オレ、重要なことは何も教えてくれない人の養子になったんだけどやばくないかこれ?   作:Luke Black

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ルーク・ブラックと炎のゴブレット
ルーク、平凡な日々


 夏は毎年桁違いに忙しい。

 

 今年の夏はマンハッタンの道路や歩道、建物の壁に亀裂をつくり生者の世界に数千の死者を呼び出して戦ってハデス一族をオリンポスの救世主にしてみたり、新たな神託を聞いたり大忙しだった。

 

 そして超朗報が二つ!!

 

 俺のアメリカの親友が付き合った。ポセイドンの息子が水中でキスしてるのをみて俺だったらどこがロマンチックか考えたのは秘密だ。相手もいないのに。二つ目、ハデスのコテージがやっとできた(ゾンビの大工に作らせた)おかげで俺の家がこの世に四つになった。ホワイト子供の家、サンタの家、コテージ、そしてブラック本邸。

 

 そして俺の能力ももちろんあがった。

 

 1番の収穫は俺も死者を召喚可能になったってことだ。死者には変なやつばっかっていうのは置いておいて。(理性ある狡賢いやつと頭がスポンジのやつとさまざまだ)

 

 そして魔法界でも大変なことになっていたようだ。ワールドカップは開催されたものの、『闇の印』が打ち上がったと聞いた。世間は久しぶりの恐怖にまいっているらしい。ちなみに俺はアメリカでは髑髏を服やアクセサリーで身に纏いがちだがイギリスでは意図的に外している。だって卿を想起させるだろ? 本当ならハデス王を想起してもらいたいんだけど。

 

 新学期1日前にサンタの家にシャドートラベルでなんとか辿り着き、死ぬように寝て起きたらもちろんホグワーツ特急なんて間に合うわけもなかった。

 

「ビリー、俺のローブどこいった?」

「きっちりクローゼットに収納しております」

「教科書は?」

「ここに積んであります」

「つまり学校に行く支度は全くできていないってことね、了解。で、今何時?」

「あと1時間後に組み分けが始まります」

 

 トランクを開いて、持ち物リストを見ながら杖を振っていく。

 

「ビリー、このドレスローブって?」

「シリウス・ブラック様からの贈り物でございます」

「父さんこういうの嫌いじゃないのか……ん? 『これはアイリスが俺のために選んでくれた。身長が合うだろう使ってくれ』って惚気かよ」

 

 トランクをバタンと閉じてひっつかむ。

 

「じゃあビリー、行ってくる。またホグワーツで会おう」

「はいでございます。行ってらっしゃいませ!! ああ、急いでキッチンに行かなければ。ドビーがチキンを丸焦げにしていませんように」

 

 ホグワーツの森の馬車が止まっているところに瞬間移動し、自分の周りの影を曲げ身を隠しながら玄関に入った。この技術を覚えてから全く野球帽の必要性がなくなってしまった。

 

 見つけた見つけた。

 

「『闇の魔術に対する防衛術』の新しい先生はどこかしら?」

「見つからなかったんじゃない?」

「ルーク?! いつからいたの?」

「ついさっき到着したよ。盛大な寝坊だ」

「そうね、寝癖がついてるわ。後ろ向いて」

「みんな久しぶりだな。ワールドカップはどうだった?」

「最高だったさ!! 僕たちクラムをこんな間近でみたんだ!!」

「それはいいね。俺とどっちがイケメンだった?」

「うーん、クラムって言いたいけど……君の方が老若男女に好かれる顔だよ。残念ながらね」

「ははっ、ロンって俺の顔好きだろ」

「ま、まあね」

「んっ、くすぐったいよハーマイオニー」

「変な声出さないで」

 

 ハーマイオニーに寝癖をどうにかしてもらい席についた。ジニーと目があったから手を振っておいた。

 

 組み分けを久しぶりに見たが、ちびっ子が振り分けられていく様はなんとも微笑ましくいいものだ。コリンの弟はグリフィンドールに振り分けられた。カメラが2台に増えないことを願うばかりだ。

 

「皆に言う言葉は二つだけじゃ。思いっきり・掻っ込め」

 

 テーブルには山盛りの食べ物。ロンは目にも止まらぬ速さで自分の皿によそっている。チキンが丸焦げじゃないからドビーはしくじらなかったのだろう。

 

「ハーマイオニー、そのチキンをとってくれるか?」

「どうぞ。私にもそっちのグラタンをとって?」

「わかった」

 

 いつものやりとりに何もおもっていなかったが一部には不思議だったようだ。

 

「あのっ!! 二人は恋人なの?!」

「ん? それはハーマイオニーと俺のこと?」

「そう!! とっても仲良しだからそうかなって」

「俺はまだ恋人がいたことはないな」

「じゃあ、好きなタイプは?」

「俺のカッコ悪いところを見ても受け入れることができる人、かな?」

「かっこよくないところなんてどこにあるの? えっとブラ──」

「ルークでいいよ。俺ってそんなにかっこいい?」

 

 ハリーとロンが爆笑しているのを横目に新しくできた後輩と交友関係を広げていく。

 

「さて、みんなよく食べよく飲んだことじゃろう。いくつか知らせることがある。もう一度耳を傾けてもらおうか。管理人のフィルチさんから皆に伝えるようにとのことじゃが、城内持ち込み禁止の品に今年は『叫びヨーヨー』『噛みつきフリスビー』『殴り続けのブーメラン』が追加された。全部で437項目あるようじゃ確認したい者はフィルチさんの事務所で閲覧可能じゃ。確認したい生徒がいればじゃが」

 

 ほう、フィルチの事務所に入り込む公式の理由ができた。今度行って面白い没収品を回収してこようかな。

 

「今年の寮対抗は取りやめじゃ。それに加えてクィディッチ試合も同様じゃ。これを知らせるのはわしの辛い役目での」

 

 会場中がブーイングで沸いた。ハリーは絶句しているし双子にいたっては金魚のように口をぱくぱくしている。

 

「これは10月に始まり、今学年の終わりまで続くイベントのためじゃ。先生方もほとんどの時間とエネルギーをこの行事のために費やすことになる。しかしじゃ、わしは、皆がこの行事を大いに楽しむであろうことを確信しておる。ここに大いなる喜びを持って発表しよう。今年ホグワーツで──」

 

 重大発表は遮られた。大広間の扉がバタンと大きな音を立てて開く。

 

 戸口に一人の男が立っていた。長いステッキに寄りかかり、黒い旅行マントを纏っている。男はフードを脱ぎ馬の鬣のような長い暗灰色まだらの髪をブルッと振るうと教職員テーブルまで一直線に歩き出した。

 

 傷跡に覆われた顔に片目は義眼。

 

「『闇の魔術に対する防衛術』の新しい先生を紹介しよう。ムーディ先生です」

 

 俺は何も考えずに手を叩いてしまった。一人俺の拍手が響いた。なんだか居心地が悪くなり早々に撤退したが。

 

「先ほど言いかけていたのじゃが、これから数ヶ月に渡り三大魔法学校対抗試合を行う」

 

 三大魔法学校対抗試合の説明をアルバスがするのを皆目を輝かせながら聞いていた。

 

 ただ、俺はそれよりも気になることがあった。先ほどからムーディー教授がこちらを見ている気がする。今日が初対面だからまだ目をつけられることといえば一人で拍手をしたことくらいだ。俺はなんとなく視線に気づいていないふりをすることに徹した。

 

「諸君が、優勝杯をホグワーツにもたらそうと言う熱意に満ちておると承知しておる。しかし、今回は年齢制限を設けることで合意した。つまり17歳以上じゃが、代表者として立候補が許される」

 

 17ということは俺には関係ないな。逆転時計のおかげで16くらいにはなっていそうだけど。

 

 申し訳ないが興味はその時点でまったく消えていた。

 

 俺たちは部屋に戻りパジャマに着替えた。

 

「僕、立候補するかも。フレッドとジョージがやり方を見つけたら……試合に。やってみなきゃわかんないものな?」

「ルークは立候補する?」

「俺はパス。巻き込まれでもしない限りは遠くから眺めているに限る」

「夢がないなあ」

 

 夢はある。

 

 大会が始まったらスネイプ教授は運営に忙しくされるだろう。そうしたら俺が医務室用の薬品の大量生産の仕事を奪えるかもしれない。そうしたら薬草も器具も完璧な状態でこっそり新薬開発が可能なのでは? やっぱり自室では湿度管理とかが難しいからな。そうすれば1千ガリオンは余裕だ。それに今年は影を操るのが上手くなったから禁書も見放題だ。学びたい魔法もたくさんあるしそれに専念するのもありかもしれない。楽しみだ。

 

 俺は超ウキウキしながら眠りについた。ロンもハリーもそれぞれ楽しい妄想でもしたのだろう幸せそうに寝ていた。

 

 

 ホグワーツの日常が始まった。

 

 初っ端の薬草学の授業はブボチューバーだった。よくニキビの薬に使われている。肌のターンオーバーを早める働きと殺菌作用がある。

 

「とても貴重なものですから、無駄遣いしないよう。いいですか、この瓶に集めなさい。ドラゴン革の手袋をして、原液のままだとこのブボチューバーの膿は皮膚に変な害を与えることがあります」

 

 そう言われたら確かめてみたくなる。

 

 スプラウト教授が配った瓶に注ぎながら自分の持っている小瓶に膿をばれないように貯めていく。3瓶くらい自分の持分が溜まったらポケットに滑らせ、手袋を外した。そして右の手の甲に膿を薄く塗ってみた。

 

 甲はみるみるうちに真っ赤になり日焼け直後のようにヒリヒリした。なんだ、変な害を与えるとかいうから手がピンクになるとか皮膚が硬化するとかそんな感じのものかと思ったがそういう類ではないらしい。かぶれるだけだし、かぶれ具合も他のやばい植物に比べたら普通だ。

 

「ルーク!! 何やってるのっ」

「ミスターブラック!! 今すぐ手を洗いなさいっすぐにです!!」

 

 気づかれてしまった。仕方なく流水できっちり流した。

 

「ミスターブラック、あなたは本当に突拍子もないことを……アイリス以来ですよ膿を触ることを試みたのは。もう少し注意しているべきでした……ミスグレンジャー、授業が終わるまでミスターブラックが変なことをしないよう見張っているように」

「はい先生。ルーク、最近忘れてたけどあなたってちょっと変だったわね」

 

 次の魔法生物学では尻尾爆発スクリュートだった。

 

 ハグリッドはキャベツ喰い虫でこりずに一人一体育てさせる気満々らしい。

 

 悲鳴と爆発音が聞こえる中、俺も餌やりをしながら生物を観察していた。

 

 この針も気になるし、血も欲しいな。爆発の燃料はどうやって作り出されているんだろう。ニトロか? 

 

 未知の生物に俺はノリノリだった。ただ、俺のスクリュートはそんなことないようだ。爆発もせず噛まず、ただただ震えている。俺がこれから数ヶ月にかけて実験をするのを察して震えているのか、俺が嫌われているのかは定かじゃない。

 

 こいつもストレスでダメにならないといいな。いや、ダメになったらなったで素材として使えるから問題ないか。

 

 なんにも予定がないと知的好奇心が刺激されて快感だ。自分の好きなことを好きなだけ考えて実行できる。

 

 昨年は宿題に追われた上に教授からの課題、父さん、ハリー、人狼。時間内に解決しなければいけない問題が山盛りで何回か心が折れそうになった。まあ乗り越えたからちょっとやそっとじゃもう折れないだろうけど。

 

 新学期のはじまりが順調で俺はいつも以上に顔色がいいだろう。

 

 フラグっていうのはこういうのを言う。

 

 

「ウィーズリー! おーい!」

 

 俺たちが振り返るとニヤニヤしたドラコたちがいた。

 

「君の父親が新聞に載っているぞ! かわいそうに名前さえまともに書いてもらえないなんて、君の父親は完全に小物扱いみたいだねぇ」

 

 ドラコも幼稚なやつだ。そういうのは12歳くらいで卒業してもらいたいものである。

 

「君の両親が家の前で写っている、もっともこれが家と言えるのかどうか! 君の母親は減量した方がよくないか?」

 

 俺はロンが飛び出て行かないようにがっちり体を抑え込んでいた。

 

「君の母親の顔つきはなんだい? 鼻の下にクソでもぶら下げてるみたいだ。いつもあんな顔なのかい? それとも単に君がぶら下がっていたからなのかい?」

「母上を侮辱するな!!」

「それならその減らず口を閉じておけ」

 

 ハリーがそう言って背を向けた瞬間にドラコが杖を上げたのが見えた。

 

 俺はとりあえず武装解除を選んだ。中庭なんて人が多いところで呪いでもかけられたら面倒だとおもいながら。

 

 俺の武装解除は何者かによってキャンセルされた。そして武装解除で起こるはずもない大きな音がなった。

 

 数人が悲鳴を上げる。

 

 俺は緊急時、ちょっとばかり頭より先に体が攻撃態勢に入る性質がある。

 

 大きな音の原因であろう後ろからの魔法を潰そうと、目的を認識する前に魔法をぶつけた。そして二つ目の大きな音がなった。そしてその音は正真正銘俺の魔法がだれかの魔法にぶつかってキャンセルされた音だった。

 

 そして相手を目でやっと認識した。

 

「あー、ムーディ教授、失礼しました。ちょっとびっくりしてしまって」

 

 ムーディ教授だとは思わず杖をむけてしまった。ハーマイオニーに肩を叩かれて後ろを振り向くと白いイタチが震えていた。

 

「いや、あれは俺じゃない」

「そんなこと知ってるわよ」

「治せってこと?」

 

 俺がまた杖をあげるとムーディ教授は首を横に振った。

 

「ブラック、手を出すな」

 

 ムーディ教授は一歩一歩ドラコに近づいていく。

 

「敵が後ろを見せた時に襲うやつは気に食わん。鼻持ちならない、臆病で、下劣な行為だ……2度と──こんなことは──するな」

「先生!! それはやりすぎです。体罰は禁止されています」

「体罰?! 何事ですか!!」

 

 マクゴナガル教授が腕の中の本をぽろぽろと落としながら駆け寄ってきた。

 

 ドラコは無事変身がとけ、ムーディ教授はマクゴナガル教授によって本校のルールを叩き込まれている。

 

「いいか、わしはおまえの親父殿を昔から知っているぞ。親父に言っておけ、ムーディーが息子から目を離さんぞ、とな。さて、おまえの寮監はたしかスネイプだったな。やつも古い知り合いだ。懐かしのスネイプ殿と口を利くチャンスをずっと待っていた。ああそうだ、そこの、お前はレギ……シリウス・ブラックの息子だな?」

「ルーク・ブラックです」

「いい動きだった、魔法の質がいい。わしの授業で期待している。もし教わりたいことがあれば部屋を訪ねるといい。闇の魔術でも良いぞ

 

 なんだって?

 

 教授はニヤリと口角を上げて義足とドラコを引きずりながら去っていった。




寮対抗は都合により消し去りました。
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