オレ、重要なことは何も教えてくれない人の養子になったんだけどやばくないかこれ?   作:Luke Black

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ルーク、力瘤ができる

 突然の三者面談が始まった。

 

「さて、ミスター・ブラック。私が先ほどあなたの杖にかけた魔法が何かは優秀なあなたなら理解していますね?」

「あー、そのあれでしょう。かけた魔法の履歴がわかる的なやつですよね」

「その通りです。本来ならそれでミスター・フィルチに生徒は何もやっていないということを証明して終わりだったはずなのにこうなったのは4人中2人が初等魔法ではない魔法を使っていたからです。ただ一人は闇の魔術に対する防衛術の今年の範囲内なので問題はないですが。私が今回あなたの杖から見た魔法の一部が2年生、いえ、私が許可した生徒以外は決して知らない魔法だったのですが、何か言いたいことはありますか?」

 

 つまり禁書の棚に忍び込んだことがばれたってことだ。

 

「だんまりですか。なら私が説明しましょう。ルーク、あなたが使った魔法の中に『アニメーガス』になるための魔法がなぜか混ざり込んでいました。変身術の担当である私が禁書の棚の閲覧をまだ許可していないのにです。あなたには『アニメーガス』に関する基本的なレポートを何度か書かせたことはありますが、もちろん私はその呪文に関してのレポートを書かせたことは一度もありません。その情報はあなたが知り得ない情報なのです。理解しましたか?」

「あー、立ち読みしておぼえました。……書店で」

「おかしいですね。これに関する詳細な記述のある本は公的機関でのみ閲覧ができるものですが」

 

 ここまできたらもう白状するしかないようだ。もう隠しても墓穴しか掘らない気がする。オレは一つの希望を持って正直に話すことにした。

 

「昨年のクリスマス休暇の時忍びこんで読みました。自分が学んでいる理論の先がどうしても気になって」

 

 マクゴナガル教授は大きく息を吐いた。そして大きく息を吸いノンストップでそれに対する回答をくださった。

 

「好奇心旺盛なことは学びにおいて重要なことですがルールを守ることはそれ以上に重要です。学校のルール、いえ社会のルールの大部分は未成年であるあなた自身を守るためにつくられたということを理解していないようですね。もしあなたが正しい手順で開けないと呪われる本を開いてしまったり、書いてある高度な呪文を誤って使用して取り返しのつかないことになったらどうするつもりだったんですか?」

「そこまで考えていませんでした」

 

 確かにそんなことは考えたことがなかった。邪魔なルールをどう潜りぬけるかは毎日頭の片隅で考えているけど、ルールの意味なんて考えるのはハーマイオニーくらいだと思っていた。

 

「あなたは自分はなんでもできるというような非常に“傲慢”なところがありますが、それが致命的になることがこれからあるということをしっかり胸に刻んでおきなさい。何かあったらあなただけの問題ではなくなるんですよ。それに何かあったら私を含め皆が悲しみます。あなたが無謀にも何かに挑戦し、致命傷を負った時私たちがニコニコと笑いながら日常を過ごせると考えているのなら間違いです。それにあなたはなんだか生き急いでいるようですが、何かを成し遂げないと価値がないなんて思ってはいけませんよ、あなた自身がすばらしいのですから」

 

 マクゴナガル教授は怒鳴るでも暴力でもなく、ただ淡々とオレが何をやらかしたかを諭してきた。そしてオレの心配もしているらしい、なんだか悪いことをした気分になる。まあ悪いことをしたのは事実なんだけど。

 

「マクゴナガル教授、ちといいかな。ルーク、わしは信じられないことを知ってしまったのじゃが。成功したのかね?」

「ダンブルドア校長! 何をおっしゃっているのです。アニメーガスになるにはこの子には材料もなければ習熟度も足りていません。たかだか呪文を知っただけで成功するものではないということはあなたもよくご存知でしょう。今彼が半人半獣でないのが証拠です!」

 

 オレはマクゴナガル教授が信じていないなら言わなくてもいいかと一瞬考えたが、アルバスがオレに意味深な首振りをしてきたので正直に話すことにした。 

 

「……成功しました。いつでも変身できますよ」

 

 マクゴナガル教授は目を見開いて音にならない声を発そうと口をぱくぱくさせている。その様子はハリーが最初の飛行訓練で連れて行かれた時を彷彿とさせるなにかがあった。

 

「百聞は一見にしかずじゃ、やってみなさい」

「お待ちください! まさかルークが本当にできるとでもおっしゃりたいのですか? まだ13の子供ですよ! だいたいあなたが──」

「落ち着きなさいミネルバ、失敗してもわしらがいるかぎり最悪の事態はおこりえまい。ここで事実を確認せず一人で永遠に半人半獣になってしまうよりもよっぽどましじゃろう。それに最近は魔法薬も開発されたことじゃ、最悪にはならん」

 

 アルバスにじゃあどうぞみたいな顔をされたので、オレは杖を心臓に向けて呪文を唱えた。本当にマスターしたら変身する時も心の中で呪文を念じればいいらしいのだがそれに成功したことはまだない。オレがそれをできるのは人間に戻る時くらいだ。

 

 オレの体はどんどん小さくなって鳥に変身した。二人が超でかく見える。マクゴナガル教授は目を輝かせオレを見ている。アルバスも目を三日月にしている。

 

 オレは調子にのって羽を羽ばたかせて空中を飛んでみた。

 

「ま、まさか。自分の目で見ていることが信じられません。……本当に成功するだなんて。しかも彼女と同じ──」

「ほう、やはりフクロウか。母親にそっくりじゃな。やはり血をしっかりと引き継いでいるようじゃ」

「この子は本当に才能があります! 最年少記録が更新されますよ! あのアイリスでさえ6年生でしたっ」

「そうじゃのうわしも3年でアニメーガスになった者を複数名知っておるがそれよりもちと早かったのう。公式、非公式の最年少の記録を持つものの間から生まれたのじゃ。適性値が高いことは確かじゃ」

 

 両親共に学生の間にアニメーガスになったってことか。同じこと考えてたんだ。 

 

「ダンブルドア校長! まさかそれはシリウス・ブラックのことをおっしゃっているのですか!?」

「ルークはしっかりと両親の血をひいているようじゃのう。ふぉっふぉっ」

「笑いごとではありません。あぁどうしましょう。まずはルークがアニメーガスになったと魔法省に申請をして、そのあと私からきちんとした理論を教えて、非常用魔法薬の作りかたも教えないと。やることがたくさんあります。アイリスと同じ6年に教える予定だったので、しかもここ最近アニメーガスになりたいと希望する生徒がいないせいでまともな準備ができてないんです」

「マクゴナガル教授落ち着きなさい。このことはここにいる3人の秘密にすべきじゃ。ホグワーツを卒業したら魔法省に届出をだせばよい。そうでないとルークに憧れる下級生皆がアニメーガスになりたがってしまう」

「それは魔法省のルールに逆らうということですか? 先ほど私が彼にしたルールの大切さを最初から破らせるおつもりですか?」

「今回は例外じゃ。それに今の魔法省はルークにあまり好意的じゃないからのう。臨機応変の対応ということじゃ」

 

 なんかやばめな会話が二人の間で繰り広げられている。まとめるとアルバスの意向によりオレは違法行為に足を突っ込んだっぽい。

 

 ところで、マクゴナガル教授とアルバスの関係を見ていると、ハーマイオニーとオレとなんか被るところがあるのは気のせいだろうか?

 

「ルーク、人に戻ってよいぞ。まさか戻れないというわけじゃなかろう?」

 

 すごく挑発された気がしたからオレは爆速で人間のルークの姿に戻った。もちろん完全体だ。

 

「先ほど言った通りじゃ。ルーク、変身できることはわしかマクゴナガル教授にしか話してはならぬ。もしバレた時はそれ相応の罰を受けねばならぬ」

「それは禁書の棚に侵入した罰ですか?」

「いーや、もっと大きな罰じゃ。未申請のアニメーガスは懲役又は罰金となっておる」

「まじかよ。もうやりませんっていう署名くらいかと思ってた」

「ルーク、あなたはそういう類のことを何も知らずに挑戦したのですか?! 本当に愚かな……。決めました、正式に個人授業をやります。金曜日の午後は毎週私の部屋にいらっしゃい。すべて叩き込みますよ」

「そういうことじゃ。ルーク、励みなさい」

 

 つまり専門家のもとで知りたいこと隠し事なく全部学べるってこと? 最高じゃないか。

 

「これは安全のための特別措置です。忘れていないと思いますが、もちろん大鍋の自室持ち込み禁止とハグリッドへの面会禁止は禁書の棚に入った罰としてうけてもらいますよ。大方材料はハグリッドに横丁で買ってきてもらったんでしょう。大鍋はスネイプ教授に預けておきなさい。あと反省文の代わりにアニメーガスになった方法を材料をどう集めたかから全て書いて提出しなさい。怒りはしませんが次からこのようなことが起こらないよう対策に使わせてもらいます」 

「面会禁止の期限は? ハグリッドに材料はもらわないのは約束しますけど、フラッフィーがいるんです」

「アニメーガスについて大方学び終えたらです。ついでにあなたのその校則を破る癖も矯正を試みましょう」

 

 どさくさに紛れてその罰忘れられてると思ってたのに、クソッ。まあ、考えていた最悪の結末と最高の結末の中間くらいの結果だったから受け入れられる。

 

 オレは体感1時間くらい大人二人に囲まれてようやく解放された。

 

「アルバス、なぜあの子をあの時施設に預けず私に引き取らせてくれなかったのですか」

「何度も言っておるだろうミネルバ。ミストがかかった怪物は魔法使いにも見破るのは難しいことはアイリスを引き取ったわしが1番わかっとる」

「それでも今あなたが家に施している結界を張ればよかったのでは?」

「ルークが成長するにはあちらの界隈の事情を知っている施設が1番じゃった。本来ならホグワーツに入学するギリギリまでのつもりじゃったが、あそこが一定年齢以上の男児を置いておけないのがちと都合が悪かった」

「それはそうかもしれませんが、せめて引き取ってからはルークが愛着を持てる大人をそばにつけておくべきではなかったですか? それかどうにかしてシリウスと一緒に暮らせるようなにかするとか──」

「そうじゃのう体格も良くなってきたことじゃ……次の夏はアメリカに行かせるのもいいかもしれんのう」

「魔法省が許すならばすぐにでもそうさせてあげるべきでしょう。シリウスもそれを望んでいるはずです」

 

 

 あの事件から数日、校内はミセス・ノリスが襲われた話でもちきりだった。フィルチは壁の文字を消そうとする以外の時間は廊下を神経質に徘徊し、油断している生徒に言いがかりをつけて処罰に持ち込もうとした。

 

 そしてオレは油断していないのにフィルチと目があっただけで壁掃除の処罰を毎回受けさせられた。どんなインクで描いたら万能汚れ落としに勝てるんだってくらい文字はなかなか消えてくれない。

 

「本当に災難だなルーク、毎回なんでか君だけ捕まるんだもん」

「そんなに言うならロン、逃げるなよ」

「いやー、やっぱ処罰はやだろ。しかも消えない文字をひたすら擦るなんて考えただけで腕がいたくなりそうだ」

「おかげでちょっと男らしくなったと思わないか?」

 

 オレは力瘤を作ってロンに見せていると、血の気のないジニーが談話室にやってきた。ロンが言うにミセス・ノリスの事件にショックを受けたらしい。一年のころから風邪やら事件やら災難なものだ。

 

「──でも、ミセス・ノリスの本性を知らないからだよ」

 

 ロンはさっそくジニーを励ましているようだ。オレもジニーに近寄ってソファーに座らせてココアを用意した。その間もロンは末の妹の不安を取り除こうと必死だ。

 

「はっきり言って、あんなのはいない方がどんなにせいせいするか。それにこんなことホグワーツでしょっちゅう起こりやしないから大丈夫だよ」

 

 ロンはそう請け負っているが、去年のことを忘れたんだろうか? トロールやケルベロスから始まってクィレルの頭で終わった大事件を。ついでに新学期に君たちは空飛ぶ車で暴れ柳につっこんだことも。

 

「あんなことをしたヘンテコ野郎はすぐ学校が捕まえてここからつまみ出してくれるよ。できれば放り出される前にちょいとフィルチを石にしてくれりゃいいんだけど。ア、冗談、冗談──」

 

 ジニーはロンの冗談を真に受けたのかもともと悪い顔色をさらに悪くした。

 

「ジニー、もし石になってもマンドレイク薬っていうやつをスネイプ教授が調合してくださるらしい。石になっても死ぬことはないんだからそんなに怖がるなって」

「……うん、ありがとうルーク」

「おいルーク、一人でまとめ上げて全部持ってくなよ! 僕だって励ましたじゃないかジニー」

「君は励ますついでに怖がらせたからプラマイゼロだよロン」

 

 ロンの必死な弁解にジニーはクスリと笑ったように見えた。

 

 一方ハーマイオニーの方は恐れるというよりも興味の方が勝ったようだ。毎日毎日違う分厚い本を持って歩き、暇さえあればページをめくっていた。

 

「ハーマイオニー、中世におけるヨーロッパ魔法使い会議の宿題ってもう終わった?」

「ルークはまだ終わらせてないの? このリストの本が参考になったわ」

 

 ハーマイオニーはリストをオレにノールックで渡してからまた本に向かってしまった。オレはそんなハーマイオニーを邪魔するように声をかける。

 

「君は何をそんなに調べているんだ? ニコラス・フラメルのことならオレも手伝おうか?」

「それは半年前に解決済みよ。『秘密の部屋』の歴史を調べたいの。あの事件以降みんなが知りたがって『ホグワーツの歴史』が全部貸出中だから他の本を調べるしかないの」

「秘密の部屋のことを知ってどうするつもりだ? 秘密結社でもつくるつもりか?」

「違うわ、知っているはずなのに思い出せないのが気持ち悪いの」

 

 

 ハーマイオニーは知識のためならたまに大胆になる。それが魔法史の時間に遺憾無く発揮された。

 

「ミスグレンジャー、何か質問でも?」

「先生、『秘密の部屋』についてなにか教えていただけませんか?」

 

 ハーマイオニーは国際魔法戦士条約と関係付けるには非常に難しい内容の質問をビンズ教授に投げかけた。

 

「わたしが教えているのは魔法史です。事実を教えているのであり、ミス・グレンジャー、神話や伝説ではないんです」

 

 ビンズ教授はそのままサルジニア魔法使いの小委員会について話そうとしたらしいがそれをハーマイオニーは遮ってお願いをした。いつもうとうとしていたり違うことをやって時間をつぶしている生徒が全員ビンズ先生の答えを期待して耳を傾けている。

 

「あー、よろしい。皆さんも知っての通り、ホグワーツは1000年以上も前に最も偉大な4人の魔法使いによって創設されたのであります。創設者たちは最初の数年は和気藹々と教育を施しておりました。しかしながら、4人の意見に相違が出てきた。スリザリンは選別された生徒のみに入学を許可すべきだと考え、魔法教育は純粋に魔法族の家系にのみ与えられるべきだという信念をもったのです。この問題を巡りスリザリンは結果的にホグワーツを去りました。信頼できる歴史的資料はここまでしか語ってくれんのであります。──そしてこの話の派生として『秘密の部屋』というスリザリンが真の継承者のための隠し部屋を作ったと言う伝説が囁かれるようになったのです。その部屋の中にはこの学校から魔法を学ぶにふさわしからざる者を追放するというなにかが封印されていると」

 

 先生は語り終えたようだ満足げにうなずきまた小委員会の話に戻った。そしてクラスもまた無気力なものに戻ってしまった。

 

 オレはそんなやつらの学期末試験のためにノートをとっている。

 

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