オレ、重要なことは何も教えてくれない人の養子になったんだけどやばくないかこれ?   作:Luke Black

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ルーク、父さんとクリパ

 みんながホグズミードの日、俺はクルックシャンクスと遊んでいた。アニマルセラピーってやつだ。ありがたいことにクルックシャンクスは最近俺に懐いている。ただ、今は俺自身もアニマルセラピーができるルックスなんだけど。

 

 なんとなく空が飛びたくてフクロウの姿で過ごしていると、クルックシャンクスが俺に向かってにゃーにゃー鳴いているじゃないか。まるでついてこいとでも言うかのように。

 

 俺はいく宛もなかったのでついていった。そうしてたどり着いたのが暴れ柳の前。今にも俺を吹き飛ばす気の満々な暴れ柳だ。これに吹き飛ばされた車と箒は本当にご愁傷様って感じだ。

 

 おいおい、さすがに俺も暴れ柳にぶちのめされたくはないぞクルックシャンクス。あーでもたしかに暴れ柳の葉っぱや樹液は研究価値はあるだろうけど。

 

 こっちに来いと言わんばかりにどんどん暴れ柳に近づいていく猫。仕方がなく俺もついていく。

 

 そしてクルックシャンクスは消えた。

 

 いや、落ちた。穴に。

 

 暴れ柳の下には穴が開いていた。流石に落とし穴にはまった猫を見捨てるほど残念な性格はしていない俺も枝の妨害をかわしつつもちろん穴に飛び込んだ。大縄跳びの訓練が役立つ日がくるとは思わなかった。

 

 そこはただの落とし穴ではなかったし、下に罠が仕掛けられているわけでもなかった。ただ、通路とその先に空き部屋があるだけだった。

 

「クルックシャンクス、君はここを見つけたのか。ハーマイオニーに似て賢いなあ。俺に隠し部屋を教えるってことは悪用してくれってことだけど大丈夫そうか?」

 

 俺は人間の姿に戻りクルックシャンクスを抱える。すると何か黒いものが動いた。

 

「うわ、グリムじゃん」

 

 黒くうごいたものはすぐに人型になった。

 

「父親のことをグリム呼ばわりとは、ひどい息子だ」

「えっ、父さん?! 父さんも動物もどきだったんだ」

「俺はお前が動物もどきだったことに驚いているよ。久しぶりだな」

「父さんが無鉄砲に学校に侵入したせいで、俺の肩身が狭くなるってちょっとでも考えなかった?」

「お前ならどうにかするだろう? それより可愛い息子にお願いがあるんだ」

「謝罪もなしかよ。まあいいや、で、なに?」

「チキンを持ってきてくれないか? ここずっと人間の食事ができていなくてね」

「はぁ、いいけど。なんの食事をしていたかは聞いても?」

「あまり人間にとって楽しいものじゃないとだけ言っておこう」

「今から取ってくるよ。ちょっと待ってて」

 

 流石に暴れ柳の下をもう一度通る気はさらさらない。俺はシャドートラベルをすることにした。

 

 ここホグワーツでは姿くらましも姿現しもできない。ただ影の中を移動することは制限されていなかった。

 

 このシャドートラベルはフラッフィーに乗らなくても影を移動できる俺たちハデスの子孫専用の才能だ。ただ体力と気力がけっこう削られるから体調不良の中使ったら最悪エネルギー切れで死ぬってデメリットがある。もちろんこんな便利な才能、死なない程度にばんばん使っている。使うと毎回クマができるのはどうにかしたいものだ。そして今日は曇り、影がいっぱいあって移動しやすい。

 

 こうして数秒で洋梨の絵画の前までやってきた。

 

「やあ、ビリーにみんな。今から一人パーティーを開きたいんだ。余っている食材ある? あとチキンもあれば嬉しいんだけど」

「ルーク様がいらっしゃいました!! ビリーはいつあなた様が訪ねてくるのか心待ちにしておりました!! みんな準備をしてください!! 食糧をかき集めるのですっ」

 

 しもべ妖精たちは二倍速でテキパキと動きはじめた。いや、俺のための食糧集めそんな頑張らなくていいから。適当に冷蔵庫の端にあるものをくれれば。

 

「用意が整いました!! ちゃんとバタービールも買わせてきましたっ」

「わお、ホグズミードまでわざわざお疲れ様。姿現し特権の無駄遣いだな。こんなにいっぱい食べられるかな……ビリーもみんなもありがとうね」

「またいつでも遊びに来てください!!」

 

 俺は両手で4つのピクニックバスケット、バックパックを両肩に担ぎながらシャドートラベルをするはめになった。本当は魔法で浮かせて持っていきたいところだが、シャドートラベルは自分が触れていないと成功しない。

 

 暴れ柳下まで戻ると父さんは目を丸くしていた。

 

「誰がその量を食べるんだ?」

「父さん?」

「まじか。一応逃走中なんだが、見つかった時にツヤツヤだったらなんて言われるか……」

「健康的なイケメンって言われるだろうさ」

「それもそうだな」

 

 俺たちは魔法で部屋を掃除し、机と皿を出し食事を並べた。

 

「遅いクリスマスだな」

「クリスマスツリーを作ろうか? 木なら白ポプラが1番得意だけど。ここでやったら天井突き破るな。暴れ柳VS白ポプラ」

「俺がモミを出すから飾り付けてくれ」

 

 こうして雑談から本当にクリスマスを味わうことになった。

 

「そういえば、さっそくプレゼントを有効活用してくれたみたいだな。さすが俺たちの息子だ」

「ありがとう。おかげで大切な人の笑顔を見ることができた。でも父さん、地位に未練はないの?」

「まったく。昔から俺は家が嫌いだからな。そのせいで昔は判断を何度も間違えた。アイリスの賢さを引き継いだお前の方が上手く使えるだろう」

 

 まあ知恵の神の子孫の方が戦略をたてるのがうまいってのは当たり前な話だ。

 

「たしかに、今ここでクリスマスを祝っている時点で直近の判断も間違えているよ。アメリカでじっとしていたらあと一年で自由の世界だったのに」

「ここに来たのはその自由な世界でより自由に未練なく過ごすためだ」

「何? ホグワーツに恨んでいる人でもいるわけ? サンタならやめておきなよ。あの人は今のガリガリの父さんがどうにかできる人じゃないからね。養父ボーナスとして一発くらいは受け入れてくれそうだけど」

「何を言っているんだ? ダンブルドアには感謝している。俺が探しているのはネズミだ」

「クルックシャンクスがよく食べてるから分けてもらったら? ネズミより美味しいものなら俺が持ってくるよ」

「違う。そこらへんのドブネズミじゃないし食用じゃない。アニメーガスの、だ。お前の友達のペットだ。なんていったか? スカルプ?」

「それは頭皮だね。スキャバーズかな。ふーん、あいつアニメーガスだったんだ。じゃあマジで俺嫌われてるってことかよ。動物で死の匂いに敏感だからじゃなかったってことか」

 

 アニメーガスが思ったよりも身近にいっぱいいすぎてびっくりだ。

 

「そりゃ、裏切って濡れ衣着せた友人と似た顔したやつのこと好きな方が狂ってる」

「それもそうか。で、そいつどうするの?」

「冥界送りだ。ハデ『ちょっと、気軽にその名前は呼ばないでよ』お前の爺さんに適切に裁いてもらおう」

「冥界は今大混雑中だよ。マグルの湾岸戦争? かなんかで裁ききれてないっぽいから。あーでも、通報してアズカバンに送ってもあそこセキュリティーがばいからな……」

「そんな冥界の事情なんて俺の知ったことか。それにアズカバンは信用ならない」

「で、殺すとしてどうやってやるの? 何回も失敗してるみたいだけど。スキャバーズもなんか最近見かけないし」

「いまジリジリ追い詰めている。君の友達のそばを離れたら危ないと思い込ませている最中だ。その賢い猫と一緒にね。時間はたっぷりある。まあそっちの計画は動いている。ただ」

「ただ?」

「ネズミを追いすぎてハリーになかなか会えない」

「聞いた俺が間違いだった。息子の俺で満足しろよ」

「俺からしたらお前もハリーも大切な息子だ」

「全部精算して、綺麗な服を着てから会いに行った方がいいよ。ハリー、父さんのことあんま好きじゃないらしいし」

「なぜだ!?」

「父さんが罪を償わずアメリカから逃げてきたと思っているからね。それにロンのことも襲ったと思っているし」

「ルーク、なんとか言っておいてくれないか? ファイアボルトだけじゃだめだったか?」

「俺の友人をもので釣ろうとしないでよ。それに箒が父さんからだってハリー知らないし」

「そうか。記名を忘れていた。いやでもブラック家の口座から買ったからがんばって調べれば間接的に俺が買ったってことがわかるんじゃ」

「そんなこと調べるの俺か税務署くらいだよ」

「お前の母さんもとことん突き詰めるタチだった。俺としたことがお前とアイリスがレアなことを忘れていた。そうだ口座といえば、ブラック家が数ヶ月で超クリーンな家になったのが信じられない」

「クリーンにはなってないよ。世間体としてクリーンに見えるようにしただけだ。使えるところは使わないと。わお、こんな時間だ、そろそろ俺は戻らないと。一緒に食事ができてよかったよ」

「ルーク、もう少し他人に甘えてもいいんじゃないか。一人ですべてやることはないし、期待を背負わなくていいんだ」

「ははっ、それ父さんが言う? 大人に甘えてなにになるの? その大人は大人でやることがあるでしょ。信じられるのは自分だけ。そうじゃない? じゃあ」

「ああ……また手紙を送る」

「オーケー」

 

 父さんの悲しそうな顔と食べかけの食事を残し俺は影に混ざった。

 

 でもよく考えてほしい。今までの人生で俺がやるより人に頼って成功したことってあるか? 人に頼って失敗されるほうがめんどうだろ?

 

 

 試験最終日の朝、一通の手紙が届いた。

 

『今夜、実行する。ウィーズリーくんと奴を連れて誰にもバレずにあの穴近くに来てくれ。ハリーも連れてくれたら嬉しい。あとあの賢い猫の飼い主とも話がしたい』

 

「ルーク、ネズミのハゲには何が効くと思う?」

「昆布と君のぬくもりじゃないか? しばらく身につけとけよ安心するだろうからさ」

「最近僕にべったりだからその心配はないよ」

「そうか。ペットって自分の死期が近いと主人から離れていくらしいぞ、心配かけないように。まだまだ死にそうにないな」

「縁起でもないこというなよルーク」

「そうだ、今夜みんなに見せたいものがあるんだ」

「見せたいものってなにルーク?」

「抜け穴の一つだ。それと俺が習得した新しい呪文」

「ルーク!! 抜け穴なら先生に報告しないとじゃない」

「まあまあ一回見てから潰すでもいいだろ?」

 

 雑なお誘いにハリーとロンはもちろん食いついてきたし、この3人で行かせてひどいことが起こらないようにとハーマイオニーももちろんついてくることになった。悪いなみんな、嘘は言ってないけどとっても分厚く不明瞭なオブラートに包んで騙した。

 

 試験はどれも大成功だった。特に言うことがあるとしたら占い学くらいだろう。占い学では試験中にトレローニー教授がホンモノになったこと以外はいたって普段通りな試験だった。

 

 きっちり逆転時計も成功させすべての教科を受け終わった俺たちは解放感に浸っている。

 

「なんとか全科目やりきったわね。今年一年本当に長かったわ」

「物理的に時間を伸ばしたからね」

「あなたのおかげで乗り越えられたわ。本当にありがとう」

「お礼を言われることはないよ。君の努力の結果さ。ああ、学年一位は譲らないけどね」

「あら、まだわからないわよ。魔法生物学の成績は圧倒的に私の方が上だもの」

「魔法薬学がどうにかしてくれるはずさ。スネイプ教授が変な気を起こさなければ」

「それこそ不確定要素じゃない」

「年の半分が彼の課題で溶けたと言っても過言じゃないのにかい?」

 

 




あけましておめでとうございます。
次で三巻最終回です。
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