「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」 作:クラウディ
本日二度目の投稿。
そろそろ、アンケートを取ろうと思っています。
内容は、「何時に投稿すればいいのか?」というものです。
皆様の意見を作品に反映させるために、ご協力お願いします!
あの後、マリーさんと一緒にいた男性――「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」さんも交えて話をした。
なんでも、彼は音楽家で、マリーさんとは生前からの友達なのだという。
流石にモーツァルトの名前を知っていた私とマシュは、非常に驚いた。
ちなみに、管理人さんもモーツァルトさんと知り合いらしいのだが、どちらかというとマリーさんの方へ着いて行ったらしいので、あまり親しくはないそうな。
「まぁ、マリーも若くして逝ってしまったから、僕はその後も放浪を続けてたんだよ」
「ごめんなさい管理人さん。私も、もう少し貴方とお話がしたかったわ」
「僕もだよ、マリー。ほんとに惜しかったよ。君が亡くなってしまったのは……」
「……もう! 暗くなってはダメよ管理人さん! こういう時こそ優雅にいかなくちゃ!」
そう言って、明るい笑顔を浮かべるマリーさん。
……本当に明るくて、前向きで、それでいて優しい人だ。
こんな人が、どうしてあんな結末を迎えて死んでしまわないといけなかったのか……。
そんなことを考えていると、食事をとり終えた管理人さんが話の続きを口にする。
「さて、これでこちらのサーヴァントの数は9人。相手である「魔女」が召喚したのが、イレギュラークラスを含まないとすると、その数は「魔女」を含めて8人。数の上では勝ったが、相手は聖杯と直結している。戦闘力という意味では相手が完全に上だ」
確かにそうだ。
先ほどの戦いでも、ジャンヌさん達はかなり苦戦していた。
その上、マリーさんたちが仲間になったとはいえ、まだ戦闘に参加していなかったサーヴァントも参加するとなると、勝ち目は薄くなるだろう。
それでも、私たちは立ち向かわないといけない。
そうじゃないと、私達に未来はないからだ。
そう考えていると、管理人さんが続けた。
「そして、あの場にいたサーヴァントだが、真名と戦力に関しては大体把握できた」
「!? ほ、ホントですか!」
マシュが驚いたように声を上げる。
すると、管理人さんはうむと重々しく肯定してくれた。
いや、さっきの戦いだけで、よくそこまで分析できましたね管理人さん!?
そう思ったが、口には出さないことにした。
だって、管理人さんだし。
「まず一人目は、バーサーク・ランサーと呼ばれていた男性。僕の記録が正しければ、彼は「ヴラド三世」。僕はヴラドと呼んでいたね」
『ヴラド三世……ルーマニアの王様だね。確か、串刺し公の異名を持っているはずだ』
ロマンの言葉に、思わず身震いする。
串刺し公って、それもう吸血鬼じゃん!
そんな人が敵側にいるとか、マジ勘弁なんですけど!?
そう思っていると、管理人さんが続ける。
「彼は自身が吸血鬼であることを嫌っていたのだが……あの様子と「バーサーク」というところから、バーサーカーのスキル「狂化」をかけられているようだね。じゃなかったら、彼があんな発言するわけないし」
……え、なに?
今の発言で、ちょっと引っかかるところがあったんだけど?
私がそう思っていると、管理人さんがまた言った。
「もう一人は分からないけど、僕以外によって書かれたお話とかに載ってた情報とか、戦闘中に解析した情報なんかをすり合わせると、バーサーク・アサシンは「カーミラ」という名だ。「エリザベート・バートリー」ともいうらしいね?」
え? 解析した?
あの状態で?
なんでそんなことができるの、この人?
そう思って管理人さんを見つめると、管理人さんはフフンと自慢げに胸を張っていた。
どうやら、自分がやったことに対して、自覚はあるらしい。
……まぁ、いいか。
そんなことを思っていると、今度はマリーさんが元気よく手を挙げて喋り出した。
「はいはいはい! もう一人、騎士のような姿をした子がいたと思うんだけど、あの子は「シュヴァリエ・デオン」! 私のお付きの騎士だったわ!」
と、そう言ったのである。
……シュヴァリエ・デオンって誰?
「女であり男、男であり女、として語られる十八、九世紀フランスの伝説的人物で、マリーさんが言った通り、フランス王家に仕えていた騎士ですよ先輩」
「へ~! そんな人いたんだ!」
マシュの説明に驚く。
まさかマリーさんのお付きの人だったなんて!
しかも、フランス史でめちゃくちゃ有名な人らしい。
すごいなぁ……。
そう感心していると、管理人さんがさらに説明を続ける。
その表情は真剣そのもの。
なにか、重要なことを告げるかのように、重々しく口を開いた。
「さて、最後の一人になるが、彼女はねぇ……」
「どうしたんですか兄さん? すごい言いにくそうにしてますが……」
「いや、大丈夫だ。僕が彼女のことを言いにくいのは、この後、彼女に
「ぶん殴、えっ?」
確か……私が覚えている限りでは、最後の一人は女性だったはず……。
それも修道女というか、なんて言うか……そう、ジャンヌさんみたいな感じがしたんだ。
でも、その人の情報が出てこないということは、ジャンヌさんみたいではないということだろうか?
いや、待てよ?
そもそも、私はその人をちゃんと見ていないんじゃないのか?
だとしたら、印象が違うから分からなくてもおかしくはないかもしれない。
……うん、管理人さんがぶん殴られるってことは空耳だとしよう。
「現実逃避をしないでくれ立香君。彼女が殴るのは、あくまでありうるかもしれない話だ。……あれでも聖女って言われているからなぁ……」
「せい、じょ……?」
せいじょ……?
聖女ぉ!?
嘘!?
あの女の人が!?
あの人が!?
思わず、管理人さんの肩をガシッと掴んで叫ぶ。
それはもう、鬼気迫る勢いで叫んだ。
だって、信じられなかったのだ。
あの女の人が、管理人さんにぶん殴られるかもしれないと恐れられる女性が、私たちと敵対していて、しかも敵側にいるという事実に!
そんなの、信じたくないに決まってるじゃない!
だから、私は必死になって管理人さんに訴えた。
すると、そんな私にドン引きしながらも、管理人さんが答えてくれた。
「彼女の名前は「マルタ」。竜を祈りで鎮めたという話が後世に伝えられているが、真実は、竜を「
「聖女マルタ……!?」
管理人さんが告げた名前に、ジャンヌさんが目を見開いた。
やっぱり、そういう界隈ではビッグネームじゃん!
ヤバいって!
だって、管理人さんに喧嘩売ったんだよ、その人!
管理人さん、死んじゃうってば!
あ、違った。
管理人さんなら、たとえどんなに不利になったとしても、勝ってくる未来しか見えない。
でも、そんな管理人さんが恐れるということは、単純に殴られるのが嫌なんだろう。
それでも、「凄女」はいくらなんでもひどいんじゃないかなぁ……?
「っ!?」
そんなことを思っていると、不意に背中が寒くなる。
この感覚には覚えがあった。
つい最近も、味わったことがある。
そう、あの時だ。
あの、ワイバーンに襲われた時や――サーヴァントと戦っていた時のことだ!
皆も、戦闘態勢を整えて、周囲に警戒心を飛ばしていた。
バッと振り返ると、そこにはいつの間にか一人の女性が立っていた。
それは、先程話題に出ていた女性――「マルタ」であり……。
何故だか、額に青筋を浮かべていた。
あ、おこですか?
もしかして、聞かれてた?
凄女とか言っちゃってたの聞こえてました?
「ええ、思いっきり聞こえていましたよ、アンタ達? 誰が凄女ですって?」
ニッコリと微笑む彼女の背後には、まるで般若が見えるようだった。
私たちは慌ててその場から離れようとするが、逃げ道は……というか、絶対に逃げられそうにない気配を漂わせていた。
うわぁ……ガチギレだよ、あの人。
管理人さんを生贄にすれば見逃してくれるかな……?
なんて考えが浮かんできたけど、すぐに打ち消した。
管理人さんを犠牲にして助かるくらいなら、死んだ方がマシである。
というか、死ぬ。
確実に殺される。
あの人は、間違いなく怒らせたらダメなタイプの人間だ。
ワイバーンよりも強いだろう竜を、絡んできたヤンキーをぶちのめす主人公みたいに地に沈めた女性……というか女傑。
……うん、やっぱ怖ぇよあの人!?
どうしよう、今すぐ逃げた方がいいよね?
でもどこに逃げる?
いや、そもそも逃げ切れるのか……?
そんなことを考えている間に、彼女は一歩踏み出していた。
そして、管理人さんの顔面に向かって、拳を振りかぶっていた。
昼間に見たサーヴァントの誰よりも速い攻撃を前にして、管理人さんはすぐさま移動させた掌で受け止める。
続けざまに繰り出されたもう一方の拳も、手首をつかむことで阻止した。
そして、両腕が受け止められたことを認識する前に、管理人さんを踏み台に大きく飛び退いた。
それでも、管理人さんは少しだけたたらを踏むと、何でもないかのようにいつもの構えをとる。
さすが管理人さん!
これなら、あの人が本気で殴ってきても大丈夫だね!!
…………うん、冗談抜きでやばいかもしれない。
だって、管理人さんの足下が陥没しているんだもの。
あれはもう、人間凶器だよ……。
「久しぶりの挨拶にしては、ずいぶんと荒っぽいねマルタ?」
「誰のせいだと思ってんだよ!? 本人がその場にいないことをいいことに、さんざん人を凄女だなんだと言いやがって!」
えぇ……?
何この人、すっごい口が悪いんですけど……。
これが本当に聖女なのかと疑ってしまう。
ただ、確かに彼女の言う通り、管理人さんは人のことを凄女と呼んでいたから、殴られるのは間違ってはいないと思う。
むしろ、管理人さんの方が悪いかもしれない。
だけど、それだって言い訳にしかならないわけで……。
とりあえず私は、頭を下げておくことにした。
土下座である。
「アンタ……なにをしてるのよ?」
「この度は! 私たちのところの管理人さんがあなたのことを凄女と呼んでしまい、誠に申し訳ありませんでしたぁ!」
深々と地面に額を押し付けて謝る私の姿に、マルタと呼ばれた女性は呆れたような声を出した。
まあ、そうなりますよねー……と思いながら、謝罪の言葉を続ける。
そんな私の頭を、管理人さんはポンッと叩いた。
「大丈夫だよ立香君。彼女が凄女なのは変わりないし、僕が失言したのも変わらない」
「おいコラ。また凄女って言ってんじゃないわよ」
あ、やっぱり凄女って呼んでたんだ。
そのことに気づいていなかったらしいマルタは、こめかみをピクつかせていた。
だが、すぐにため息をつくと、気を取り直したように管理人さんの方へと視線を向けた。
そして、真剣な表情(もう凄女の印象が強すぎて意味がない)をして、私たちにこう告げる。
「こんばんは、皆様。寂しい夜ね」
……うん。
「すみません。ギャップがすごすぎるので、もうちょっと楽にしてくれてもいいですよ?」
「…………あぁっ! もう! 少しは黙って人の話を聞きなさい!」
「すみません……」
どうにも真面目な雰囲気に慣れない……。
そう思って声をかければ怒られてしまった。
仕方なく、私たちは口を閉ざして、マルタさんの話を聞くことにする。
すると、彼女は少し落ち着いたのか、改めて自己紹介を始めた。
やはりと言うべきか、彼女こそが先程話題に出ていた聖女だったのだ。
そして、私たちにこう告げる。
「貴方達では、「竜の魔女」が騎乗する『究極の竜種』には勝てない。……そこの本狂いなら勝てるだろうけど、それでは意味がない」
「本狂いって、ひどいこと言うなぁ……」
「うっさい! 少しは真面目に聞け!」
どうやら、本気で怒らせてしまったようだ。
これはまずいと理解したので、大人しく彼女の言葉を聞いておくことにしよう。
マルタさんは、壊れた聖女――「魔女」のサーヴァントとして召喚されたが、そもそも虐殺は絶対にしたくなかったとのことだ。
それなのに、「魔女」が持つ聖杯で無理矢理いうことを聞かされて、逆らわないように「狂化」もかけられたとのことだ。
それによって暴れている本能を理性(管理人さんが言うには気合)で無理矢理静めているらしい。
でも、これ以上は持たないから、完全に狂ってしまう前に、私たちが「魔女」に勝てるような存在か試すとのことだ。
「いいですか? 私には時間がありません。ですので、手短に済まさせてもらいますよ!」
「先輩! 来ます!」
マシュの警告と同時に、彼女は地を蹴った。
一瞬で距離を詰めると、管理人さんの顔面目掛けて、もう一度拳を振り抜く。
それを片手で受け止めようとした管理人さんだったが、その手が弾かれた。
そのまま、マルタさんの蹴りが管理人さんを襲う。
あまりの勢いに、森の中の木を何本かへし折りながら吹き飛ばされていく。
管理人さん……!! と、心配した次の瞬間、目の前に現れた彼女の姿に、私は絶句してしまった。
それは、私だけではないらしく、他の皆も同じ反応をしている。
「この程度では、あの魔女に勝とうなど、夢のまた夢です」
「あ――」
そのまま振り下ろされる拳に、私は人理修復が始まって以来、何度目かの走馬灯を見る。
あぁ、こんなところで終わるなんて……。
だけど、まだ死にたくないなぁ……。
そんなことを考えながら、私は目を閉じた。
しかし、いつまで経ってもその痛みが訪れないので、ゆっくりと瞼を開く。
そこには、管理人さんの姿があった。
ただし、片腕があらぬ方向に曲がっており、ぶらぶらと腕が揺れているところから、ただ繋がっているだけのようだ。
「結構強めに打ったはずなんだけどなぁ!」
「痛みは感じないし、体はまだ動く。なら、行動に移すのは当たり前だ」
「普通はできないんだけど、ねっ!」
そう言って、もう一度管理人さんの体を踏み台に飛び退くマルタさん。
そこに、クーニキが槍を突き出す。
それを、真剣白刃取りの要領で受け止めたマルタさんは、力任せに引き寄せて、クーニキをぶっ飛ばした。
クーニキに意識が逸れている間を縫って、エミヤが矢を連射する。
だけど、それを視認した瞬間、エミヤの方へと突っ込んできた。
「なっ!?」
「甘いっ!」
流石に矢群に突っ込んでくるとは思いもしなかったのか、エミヤが驚愕の声を上げる。
なんせ、矢一本一本の面積は狭いのだが、それでも音速レベルで飛んでくる矢をかいくぐってきたからだ。
そのままエミヤにも拳をめり込ませる――前に、
「はあっ!」
「! ッチ!」
追いついたジャンヌさんが旗を振るって弾き飛ばした。
だが、それで止まるような相手ではなく、即座に態勢を整えてこちらに向かってきた。
それにいち早く気づいたマシュが、盾を構えてマルタさんを迎え撃つ。
ガキンッ! という金属音(!?)と共に拮抗する両者。
そこから、激しい攻防が始まった。
「うらぁっ!!」
「せいっ!」
ぶっ飛ばされたクーニキも戻ってきて、マシュの盾を殴り続けていたマルタさんを槍で突き飛ばすと、そのまま二人の攻撃の応酬が巻き起こる。
クーニキは、ただ突き出すような使い方じゃなくて、まるで新体操選手のバトンのように槍を縦横無尽に振り回し、マルタさんを攻め立てる。
対するマルタさんも負けていない。
両手両足を使って捌き、受け流し、反撃している。
その姿はまさに歴戦の戦士そのもので、思わず見惚れてしまうほどだ。
そんな風に戦い続ける二人だったが、ここにいるのはその二人だけではない。
「
エミヤがまるで大きなネジのような剣を投影し、それを矢のように変形させてから、撃ちだす。
進行方向にあった木を薙ぎ倒し、抉り取りながらその矢は一直線にマルタさんたちの下へ向かった。
それを尻目に確認したクーニキは、槍を地面に打ち込むことで跳躍する。
矢野進行方向には、マルタさんしかいない。
当たる……! そう思ったが、
「
彼女の声が響くと同時に、何かが矢を受け止めた。
ネジのような構造ともあって、その矢は受け止めた対象を抉ろうとするも、火花を散らすばかりだ。
「ッチ!
舌打ちしたエミヤがそう呟くと、回転を続けていた矢が爆発する。
それと同時に、マルタさんは上空へと回避していた。
それを追って上を見上げると、私なんか余裕でつぶせそうなほど大きい巨大な岩を両手で抱えている姿が見えた。
まさか……。
嫌な予感が脳裏に浮かんだ瞬間、その岩は放たれていた。
「やっぱあの人凄女だよ!?」
「凄女言うな!」
私の叫びに、マルタさんからのツッコミが入るが気にしない。
だって、あんなのまともに食らったら死ぬもん!
そんな岩を軽々と持ち上げている人がいるんだもん!
だけど、そんな心配は無用だったらしい。
なぜなら、それは私たちの前に落下してきたからだ。
ズゥンッ!! と、重々しい音を立てて地面にめり込んだそれは、よく見ると岩ではなかった。
まるで亀のような甲羅を持ち、しかし、顔に当たる部分は亀なんて生易しいものじゃなかった。
「竜」だ。
ワイバーンなんかとは比べ物にならないほど強力な存在。
それが今、目の前にいる。
あまりの存在感に息をのむ私。
そんな中、マルタさんはゆっくりと歩いて近寄ってくる。
その手には、先ほどは持っていなかった十字架が握られていた。
「さて、始めましょうか?」
そうして、本格的なサーヴァント戦が始まったのである。
・管理人のちょっとした秘密
マルタとは、某立川の聖人が存命だったころからの知り合い。
というよりかは、同僚だった。
同じく救世主の後についてきて、様々なところで人々に施しをしてきた。
だから、聖書には管理人の名が残っているかもしれない。
何時に投稿すると見やすいのか?
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1~3時
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4時
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5時
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6時
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7時
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8時
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9時
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10時
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11時
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12時
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13時
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14時
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15時
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16時
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17時
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18時
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19時
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20時
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21時
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22~24時