「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」   作:クラウディ

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特に書くことはないです。
強いて言うなら、感想が来て嬉しいことぐらい。

それでは本編どうぞ。





ジークフリートとの邂逅

「……いました!」

「酷い負傷……!」

「……くっ!」

 

 ジャンヌさんの先導でたどり着いた先には、長身の男性が壁に背を預けるようにして座り込んでいた。

 男性の方は、全身が傷だらけだったけど、体が欠損しているようなことは起きていない。

 でも、私たちに警戒心を飛ばしていた。

 私はすぐさま駆け寄ると、彼に話しかける。

 

「あの! 私、藤丸立香って言います! ジークフリートさんですよね!?」

「! 何故、俺の名を……」

「管理人さんから聞きました!」

「管理人!?」

 

 ジークフリートと名乗った男性は、驚いたように目を見開く。

 しかしすぐに冷静になると、私たちに向けてこう言った。

 

「お前たちは……管理人の仲間なのか……?」

「そうです! 現在、外で管理人さんがファヴニールと戦っています!」

「……なるほど……道理で外から強大な魔力を感じるはずだ……」

 

 彼は納得したような声を出すと立ち上がろうとする。

 どうやら、まだ戦う気みたいだ。

 だが、彼の体は限界に近いのか、ふらついてしまう。

 このままじゃ……!

 

「待ちなさい! アンタは今呪いの影響を受けているわよね! そんな状態で戦うつもり!?」

「ああ。ファヴニールは俺が倒さなければならない……」

 

 マルタさんが待ったをかけるが、それでもなお戦おうとする彼を見て、ジャンヌさんは悔しそうな顔をする。

 すると、ジャンヌさんは何かを決意した表情を浮かべたあと、こう言った。

 まるで、自分に言い聞かせるように……。

 

「まずは貴方の傷を治し、呪いを解きましょう。マルタさん、私と協力して彼の呪いを解くことはできますか?」

「……ええ。この場に私を含めて聖人が二人もいるから解呪ぐらいは可能だわ」

「できるのか……? すまない、恩に着る……」

 

 ジャンヌさんの提案を聞いた彼が頭を下げると、マルタさんは「遠慮しなくていい」と首を横に振る。

 そして、2人は祈りをささげた。

 すると、彼らの体から淡い光が放たれて、その光は彼の体を包み込む。

 これが、聖女の力か……。

 2人が治療をしている間、私は何もできずにただ見ていることしかできなかった。

 ただ、隣にいるマシュの手を握っていることだけしか……。

 

「すまない。君たちのおかげで俺はまた戦える。行かなくては……」

「ちょ!? 待ちなさい! 今のは呪いを解いただけよ! 怪我まで治したわけじゃない!」

 

 そう言って、再び戦いに向かおうとした彼を、今度はマルタさんが止めた。

 だけど、彼はそれを振り払って、戦場へ向かおうとしている。

 その時だった。

 

「きゃっ!?」

「くっ! この魔力は!?」

 

 建物全体が振動するような衝撃が走った。

 何事かと思っていると、マルタさんが険しい顔をしながら外を睨む。

 そして、濃密になったからこそ、私にもわかった。

 

 「これは、管理人さんの魔力だ」と。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 建物の外にいたのは、ワイバーンよりもさらに大きな怪物だった。

 その姿を見た私は、思わず言葉を失う。

 それは、ドラゴンのような姿をしていたからだ。

 

 でも、ドラゴンと言うにはあまりにも禍々しい。

 

 あれではまるで、悪竜そのものじゃないか。

 

 その姿を見て、ジャンヌさんもアルトリアさんも驚愕の表情をしていた。

 おそらく、彼女たちにとってアレは初めて見る存在なのだろう。

 

 そして、あまりにも「格」が違った。

 

 ワイバーンよりも、サーヴァントよりも……。

 

 でも、私たちが驚愕したのはそれだけではなかった。

 

「グロォオオオオオオ……!!」

「やはり、格が落ちると倒しきれないか……」

 

 そんな邪悪な竜――「ファヴニール」と一人でやり合ってる管理人さんの姿があったからだ。

 あの巨大な怪物を相手に、一歩も引かずに互角の戦いを繰り広げている。 

 

 しかも、()()で。

 

 信じられない光景に、私たちは唖然としてしまう。

 しかし、呆けていたのはほんの数秒だけだった。

 何故なら、私たちの前に、死にかけの体を引きずりながらも、ジークフリートさんが立ったからだ。

 

「待たせたな管理人……そいつは俺に任せてくれ」

「まったく……ヒーローは遅れてやって来るって事かい?」

 

 管理人さんは少し呆れたように言うと、ジークフリートさんは静かに笑みを浮かべながら剣を構える。

 それを見て、管理人さんはジークフリートさんに出番を譲るように退いた。

 

「久しぶりだな。邪悪なる竜(ファヴニール)二度(にたび)蘇ったなら、二度(にたび)食らわせるまでだ……!」

「……ファヴニールが怯えて……あのサーヴァント、まさか――!?」

 

 魔力を迸らせるジークフリートさんに、明らかに怯えたような反応を見せるファブニール。

 その様子に、ファヴニールの上に乗っていた「魔女」は驚きの声を上げる。

 私も同じだ。

 だって、今の反応は、普通の人間やサーヴァントにできるようなことではない。

 つまり……! 彼は、本物の「竜殺し」!

 

「蒼天の空に聞け! 我が真名はジークフリート! 汝をかつて打ち倒した者なり!」

 

 そう名乗った直後、彼の全身から膨大な魔力が噴き出す。

 そして、一気にファヴニールへと駆け出した。

 対するファブニールは、本能的に危険を感じたのか、口から炎のブレスを吐き出すが、

 

「ジーク行け!」

「すまない!」

 

 管理人さんが援護して、炎をかき消した。

 その間に、彼はファヴニールに接近し、剣を振り下ろす。

 だが、ファブニールは咄嵯に身を捻らせて回避すると、大きく後ろに下がった。

 しかし、

 

「宝具開放……! 『幻想大剣(バル)――天魔失墜(ムンク)!!』」

 

 迸る魔力が、そのまま蒼い光の剣となり、ファヴニールの体を直撃する。

 あまりの威力に、ファブニールは悲鳴を上げながら吹き飛んだ。

 私たちも、吹き荒れる暴風に腕で顔を守ってしまう。

 

「がふっ……! すまない……今の俺では、これが限界だ……今のうちに逃げてくれ……」

 

 そう言って、地面に倒れ伏したジークフリートさん。

 彼の体は、すでにボロボロだった。

 おそらく、もう戦える力はないんだろう……。

 それでも、彼は最後まで戦い抜くために立ち上がった。

 その覚悟を無駄にしてはいけない。

 そう思った時だった。

 

「ありがとうジーク。でも君にも来てもらわないといけないんだ」

「管理人さんの魔法陣!」

 

 管理人さんが私たちの足元に複雑な魔法陣を展開する。

 そして、こういう時に管理人さんが使う魔術は決まっていた。

 

「『空間跳躍』するよ!」

「待ってました!」

 

 次の瞬間、私たちを眩い光が覆い、私たちはその場から離脱したのであった。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「きゃっ!」

「ひょわっ!?」

 

 魔法陣から放り出された私は、またしりもちをついていた。

 こういうの、もうちょっと何とかならないのかなぁ……。

 そんな抗議の意味を込めて管理人さんに視線をやると、彼も同じような体勢で着地していた。

 だけど、すぐに立ち上がると、周囲を警戒するように見回す。

 

「皆! 早速だがワイバーンの群れだ! それに、サーヴァントも二体、こちらに向かっている!」

「今度はどれだけ離せたの!?」

「この間よりも急造で魔方陣をこしらえたから、十キロもないだろう!」

 

 つまり、そこまでしか飛べてないってことか。

 それじゃあ、ファブニールが来たら終わりかもしれないってこと!?

 さっきの戦いで、ファヴニールがあれだけ弱っていたのは、多分ジークフリートさんがいたからで、本調子じゃないだろうし。

 とにかく、今は逃げるしかない! 私たちは一目散に走り出し、ワイバーンの群とサーヴァントたちから逃れる。

 だけど、

 

「あれは……フランス軍!? ワイバーンに襲われています!」

「ッチ! 次から次へと忙しねぇな!」

 

 マシュが人影――「フランス軍」を見つけた報告をすると、クーニキが舌打ち交じりに悪態をつく。

 確かに、こっちは逃げてる最中なのに、向こうは戦闘中だなんて、邪魔にしかならない。

 どうしよう……助ける?

 だけど、あのフランス兵たちが持っている武器は槍とか弓だし、ワイバーン相手だとキツイんじゃないの!?

 

「前門のワイバーン、後門のサーヴァント、か……」

「くっ! すまない、俺が足手まといなせいで……」

 

 ジークフリートさんは悔しそうに唇を噛む。

 だけど、ここで立ち止まっても仕方がない。

 どうにかして突破口を開かないと……!

 

『皆聞こえる!? そっちにサーヴァントが――!』

「知ってますドクター!」

 

 通信機越しに聞こえてきたロマンの声に返事をしながら、振り返り、追ってきたサーヴァントたちに目を向ける。

 そこには、貴族服のようなものを身に纏った男性と、全身甲冑に身を包んだ騎士が一騎。

 

「A――――――urrrrr!!」

「…………」

 

 サーヴァントは、こちらを見るや否や、猛烈な殺気を飛ばしてくる。

 そのことに、またしてもへたり込んでしまいそうだったけど、何とか気合を入れて立て直した。

 

「……野郎……!」

「――まあ、何て奇遇なんでしょう。貴方の顔は忘れたことがないわ、気怠い職人さん?」

 

 モーツァルトさんが、怒りを表情に出し、貴族服のサーヴァントを睨みつけた。

 もしかして因縁があるのだろうか? そう思っていると、マリーさんが、ドレスを翻しながら前に歩み出る。

 まるで、自分が戦うかのように。

 そんな彼女は、挨拶をするかのように貴族服のサーヴァントに声をかけた。

 

「それは嬉しいな。僕も忘れた事などなかったからね。懐かしき御方。白雪の如き()()()()()の君」

 

 しかし、返ってきたのは、ひどく芝居がかった口調での返答だった。

 その様子に、マリーさんは少しばかり眉をひそめる。

 だけど、その顔はすぐに微笑みに戻った。

 彼女の真意を悟れない以上、この場は彼女に任せるしかない。

 

「そして同時に、またこうなった事に運命を感じている。やはり僕と貴女は、特別な縁で結ばれている」

「? どういうこと?」

 

 彼の言葉に首を傾げるマリーさん。

 そんな彼女に、彼は恭しく礼をして見せる。

 だけど、次の瞬間には、口元を大きく歪めて見せた。

 その笑みを見て、私は思わずゾッとする。

 あれは、殺すことを楽しんでる顔だ。

 

「そうだろう? 処刑人として一人の人間を二回も殺す運命なんて、この星では僕たちだけだと思うんだ」

「……生前のみならず、今回もマリアを『処刑』するつもり満々ときたか。()()()()()()()()()()()()()。どうやら本気でいかれてたってワケかい?」

 

 モーツァルトさんの言葉で理解した。

 こいつが、あのマリーさんを処刑したっていう男なのか!

 私はジャンヌさんたちから聞いていた情報を思い出しながら、彼を見据える。

 確か、フランス王家の死刑執行人を務めてたって言う……。

 そんなことを考えている間にも、モーツァルトさんの言葉を聞いたサンソンは不快そうに顔を歪める。

 

「……人間として最低品位の男に、僕と彼女の関係を語られるのは不愉快だな」

 

 言ってることは間違ってないけど、あんまりな言い草に、流石の私でもカチンときてしまう。

 確かに、モーツァルトさんは変な曲を作ったことで有名だけど、それだけじゃない。

 音楽に情熱を傾け続けたからこそ、あんなに素晴らしい曲の数々が生まれたんだ。

 それを、こんな風に言われる筋合いはない!

 そう考えていると、モーツァルトさんが鼻で笑う。

 それを見たサンソンの顔が、更に不機嫌になった。

 

「アマデウス。君は生き物、人間を汚物だと断言した。僕は違う。人間は聖なるものだ。尊いものだ。だからこそ、処刑人はその命に敬意を払う。お前と僕は相容れない。人間を愛せない人間のクズめ。彼女の尊さを理解しない貴様に、彼女に付き従う資格はない」

 

 そう吐き捨てると、サンソンは剣を抜く。

 対するモーツァルトさんは、小さくため息をつくと、肩をすくめた。

 まるで、挑発するように。

 

 そんな二人のやり取りが行われている傍ら、もう一騎の全身甲冑を着込んだサーヴァントも動き出す。

 こっちは、明らかにやる気だ。

 マシュが盾を構え直すと、全身甲冑サーヴァントが、兜の奥で目を光らせる。

 だけど、次の瞬間――

 

「歯を食いしばりなさいランスロット!」

「Arrrrrthrrrrr!?」

 

 横合いからアルトリアさんが甲冑を着込んだサーヴァントを殴りつけた。

 その一撃は、サーヴァントの鎧を砕くどころか、吹き飛ばすほどの威力があったようで、サーヴァントは地面に叩きつけられる。

 突然の出来事に、その場にいた全員が唖然としていた。

 そんな中、いち早く我を取り戻したのは管理人さんだった。

 

「アルトリア……ランスロットは君に任せてもいいかい?」

「ええ。彼にはきつめのお仕置きが必要ですから」

 

 言って、彼女は倒れ伏すサーヴァントの胸倉を掴むと、そのまま持ち上げる。

 まるでゴミのように、軽々と。

 その様子を見た私は、改めて彼女がどれだけの力を持っているのかを実感してしまった。

 だけど、今は感心してる場合じゃない。

 

「アルトリアさん! そっちは任せた!」

「任されましたよマスター! それではランスロット。エクスカリバー百本ノックを食らわせてあげますからね!」

「Arrrrrthrrrrr――!」

 

 こうして、サーヴァント二体との戦闘が始まった。







・管理人のちょっとした秘密

 実は、某第二魔法使いと並行世界に行ったりするのだが、その際、向かった先でサーヴァントとして召喚されたりということをしている。

 第四次(Zero)第五次(stay night)聖杯戦争では、本来ならバーサーカーを召喚するところに割り込み、第四次ではとある幸薄な少女を、第五次では雪の少女を救っている。
 そして、聖杯の泥を第四次ではアーチャー(金ピカ)(友人がいたことでノリノリだった)と共に、第五次では自らが消し飛ばしていた。

 外伝(Apocrypha)では、『黒のキャスター』として召喚され、赤のルーラーの陰謀を粉☆砕した。
 本来の黒のキャスターはゴーレムを作成し、防衛などをさせていたり、最終決戦では飛行機に乗って敵陣に侵入していたが、前者は管理人自らがサーヴァントを召喚し、後者は図書館を起動していた。

 月の聖杯戦争(EXTRA)では、ローマ皇帝、一尾の狐、正義の味方、黄金の裁定者というそうそうたるメンツ以外の選択肢として参戦していた。
 この世界戦だと某魔性菩薩が彼の影響で人類素晴らしいウーマン(人間賛歌の求道者)となってしまい、難易度は上がっている。
 しかし、フルパワーを取り戻した管理人さんの大技『メモリアルバースト』には勝てなかった。
 この世界線では、岸波白野(とある少女)が管理人の図書館に住み込みで働き始めるエンドになる。
 一人しかいなかった図書館が少し賑やかになるルートでもある。


 管理人は完全無欠のハッピーエンドを目指している。
 この人理が焼却された世界でもそれは変わらない。

 もし、なよっとした男が自分の命をささげる覚悟を決めようものなら、絶対に妨害してくるだろう。
 彼も、この物語(世界)には必要な存在だからだ。


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