもおまえさん、森の植物を採取する気まんまんなんじゃろ」
「ちっ、じゃあ好きに決めてくれ。オレはそれに従う」
「じゃあハリーとマルフォイとファング、俺とルークでどうだ。大丈夫だ、ファングがいれば襲われることはない」
ドラコとハリーは同時に嫌そうな顔をしたが、これは彼らにとって罰則だ嫌だとは言えない。
オレはハグリッドとずんずん森の奥に入っていく。
「これ満月草じゃん。あっこれニワヤナギ、こっちはなんだ?」
「おいおいルーク、今はユニコーンを探すのに集中してくれ。今も苦しんでいるかもしれないからな」
「わかった、ごめんハグリッド。そうだ、ノーバート、無事ルーマニアについたって」
「そうかそうか、おまえさんたちには無茶をさせたな。悪かった」
「いいんだ。全部どうにかなったから、ハリーにも直接お礼を言っておいて。たぶん喜ぶから」
「もちろんそのつもりだ」
オレ達は会話をしながらどんどんと奥にすすんでいく。
「いまから見ることはちーっと秘密にしておいてくれよ」
「何するの?」
「知ってそうなやつに話をきく」
そういって連れて来られたのは奇妙な穴の中。オレは急に悪寒が止まらなくなった。もちろん風邪をひいた覚えもなければ、気温が下がったわけでもない。
「アラゴグはいるか? ちーっと聞きたいことがあるんだ。ハグリッドだ、ハグリッドが来たと言ってくれ」
気味が悪いくらいカサコソ聞こえる。暗闇のいたるところで何かがうごいているみたいだ。オレは今月より顔が青白くなっている自信がある。
『どうした、ハグリッド? 餌をもってきてくれたのか?』
「ちがう、今日はちーと森について聞こうかと思ってな。ルークそんなに警戒すんな…こいつはアラゴグ、俺の友達だ。アラゴグ、こいつはルーク、俺の友達だ」
まじかよ。ハグリッドの友達として紹介されたのは巨大なクモだった。つまりさっきのカサコソ音は全部クモだったってことだ。
オレは蜘蛛がダメだ。なんでかは知らないけど。オレ自身これだってきっかけもないからたぶん前世蜘蛛に悪いことをしたに違いない。今世では生き物を敵にしないようにしないとな。
発狂したくなるのをハグリッドのために必死に我慢した。手のひらに自分の爪を食い込ませることで正気を保つ。
『ハグリッド、この子はだめだ。殺してもいいか?』
「いーや、アラゴグ。オレの大切な友達なんだ。まぁそんなことよりもユニコーンが襲われている。何か知っていることはあるか?」
『森に相応しくないものがいる。邪悪なそれを感じる。最近森が騒がしい』
「そうかそうか、見たりはしてないんか?」
『私は巣にこもっているからそれ以上はわからない。その子を殺されたくないのなら早く連れて行ってくれ、気分が悪い』
「んなこと言うなってアラゴグ。今日は体調でもわるいんか? え?」
アラゴグもオレは同じ気持ちだったらしい。オレも早く遠ざかりたい。対面してからずっと手足が震え血が引いていってる。
その時、遠くから悲鳴が聞こえた。たぶんドラコだ。
「何かあったみてぇだ。アラゴグありがとうな。またな。ルーク、いくぞ」
「了解」
オレは嬉々として駆け足で悲鳴の方向に走っていくことになった。こっから離れられるんだったら狼男でもなんでもどんと来いだ。ハグリッドも後ろからはぁはぁ言いながらついてきている。
「大丈夫かハリー?!」
オレが走っていくと、ケンタウロスの上に乗っているハリーを見つけた。オレはケンタウロスの後ろに立たないようにしながら近づいていった。乗馬クラブの手伝いでそういうことは学んでいる。
「僕は大丈夫だよルーク、ハグリッドあっちでユニコーンが死んでる。森の奥の開けたところだよ」
オレはケンタウロスになぜか既視感を感じた。たぶん乗馬クラブの名残だろう。
「幸運を祈りますよハリーポッター 。ケンタウルスでさえも惑星の読みを間違えたことがある。かのケイロンもそうであったように。ルーク、君にも神々のご加護がありますように」
ケンタウロスは森の奥に消えて行ってしまった。
「ハリー大丈夫とか言って超震えてるじゃないか」
「ルーク、君も顔が真っ青だよ。談話室に戻ってから話そう」
「そうだな」
オレとハリーの顔色の悪さはいい勝負だった。
◆
オレ達が戻った時、ロンとハーマイオニーは談話室でまだ起きていた。
「ルーク、どっちから話す?」
「ハリーからにしよう。オレはまず暖炉に火をつけるところからはじめるよ。寒い」
「嘘だろルーク、今の気温何度だと思ってるんだ?」
ロンが目を丸くしているのに返事をする余裕は今のオレにはなかった。
オレが暖炉に適当に薪をくべているとハリーが話し始めた。
「僕たち襲われたユニコーンを見つけるってのが罰則の内容だったんだ。ルークとハグリッド、僕とマルフォイとファングの二手にわかれての捜索だった。しばらく歩いていると、黒いマントを着たなにかがユニコーンを襲っているのを僕見たんだ。その瞬間頭が痛くなって、その黒いやつに襲われかけた時ケンタウロスのフィレンツェが助けてくれた。その時にユニコーンの血は死から逃れられるって教えてくれたよ。その代わりそれを飲んだら呪われるともね。で、たぶんそういうことをする人ってヴォルデモートだと思──」
「その名前を言うなよハリー!」
ロンがすかさず叫ぶ。
「ごめんロン。そう例のあの人だって。じゃあ賢者の石は? 永遠の命をやつは求めているんだ。スネイプ本人が欲しかったんじゃない、例のあの人に献上するために盗もうとしてたんだ! フィレンツェは言ってた。僕は惑星の運命によると今夜死ぬ予定だったって、フィレンツェは星の運命を変えたってベインに怒られていたんだ。僕は殺されるべきだって思ってるんだ。ああいいさ、石が盗まれるのを待って、ヴォルデモートが復活し僕を殺しにきて終わりだ。最高だよ」
「ハリー! その名前を言うなって言ってるだろ!」
ロンの怒りなんて届かないくらいハリーは自暴自棄になっていた。
「大丈夫よハリー、ここの学校にはダンブルドアがいるのよ。指一本あなたに触れさせることはないわ。それに占い学って信用できないってマクゴナガル教授が仰っていたわ。だから大丈夫よ」
「ふー、とりあえず敵がはっきりしたことを喜ぼうぜ。知れば知るほど対策も立てられるってことだ」
「あらルーク、顔色がよくなったわね。で、あなたのほうは何があったの?」
「ハグリッドのやつ森の中でとんでもないもん飼ってた。だからドラゴンも飼えると思ったんだよ。オレ、アクロマンチュラを友達紹介されたんだ。ちなみに類はXXXXXつまりキメラとか狼人間とかと同じ危険な生物だ。そいつに聞き込み調査をしに行ったんだ。信じられるか?」
「それってすごく危険よ。もっとも危険な区分だもの」
「ついでにオレ生理的に蜘蛛が苦手なんだ。あれだけは小さくてもでかくても無理だね。本当に最悪だった」
「ルークそれ本当?! 僕も蜘蛛が苦手なんだ、双子の悪戯でテディーベアが蜘蛛に変わった時から」
「それされたらオレは気が狂うと思う」
オレとロンは蜘蛛談義を、ハーマイオニーがハリーを元気付けていると空が白み始めていた。
話が一段落しベッドに入った時にはクタクタでオレはすぐに眠りについた。