オレ、重要なことは何も教えてくれない人の養子になったんだけどやばくないかこれ? 作:Luke Black
オレが2人を送り出してぐっすり眠った翌日、ハリーとロンは勢いよく夜中の大冒険について語ってくれた。
2人の話は被ったり時系列が狂っていたがオレはなんとか理解したと思う。
結論から言うとドラコはトロフィー室にこず、その代わりに来たのがフィルチだったらしい。それで慌てて逃げ込んだ先が4階の右側の廊下だったそうだ。そこで身を隠すために入った部屋に頭が3つの巨大犬が鎮座していたと。犬の下には隠し扉があることをハーマイオニーが気づいたらしい。
そこまで聞いてオレは疑問が生じる。
「君たちなんでハーマイオニーを連れてったんだ?」
「連れてったんじゃない、あいつが付いてきたんだ。そうだ、寮に戻ってきた後あいつなんて言ったと思う?」
「んー『おやすみいい夢を』とか?」
「いーや、『あなたたちさぞかしご満足でしょうよ。もしかしたらみんな殺されてたかもしれないのに──もっと悪いことに退学になったかもしれないのよ。ではみなさん、おさしつかえなければ休ませていただくわ』ってね。あいつ死ぬより退学の方が怖いみたいだ」
ロンが苦虫を噛み潰したような顔をしながらハーマイオニーの物真似をした。ハーマイオニーの印象はロンの中で結構下の方なのかもしれない。
「へー、ハーマイオニーがそんなこと言うくらいヤバかったんだ。よかったな二人とも生きて退学せずに帰ってこれて。次おもしろいことがありそうならオレもついてくよ」
「「もちろん!」」
「ルークにも聞きたいんだけど、5cmくらいの大きさで盗まれそうなものってなんだと思う?」
「んーダンブルドア直筆サイン入りロケットペンダントとか? オレはいらないけど売ればそこそこ値がつくんじゃないか?」
「……わざわざグリンゴッツまで盗みにくるってよほどのガチ勢だよ」
「ハリーそんな変な顔するなって、んーじゃあ無難に宝石とか?」
「やっぱそうなるよね。でも宝石一つ守るのにあんな三頭犬つかうと思う?」
「その答えはこうやって考えるより、実際にその三頭犬をどうにかして隠し扉の奥を確認するのが早いだろ。明日ぐらいにもう一回どうだ?」
「ルークはあの犬見てないからそんなこと言えるんだって。僕たちでどうにかできるタイプの犬じゃないんだ」
「……なんかデジャブだと思ったらあれだ。車内販売の魔女だ。たぶんその三頭犬と同じくらいやばかったぜ」
「まだ僕たちが笑ったこと引きずってんのかよルーク」
「あぁ、一生忘れないからなっ」
そう言って3人で笑い合った。こういう友達と馬鹿話してる時間が一番楽しい。ちなみに猫よけの効果は謎だ。彼らはミセスノリスではなくフィルチ本人と遭遇したらしい。
「なんだあれ、フクロウって連携プレーもできるんだな」
「何運んでるんだろ? こっちにきてるよ」
オレの発言にロンは6羽のフクロウから目線を外すことなく話をつなげる。
「えっこれ僕にだ!」
ハリーは降ってきたでかい包みをキャッチした。ちなみにその包みの棒みたいな部分にオレのベーグルは吹っ飛ばされた。
「ごめんルーク、なんだろう。あっ」
「ハリーこれってもしかして……」
「ここでは開けるなってマクゴナガル先生からだ」
「ニンバス2000だって? 僕触ったことさえないよ」
ロンは羨ましそうに唸った。
「ハリー、どうせいったん今から寮にもどるだろ? 見てから授業いこうぜ」
「いいね、早く戻ろ!」
ロンの後押しもあり、オレたちは口いっぱいに残りの食事を詰め込みそうそうに大広間を退出した。
◆
ハリーは週3回のクィディッチのせいで毎日忙しいようだ。
オレ? オレも選手ではないがそこそこ忙しくしてたりする。理由は毎日出る宿題と、ホグワーツの地図作りに勤しんでるからな。入学2ヶ月で今更地図? なんて思われるかもしれないがそんなことはない。フレッドとジョージが未だに地図を見ているところを見たからね。
「何見てんの?」って尋ねたらこれは俺たちの秘密さって言って少し見せてくれた。そこにはもちろん地図も載ってたが誰がどこにいるかまで分かる優れものだった。
「これはたぶん僕らの先輩が作ったんだ。ほら、プロングス、ムーニー、パッドフット、ワームテールって出てきただろ?」
「なんでたぶんなの? これって兄さんから受け継がれたとかじゃない感じ?」
「僕たちがフィルチに呼び出しをくらったときにちょっとね」
「くすねてきたってわけだ」
「僕たちもまだこれにお世話になってるから悪いがこれは渡せないよルーク」
「いいよ、そういうことならオレは自分で作るから。先輩がつくったならオレにもできるはず」
「もしなんか協力が必要だったらいつでも言ってくれルーク、俺たちも手伝うぜ。ついでに複製できたら一枚欲しいな。双子だからって一個で足りるってわけじゃないんだ」
「二人は自分たちで作ろうって思わなかったの?」
「思ったけど、俺たちが作りたいものは山ほどあるからな。これはこないだ作った試作品だ。よく燃えるぞ」
「何これ?」
「悪戯グッズだ。時限式で1分だけ盛大に燃え続ける。もちろん熱くも痛くもない幻覚の炎さ」
「優秀な僕たちの後輩に一つあげよう。有意義に使ってくれ」
「ありがとフレッドにジョージ」
オレは暇さえあれば肖像画に体当たりしたり、床を踏み歩いている。そのせいでこの間マクゴナガル教授に捕まった。まあ、マクゴナガル教授にはしょっちゅう捕まっているが。
「あなたには二つほど用事があります。一つ目ですがスリザリンの寮の前に現れたと通報が入りました。何をしていたか教えてくれますね?」
「あー、迷いました」
「私はあなたが教室の配置を完璧に覚えていることくらい把握しています。理由が言えないんですか?」
こう理詰でつめられるのはなんとも居心地が悪い。
「……ちょっとした興味ですって。他の寮と自分の寮の違いが気になっただけです。別にそれ以上もそれ以下もありませんって」
「はぁ。今回はそういうことにしておきます。くれぐれも他人を誤解させないよう品行方正に過ごしてください。いいですね?」
「オレは毎日品行方正ですよ教授」
「ならこのレポートも品行方正な者が書いたと? これが二つ目の用件です」
「もちろん。書いていたら少し楽しくなって話がそれましたが、力はつくしました。図書館に1日もこもったんですよ?」
「もしこれが、物体と質量の関係のレポートではなくアニメーガスのレポートならあなたに満点を与えたでしょうが、ここに書くべきはガンプの法則の基礎についてです。これは再提出とします」
「うわー、わかりました」
「あなたは優秀なのですから、そういうところをなくせばグレンジャーとも張り合える生徒になるのに……本当にもったいない。血には逆らえないんでしょうか、まったく。ポッターはまだましですが、あなたはお父上が学生だった頃と同じくらいひどいです。少しはお母上の血も混ざっているようで態度は少しましですが」
「オレの両親を知ってるんですか?」
「えぇもちろん。とてもやんちゃで悪戯好きな少年とやさしい少女でした。あなたのお母上は変身術の成績は学年一番でした。お父上も手を抜かなければ主席くらいとっていたでしょう。この話はこれで終わりです。そのレポートは明日までに仕上げておきなさい。あなたなら可能でしょうから」
「明日?! いまもう14時ですよ? もう1日の半分がすぎたっていうのに」
「明日までに仕上げたら、この動物もどきのレポートの出来栄えを評価してグリフィンドールに5点さしあげましょう」
「よっし、やります。約束ですからね!」
「まっすぐ寮にもどるのですよ」
「わかってますよ教授」
オレはこの後レポートを仕上げるために参考資料に埋もれなくちゃいけなくなったし、しばらくスリザリン付近には近づけなくなった。絶対通報したのドラコだろ。