「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」   作:クラウディ

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管理人の宝具をお披露目するのは、第二特異点からにしようと思っています。

そんなことを考えつつ、本日二度目の投稿。

戦闘シーンが短くてすいません!





バーサーク・サーヴァントとの戦闘

 サンソンとモーツァルトの戦いは熾烈を極めていた。

 サンソンは、手にした剣を縦横無尽に振るう。

 対して、モーツァルトは、自身の武器である音楽を巧みに操り、その斬撃をいなしていく。

 しかしそれでも、

 

「くっ! やはり戦闘向きじゃないときついねぇ!」

「口だけかアマデウス!」

 

 彼の服は所々切り裂かれており、そこから血が流れている。

 一方、サンソンも無傷というわけではない。

 彼の持つ処刑人の得物である刃は、その刀身がボロボロになっていた。

 お互い、かなり消耗しているようだ。

 だけど、こちらはアマデウス一人ではない。

 

「エミヤ! クーニキ!」

「了解した!」

「おらよっと!」

 

 二人の援護射撃が、サンソンを襲う。

 サンソンはそれを、大きく飛び退いて回避した。

 これで、サンソンはモーツァルトから離れざるを得ない。

 だけど、サンソンはそれで構わないみたいだ。

 彼はすぐにアマデウスへと狙いを定める。

 一方のアマデウスも、彼に向かって駆け出していた。

 そして、二人は同時に互いの間合いに飛び込む。

 サンソンの剣と、アマデウスの曲が激しくぶつかり合った。

 何度も、何度でも、両者は互いに斬り合う。

 そんな時だった。

 

「Arrrrr!?」

「っ!?」

「バーサーカー!?」

 

 彼らの間を通過するように、ランスロットと呼ばれたサーヴァントが吹き飛ばされていく。

 どうやら、アルトリアさんの一撃を受けて、ぶっ飛ばされたらしい。

 あれだけのダメージだ。

 しばらくは動けないだろう。

 その間に、サンソンの相手はどうにかできた。

 私はそう判断すると、クーニキに指示を出す。

 

「クーニキ! 宝具を使って!」

「へっ! 了解!」

 

 クーニキは、槍を両手で持ち直すようにすると、魔力を高めていく。

 私はそれを確認してから、マシュとジャンヌさんに目配せをした。

 二人とも、私の意図を理解してくれたようで、すぐに行動に移す。

 

「皆さん! 敵サーヴァントとワイバーンから離れてください!」

 

 ジャンヌさんが味方全員に届くようにと声を張り上げ、私達はその場から離れる。

 クーニキの宝具は強力だけど、巻き込まれたら洒落にならないからね。

 私達が離れると同時に、クーニキは大きく息を吸い込み、

 

「この一撃、手向けとして受け取れ!」

 

 一気に駆けだした。そのスピードは今までにないくらい速い。

 一瞬でトップギアに入る。

 そんな彼が狙っているのは、もちろん、サンソンたちだけだ。

 対するサンソンたちは、

 

「チィッ!」

「Arrrrr!!」

 

 舌打ち交じりに回避しようとするが間に合いそうにない。

 そして、クーニキがサンソンたちから十メートル離れた地点で飛び上がる。

 そのまま、全身の筋肉を隆起させるほど力を込めて、槍を投擲した。

 

突き穿つ(ゲイ)――死翔の槍(ボルク)!!」

 

 放たれた朱槍は音速の壁を容易く突破し、大気との摩擦によって炎を上げる。

 その一撃は、サンソンたちに向かっている途中で分裂し、狙い違わずサンソンたちを捉えて、そのまま彼らを貫いた。

 クーニキの宝具は、確かにサンソンたちに直撃した。

 だけど……

 

「ぐっ……! 危なかった……!」

「A……r……!」

 

 サンソンは右腕が抉り飛ばされた以外はほとんど傷がなく、代わりにランスロットと呼ばれたサーヴァントの体の大部分が抉り取られている。

 他にも、フランス軍を襲っていたワイバーンを、分裂した穂先が貫き、消滅させていた。

 ……さすがはケルトの大英雄。威力も半端じゃないなぁ。

 クー・フーリンの持つ魔槍――ゲイボルクは彼が扱うことで、凄まじい兵器となる。

 もっと言えば、先程の技は槍に備わっている呪いの力を魔力によって発動させてるだけで、ただの「投擲」なのだ。

 故に、魔力消費がほとんどないため、すごく燃費がいい。

 しかし、それでも全滅させることはできず、ワイバーンは大量に残っている。

 例え、サンソンを倒すことができても、ワイバーンの群れが残っているためジリ貧だ。

 どうしたら……どうすればいい……!

 そう思っていた時であった。

 

「砲兵隊、()ぇぇぇぇっ!」

 

 どこからか、号令の合図が聞こえる。

 それと同時に、大量の大砲が火を噴いた。

 その攻撃は、サーヴァントであるクーニキやサンソンたちには効かないけど、ワイバーンたちの体に大きな穴を空け、次々と落としていった。

 一体誰が? と思ったら、それはフランス軍からの援護だった。

 

「え……? ジル……!」

「周囲の竜を優先しろ! ありったけの砲を撃て!」

 

 いつの間にか、戦場から離れていたはずのフランス兵が戻って来ていたのだ。

 彼らは手にした武器で、ワイバーンたちを殲滅していく。

 彼らを指揮しているのは、ジャンヌさんがふとこぼした言葉から、ジルと呼ばれる知り合いだろう。

 

「っ! 立香さん! 今なら!」

「うん! ライダーさん!」

「承知しました!」

 

 ジャンヌさんが私に合図をしたので、私はライダーさんに追撃の合図を出す。

 同じライダーでも、マリーさんを行かせていないのは、もしかしたら史実的な関係で特攻が入ってしまうかもしれないと思ったからだ。

 ライダーさんは、クーニキみたいな速度でサンソンに接近していく。

 それに対して、サンソンは剣を構え直して迎え撃つ姿勢を取った。

 だけど、クーニキの攻撃を受けて無傷というわけではないようだ。

 彼の剣は一部が砕けてなくなっている。

 ただ、ライダーさんはそんなこと関係ないと言わんばかりに、速度を落とすことなく突っ込んでいく。

 そして、渾身のドロップキックを食らわせた。

 

「吹き飛びなさい!」

「がはぁっ!?」

 

 サンソンはその一撃で大きく吹き飛ぶ。

 だが、彼は空中で体勢を立て直すと、すぐに地面に着地した。

 対するライダーさんの方は、勢いを殺しきれずに地面を削るようにしながら滑っていく。

 すぐに彼女は立ち上がって、再びサンソンに向かっていった。

 

「っ! 宝具! 死は明日への希望なり(ラモール・エスポワール)!」

 

 だけど、サンソンは宝具を発動して、巨大なギロチンを出現させる。

 そのまま、ギロチンの刃が落ちていき、ライダーさんを真っ二つにする――というところで、先程から沈黙を保っていた管理人さんが動いた。

 

「『詠唱破棄――脱出王の奇跡(フーディーニの魔術)!』

「なに!?」

 

 突然、ライダーさんの前に転移してきた管理人さんは、右手で握っていた本を、まるで手品のように素早く動かした。

 すると、次の瞬間には、サンソンの宝具の効果が打ち消されていた。

 その現象に目を見開くサンソン。

 一方で、私は内心で驚いていた。

 

(宝具の効果すら打ち消せるの!?)

 

 宝具とは、英霊――サーヴァントを象徴する必殺技だ。

 それが、目の前にいる管理人さんにとっては、児戯に等しいらしい。

 だけど、その事実は同時に、管理人さんがどれほど規格外なのかを物語っている。

 だけど、今はそれよりも、あそこまで無防備になったサンソンの方が重要だ。

 ライダーさんは、さらに加速の付いたドロップキックを食らわせて、遥か彼方に吹っ飛ばした。

 それでも、まだ息があるらしく、ランスロットみたいに消滅はしていないのが遠目だが分かる。

 

「これで、一先ずは安心かな?」

「うん。でも、追手が来ないとも限らない。だから早く離れよう」

 

 私がそう言うと、ライダーさんはこくりと首肯し、私たちと共にその場を離れた。

 そして、フランス軍の方を見ると、ジャンヌさんを信じられない者でも見るかのように凝視していた。

 

 こうして、新たにサーヴァントを迎え入れつつも、激しい戦闘を乗り越えた私たちは次へと向かう。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「……放棄された砦のようですね。ひとまず、ここで休みましょう」

 

 そうマシュが報告した場所は、草原にある小さな砦だった。

 ここに来るまでにワイバーンや骸骨兵に襲われたけど、なんとか撃退することができた。

 

「ジークフリートの怪我はどうですか?」

 

 そうジャンヌさんが、ジークフリートさんの治療に当たっている管理人さんに尋ねる。

 ちなみに、あの後、ワイバーンの群れが襲ってきたのだが、管理人さんが一撃で全滅させていた。

 それ、もうちょっと早く使ってほしかったなぁ……。

 そんなことを思いつつ、マルタさんが言ってた通り、管理人さんは自身に頼りすぎないようにするため、あえて手を貸さなかったらしいのだ。

 これからも特異点を巡る身としてはごもっともすぎてぐうの音も出ません……。

 それはさておき、管理人さんはジークフリートさんに向けて魔法陣を展開していた。

 

「呪いがかかっていた形跡があったようだけど、それが解かれているね。ジャンヌとマルタがやってくれたのかな? ありがとう。おかげで治療もスムーズに行えたよ」

「いえ! 私なんかよりも、マルタ様に感謝を! 彼女が上手いこと私の解呪を手伝ってくれたからです!」

「いいえ。この子が優秀だったからこそ、あれだけ早く呪いを解くことができたのよ。もっと誇りなさい」

 

 ジャンヌさんは少し恥ずかしいのか頬を赤く染めながら、マルタさんの方を向く。

 対して、マルタさんはジャンヌさんのことを褒め称えていた。

 その光景を見てると、なんだか親子のような感じに見えてしまう。

 

「すまない管理人。一度ならず二度までも……」

「相変わらず謙虚だねジーク。あんまりそうだと、損をするって言ったのを覚えていないのかい?」

「……すまない」

 

 謝るジークフリートさんに対して、管理人さんは苦笑しながら彼を諫めていた。

 まあ、確かに有名な竜殺し(私は知らなかったけど……)にここまで言われると、自信をなくしてしまいそうになるよね。

 とはいえ、当の本人はそのことを気にしている様子はない。

 その辺り、私の知らない信頼関係があるんだろう。

 

「とりあえず、これでサーヴァントの数は11人。そのうち二人は、相手の切り札であるファヴニールを倒せる可能性があるサーヴァントだ。でも、これだけでは足りない。どうせやるなら万全を期してから挑もう。それでいいかい立香君?」

「はい。もちろん!」

 

 と、そこで話を振られたので、私は元気よく返事をした。

 戦力は多い方がいい。

 正直、今の私たちだけでは厳しいかもしれない。

 だけど、だからこそ、できる限りのことはしたいと思う。

 それに、第一特異点(ここ)で終わりじゃないんだ。

 今のうちに、様々なことを知っておかないと。

 そう思った時、ふと疑問が浮かぶ。

 聖杯戦争とは、7人のマスターと7騎のサーヴァントによる争奪戦だという。

 だけど、ここにいるのはカルデアから召喚したサーヴァントと「魔女」に召喚されたマルタさんを除いて、4人。

 あと3人、誰かいないのだろうか?

 

「ねぇジャンヌさん。残りのサーヴァントの場所は分かる?」

「……ええ。分かりますが、今は少し休むことにしましょう。兄さんもそれでいいですか?」

「いいとも。ジークの呪いは解けた。追手もまいた。しかし連戦続きだ。休むこともいいだろう。立香君も無理をしているようだし……」

「……へ?」

 

 突然、管理人さんにそんなことを言われて驚いた。

 だけど、すぐに彼が何を言っているのか分かった。

 だって、私の足は震えていたんだから。

 

「ファヴニールという、現代の魔術師からしてみれば特級の幻想種の魔力を受けたんだ。それに、狂化したサーヴァントの宝具の余波も。並の人間なら気を失っててもおかしくなかったんだよ」

「そ、そうなんだ……あ、あはは……情けないよね……」

「情けなくはないさ。君は頑張っている。大丈夫だ立香君。少し休んでいなさい」

「あ――」

 

 そう優しく告げた管理人さんは、私の額を指で押す。

 すると、意識が闇に飲まれていった。







・管理人のちょっとした秘密

 宝具名が決まったので、とりあえずここに残しておこうと思います。


・宝具

全てを記す図書館(アカシックレコード)」:EX

 管理人の宝具である図書館を展開する。
 ランクは驚異のEX。
 能力を解説しよう。
 まず、管理人と図書館の関係についてだ。
 管理人は、次元の狭間で出会ったとある男との約束のために、様々な世界を旅していた(しれっと第二魔法を使っている)。
 その際、自身が記録できる容量には限りがあると知ってしまう。
 そのことに絶望していると、当時拠点としていた町に住んでいた職人たち(魔物に襲われていたところを管理人が助けた)が図書館を作ってくれたのである。
 これが、管理人が住んでいる図書館の誕生秘話だ。
 そんなことを前提とさせてもらう。
 管理人は、言うなれば「本棚」であった。
 確かに、本棚であれば「情報()」を保存できるが、それでも図書館とくらべれば小さいとしか言いようがない(管理人の場合はすさまじい容量を誇っていたが、それでも足りないと実感するほど彼は情報に貪欲であった)。
 そんな彼を、職人たちが憐れんで作ったのが、「図書館」である。
 「本棚」すら内包する図書館を手に入れた管理人は、職人たちに感謝を告げ、彼らが亡くなるまで彼らの町を守り続けたという。
 それから、様々な世界を巡り、新しい「情報()」を手に入れていく管理人は、また容量という壁に直面してしまった。
 しかし、今度は解決策がある。
 「自分がこの図書館を増設すればいいんだ」と。
 幸いにも、職人たちの技術は記録して(覚えて)いる。
 そんなことを何千年、何万年と繰り返し続けた管理人の図書館は、一国の大きさとなった。
 図書館の外には庭園や自然も存在するため、見方を変えれば「箱庭」とも表現できるだろう。

 前置きが長くなってしまった。
 そんな図書館と管理人だが、行動する際、管理人が図書館を使うメリットは「存在している」。
 管理人が「本棚」というのは説明したが、それの限界までは説明していない。
 大体百冊――凡そ数十世紀分のことを記録できる管理人だが、それでもその程度である。
 それも一人一人のことを記録していけばもっと少なくなる。
 だからこそ、図書館は作られた。
 そんな図書館は、管理人が記録してきた「全て」の情報が保管されている。
 管理人が「本棚(自身)」に納めれば「(情報)」の力を引き出すことができる能力があるのは観測者(読者)も知っているはずだ。
 例えば、「ヘラクレスの記録」を納めれば、ヘラクレスの技量に身体能力を再現可能になる。
 それを同時に複数行うことができるのだ。
 しかし、それでも限界はあり、英雄がたった数十人集まった程度では、彼が目指すハッピーエンドは望めない。

 そこで、図書館の開放が来る。

 まず最初に、相手を自身の図書館(土俵)の中に引きずり込む。
 図書館内に引きずり込んだならば、自身も図書館の中に移動する。
 すると、管理人が図書館の中にいることで、「自身(本棚)」に納めている本だけでなく、図書館の本「()()」とリンクする。
 要するに、文字通りの「全力」が出せるようになるのだ。
 本に記録されている力をすべて引き出し戦うという特性と、本来限界があったものを自身の外部に構築することで制限を無くす宝具。
 図書館自体が外界とは遮断された場所にある(要するに、「全て遠き理想郷(アヴァロン)」)ため、管理人の許可がない限り脱出及び侵入は不可能。
 破壊しようにも、そこにある本一冊一冊が「世界」そのものとも言える(「蒼天囲みし小世界(アキレウス・コスモス)」と同じ)ため、対界宝具でもない限り突破は不可能。
 まずその前にやられるから不可能。
 不可能の三連星だ。

 ちなみに、本の蔵書台数は「億」を軽く凌駕する。
 管理人の身体能力は、本の数とイコールなので、単純計算で、数億人から一斉に攻撃された現象が起こる。
 しかも身体能力向上だけではなく、管理人が考えた物語や、他者が考えた物語の能力も含まれるため、その威力は絶大なものだろう。
 なんでこの人(?)だけ別次元にいるんだろう……?

 そんな図書館だが、彼自身の力の源でもある本を相手の前にさらしてしまうので、破壊できる手段があれば、彼を弱体化させられるだろう。
 そんなことしたら、彼が全力で消滅させにくるから実質無理なことだが……。

――この図書館を手に入れたのは、とある職人たちからの善意。
――この図書館を維持するのは、原初の思い出(約束)
――もしこの図書館を解放されたなら……


――自身の思い出()を振り返っておくのがいいだろう。


何時に投稿すると見やすいのか?

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