オレ、重要なことは何も教えてくれない人の養子になったんだけどやばくないかこれ?   作:Luke Black

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ルーク、重いプレゼントをもらう

 ホグワーツに無事帰ってくると俺たちは談話室のすみに陣取った。

 

「僕、君のお母さんが、その、あの日に亡くなったって知らなかった」

「それに、あなたのお父さんやハリーのご両親は友達に裏切られたって……わたし何も知らなかったのに残忍とか……」

「いいんだ。俺たちには真実がわからない。俺もさっきの話を聞くまで自分がその場にいたことを知らなかった。でも確かなことはいくつかある。一つ、俺は父さんを信頼しているし、会った記憶のない母さんを尊敬している。二つ、俺は最終的にはどんな状況でも君たちを裏切らない」

 

 俺は自分の思いを吐き出した。それにハリーがしんみりと続いた。

 

「僕、自分だけがこんなに不幸なんだって、そんなふうに考えていたのが恥ずかしいよ。それに、君を一瞬でも疑ったこともね」

「そうだな。うん、俺は君がもう少し情緒を安定させてくれると助かるよ。過去は水に流すでいいからさ」

「それができたらいいって僕も思うけど、頭の中でぐるぐる悪いことが回ってうまく言えないんだけど……がんばってみるよ」

 

 たしかに理屈じゃ分かっていても感情をコントロールするのは疲れるし、大変だ。その気持ちもよくわかる。

 

「やっぱり先入観で物事を考えちゃだめだわ。私の悪い癖かも。もう預言者新聞を読むのやめようかしら、根拠のない記事に思考が引っ張られがちだって今回ですごく思ったわ」

「ハーマイオニー、君のその素直さはとっても尊いと思う。だけど、そもそも俺やさっきの話が本当かわからないだろ?」

「私なりにどっちが正しいかを判断したからいいの」

「さっきの発言は撤回だ。君って意外と頑固だったな」

「あなたと同じでね」

「俺のどこが頑固だって?」

「おいおい、自覚がないのが信じられないな。一人で問題まるごとを全部持ち帰って次の日には何事もなかったかのようにすまして過ごし、相談ひとつしない君が頑固じゃないって? 君とハーマイオニーって結構似ているって僕は思うよ。うえぇ、これ肝臓味だ」

 

 ロンがいつのまにか開けた百味ビーンズを食べながらそう言うものだから3人で爆笑した。

 

「君はよくも悪くもマイペースだよ。ロン。でもそんな君に救われている」

「君に口説かれても僕は全く嬉しくないんだからな」

 

 ロンの頬がほんのり赤くなったのは唐辛子味のビーンズを食べたからかもしれない。

 

 

 クリスマス休暇初日、俺たちはハグリッドの小屋に遊びに行くことにした。

 

 俺たちはハグリッドが笑顔で『よくきたなお前さんたち、ゆっくりしていけ』って言ってくれるのを期待してドアを開けたんだが、出てきたのは涙でぐしゃぐしゃなハグリッドだった。大男の泣き顔は友人でなければUターンしただろう。

 

「どうしたのハグリッド? 何事なの?」

 

 3人でどうにかいつもの定位置のテーブルに座らせ話を聞くことにした。

 

 話によるとバックビークが危険生物処理委員会によって処分されるかもしれないとのことだった。

 

「大丈夫だよハグリッド。魔法省も面倒ごとには首を突っ込みたくないタイプだ。なんてったってまだアラゴグもみなかったことにされているし、バジリスクの皮も肉もスネイプ教授が引き取ったことについて何も言ってこないみたいだから」

「今回はそうもいかん。あのルシウス・マルフォイが一枚噛んどる。どうしても有罪にして殺す気だ」

「あの白狐か。もういっそのこと俺もホグワーツの理事になって……」

「ルーク、落ち着けよ。ほら僕がお茶をいれようか? みんなして振り向くなよ。あー、誰か気が動転している時、ママがいつもそうするんだ」

 

 あなたお茶を入れるなんて気遣いできたのねなんて目で俺たちがみるせいでロンは言い訳をぶつぶつと呟いている。

 

「ありがとうロン、頼むよ。俺はあいつのことがあまり好きじゃないから落ち着く必要がある」

 

 ロンが入れたお茶を飲んで俺も、ハグリッドもひとまず落ち着いた。

 

「お前さんたちの言う通りだ。ここで俺がボロボロになっちゃいられねえ。しゃんとせんにゃ……この頃の俺はどうかしとった。バックビークが心配だし、だーれも俺の授業を好かんし──」

「みんな、とっても好きよ!」

「ウン、すごい授業だよ!」

「ああ、動物との相性が良くない俺でも楽しめる」

「そうだ、レタス食い虫は元気?」

「死んだ。一匹以外な。ルーク、お前さんが育てたのだけ生きちょる。他はレタスのやりすぎだ」

 

 俺のレタス食い虫はストレスで食欲不振になったおかげで生き延びたらしい。皮肉だ。

 

「それに吸魂鬼だ。連中はとことん俺を落ち込ませる。あそこはひどいところだ。酷い思い出ばっかし思い浮かぶんだ。ホグワーツを退校になった日。親父が死んだ日。しばらくすると自分がだれだか、もうわからねえ。生きててもしょうがねえって気になる。俺はもうあそこに戻りたくねえ。だから……あいつをこのまんま逃すことはできねえ……」

 

 悪かったハグリッド。

 

 誰もいないだろうと、禁じられた森に吸魂鬼を送ったけど……君がいたね。

 

 

 翌日から俺たちはバックビークの弁護に役立ちそうな本をどっさり抱えて一枚一枚ページをめくった。しかしどれもこれもまともなものがなく苦戦している。

 

「やっぱり俺がルシウス・マルフォイから権限を剥奪するのが1番はやいんじゃないか?」

「君自分が何歳かもう一度考え直した方がいいよ」

「オーケー、俺は14歳。成人までは3年だ。当主代理が自動的に引き継がれるには時間がかかりすぎるか」

 

 そうこうする間に、城ではいつものおおがかりなクリスマスの飾り付けが進んでいた。それを楽しむはずの生徒はほとんど学校に残っていなかったけれど。

 

 クリスマスの朝、俺はロンの大声で目が覚めた。

 

「おい! 二人とも! プレゼントがあるぞ!」

 

 包み紙をひっぺがしてそこらに放り投げる。

 

 ウィーズリーおばさんからの手編みのセーターに、ハグリッドからはフラッフィーグッズ、アルバスからは薬草の通販カタログが届いた。

 

 他にもたくさんプレゼントやら手紙を上から順に確認していく。ようやく床が見えてきた。

 

 そして1番下には鍵といくつかの古そうな紙が埋まっていた。

 

 紙には住所やら番号、サインなどが書かれている。そしてメッセージカードには『好きに使ってくれ』と。

 

 それはブラック家の住所と、資産がはいったグリンゴッツの鍵に違いなかった。

 

「ふー。……まじかよ『好きに使ってくれ』ってものじゃないだろ……父さん」

 

 俺が固まっている後ろでは、ハリーがロンと大騒ぎしていた。

 

「ほんとかっ?!」

「炎の雷、ファイアボルト!!」

「誰が送ってきたんだ? それ高いだろ。カードは? 名前とか書いてないの?」

「なんもない。誰だろう……何百ガリオンもするものなのに」

「マルフォイのやつ! 君がこの箒にのったらどんな顔をするか! きっとナメクジに塩だ! 国際試合級の箒だぜこれ!」

 

 この流れでなんとなく誰がそれを送ったかわかってしまった。

 

 父さん。

 

「ハリー、ありがたくもらっておこう。それ俺の父さんからだよたぶん」

「え?!」

「10数年分のクリスマスプレゼントのつもりだろうさ。どうやってここまで届けたのかは謎だけど」

「わーお、君のお父さんいい人だな」

「そうだよ、俺の父さんはいい人だ」

 

 そんな話をしているとハーマイオニーが合流した。

 

「何をそんなに興奮しているの」

「そいつをここに連れてくるなよ!!」

 

 ハーマイオニーはクルックシャンクスを開いているベッドに置いてハリーの手の中身を覗き込んだ。

 

「まあ! ハリー、一体誰がそれを?」

「ルークのお父さん」

「そんなことが有っていいの?! ルーク! あなたのお父さんってあなたみたいね」

「俺、息子だからね」

「あなたのお父さんいま絶賛逃亡中でしょ?! こっちではすごく警戒されているっていうのに……無茶苦茶というか、無謀というか、それを可能にしてしまうのも……遺伝だったのね」

 

 ハーマイオニーがクリスマス早々大きく息を吐き出した。その瞬間クルックシャンクスがロンのポケットに直撃した。

 

「おい!!!! こいつを!! ここから!! 連れ出せ!!」

 

 ロンのポケットにはスキャバーズ……スキャバーズ。何か引っかかる。なにかを忘れている気がする。

 

「ロン、ちょっとスキャバーズを貸してくれないか? なんか思い出せる気がする」

「悪いけどルーク、今は怖がって縮こまっちゃってるからまた今度だ。その猫を引っ張り出せ!」

 

 ロンとクルックシャンクスが暴れて端に寄せていた俺のプレゼントの山が崩れた。

 

少し落ち着け

 

 クルックシャンクスはしょぼんとし、ロンは固まった。

 

「狭いところで暴れまわるな。わかったか?」

「うん、ごめん」

 

 あそこじゃ落ち着いてプレゼントを確認できない。俺はプレゼントを拡張した鞄に全てつめこみ寮から出た。

 

 そして俺は図書室の机でプレゼント開封の続きをはじめた。

 

 手紙やお菓子、手編みのマフラー数本に香水、小物、女の子たちが一生懸命選んでくれたのであろうプレゼントが机いっぱいに広がった。

 

「図書室に食品の持ち込みは禁じられている、グリフィンドール10点減点」

「メリークリスマス、スネイプ教授。教授にはいつもお世話になっているのでこれをあげます」

 

 俺は雑誌をポケットから取り出した。

 

「これは……」

「ルーピン教授の薬を飲みやすくするのに成功したのでね。指導教員の欄に教授の名前を書かせていただきました。来月掲載の雑誌が何部か届いたので」

「ほう。吾輩はお前が論文を書くのは数年先になると思っていた。これは受け取っておこう」

 

 そう言ってマントを翻した彼の足取りは少し軽かったように見えたのは俺の勘違いかもしれない。

 

 昼食時、大広間に降りて行くと各寮のテーブルは壁に立てかけられていて広間の中央にテーブルがひとつ、食器が12人分並べられていた。

 

 教授たち6人、俺たち4人、残りの生徒2人。

 

「メリー・クリスマス! これしかいないのだから寮のテーブルを使うのはいかにも愚かに見えたのでのう。お座り」

 

 この場で1番はしゃいでいるのはサンタだった。まあ職業サンタだからそんなもんだろう。

 

 アルバスはクラッカーをスネイプ教授に渡し、スネイプ教授が渋々ヒモを引いた。おもしろおかしなものが飛び出し、それを見たロンとハリーは肩を震わせていた。

 

 食事が始まるとトレローニー教授が大広間にやってきた。13人がなんとかとか言っていたがマクゴナガル教授に押し切られて13人で食卓を囲むことになった。

 

 ルーピン教授の話が上がった時は内心焦った。

 

「あたくしの見るところ、ルーピン先生はお気の毒に、もう長いことはありません。私が──」

「ルーピン先生はそんな危険な状態ではあるまい。セブルス、ルーピン先生にまた薬を作って差し上げたのじゃろう?」

「はい、校長」

「結構。それならば、ルーピン先生はすぐによくなるじゃろう」

 

 いつ誰が彼を()()だというんじゃないかって、特にさっきクラッカーのヒモをひっぱった人と13人目の人にひやひやしていたが無事話が途切れた。

 

 食事も終わったしそろそろ立とうかなというタイミングでハリーも同時に立った。

 

「あなたたち! どちらが先に席を離れましたの? どちらが?」

「わかん「俺です。でも心配しないでください、トレローニー先生。先生の予言だと初回授業で俺はもう死んでいるので」」

 

 

 




現実逃避中
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