オレ、重要なことは何も教えてくれない人の養子になったんだけどやばくないかこれ?   作:Luke Black

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原作と同様またはそれより少しドビーがドビーしています。


ルーク・ブラックと秘密の部屋(完結済)
ルーク、妖精を叱りつける


 

 その日はいつも通りに始まった。

 

 フクロウに餌をやって、大型犬サイズの(これでもアルバスと二人で頑張って小さくした)フラッフィーとボール(フラッフィーがどこからか拾ってきたマネキンの頭だ、お気に入りらしい)遊びをし、長期休暇用に教授たちが出した山盛りの課題と、なぜかオレにだけだされた特別課題(マクゴナガル教授とアルバスが8割)をひたすら処理して、お昼を食べ、また課題をし。

 

 そこまではよかった。超勤勉まじめな学生だ。

 

「大変です、大変です。ああ、どうしましょう。いいえどうすることもできません。まったく本当に──」

 

 さっきからビリーを筆頭に何人かの屋敷しもべたちがパニクって廊下を行ったり来たりしている。

 

 そう最近発覚した事実なんだが、ビリー以外にも妖精たちは屋敷に複数いるらしく休暇で帰って来てからよくオレの前に出てくるようになった。名前はまだ全員分きけてないが、みんなけっこういいやつだ。

 

 ただ貢ぎ癖があるのは直した方がいいと思う。出会うたびにお菓子から手編みのマフラーまで渡してくる。ちなみに残念だが今はマフラーが欲しい時期じゃない。

 

「おい、ビリーどうしたんだよ?」

 オレは右往左往の筆頭であろうビリーに声をかけた。

 

「ルーク様大変なのです、ビリーのお知り合いのお方が昨夜マグルに魔法をお使いになられたそうなのです! しかもよりによってハリー・ポッター様のお家でですよ! 本当に何を考えているのか。脊髄反射ではなく考えてから行動しろと前々から──」

「ちょ、落ち着け。屋敷しもべって脊髄反射あるんだな」

「もちろんでございます、妖精ですので」

「いや、間違えた。そんなことを聞きたかったんじゃない。今ハリーって言ったか? オレの友人のハリー・ポッター?」

「そうでございます。やらかした後にこちらに来て相談されても何もできないに決まっていらっしゃいますのに。昔少し同じ場所で働いていたからってそんな姿現しで毎度こられるこちらの身にも──」

 

 さらっと情報漏洩が妖精同僚(元も含む)間でよく行われてますってカミングアウトしているようなもんだけど大丈夫か? ああ、だから屋敷しもべ妖精に秘書をやらせることもなく、大事な話の時は部屋に入れないのか。納得だ。

 

「で、ハリーのとこでなにがあったんだ?」

「ドビーがハリー・ポッター様のお家にお邪魔し、仕方なく魔法を使ったと申しておりました。これも全てハリー・ポッター様のためと被疑者は申しております。今頃魔法省からハリー・ポッター様の元に注意喚起のお手紙がいらっしゃっているはずでございます」

「わお、ハリーの家ってただでさえアンチ魔法だろ? やばいんじゃないのか?」

「そうです。やばいってやつでございます」

「そのドビーってやつはなにしに行ったんだ? まさかハリーに恨みでも?」

「とんでもない! 我々屋敷しもべの8割はハリー・ポッター様を尊敬しております。ドビーも同様です。でも我々には何をしたかったのかはドビーは教えてくださいませんでした。その代わり、ハリー・ポッター様宛の手紙を主人が出そうとしたらこっそり回収するようにとしか……あっ……ビリーは何もおっしゃっておりません」

 

 おいおい、今の明らかにオレに言っちゃだめなやつだろ。オレ、お前のこと結構信じてたのにマジかよ。

 

「……今のは無理あるぞ、ビリー。オレが書いた手紙はどうなったか教えてくれるよな?」

「ドビーにお渡しいたしました」

「で、そのドビーはハリーに渡してくれたのか?」

「……可能性はゼロではありません」

「つまり、オレが週一で書いた手紙も、食糧も、なんなら誕生日プレゼントもハリーに届いていないってことか?」

「……そうとも言うことができます」

「ちょっとその便利な姿くらましをしてドビーを今すぐここに呼び出せ! 一言バシッと言ってやる」

「承知しました。ただあちらもお仕事があると──行って参ります」

 

 オレの目を見て悟ったらしいビリーは姿を消し、1匹増えて帰ってきた。

 

「よう、君がドビー?」

「ドビーめにございます!」

 

 どうして自分が呼び出されたんだ? と不思議そうな顔をしたドビーが元気よく自己紹介をしてきた。

 

「勢いがいいのは良いことだが、君、オレの友人のハリー君を困らせてるって噂なんだけど。そこんとこどう思っているのかな?」

「ハリー・ポッターは安全なところにいなければなりません。今年のホグワーツはハリーポッター様にとって死ぬほど危険なのであります!」

「ようし、あと何時間かでそこの校長がこの家に帰ってくるんだ。ゆっくり話していかないか?」

「ドビーは悪い子! ドビーは悪い子!」

 

 急にドビーは近くにあった悪魔の罠の効率的な栽培方法の本で自分の頭を殴り始めた。痛そうなバシン、バシンという音が屋敷に響き渡る。

 

「おい、ビリー。とりあえず止めさせろ」

「はいであります! ご主人様の命令です! ドビー止まりなさいです!」

 

 止まったドビーは涙目で震えている。ついでに「ドビーは何もおっしゃってはいけないのです」なんて呟いている。

 

 いや、君たち屋敷しもべ妖精はすでに言っちゃいけないことを結構言ってると思うんだが。

 

「わかった、そこらへんは一応君のご主人様が絡んでいるんだろう。そういう解釈でOK? あっ、首を縦か横に振るだけしか許していないからな」

 

 ドビーは首を斜めに振った。いや、縦か横って言っただろ。

 

「端的に言うと君はハリーをホグワーツになにか理由があって行かせたくない。そういうこと?」

 ドビーは縦に頷いた。

 

「で、そのために郵便物をとめていた」

 またもやドビーは縦に頷いた。

 

「君にはハリーに忠告をする権利はあっても、ホグワーツに行かせない権限はない。それはわかっているのか?」

「ドビーめはハリー・ポッター様が大切なのです!」

「それは君の感情だ。ハリーがもしホグワーツに行かせたくないのならちゃんと理由を全て話し、脅したり妨害したりしてはいけない。言ってることわかる?」

「ドビーめは、ドビーめは絶対に止めるのです!」

 

 ドビーはオレの説教の最中にどこかに姿をくらましてしまった。マジかよ。

 

 オレ小さい子の相手は得意だけど、急に姿くらますちっちゃい子は専門外だったっぽい。

 

 やっぱり都合が悪くなったら姿くらますんだな魔法界のやつは。

 

「申し訳ございません。申し訳ございません」

「いや、ビリーが悪いんじゃない。はぁ、とりあえずロンの家にでも行くか」

 

 

 オレは夕方帰ってきたアルバスに明日の朝からロンの家に行きたい旨を伝えた。

 

 この時点でOKをもらえる確率は半々だった。なぜって? 外は治安が悪いとかいう理由で今年も一回も休暇中家の外に出てないからね。ロンの家は治安が悪くない認識であることを願うだけだ。

 

「そうじゃのう。アーサーの家……課題は終わったんじゃな?」

「もちろん。相手の家もいつでも大丈夫って言ってるし、だめですか?」

「くれぐれも気を付けるようにな。お小遣いを渡すから何かあったら使いなさい。それとどうやってウィーズリー家に行くつもりじゃ?」

「フルーパウダーかなって。それなら安全でしょ?」

「じゃあ明日の朝はそこまでは見送ることにしよう。楽しんでくるように。ただ、始業式前日にはこの家にフルーパウダーで戻って来なさい。ちとやってもらいたいことがあるんじゃ。何度も言うが宿泊中はくれぐれもウィーズリー家から離れんようにな」

 案外すんなり許可がおりた。

 

 待てよ、なんでそのまま9と4分の3番線までウィーズリー家と一緒に行くことが許されないんだよ!なんだよやってほしいことって? 

 

 そう思ったけど、これ以上何か言ってロンの家に行くこと自体を禁止されるのはまずいと思いなにも言い返さなかった。

 

「フラッフィーつれて行ってもいいですか?」

「それはやめなさい。君はウィーズリー宅を地獄にするつもりかのう? 世話はハグリッドに頼むから安心しなさい」

 

 

 オレは朝からお泊まりセットをもって暖炉の前に立っていた。

 

「じゃあ、行ってきますねアルバス」

「ホグワーツへの荷物は前回同様先に送っておくから心配せんでもよいぞ」

「いや、送る荷物の大部分をまだ買いにいってないんですが」

「安心せい。教科書や材料の類は全部こちらで用意しておくつもりじゃ。保護者が校長の特権じゃ。それにそうでないと今年は去年と違って君は教科書代で違うものを買いそうじゃからな」

「それはそれは買い被りすぎですよ。じゃあ適当にトランクに詰めておいてくれると嬉しいです」

「そのつもりじゃ。では『隠れ穴』に行くんじゃぞ」

「わかってますって。『隠れ穴』!」

 

 視界が何回転もすることはなかったが一瞬重力に逆らった気がした。全く熱くない炎に包まれオレは別の場所、つまり隠れ穴の暖炉に転がり込んだ。ちなみにこの炎を参考にして双子はクィディッチの時大活躍だった『時限炎』を作ったらしい。さすがだ。

 

「あー、おはようございます。ちょっと到着早かったですかね?」

「ルーク! 君来れたんだ!」

 

 ロンが朝食のサンドイッチを放り出して小走りでやってきた。双子も数秒遅れてこっちにきた。

 

「久しぶりだなルーク、休暇はどうだった?」とジョージ。

「課題を仕上げてきたからもう好きに遊べるんだ」

「やったな、見てもらいたい玩具がいっぱいあるんだ」

 

 フレッドはそう言ってオレをどこかに連れて行こうとした。

 

「あらあら、あなたがルークね。ロンと双子から話は聞いているわ。良く来たわね、朝食はもうすまして来たかしら?」

 

 優しそうかつ家庭的なマダムがキッチンから現れた。ロンのママだ。

 

「済まして来ました。あっ、これ保護者からの手土産です」

「しっかりしているのね。さっ、ロンあなた荷物が置ける部屋を案内してあげなさい。フレッドとジョージはお皿を片付けるのを手伝って」

「「「はーい、ママ」」」

 

 オレはロンについて階段を上がった。

 

「ちょっと狭いけど」

「賑やかでいいね。オレの家では屋敷しもべ妖精か本しか声をださないからな、あと鳴き声だとフラッフィーとフクロウ。しかも本は大体発狂するかうんちくばっかだ」

「わーお、まじであの三頭犬飼ってるんだ。ルークって結構クレイジーだよね。でも、なんで今日ここに来たの? 僕君がくるのもう少し先かと思ってた」

「それが、最悪な噂を聞いちゃってね。オレ一人じゃどうしようもないから作戦会議をしようと思って」

「なんのことだい?」

「ハリーだよ。いま郵便物がまったく届いてないっぽいんだ。それに魔法を使ったかなんかで保護者はお怒りっぽいし」

「なんでそんなこと知ってるんだ? もしかして手紙でも来た? 僕には一通も来てないんだ」

「いや、さっきも言った通り郵便は全部シャットアウトだ。なんで知ってるかって言うと、うちの屋敷しもべ妖精が教えてくれたんだ。なんでも、どっか別の家の妖精、あーオレの家の妖精の元同僚、がわざわざハリーの家に行ってホグワーツに行くのを阻止しようとしてるっぽい。理由は聞かないでくれ、オレも知らないから」

「なんだって?! つまりハリーは今どうなってるんだ?」

「オレの予想だと外部との連絡手段はなく、ホグワーツに行けるかも微妙ってとこだな」

「それってやばいよ! 助けなきゃ!」

「だからこっちに来た。オレ一人じゃどうしようもなくても君のご両親ならどうにかできるんじゃないかって思って」

「迎えに行くよう頼まなきゃ。荷物ここにおいたらキッチンに戻ろう。善は急げってやつだ!」

 

 オレとロンは数分もせずまたダイニングにもどってきた。

 

「ママ! ハリーを迎えに行かないと! ハリー今マグルに監禁されてるんだって!」

「ロン、そんなに叫ばなくても聞こえていますよ! でもそうね、アーサーとも迎えに行こうか話していたところだったの。今日の11時頃にでも伺おうかしら」

「あの、ウィーズリー夫人。ここからハリーの家まで車でも3時間はかかるはずですが……今は9時ですよね?」

「大丈夫よルーク。フルーパウダーネットワークは会員でなくても一時的に繋げることができるのよ」

「いえ、そのー、最近のマグルの家って暖炉がないことが多いので」

「あら! そうなのね。困ったわ……じゃあアーサーが仕事から帰って来たら車で行きましょう。お昼には帰ってくるはずですから、あの車が使えます」

「オレもハリーの家について行ってもいいですか? マグルのことならお役に立てると思いますし」

「僕も行く!」

「そうね、その方がハリーも安心するでしょう。ロン、あなたはアーサーが帰ってくるまで宿題を進めておきなさいよ。せっかく優秀なお友達が来たんですから教えてもらいなさい」

 

 ウィーズリー夫人の中でオレは優秀な友人らしい。

 

「うえ。まじかよママ。せっかく友達が遊びに来たのにそれはないだろ」

「文句を言うなら車に乗せませんよ!」

 

 こうして、オレたちはウィーズリー氏が帰ってくるまで宿題をすることを余儀なくされた。

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