「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」   作:クラウディ

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課題が終わってなくて、居残りを食らってしまいましたが、私は元気です。

今回は戦闘シーンと管理人の宝具の一つが出ます。

それでは本編どうぞ!





凄女(聖女)マルタ

 「魔女」が召喚したサーヴァント――バーサーク・ライダーこと「マルタ」さんと戦い始めてから数分経過した。

 そしてその間、攻撃をされ続けたことで分かったことがある。

 それは……

 

「凄女すぎぃ!?」

「だから、凄女言うな!」

 

 怒られたけど、でも仕方ないと思う。

 何せこのマルタさん……めちゃくちゃ強いのだ。

 いやまあ、クーニキが本気出してないし、ジャンヌさんもまだ全力じゃないっぽいから、まだまだ余力を残しているだろう。

 それに、この大所帯かつ、仲間を巻き込みかねない宝具を持っているとはいえ、素のステータスが高いアルトリアさんも攻撃に参加していて、ライダーさんも怪物メドゥーサとしての力を惜しみなく使っているんだけど……。

 

「くっ! 重いッ!」

「これが聖女の姿ですか!?」

「ごちゃごちゃうるさいわよ! もうちょっと根性見せなさい!」

 

 アルトリアさんたちは何とか善戦はしているものの、決定打を与えることができずにいた。

 理由は単純明快。

 マルタさんの防御力が高すぎるためだ。

 一応、こちらの攻撃も通ってはいるのだが、上手いこと受け流されていて、ダメージが通っているようには見えない。

 それに、エミヤの狙撃と投影した宝具を爆発させる技――「壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)」も、仲間を巻き込みかねないので、さっきから私の護衛についてもらってるのだが……。

 はっきり言って、分が悪いとしか言えない。

 このままじゃ、ジリ貧だ。

 そう思い始めた時だった。

 

「タラスク!」

「グォオオオオオオオオオオ!!」

 

 マルタさんがその名を呼ぶと、管理人さんが相手取っていた亀のような甲羅を持つ竜――「タラスク」が、アルトリアさんたち目掛けて突っ込んでくる。

 その勢いは、まるで砲弾のようであった。

 しかも、その巨体にも関わらず、動きは速い。

 その大きさからは想像できないスピードで、その口を大きく開けながら迫ってきた。

 慌ててその場から離れるアルトリアさんたちだったが、その時には既にタラスクは彼女たちの下へ到達しており、直撃しそうになったところで、クーニキが二人を抱えてタラスクの進路から逃げることができた。

 だが、 まるで爆発したかのような音が響き渡る。

 どうやらタラスクは方向を変えずに、そのまま木に衝突したらしい。

 その結果……大きな音を立て、木の幹が折れた。

 それだけではなく、地面には深くめり込んでおり、クーニキが二人を助けていなかったら、きっと即死していたであろう威力があったことが分かる。

 

「私と同じライダーとは思えませんね……」

「同感ですライダー。流石に、竜種とサーヴァントを同時に相手取るのは私でも厳しいです」

「でしょう? タラスクはリヴァイアサンの子。格としては一級の竜種よ」

 

 土煙が舞う中、そう語るマルタさんの言葉を聞き、私は納得する。

 つまり、あのタラスクは某最後の物語で出てくる海神の子供というわけか。

 ……うん! 意味分からん!

 だけどまあ……とにかくヤバい存在だという事は分かった。

 だって、あの亀みたいな竜、エミヤの投影した宝具(エミヤが言うには、並の英霊なら一撃で倒せている威力を持つ)を尽く弾いてるんだもん。

 

「暴れているのを見かけて、殴って鎮めたら懐かれる……。……実質、舎弟と言う訳か」

「はっ倒すわよ管理人!」

 

 管理人さんとマルタさんがそんなやり取りをしている間にも、マルタさんは再びタラスクの名を呼び、突進してくる。

 今度は私たちの方へ向かってきており、その速度は先ほどよりも速かった。

 このままではぶつかると思った私たちは、すぐさま回避行動を取る。

 だけど、間に合いそうにない……!

 なら、受け止めるしかない!

 

「マシュ!」

「はい! 宝具を起動します!」

 

 私たちのサーヴァントの中で、「シールダー」というクラスを持つマシュは、その名の通り盾を使う「盾兵」だ。

 もちろん、クラスの通り防御に特化しており、特異点Fでは、反転したアルトリアさんの約束された勝利の剣(エクスカリバー)だって防いだほどである。

 しかし、今の彼女は純正のサーヴァントではなく、デミ・サーヴァントだ。

 そのため、今の状態だと、宝具を使っても数分しか戦えない。

 だから、彼女の宝具が使えるうちに決着をつけないといけないのだ。

 

「グォオオオオオオ!!」

仮想宝具 擬似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)!!」

 

 咆哮を上げ突撃してきたタラスクが、マシュの展開した障壁にぶつかる。

 そして、そのまま押しつぶそうとしていたが、マシュはそれを必死に耐えていた。

 

「くぅうっ!!」

 

 その光景を見て、思わず冷や汗が流れる。

 何しろ、さっきまでとは比べ物にならないくらいの衝撃なのだから……。

 マシュは苦悶の声を上げながらも、なんとか持ちこたえている。

 それでも、あまりの威力に押されつつあった。

 このままでは、障壁もろとも圧しつぶされてしまうだろう。

 だけど、私の狙いはこの拮抗状態にあった。

 

「アルトリアさん!」

「了解しましたマスター!」

 

 私が指示を出す前に、アルトリアさんは既に動いてくれていた。

 彼女に指示を出したのは、この場(管理人さんを除く)で一番強力な宝具を使える存在であるためだ。

 アルトリアさんは手に持っていた聖剣を構え、魔力を集めていく。

 すると、その手に持つ聖剣から眩しい光が放たれた。

 それは、アルトリアさんの持つ宝具の一つ。

 遠い日本の地にも知られている光の刃―――約束された勝利の剣(エクスカリバー)である。

 

約束された(エクス)……勝利の剣(カリバー)!!」

 

 その光はタラスクの甲羅を貫き、空に向かって光の柱とも言うべき輝きの奔流を伸ばしていく。

 タラスクは悲鳴のような声を上げるが、アルトリアさんは気にせず魔力を放出して約束された勝利の剣(エクスカリバー)を発動し続ける。

 やがて、タラスクの巨体は動かなくなり、光の粒子となって消えていった。

 それを確認してから、私はホッと息をつく。

 良かった。

 これで、残るはマルタさんだけ。

 そう思っていると、管理人さんが拍手をしていた。

 それにびっくりしていると、マルタさんが大きく息を吐いて、こう言った。

 

「まさか、ほとんど管理人の手を借りないでタラスクを倒しきるとはねぇ……」

「それで、立香君たちを認めてくれるのかい?」

「ま、ぎりぎり及第点ってところだけど、認めてあげるわ」

 

 マルタさんはそう言って笑みを浮かべる。

 それを聞いて私も嬉しく思い、マシュと一緒にハイタッチした。

 それからマルタさんは私たちの方へ歩み寄り、右手を差し出す。

 握手を求められているのだと気付き、私たちは慌てて手を握り返した。

 

「ナイスファイト。いいガッツだったわよ」

「ありがとうございます!」

「こ、光栄です!」

 

 マルタさんに褒められて、思わず顔が緩んでしまう。

 すると、マルタさんは私たちから視線を切って、管理人さんの方へ声をかけた。

 

「管理人。私、そろそろ限界なんだけど……」

「分かってる。君が仲間となると心強いからね。それに、立香君達もさしておびえていないようだし」

「なら早くして。アンタならできるでしょ? 私の契約と狂化を解除すること」

 

 その言葉に、私たちは少し驚いたような表情をする。

 だって、「契約と狂化を解除できる」って言ったのだ。

 それと会話の内容からして、マルタさんが仲間になってくれるということも察せられた。

 

「そんなことできるの管理人さん!?」

「できるとも。サーヴァントの仕組みは今から数千年前に『記録』しているからね」

 

 さらりととんでもないことを言う管理人さん。

 しかし、事実だから仕方がない。

 管理人さんは何でも知っているし、何でもできそうだから。

 ……本当に、凄い人である。

 

「それじゃ、僕の図書館へ」

「……まだあったのね……あのトンデモ図書館」

「トンデモとは微妙に否定できないことを言うね……。ま、いいけどさ。それじゃ、立香君。僕とマルタは少し作業をするよ」

「あ、ど、どうぞごゆっくり……」

 

 そうして、管理人さんとマルタさんは、虚空に出現した扉へと入っていった。

 残ったのは、私とマシュとサーヴァントの皆。

 とりあえず、アルトリアさんたちにお礼を言うことにした。

 まず最初に口を開いたのはマシュだ。

 彼女は申し訳なさそうな顔をしていた。

 

「すみません先輩……私がもう少し活躍出来ていたら……」

 

 確かにタラスク戦はかなりギリギリの勝利であった。

 しかし、それは彼女だけのせいではない。

 私だって、もう少し魔術回路とかがあればみんなが思うように戦えていたかもしれないのだ。

 決して私たちだけでは勝てず、アルトリアさんやエミヤの援護があったからこそ、勝利できたのであった。

 だから、私は彼女の肩に手を置いて首を横に振る。

 そして、笑顔でこう言った。

 

「そんなにネガティブにならないの! 私だって、マスターやるには魔術回路とか少ないポンコツだし、戦ってるときには完全にお荷物なんだよ? そんな私とくらべて、マシュはすっごく頑張ってるよ!」

「そ、そうですか……?」

「うん。でも、これからはもっと自信を持っていいと思う。それだけは覚えておいてね?」

 

 私がそういうと、マシュは小さく微笑んだ。

 その表情を見て安心したのか、アルトリアさんたちも口を開く。

 

「マスター。自信を他者より劣っていると蔑まないでください。貴女は素晴らしい人です。他の誰がなんと言おうと、私たちはそう思っています」

 

 アルトリアさんの励ましの言葉に、私は嬉しく思うと同時に恥ずかしくもなった。

 私は自分が凡人であることを自覚している。

 それでも、この人類最後のマスターとして頑張っていこうと思っているのだ。

 だけど、こうして自分を励ますだけでなく、他人からも言われると嬉しいものである。

 私は照れ笑いをしながら、彼女たちにこう返したのだった。

 

「皆、ホントにありがとう!」

 

 こうして、マルタさんによる試練を乗り越えたのであった。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「……相変わらず、広いところね。一国の王様の城より大きいんじゃないかしら?」

「ま、様々な場所、数多の世界の本を集める度に増設しているからね。大きくもなるさ」

 

 管理人に連れられた私は、こいつが持つ図書館の中を歩いていた。

 相も変わらず、廊下ですら壁があれば本棚を設置しており、歩くたびに本の背表紙が目に入る。

 一体どれほどの数の本をここに集めたというのだろうか。

 こいつの知識欲は底なし沼のように深いらしい。

 呆れたように溜息をつく私に、管理人は話しかけてきた。

 

「今回使うのは、僕が持ちうる作業道具だ」

「……アンタの能力ぐらいは知ってるから、別に何ともないわよ」

「そうだったね。君には何度か見せたことがあったか」

 

 こいつの能力は、様々な物語を本として書き、出来上がったそれを宝具とすること……なんかじゃない。

 あくまでそれは能力の一部だ。

 こいつが得意とすることは、本を書くこと。

 だが、その『本を書く』という解釈を広げることで、非常に凶悪な能力へと変化させている。

 例え、あの魔女が騎乗する()()()()()であっても、こいつには手も足も出ないだろう。

 だけどそれじゃダメなのだ。

 カルデアはこれからも様々な特異点を巡る。

 その時に、いつまでもこいつに頼ってばっかじゃ、いずれ負けるのだ。

 だから、そうならないようにと試してみたけど……。

 

(案外、骨がある女の子だったじゃない。それも魔術師みたいな凝り固まった思考をしているわけでもなかった。おそらく一般人だったんでしょう。それなのに、世界の命運すら背負わされるなんてね……)

 

 同情を禁じ得ない。

 普通の人間である彼女が、こんな重荷を背負う必要などないはず。

 だけど、彼女はそれを受け入れたのだろう。

 自分の運命に抗いもせず、ただ受け入れるのではなく、全力で打ち破ろうとしている。

 だから、手を貸そうと思った。

 そのためには……。

 

「アンタの力を借りないとね」

「任せたまえ。完璧に熟して見せよう」

 

 自信満々に胸を張る管理人。

 その姿は頼れる存在ではあるのだが、どこか不安になるのは何でかしら?

 『あの人』が生きていた時もそうだったけど、こいつが「私に良い考えがある!」という時はたいてい何かが起きるのだ。

 そんなことを思いながら歩いていると、ふと、とある扉の前に着いていた。

 

「ここは……?」

「僕の作業部屋。『書斎』だね」

 

 そう言って、管理人がドアを開けると……そこはまさに本の海であった。

 天井まで届くほどの巨大な本棚にぎっしりと本が詰まっている。

 中には辞書のような分厚いものもあれば、こいつが子供たちに読み聞かせていた絵本のようなものまであった。

 ここがこいつの作業部屋――「書斎」か。

 

「私が生きていた頃は最後まで見ることができなかったけど、こんな感じになっていたのね……」

「ま、邪魔はされたくなかったからね。ちなみに、ここは今から三百年前に作った……え~っと、何個目の書斎だったかな?」

「私に聞かれても知らないわよ」

 

 こいつは本当にどこまでも物好きな男だ。

 そんなことを考えていると、管理人は一冊の本を取り出してこちらに差し出してきた。

 題名は、『聖女マルタ』という本だ。

 

「私の本……?」

「『あの人』のだけじゃなくて、君のも書いておいたよ。君の物語をね」

 

 私は本を受け取り、パラパラとページを開く。

 そこには私がこの世界で生きてきた記録があった。

 あの時の思い出や、旅路のこと、そして戦いのことが書かれていた。

 どのページにも精巧な挿絵があり、その時の思い出が浮かぶようである。

 

「で、これを渡してどうしたいのよ?」

「それを持っていてくれ。僕は……」

 

 私に本を持たせたまま、管理人は虚空に手を伸ばす。

 なにやってるんだろうと思いきや、突如として本棚の一部がスライドし始めた。

 何事!? そう思っていると、その本棚の奥の壁に、あるものが掛けてあるのを見つける。

 それは剣だった。

 子供の身長よりも大きいその剣は、この図書館と似たような装飾の鞘に納められており、一種の芸術品のような印象を受ける。

 しかし、これは武器だと一目でわかった。

 その証拠に、柄の部分から鍔、刀身に至るまで、全てが神秘を纏ったものでできているようだ。

 恐らく、こいつが所持している宝具の一つだろう。

 それを何故、ここに隠すように置いているのかしら?

 

「この図書館は作業場が多すぎてね。いちいち決まった書斎から取り出していると時間がかかるから、書斎や寝室などすべての部屋に備えてるんだ」

「さらっと思考を読むな。それで、あれは何なの?」

 

 そう聞くと、管理人はその剣を指さした。

 やはり、あの剣が宝具なのか。

 だが、あの程度の大きさなら、そこまでの脅威ではないと思うんだけど……。

 

「ってか、魔女との契約と付与された狂化を、剣なんか使ってどうするのよ?」

「それはもちろん――」

 

 そう言いかけた瞬間、急に風が巻き起こった。

 突風に思わず腕で顔を覆う。

 数秒後、ゆっくりと目を開けると……そこには――

 

――先程壁に掛けられていた剣を手に取った管理人がいた。

 

「――契約と狂化を塗りつぶすんだよ。この()()を使ってね」

「…………は?」

 

 唖然としていると、管理人は手に持った剣で私を切りつけた。

 そこで意識は闇に沈んでしまったのである。







・管理人のちょっとした秘密

 実は、管理人は無数の宝具を持っている。
 本は言わずもがな。
 その本を書くためのペンなんかも宝具だし、それを収める図書館も宝具だ。
 図書館を宝具として使う場合は、どこぞのローマ皇帝(余だよ!)と同じような使用方法になる。



・作者の悩み

 管理人の宝具の名前どうしようかな……?


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