「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」   作:クラウディ

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感想がいきなり二件も来て、評価は三つ(どれも高評価)。

お気に入り登録は少ないかなぁ……と感じたけど、感想が来ただけで結果オーライ!





この世界での原初の思い出

『ふぅん? 君はこの世界とは別の世界から来て、様々な世界を巡りながら、その本とか言うのを書いてるんだ』

『そうだよギル。いろんな人と出会って、その人たちのことを記すんだ。これからも、素晴らしいものを忘れないようにね!』

 

 夢を見る。

 夢を見る。

 自身の知らない夢を見る。それは誰かの記憶。

 それは誰かの記録。

 それは誰かの夢。

 

『まぁ、いいや。さてと、今日も冒険に行こうか!』

『分かったよギル。これも君の冒険譚の一つとして書けるからね! 頑張ろう!』

 

 これは、誰のものなのかわからない記憶。

 それは、自分ではない自分が体験したもの。

 でも、不思議と嫌じゃない。むしろ、どこか心地よい感じすらする。

 だからだろう。

 自分はこの夢を見続けたいと思うのだ。

 

 場面が変わった。

 

『おい『―――』。そこの土塊は何だ?』

『う~んと……エルキドゥ、挨拶できる?』

『心配は無用だよ『―――』』

 

 今度は見たことのない場所にいる。

 しかも、どうやら私は何かを喋っているみたいだが、上手く聞き取れない。

 ただ、わかることは一つだけある。

 

(なんか場の空気が最悪なんだけどぉ!?)

 

 今、夢に見ている人物たちの周りだけが、とても険悪な雰囲気になっていたのだ。

 

『ッチ! 気安く我の友の名を呼ぶな。泥人形風情が』

『……えっと、ごめんね?』

 

 金髪の男が不機嫌そうに吐き捨てると、緑色の髪をした女……女? が困ったように謝る。

 それを見た金髪の男が、さらに苛立ちを募らせた様子で怒鳴りつけた。

 おそらく、喧嘩になると思ったのであろう。

 もう一人の青年――「管理人」さんが、慌てて間に入る。

 だけど、それを無視して、金髪の男は問いかけた。

 

『それで? 貴様はなんの用でここに来た?』

『神の命だ。君の横暴を正せ、とね』

『土塊ごときが、我を正すだと……? クックック……フッハハハハハハハハハハ!! 面白い! せいぜい壊れるなよ人形!』

『そう簡単に壊されないよ。君と違って僕は頑丈なんだから』

 

 二人の会話を聞いていると、ますます状況がわからなくなってきた。

 とりあえず、あの二人には因縁があるらしい。

 そして始まった戦い。

 私達が立っていた場所(王宮の中みたいだった)を破壊するほどの戦闘は、私が今まで見てきたサーヴァントたちのどれにも当てはまらないほど、凄まじいものだった。

 

『ん~……戦うのは良いけど、ここじゃなくてあっちでね?』

『なっ!?』

『わっ!?』

 

 それを見ていた、管理人さんは周りが壊されてはたまらないと、2人をこれまたすさまじい勢いで王宮の外にぶん投げる。

 しばらくして、2人が飛んでいった先では、爆発音や土煙が舞いだした。

 

(いや、管理人さんつっよ!? ってか、あの王様みたいな人相手にあれだけのことができるなんて、どんだけ規格外なのあの人!!??)

『……そこの君』

「ひゃ、ひゃい!」

 

 あまりのことに唖然としていると、管理人さんはこちらに近づいてくる。

 そして、話しかけられた。

 あれ?

 これって夢だったよね?

 なんで、管理人さんが話しかけてきてるの?

 え? どういうこと?

 

『やっぱり、立香君か。なんでこんなところにいるんだい?』

「そ、それはこっちのセリフですよ! 管理人さんこそどうしてここに!?」

 

 まさかの管理人さん登場に驚いていると、彼は少し考える素振りを見せてから答えてくれた。

 

『ここは僕と君の夢の中。多分、立香君が僕の夢の中……『記録』に入り込んじゃったんだ』

 

 ……はい?

 夢の中で夢を見ている?

 そんな馬鹿なことがあるのか?

 いやでも、実際に管理人さんがいるわけだし……。

 頭を抱えて悩んでいると、管理人さんは私の肩に手を置いた。

 

『この後も見ていいけど、流石に起きる時間だ。さぁ、目を覚ましなさい』

「え、ちょ!? ま――」

 

 その瞬間、意識が遠のく感覚に襲われる。

 きっと、もう目が覚めるのだろう。

 最後に見えたのは、優しく微笑む管理人の顔だった。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「待ってぇ!?」

「わっ! ど、どうしたんですか先輩?」

 

 目覚めて最初に目にしたのは、心配そうな顔をして覗き込んでいるマシュの顔だった。

 ……うん、良かった。ちゃんと夢から戻れたみたい。

 ホッと胸を撫で下ろしながら体を起こす。

 辺りを見回せば、そこはいつもの部屋。

 ふかふか……とまではいかないまでも、それなりに良いベットから降り、マシュに先程見た夢を話す。

 

「金髪の王様に……緑色の髪をした人……そして、その二人と親しそうにしていた管理人さんですか?」

「うん……。それと、すっごい戦いをしてたかなぁ……。こう、ズドーンって感じの攻撃とかシュイーンって感じで移動していて……」

 

 身振り手振りを交えつつ説明すると、マシュは考え込むように顎に手を添える。

 すると、何か思いついたようにハッとして、私に声をかけた。

 もしかしたら、これがヒントになったかもしれない。

 そう思い、彼女の話を聞くことにする。

 

「すみません先輩……。流石にわかりません……」

「ありゃりゃ……ま、こんなので分かったら、マシュが天才すぎるよね……後輩に追い越される先輩……兄より優れた弟……俺の名を言ってみろぉ……」

「せ、先輩! 変なところにトリップしないでください!」

 

 あははーっと遠い目をしながら呟いていると、慌てて止めてくるマシュ。

 ごめんごめ~んと謝ると、彼女は呆れながらも許してくれた。

 それにしても……あの二人は一体何者だったんだろう?

 そう考えながら部屋を出て、廊下を歩いていると……。

 

「あれ? 管理人さんがいますね」

「ほんとだ。何してるんだろ……」

 

 そこには、何故か扉の前で本を開いている管理人さんの姿が。

 彼は本を読みながら、時折チラリと扉を見て、また読み始めるというのを繰り返していた。

 気になるなら入って行けばいいのに……と思いながら、声をかけてみた。

 

「管理人さん、こんにちは!」

「こんにちは。管理人さん」

「ん? あぁ、立香君とマシュ君か。どうだい? いい夢は見れたかな?」

 

 挨拶をしただけなのに、管理人さんは少し驚いたような表情を浮かべた後、笑顔で聞いてきた。

 私はう~んと腕を組んで悩み、それから答える。

 あの二人のことはよくわからないけど、とても楽しい夢だったことだけは確かだ。

 だから、とりあえずそのことは後にするとして、何故扉の前で本を読んでいたのか聞いてみた。

 

「あの、なんで扉の前で本を読んでいたんですか?」

「ん~……ちょっとした準備中かな?」

「準備中、ですか?」

「そう。僕が保有する図書館をここに『繋げる』ためのね」

「え?」

「え!?」

 

 私は首を傾げ、マシュは驚いたような声を上げる。

 そんな私たちの様子を見た管理人さんは苦笑しながら説明を始めた。

 

 そもそも、私達がいるこの世界は、現在、人理焼却という事態にあっていて、カルデア以外の歴史が全部燃えちゃっている状態らしい。

 だから、外に出ようとすれば、たちまち燃えて死んでしまう。

 それを解決するために、世界が燃えている原因となった七つの『特異点』を修復するために、私達は戦う……らしいのだ。

 そう、マシュが分かりやすく教えてくれたので、なんとか理解できた。

 でも、それはそれとして、今の話を聞いて、ある疑問が浮かんでくる。

 それは、管理人さんの図書館はカルデアの外にあるということだ。

 

「カルデア以外のすべてが燃えている状況で、このカルデアどころか、魔術の総本山――「時計塔」以上に大きいと言われている図書館を持ってくるなんて可能なのでしょうか!?」

 

 マシュの言葉に、私は確かにそうだと思った。

 仮に、カルデアの外にそういう場所があったとしても、移動するだけで大変だし、そこに行くまでに焼け死ぬ可能性がある。

 だけど、管理人さんは図書館を『繋げる』と言った。

 なら、

 

「こっちに持ってくるんですか? 図書館自体を?」

「そうだね。正確には、僕が所有している図書館の扉と、このカルデアを繋ぐわけだ。そうすることで、こちら側に持ってくるんだよ」

 

 なんでもないことのように話す管理人さんだが、とんでもない事を言っている気がする……。

 マシュも目を丸くして驚いているし……。

 なんでこの人だけ、住んでる世界が○リーポッターなの……?

 

「ま、それもあと十秒ほどで終わるし、しばらくは中の整理をしようと思うよ。人理焼却で消滅していないとはいえ、多少なりとも影響は出ていると思うから、君達は食堂に行ってみると良いかもね」

 

 そう言うと、管理人さんはパタンと本を閉じ、部屋の扉に手をかける。

 そして、私達に振り向くと、いつも通りの優しい声で言った。

 

「それじゃ、また後でね?」

「あ、はい……」

 

 思わず返事をするが、彼はそのまま部屋の中に消えていく。

 残された私たちは、顔を見合わせて、それからゆっくりと歩き出した。

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