オレ、重要なことは何も教えてくれない人の養子になったんだけどやばくないかこれ?   作:Luke Black

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ご都合主義な魔法が登場します。


ルーク、四面楚歌

 オレたち4人は絶命日パーティーから無事抜け出し人気のない廊下を歩いて大広間へと向かっていた。

 

「ほら! 今聞こえたでしょ? この声がロックハートの罰則の時にも聞こえたんだ!」

「ハリー急に何言ってるんだ? 人の声どころか小鳥のさえずりだって聞こえないぞ。聞こえるのはせいぜいオレたちの足音と蛇の尻尾の音みたいな──」

「こっちだ! こっちが近い!」

 

 ハリーは突然走り出した。

 

 オレとロン、ハーマイオニーはハリーの発言に首を傾げながらも小走りでハリーについていった。

 

「誰かを殺すつもりだ!」

 

 急にハリーが物騒なことを言い始めた。日常で殺害予告を聞けるのは探偵小説くらいだろ。

 

 ハリーが3階を駆け回るのをオレたちは必死においかけた。

 

 これが『デザートをより美味しく感じられるように運動をしておきましょう』という配慮なら全くもっていらない気遣いだ。オレたちお腹は十分にぺこぺこなんだ。

 

「見て!」

 

 ハーマイオニーが急に廊下の隅を指差して叫んだ。指の方向をみると赤ペンキで文字が綴られていた。

 

『秘密の部屋は開かれたり、継承者の敵よ、気をつけよ』

 

「うわっ、ここ水たまりだ。靴に浸水したっ。誰だよ水道管爆発させたやつ。おいハーマイオニー、オレじゃないからな」

「ルークじゃないなら双子か嘆きのマートルでしょうね」

「ねえ! 松明にぶら下がってるのミセスノリスだよ! 助けないと」

「ハリー、ここを離れよう。二人もそっちで言い争ってないで、ここにいることを見られない方がいい」

 

 オレたちがパニクっている中、ロンのありがたいかつ冷静な助言は数秒で無意味なものへとかわった。

 

 ちょうど食事を終えた生徒たちが廊下に現れ始めたのだ。ペチャクチャ話していた生徒はこちらをみるなりどんどん黙り込んでいく。人だけが増えて、オレたちと生徒の間に巨大な溝ができていた。

 

 静けさを破ったのはあいつだった。

 

「継承者の敵よ気をつけよ! 次はお前たちの番だぞ『穢れた血』め!」

 

 ドラコはわざわざ人混みをかき分けて最前列に進み出てご丁寧に壁の文字を読み上げてくれた。そういうのはお付きの2人に魔法薬学の授業中、レシピの音読ででもやってくれ。そうしたらスネイプ教授から2人は良をもらえるかもしれないだろ。いつもはお情けの可だ。

 

 状況はオレたちに最悪だった。今にも誰かが動物愛護団体に電話をかけそうな雰囲気を醸し出している。

 

「なんだ、なんだ? 何事だ?」

 

 ドラコの大声と人だかりに今1番来て欲しくない人がやってきた。アーガス・フィルチって言う。

 

 フィルチは壁を見た瞬間金切り声で叫んだ。

 

「わたしの猫だ! ミセスノリスに何が起こったって言うんだ! お前だなブラック!」

 

 オレに飛び火がきた。冤罪だ。オレは大きく首を横に振った。

 

「じゃあお前かポッター! どっちがわたしの猫を殺したんだ?! 俺がそいつを殺してやるから名乗り出るんだ!」

 

 なんで最初から選択肢が2択なんだ! それにそんな無茶振りな要求あるかよ。今日で殺害予告を聞くのは2度目だ。なんて日だ。一回目は又聞きだけど。

 

「アーガス!」

 

 アルバスがほかに教師を何人かつれてやってきた。そしてすばやくミセスノリスを松明の腕木からはずした。

 

「アーガス、一緒にきなさい。そこの4人も一緒においで」

 

 ダンブルドアがとりあえず場所を変えようという提案にロックハート教授が自分の部屋を進んで提供した。人垣が無言のままパッと左右に割れた。もしこんな状況じゃなかったらオレはモーセの海割りだなんだと言って騒いだだろうがそんな気分にはなれなかった。部屋についた瞬間ロックハート教授は口を開いた。

 

「猫を殺したのは、呪いに違いありません──たぶん『異形変身拷問』の呪いでしょう。何度も見たことがありますよ。私がその場に居合わせなかったことがまことに残念。猫を救う、ぴったりの反対呪文を知っていましたのに……そう、非常によく似た事件がウグドゥグで起こったことがありました。次々と襲われる事件でしたね。私の自叙伝にも──」

 

 ロックハート教授の自慢大会は数分に及んだ。ただその演説を真面目に聞いていたのはハーマイオニーくらいだろう。次に不真面目なオレだ。つまり教授たちでさえまともに聞いていなかったってこと。

 

 フィルチはショックで顔を覆い、アルバスは固まった猫を杖で突いている。マクゴナガル教授はオレ達4人の杖を取り上げ一本ずつ何かを調べている。予想だと使った呪文を調べる類のものだろう。ただそれはまずい。

 

「……ミスター・ブラック、あなたがこの事件に関与していないことはわかりましたが、別件で大事なお話があります」

 

 ほらやっぱり。最後に使った魔法は秘密の魔法だ。ちょっともしかしたら罰則とかになりそうな感じの。

 

「アーガス、猫は死んでおらんよ」

 

 ロックハートの演説はアルバスの一言で信用度0に変わった。悪いな、いつもだったらサンタに対抗するんだが今日のオレはサンタの味方だロックハート教授。

 

「それじゃどうしてこんなに、こんなに硬くなって冷たく──」

「石になっただけじゃ。ただどうしてそうなったのか、わしには答えられん……」

「あいつらがやったんだ! そうに決まっている! ブラックはミセス・ノリスが嫌がる匂いの香水をそこらじゅうに撒き散らしていじめておった! ポッターは、ポッターは知ってるんだ。わたしが、わたしが『スクイブ』だって知ってるんだ!」

 

 まてよ、一年の頃の話だろ香水って! あれは最初は便利だったがだんだんフィルチの出現率が二倍になったから使うのをやめたんだ。

 

 もしかしてフィルチとミセスノリスって意思疎通可能だったりする感じ?

 

「僕、ミセスノリスに指一本触れていません! それに、僕スクイブがなんなのかも知りません」

 

 ハリーの発言でみんなの目がハリーに集まった。ただマクゴナガル教授は依然としてオレを見ている。ガン見だ。そろそろオレは冷や汗で脱水症状を引き起こしそうだ。

 

「校長一言よろしいですかな」

 

 影の中からスネイプ教授が不吉な一言を発した。

 

 頼むからブラックは最近金縛り術にハマっているようです、ついこないだもドラコが犠牲になりかけましたなんて言わないよな? あれはあっちがオレにふざけてタップダンスの呪いをかけてこようとしたから咄嗟にでちゃっただけなんだ。ちょうどハーマイオニーから効率的な金縛り術について教えてもらってる最中だったんだ。

 

「ここの4人も、単に間が悪くその場に居合わせただけかもしれませんな。マクゴナガル教授によると使用呪文にも問題はない模様」

 

 スネイプ教授にしてはオレたちに有利な発言をした。珍しい明日の天気は屍の水薬の雨だ。

 

「とはいえ、一連の疑わしい状況が存在します。だいたい連中はなぜ三階の廊下にいたのか? パーティーにはなぜ参加しなかったんでしょうな?」

 

 前言撤回だ。これはやっかいなことになった。マクゴナガル教授助けてくれ。疑いを晴らす適任者はあなただ。

 

 そう思ったがマクゴナガル教授は杖という使った呪文の証拠がありながら何も口をださなかった。一言この子たちは初級魔法しか使ってませんと言ってくれればいい。オレとハーマイオニーの杖を除いてそれは間違いのない事実だろうから。

 

 このままだとスネイプ教授は俺が魔法薬でも使って石にした可能性もありますとでも言いたげだ。断じてそんなことはない。

 

 ハリー、ロン、ハーマイオニーは一斉にアルバスに絶命日パーティーに参加したという説明をはじめた。ただここでのその説明は悪手だとオレは思う。なぜならオレたちのランニングにはアリバイがないんだから。

 

「なぜあそこの廊下に行ったのかね?」

 

 やっぱり聞かれた。そしてそれに対する答えをオレたちは用意する暇はなかった。つまりハリーが過ちを犯した。

 

「僕たち疲れていたのでベッドに行きたかったものですから」

「夕食も食べずにか?」

「僕たち空腹ではありませんでした」

 

 ロンが空腹ではない主張をした数秒後だれかのお腹から音が鳴った。「お腹が空いているとお腹が鳴るは必要十分を満たしていません」と進言したかったがそんなふざけた言い訳が通用する状況じゃないことはオレにもしっかりわかっていた。

 

「校長、ポッターが真っ正直に話しているとは言えないですな。先ほどからブラックに至っては黙秘を続けていますし。なにか後ろめたいことがあるのでしょう。一度彼らの権利を剥奪するのがよろしいかと。ポッターはクィディッチ・チームから外すことを、ブラックは自室に大鍋の持ち込みを禁止とハグリッドとの面会禁止を」

 

 オレの権利そこかよ。てか薬草のルートそこってバレてたのかよ。

 

「そうお思いですか、セブルス。私にはポッターがクィディッチを止める理由が見当たりませんね。この猫は箒の柄でぶたれたわけでもありません。それに悪いことをしたという証拠は何もないのです。ただブラックへの措置はこの件とは別件で私も賛成です」

 

 わお。味方が誰もいない。アルバスも「そうじゃの、わしが甘やかしすぎた」みたいな顔をして頷いている。ひどいぞサンタ。子供に夢と希望を与える存在なんだろ?

 

「疑わしきは罰せずじゃ。ルークに関してはこの後話すことにしようかのう」

 

 俺が罪人みたいな感じで話が進んでいく。罪人ではないことはフィルチとロックハート以外理解しているみたいだが。

 

「この猫は治してあげられますぞ。スプラウト教授が最近マンドレイクを手に入れられてな。十分成長したらミセスノリスを蘇生させる薬を作らせましょうぞ」

「私がそれをお作りしましょう! 私は何百個作ったかわからないぐらいですよ。『マンドレイク回復薬』なんて眠ってても作れます」

「オレもその薬を作ってるところ見学とか──」

「ロックハート教授、お伺いしますがね、この学校では我輩が魔法薬の先生のはずだが。そしてブラック調子に乗るな」

 

 スネイプ教授の冷ややかな一言でとても気まずい沈黙が流れた。

 

「3人は帰ってよろしい。ロックハート教授とスネイプ教授もご苦労じゃった。ルーク、マクゴナガル教授を交えて3人で少しお話をしようかのう」

 

 あー、オレも帰りたかった。いや、帰りたい。帰らせてくれ。

 

 

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