オレ、重要なことは何も教えてくれない人の養子になったんだけどやばくないかこれ? 作:Luke Black
9月20日。
今日はオレの11歳の誕生日。
オレは朝からダイニングで年齢不相応であろう量のリボンやら風船やらに囲まれて食事をとることになった。この飾り付けをアルバスひとりでやったとしたら今頃ぎっくり腰になっていそうだが、そんなことはなかった。
聞いたらビリーがやってくれたっぽい。そろそろビリーってやつの顔を拝んでみたいところだ。背の高い家事好きな男に違いない。
「ハッピーバースデー、ルーク」
「ありがとう、アルバス。えーっと、これは?」
「ホグワーツ
「ん? ホグワーツ
「おお、なんと。わしとしたことがすっかり言い忘れておった。君は魔法使いじゃよルーク」
「……は? アルバス、からかうのもいいかげんにしてください。なにを……いや、魔法使いなんているわけないじゃないですか。とうとう物語の世界から抜けられなくなりました?」
「ちゃんと存在しておる」アルバスはきっぱりと言った。「見れば納得してくれるかの?」
アルバスは杖らしき棒をふって朝食に用意されていたサラダにドレッシングを振った。必死に目をこらしても糸で吊っているわけではなさそうだ。誰かが「これは良くあるトリックで──」なんて言うのを待った。けど、返ってきたのはふくろうの鳴き声だけだった。
「わかったようだね」
わかったようだね、ってなんだ。なんにもわからない。それにやるならもっといい魔法はなかったのか? なんでサラダにドレッシングかけた? もうかかってただろ。
「君の両親は優秀な魔法使いじゃったよ。アイリスは最後まで勇敢じゃった」
「ちょっと待ってください。回想シーンに入る前に一つだけ質問させてください」
「……回想シーン? まあいい。なんでも言ってみなさい」
「両親は貧困で首が回らなくなってオレを孤児院に預けたんですよね?」
「それは違うんじゃルーク。彼らは闇の力に勇敢にも立ち向かった。シリウス……君の父上に関してはなにがあったのか誰もわからないが、母上のほうは君を守るために命を尽くして戦ったのじゃ。誇りに思いなさい」
「あー、今の段階ですでに指では数えられないくらい質問が思い浮かんだんですが質問しても? もしかして指の数も違うとかいいませんよね?」
「話を最後まで聞いてから質問することを推奨しよう。それと指の数は10本じゃ」
「わかりました」
アルバスによる長ったらしい話をまとめるとこういうことらしい。
①オレの両親は共に魔法使いであり、その中でもブラック家は結構有名らしく、オレはそこの息子兼後継者である。
②アルバスは決してファンタジー小説家ではなく魔法魔術学校の校長で今大体110歳である。超すごい魔法使いでもある。
③例のあの人=ヴォルデモートってやつが魔法使いの世界を闇に堕としたけど、赤子のハリーポッターって子がそいつを撃退した。
④そのハリーパパとオレのパパは同学年で#BFFだった。ついでにママ同士もだそうだ。奇跡的にオレとハリーも同学年である。(たぶんあれだ、うちの両親はなんでもお揃いにしないと気が済まないタチだったに違いない)
⑤オレの母さんは死んだが、父さんは生きている。ただ会える状況ではない。(あまりにもアルバスの顔が険しすぎてそれ以上聞く気になれなかった)
⑥入学準備のために入学近くつまり夏になったら街に出られるということ。
「──今知っておくべきはこれぐらいじゃろう。一気に話すと喉がかわくのう」
「……アルバス、時間はたっぷりあったんだから一年で少しずつ伝えて欲しかったです。そうすればあなたの喉もオレの頭も守られました」
「わしとしては書斎の本を読み尽くしておるからだいたい感づいているかと思ったんじゃが……まぁ誕生日のサプライズってことにしておいてくれんかの?」
「テヘペロの需要を考えてください。あと早急に質問したいことが」
「なんじゃ?」
「このめっちゃひっついてくる子はなんです? そしてボロを着せるくらいならちゃんとした服を着せてあげません? お金あるんでしょ?」
「あぁそれは
「ん?
「何を言っておるんじゃ? ハウスエルフの話は昔したじゃろう。そして主から服をもらったら解雇の意味をもつのを忘れたのか? 生憎まだまだ世話してもらいたいから服を渡すわけにはいかんのじゃ」
「わーお、オレずっとアルバスが掃除機とか洗濯機にハウスエルフって名前をつけてるのかと……」最後まで言い切る前に甲高い声に遮られた。
「はいっ!!! ビリーはアルバス様のために働いていらっしゃるのであります!」
「あー、君がビリー? オレの前に姿を表さなかったのはなぜ? オレたち1年間すれ違い続けてた気がするんだけど、まるで両片思いのドラマみたいに」
「ご主人様に11歳のサプライズまで我慢してくれと申しつかったからであります! 今日はルーク様とお会いできてビリーはとっても嬉しいであります!」
「オーケー、アルバス。一回家族会議が必要だと思いません?」
「なんのことじゃ? 誘いは嬉しいのじゃが、そろそろわしはホグワーツに行かねばならん。誕生日なのにすまないな。プレゼントはたくさん暖炉の近くに置いておいたから日中に開けてみなさい」
アルバスは自分が魔法使いだと示すかのように一瞬で消えてしまった。つまり逃げられた。
これはあれで読んだな、『簡単、トロールでもばらけない姿くらまし(自己責任です)』だ。
今まで書斎で読んだ本はだいたい全部ガチだってことが今日の午前中だけで理解できた。ついでに爆発の魔法も切断の魔法もあったから今までの不本意な奇行はほとんどは魔法のせいだったってことも判明した。最悪だ。
ただもちろんいいこともあった。もう異常現象を自分なりに納得させるための理屈をこねくり回さなくていいのは最高だ。箒を分解してもただの木で電気なんか流れていなくても、しゃべる本にスピーカーがなければ中から電池がでてこなくても。
この一年魔法のせいで悪戯をするどころかこっちが悪戯されている気分だったからな。明日からは本領を発揮できるはずだ。
◆
オレは入学までの10ヶ月、アルバスに意趣返しをしようといろいろ努力した。杖がない分思った通りに魔法を使うのに時間はかかるがオレには日中という誰にも邪魔されない最高の時間があった。ついでにまぁまぁ強い味方ビリーもいた。
ビリーに頼んで厨房に入りアルバスが使うスプーンだけ口の中に入れた瞬間フォークになるように魔法をかけたり、起床1時間前から優雅なロックを奏でたり。しょうもない悪戯を魔法をつかって何度も試みた。
結果はもちろん全て失敗だ。スプーンは化け損ねてスプーンとフォークの中間体みたいなやつに変わり「これは便利じゃのう」なんて言われるだけだったし、ロックはいつの間にか本当に優雅なクラシックに変わっていた。オレなりに変身術の本とか呪文学の本を読みまくって色々挑戦したがマーリン勲賞勲一等で大魔法使いで魔法戦士隊長のサンタクロースには勝目薄だった。
屈辱なことにこの10ヶ月で唯一成功した悪戯はアルバスの髭を寝ている間に素手でロープ編みにすることだった。それにたぶんこれは気に入って放置しているだけなのだろう。アルバスのセンスはおかしい。
「なぁビリー、魔法界にはラジオもテレビも新聞もないのか?」
「レジオもテラビも存じ上げておりませんが日刊預言者新聞なら存じておりますルーク様」
「その予言新聞ってどこで買えんの?」
「無理を承知で旦那様にお頼みしましょうか?」
「新聞もアウトか。あーあ、オレ前までは地区内の超情報通だったのにな。今じゃ最近のことより100年前の史実に詳しくなってる」
「旦那様は正しい知識を身につけてほしいとおっしゃられておりました。だからデタラメな新聞を読む前にルーク様は勉強をしなくてはいけません」
「そうは言うけどさビリー、オレもう狼人間に噛まれたときの応急処置から人に化ける3つの方法までそこらへんにある本全部読んで理解したんだ。あとは実践か、ゴシップかスキャンダル、それか時事ネタしかないと思わないか? 実践は薬草もなければ杖もない状況で何ができる? せいぜい今までの悪戯が限界さ。そろそろ勝率0な悪戯にも飽きてきた。これなら毎日食事について考えていたほうがマシってくらいにな」
「いけません! 食事を用意するのはビリーのお仕事なのです!」
「だろ?」
「クィディッチとかチェスはどうです?」
「ビリーはオレに一人何役させるつもりだ?」
「ルーク様なら大丈夫です。ビリーは信じております」
「待て待て待て。その信頼は全くもっていらない。それにチェスは置いておいてクィディッチは自分でクアッフル投げて自分で守るなんて虚しいことこの上ないだろ」
「……ビリーはそろそろ洗濯をしてこなければいけないのであります!」バチンとビリーが指を鳴らした。
「おいっ……はぁ、なんでこの屋敷のやつは都合が悪くなったら姿くらますんだよ……」
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