オレ、重要なことは何も教えてくれない人の養子になったんだけどやばくないかこれ?   作:Luke Black

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ルーク、オリバンダーに児童書を紹介される

「さあ、ハリー話してくれるかい? いったい妖精と何があったんだ?」

 

 オレとロンはハリーの話第二弾をロンの部屋で聞くことにした。

 

 ハリーの話によると、ダーズリー氏の大事な商談の時にドビーがやってきたこと。

 

 ホグワーツには今年罠があるから行ってはいけないと言われたということ。

 

 ただ罠の内容についてはなにも教えてくれなかった上に、ハリーが約束しないからと言ってドビーはすみれの砂糖漬けを魔法でペチュニアさんの頭の上にひっくり返したりしたこと。

 

 そのせいで大事な商談は破棄され、ハリーは監禁生活だったと。

 

 ひと言でいうとこの状況、100%ドビーが悪い。

 

 ちなみに1日の食事がスープ二杯だったらしい。成長期にそれはダメだろ。だから背が伸びないんだ。口に出したらハリーに殴られそうだから言わないけど。

 

「でもハリー、君はホグワーツに行くよね?」

「もちろんだよルーク。僕にあんな地獄に閉じこもっとけって言うのかい? それなら罠のほうがましだね」

「去年も僕たちなんだかんだ乗り越えたんだ。ダンブルドアもいるし大丈夫だよ。あー、僕はチェスで1番最初にリタイアしたけど」

 

 オレたちはスネイプ教授の表現通り傲慢で、蛮勇なのかもしれない。この時はどんな試練でも乗り越えられる、そんな気がしていた。

 

 

 ウィーズリー家に来て一週間が経過した。ハリーはここではダーズリー家と違ってうまくやっているようだった。

 

 庭小人の駆除を手伝ったり、ウィーズリー氏に食事中マグルの生活について話していたりとウィーズリー家に馴染んでいた。そしてウィーズリー夫人がハリーにひたすらご飯のおかわりをさせようとするのが毎食の定番になっていた。

 

 オレはフレッドとジョージに加わっていたずらグッズの作成のお手伝いをしていた。並行してオレのホグワーツ地図作りも手伝ってくれている。

 

 マップ自体はもう作成済みであとは個人の識別をどうするかが今後の課題だ。

 

 とりあえず今のところホグワーツ中の床に重さを感知するカーペットを敷くか1mごとに見えないゲートを作って、魔法省が作っている戸籍データを引き抜いてきて個人を識別するか、杖と対応させ識別するか、そんな非現実的なことしか思い浮かばなくて難航している。

 

 なんで名前までわかる地図が作れたのか、先人を本当に尊敬する。

 

 アルバスの家での一週間とこっちに来てからの一週間は時の流れが全く違った。

 

 あっちでは分厚い本を1日10冊読んでも時間にお釣りが返って来たが、こっちでは本1冊すらまともに読めないかもしれない。

 

 つまり最高に充実して楽しいってことだ。

 

 

「おはようジニー。今日の服もかわいいよ」

「揶揄わないでルーク。人の服を気にするんだったらそのロンの服じゃなくて自分の服を着たほうがいいわ。あなたにその色似合ってないもの」

「やっぱり? オレも栗色とグレーの組み合わせは似合わない気がしてたんだ」

 

 オレはハリーと違ってジニーと良好な関係を築いていた。別にハリーとジニーが険悪な関係というわけではないけど。

 

 ジニーはハリーと出会うと半分の確率で物を落としたり、手元を狂わせるらしい。

 

 さまざまなものが割れていくのを見るのが日課だ。ロンによるとジニーはハリーのファンらしい。たしかに、自分と同じ屋根の下に推しがいたら気が動転するのも仕方がない。

 

 つまりオレはサンタの大ファンだ。

 

 よく皿を爆発させるからな、いたずらに失敗して。余談だがうちで1番しもべ妖精が使う魔法は修繕魔法だ。2番めは姿くらまし。ちゃんとアンケートもとった。

 

「ジニーおはよう」

 

 ほらやっぱり。

 

 ハリーがオレのあとから降りて来てジニーに挨拶をしたが、ジニーはその瞬間もっていた牛乳ヒタヒタコーンフレークをオレの方にひっくり返した。冷たい。

 

 ジニーは慌て過ぎて固まっている。

 

「あっ、ルーク、ごめんなさい」

「いいんだジニー。ロン、ごめん君に借りた服僕には似合わなかったみたいだ」

 

 オレはウィーズリー夫人に新しい服をオレのバックパックから出してもらい、牛乳臭さをどうにかするためにシャワールームに退散することになった。

 

 シャワールームから帰ってくるとみんな朝食の席につきそれぞれ手紙を読んでいた。フクロウが来たらしい。

 

「ルーク。これがあなたの分の手紙よ。朝食も冷めちゃう前に食べてちょうだい」

 

 ウィーズリー夫人から手紙と朝食を受け取り、ジニーの隣に座った。ここがオレの定位置だ。

 

「ロン、これオレの手紙ミスってない? ギルデロイ・ロックハートだけで七冊あるんだけど」

「残念。僕のもだよ」

「たぶんこの感じ、闇の魔術の防衛術の新しい教師だろ? 一年で七冊とかテスト範囲エグくなるぞこれ。ロン大丈夫そう?」

「まだ始まってないのにテストのことなんか思い出させないでくれルーク」

 

 オレとロンが教科書についてぶつくさ文句を言っているとフレッドが覗き込んできた。

 

「君たち2年もロックハートの本のオンパレードだ! この一式は安くないぞ。ロックハートの本ってなにしろ高いんだ」

 フレッドがウィーズリー夫人の方をちらっと見て言った。

 

「まあ、なんとかなるわ」

 ウィーズリー夫人は心配そうな顔をしつつもそう言った。

 

 ウィズリー家は人数が多い分一人一人にかけられるお金が限られるらしい。その気持ちはオレにもよくわかる。9歳までは自分のものって言えるのが自分の体しかなかったからな。

 

「エロール! ボロボロじゃないか!」

 

 ロンが言うエロールってのはウィーズリー家所属のおいぼれフクロウのことだ。今も窓に激突したおかげで配達に気づくことができた。

 

「あっハーマイオニーからだ。待ってたんだよ。ハリーがうちに来たって手紙を書いてからなかなか返事が返って来なかったんだ」

「たぶんその原因の9割が君のフクロウのせいだと思うよ」

 

 ロンは手紙の封を破り読み上げた。

 

『ロン、ハリー、ルークへ。

 お元気ですか。無事みんな集まれたと連絡が来て安心しています。それに、ロン、あなたがハリーを救い出す時違法なことをしなかったことを願っています。(魔法を使うとか)そんなことをしたらみんなが困ったことになりますからね。でもそういった連絡がないってことはルークあたりが頑張ってくれたんでしょう。わたしはもちろん勉強でとても忙しくしています。今年こそ学年1番をとるつもりなので。

 わたしたち水曜日に新しい教科書を買いにロンドンに行きます。ダイアゴン横丁でお会いしませんか? 返事は別のフクロウで送ってください。でないとあなたのふくろうはもうおしまいになってしまうかもしれないもの。お返事待ってます。

 ハーマイオニー』

 

「ちょうどいいわ。わたしたちも出かけて、あなたたちの分をそろえましょう」

 

 こうしてオレたちは水曜日に買い出しに行くことが決定した。ちなみにオレは何も買うものはないが一緒に付いていくことになった。

 

 

 水曜日の朝早く。

 

 オレは頑なに起きないロンをベッドから引っ張り出さなきゃいけなかった。

 

 まるで全身に吸盤でも付いてるんじゃないかって思うくらいベッドにへばりついていた。仕方なく耳元によく喚く庭小人を添えてあげたら布団から離すことに成功した。その代わり余計機嫌を悪くさせてしまった。

 

 ただ、そもそも機嫌が悪くなるべきなのは頑なに起きない友人を起こしてその上八つ当たりされるオレの方だ。

 

 口のなかにBLTサンドを突っ込み、コートを着込んだ。ダイアゴン横丁までフルーパウダーで行くらしく準備が出来た者から暖炉の周りに集合した。

 

「ハリー、あの粉をつかんで炎にふりかけながら行きたい場所を叫ぶ。すると瞬間移動できるっていう優れものだ。今回の場合『ダイアゴン横丁』って叫べばいい。OK?」

「わかった」

 

 オレは最低限の知識をハリーに伝えた。

 

 ただその最低限が良くなかったらしい。

 

 煤が目に入るからとか、肘をひっこめるとか、正しく発音するとかそういうことは一切伝えていなかったんだ。ハリーの番になった時、ハリーはおもいっきり自分が放った灰にむせ「ダ、ダイア、ゴ、ンン横丁!」と成功とは言い難い単語を叫んで煙突に吸い込まれていってしまったのだ。

 

「あー、ロン。今のって成功かな?」

「僕たちはそれを願うしかないよ」

 

 お互い顔を見合わせたが不安は拭いきれなかった。

 

「じゃあ次オレが行っても?」

 

 みんなが頷いたのを確認し暖炉の中に入る。そして一言『ダイアゴン横丁』と言うと視界が一変した。目の前にはフレッドとジョージ。

 

 いるべきハリーの姿がどこにもない。

 

「二人とも、ハリーがオレの前に来るのを見なかったか?」

「いいや、僕たちの次が君だ。ハリーのハの字も見えなかったね」

「つまりハリーはどこかに飛ばされたと……変なとこに飛ばされてないといいけど。ここらへんにやばい横丁とかある?」

「それはもちろんノクターン横丁だな。あそこはグレーゾーンなものがいっぱい売られているから治安が最悪だ。ただ表じゃ手に入らないものは大抵手に入るって噂だ」

 

 続々と、ロン、ジニー、パーシー、ウィーズリー氏と夫人、とでてきたが結局ハリーがその場に現れることはなかった。

 

「あなたたち! ハリーを知らない?!」

「僕たちの後がルークだったからたぶん失敗したんだ」

 

 ウィーズリー夫人の切羽詰まった質問にフレッドが答える。ジョージとオレもそれに頷く。

 

「アーサーどうしましょう!」

「とりあえず隣の火格子を探しにいくしかないな。みんな離れるなよ」

 

 こうしてハリーの捜索が始まった。

 

「ジニーオレと手を繋ぐ?」

「いやよ、もうそんな歳じゃないわ。それにわたし手を繋がなくても迷わずみんなに付いて行ける」

「そっか、それは残念。じゃあ腕でエスコートしようか?」

「手も腕も一緒よ」

 

 ジニーはそう答えてスタスタと夫人に付いて歩いていってしまった。残念だ。

 

 

 ハリーが見つかったのはグリンゴッツ付近だった。

 

 ハリーはノクターン横丁の『ボージン・アンド・バークス』って店に飛ばされて、ハグリッドと合流したらしい。

 

 ところでハグリッドはなんでそこにいたんだ? またドラゴンの餌を買ってたとか言い出さないよな?

 

「ハグリッド、フラッフィーはどんな感じ?」

「おうルーク、元気にやっちょるぞ。この間はファングと一緒に森をかけまわっちょった。飯もよく食うし悪さもせん、いい子だ」

「そっかそれはよかった。室内でもいい子なんだけどストレス溜まってないか不安でさ。やっぱ外の方がいいよなフラッフィーも」

「そうだな。ま、あいつも外に出たくなったらアピールするだろうし問題ねえ。実際1年間室内で過ごして問題なかったわけだし」

「それもそっか。まあ引き続きお世話を頼むよ」

「ああ、まかせろ。おっと俺はもういかねえと。タイムセールがあるんだ。じゃあなまたホグワーツで」

 

 なんのタイムセールかって言う疑問は解決されることなくハグリッドと別れ、その代わりハーマイオニーの家族と合流した。オレたちは11人の塊になって動くもんだから他の通行人にはただの迷惑でしかなかっただろう。

 

 流石に全員で行きたいところを回っていくのは無謀だと気づいたらしい、夫人の提案で1時間後書店に集合ということで自由行動が許された。オレは少し一人で行きたいところがあったので別行動をすることにした。

 

 ちなみにハリー、ロン、ハーマイオニーはアイスクリームパーラーへ、パーシーは雑貨屋に、フレッドジョージはいたずら専門店へ、ジニーと夫人は制服を買いに、ウィーズリー氏はハーマイオニーのご両親と飲みに行った。

 

 オレはうっすら埃の被ったあの店に入った。

 

「いらっしゃいませ。君は……ブラックさんですね。お久しぶりです。本日はどうされましたか?」

「去年はちょっとハプニングがあってうっかりこの杖の説明を聞き損ねたなと思い出しまして。教えていただけませんか?」

 

 そう。オレは去年この杖が猪突猛進プレーをかましたおかげでオリバンダーの解説を聞き逃したのだ。

 

「覚えていますとも。アカシアにドラゴンの心臓の琴線30センチ。その杖はすこし特殊で主人が決まったら死ぬまで必ず主人の元に帰って……まで話しましたね」

 

 わお、この爺さん記憶力良すぎないか? そうたぶんそんなかんじだった。

 

「その杖は行方不明になることも、置き去りにすることもできません。必ず一定時間であなたのもとに戻ってくるのです。それだけ忠誠心が強い杖ということです。やはりアカシアを使っているからでしょうか……そもそもこの杖は私が1から作ったのではなく先代から引き継いだものですので。私は杖芯は強い魔法生物に限るというのが持論でしてね、この杖なんてまさに──」

 

 だからトロールとの戦いの時にスネイプに回収されたけど医務室で起きた時は杖ホルダーに収まっていたのか。納得だ。

 

「あの、変なことを聞いてるかもしれないんですが、杖が鋭い、あー青銅製のナイフに変わるとかそういった馬鹿げた現象って起こったりします?」

「……おお、なんと! それは驚いた! もしかしてあなたの杖が変わったのですか?!」

「いや、変わったかもしれないってだけで断言はできないのですが。一度きりですし、なんなら記憶も曖昧ですし」

 

 オリバンダーは曲がった腰を急に伸ばし目を輝かせ始めた。オレ、ぎっくり腰になっても介抱できないからな。

 

「……そんなことが、まさか。本来杖というものは、杖以外なにも変化させることはできない、そう思ってもらって構いません。杖は自分が杖であることに誇りを持っていますからね。私もあなたの話を聞くまではただの子供向けのお話の類だと思っていたのですが。そうですかそうですか。何年も生きてますが世の中知らないことばかりですな。まさか本当に存在するとは、ふむふむ」

「なにかあるんですか?」

「その物語では、『英雄』と呼ばれる半神が神から試練を乗り越えるための祝福として何個か贈り物をもらいます。その中に、神の血を引く者のみ扱える剣があります。その物語では英雄が杖が通じない相手と出会った時、持っていた杖が剣へと変化するのです。いやはや、この物語は三人兄弟の物語と同じくらい現実離れしたお話なのですが……」

 

 なんだか突然宗教かオカルトみたいな話をぶっこんできたぞこの爺さん。何言ってるんだ?

 

「ちょっと待ってください。神とか英雄とか知りませんが、オレの両親を知ってるんでしょ? 神じゃなかったですよね??」

「もちろんですとも。お父上の方はアカシアにユニコーン、お母上の方はオリーブにフクロウの羽でしたから。どちらも珍しい杖です。正確にはお母上の方は相談に来ただけで私が作った杖じゃないんですがね、流儀には反しますがいい杖でした」

「じゃあ、とりあえずこの杖にそういうオプションはないってことですね?」

「杖が変化するなどとはその物語以外で言及されていませんよ。うちの店は何年もやっておりますが一度もそう言ったクレームは飛び込んできませんでした。強いて言うなら真っ二つに折れたくらいでしょうか」

「じゃあ、たぶんオレの勘違いです。時間とってすみません」

「いえいえ、おもしろいお話を聞けましたから。もしもう一度ナイフに変わることがあればぜひ店に来てくださいね」

「ありがとうございました」

 

 収穫はそこそこあったが、あまりにもオカルトチックで信じられない。たぶんあのナイフはたまたま変身術かなんかでポケットに入ってたバターナイフかなにかを変えてしまったんだろう。

 

 それに伝説は同学年に一人でいいだろ。

 

 何人もいたら至る所でオーバーフローエラーが発生してしまう。そんなことしたら新手のテロだ。

 

 そうオレは自分自身に言い聞かせながら、オレは何事もなかったかのようにオリバンダーの店から出て書店に向かった。

 

 ちょっとオレがその物語みたいに神の血でも引いてたらかっこいいなって思ったのは秘密だ。

 

 男ならそういうの憧れるだろ?

 

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