「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」   作:クラウディ

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連続投稿DA!

前回に引き続き、決戦前を描写しました。

遅れましたが、UA30,000回ありがとうございます!
もうすぐ40,000回ですが、これからも頑張っていきますので、皆様、応援をよろしくお願いします!

それでは、本編どうぞ!





第一特異点最後の夜

 作戦会議の後、私たちは明日に備えてきっちり休むことになった。

 私は、いつもの部屋で休んでいるのだが……

 

「安珍様、お疲れになったでしょう? マッサージをして差し上げますわ」

「ありがとね~」

 

 何故か、清姫が私の部屋にいて、ベッドの上でうつ伏せになっている私の背中を揉んでくれている。

 最初は、彼女が部屋に来たときはびっくりしたけど、すぐに私のことを心配してくれてるんだって分かって嬉しかった。

 清姫と一緒にいると安心するなぁ。

 そんな風に思っていると、扉をノックする音が聞こえる。

 

「誰~?」

「先輩、私と……」

「私ですわ!」

 

 私の声にかぶせるようにして聞こえたのはマシュとマリーさんだった。

 二人は私に声をかけると、部屋の中に入って来た。

 マシュは私の近くに来ると、心配そうに話しかけてくる。

 どうやら、私のことが気がかりだったようだ。

 

「先輩。本当に大丈夫なんですか?」

「うん! もう平気だよ! ほらっ!」

 

 元気いっぱいに答える。

 すると、マシュは小さく息をついた。

 それから、彼女は笑顔を見せる。

 やっぱり、彼女の笑顔を見ると、心が温かくなってほっとする。

 

「それで、今日は何をしに来たの?」

「明日は「魔女」との決戦でしょう? もしかしたらこの特異点最後の夜になるかもしれないから、みんなで集まって一緒に寝ようってなったの!」

 

 私が尋ねると、今度はマリーさんが答えてくれた。

 な、なにそれ!?

 なんか、修学旅行みたいで楽しそう!!

 私は、目を輝かせながら二人を見る。

 そんな時だった。

 扉からこの部屋を覗き込むようにしているジャンヌさんを見つけたのは。

 

「あの……私もいいですか?」

「あれ? ジャンヌさん? 別にいいけど?」

「ほんとですか!?」

 

 ジャンヌさんの申し出に、私は特に考えることもなく許可を出した。

 彼女なら、断っても無理矢理入ってくるようなことはしないと思ったからだ。

 それに、女子会は人数が多い方がいいもんね!

 すると、ジャンヌさんの顔にパッと明るい表情が浮かぶ。

 

「安珍様……私もいることをお忘れなく」

「忘れてないよきよひー」

 

 ジト目で言う清姫に、苦笑いしながら返す。

 まあ、清姫はともかくとして、ジャンヌさんとは話したいことあったからちょうど良かったかも。

 そう思いつつ、私は彼女たちに言った。

 ちなみに、私が寝ていたベッドは、俗にキングサイズと呼ばれる大きさがある。

 だから、私たち五人が乗っても広々としているのだ。

 

「それじゃあ、どんな話をしようかしら?」

 

 私が提案をする前に、マリーさんが尋ねて来た。

 それに対して、私は答える。

 正直、あんまり考えていなかった。

 でも、せっかくだし何か話題を提供しないと。

 そう思っていると、きよひーが手を挙げてこう言った。

 

「ならば、各々の意中の相手を話すのがいいのではないでしょうか?」

 

 えっと……。

 きよひーが提案したのは、ガールズトークとしては定番と言える内容だ。

 ただ、それを話すことによって、より盛り上がる可能性はあると思う。

 なので、私は少し考えてみることにする。

 私の好きな人……誰だろう?

 

「私はもちろん安珍様ですわ。愛しております」

 

 最初に口を開いたのは清姫だった。

 私に向かって微笑みかけながら言う。

 うん……。それは知ってるんだけどさ。

 きよひーって、女の子じゃん?

 私は日本人として生まれたから、流石に同性愛者の気はないというか……。

 そう思って、他の人に視線を向ける。

 まずは、ジャンヌさんに聞いてみることにした。

 ……うん。

 すごく恥ずかしそうな顔で俯いちゃった。

 それに何となく感づいてると言いますか、今までの反応からして、ジャンヌさんが誰を好きなのか分かってるんだよね。

 

「ジャンヌさんは、管理人さんが好きなんだよね?」

「!? …………はい……」

 

 私が尋ねると、彼女は顔を真っ赤にして小さく呟いた。

 その反応を見て、やっぱりそうだと確信した。

 だって、管理人さんは優しいし、頼りになるし、私のことも守ってくれる。

 そして、私にとっては彼は目標だ。

 誰かに託し、誰かを助ける。

 そんな彼に憧れている。

 でも、それは恋とかそういう感情じゃない。

 もっと別の何かだ。

 私は彼に救われた。

 だからこそ、今度は私が助けてあげたいし、力になりたい。

 そう思うのは自然なことだ。

 それはさておき、ジャンヌさんの話だ。

 

「私は、聖女と呼ばれる前――まだ田舎娘だった時に、兄さんと出会いました。その時は、ただの優しい人だとしか思っていなかったんです。だけど、時間が経つにつれて、とても頼れる存在に見えて……」

 

 そう言って、ジャンヌさんは頬を赤く染めてうつむく。

 多分、照れているんだろうなぁ。

 そんな彼女を見ていると、ちょっとだけ羨ましくなる。

 そんなことを考えながらジャンヌさんを見つめていた時だった。

 ふと、彼女がこんなことを言い出した。

 

「あの……マリー。私は兄さんにふさわしいのでしょうか?」

 

 急にそんなことを言われても困ってしまうかもしれない。

 だから、マリーさんに尋ねたんだと思う。

 でも、マリーさんは笑顔を浮かべるとこう答えた。

 まるで、聖母のような穏やかな笑みで。

 

「ええ! 貴女はあの人の側にいてもいいと思うわ!

「そうですか……?」

「そもそも、その人にふさわしいかどうかを決めるのは周りではなく、本人たち自身だと思うの。……私は周りに決められてしまったけど、それでもあの人に出会えたのは幸せよ! それはジャンヌ、貴女もではなくて?」

 

 確かに、マリーさんの言う通りかもしれない。

 周りの評価なんて関係ない。

 自分がどうしたいか、どうなりたいかを自分で決めるべきだ。

 

「そう、ですね……。私は兄さんが好き……。好きになった理由は色々あるけど、私にとっての兄さんは、どんな時も優しくて、強い意志を持っていて、頼りになって、一緒にいると安心できる、そんな人なんです」

 

 ジャンヌさんは、マリーさんの問いかけにそう答えた。

 その顔には、今までのようなオドオドした影はなく、自信に満ちた表情になっている。

 これなら大丈夫かな? 私は、彼女の言葉を聞いて、ほっとした。

 すると、ジャンヌさんが私に話しかけてくる。

 その表情は、さっきまでとは打って変わって真剣なものだった。

 

「立香さんは、明日の戦いに勝てると思いますか?」

「う~ん……勝てるかどうかより、「勝たなきゃいけない」かな?」

「勝たなきゃいけない……」

「うん。だって、カルデアが負けたら、私の思い出も何もかもなくなってしまうから。……きっと、この特異点が解決しても、他の特異点で死んじゃうかもしれない。だから、ここで躓いてる暇はない……っていうのがあるかな?」

 

 正直、怖い。

 レイシフトの適性率の高さと、マスターとしての素質しかない私は、魔術回路が一般人並みしかない。

 それなのに、今まで何度も死にかけている。

 ……死ぬことが怖くないと言えば嘘になる。

 でも、ここで負けたら、全部なくなってしまう。

 それは嫌だ。

 絶対に。

 私は、自分の気持ちをジャンヌさんに伝える。

 

「だから、「魔女」にはぜ~ったい負けない! 明日は皆で勝とう!」

「……はい!」

 

 私の言葉を聞いたジャンヌさんは、力強く返事をしてくれた。

 それを見た私は、少し嬉しくなる。

 良かった。ジャンヌさんは元気になったみたいだ。

 ジャンヌさんと話していた私に対して、清姫は不満げな顔をしていた。

 

「じゃんぬさんとばかり話して……あなたの愛しい清姫がここにいるんですよ?」

「あはは……きよひーも一緒に、明日は勝とうね?」

「……それならいいんです」

 

 清姫は、そう言うと私に抱きついてきた。

 うん。きよひーは相変わらず可愛い。

 こうして、私たちの女子会は過ぎていった。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「ちょっといいかいクー、エミヤ君?」

「あん?」

「どうかしたか管理人?」

 

 明日の決戦に備えて気を高めていた時に、管理人からアーチャー共々声をかけられる。

 一体何の用だ? そう思って視線を投げかけると、管理人は真剣そうな顔で俺たちを見つめ返してきた。

 そして、こんなことを言ってきた。

 

「明日の決戦の際、君達にはジャンヌたちの護衛をしてもらうのは作戦会議ですでに決めていたよね?」

「ああ、そうだったな。それがどうしたというんだ?」

「俺も承知してるぜ。正直に言えば、俺もファヴニールとかいう竜と戦ってみたかったんだがな」

「そこはすまない。戦力をこちらに集中させて、立香君の守りがおろそかになってしまってはいけないからね」

 

 確かにそうだ。

 俺はサーヴァントとして召喚された以上、マスターである嬢ちゃんを守らなくちゃいけねえ。

 それに、あの聖女様も守ってやらないとな。

 しっかし……。

 

「そこは、ゲオルギウスのおっさんに頼めばいいんじゃねぇのか? 俺なんかより、「守る」ことは得意だろ」

「もちろん、ゲオルギウスも立香君の護衛に向かわせるよ。でも、万が一を想定してね?」

 

 まぁ、確かにな。

 相手は宝具を連発してくる上に、聖杯のこともある。

 サーヴァントをつぶしたとしても、また聖杯で召喚されちゃたまったもんじゃねぇからな。

 

「私を呼びましたか?」

「おっと、噂をすればなんとやらだ。君も参加してくれるかいゲオルギウス?」

「私にできることなら」

 

 噂をしていたら件の人物――ゲオルギウスがやってきた。

 ゲオルギウスは、穏やかな笑みを浮かべながらそう答える。

 ……こいつ、絶対戦うつもり満々だな。

 だが、その目はいつも以上に真剣そのもので、決して冗談ではなさそうだった。

 こういう目をしてる奴は、大体マジでやる。

 

「それで、私をマスターの護衛にあてた理由は?」

「僕がいなかったら、ゲオルギウスもファヴニール討伐に参加してもらいたかったんだけど、基本的に僕一人で事足りてしまうからね。ジークをファヴニールにぶつけるのは、「死因再現」で万が一を防ぐためかな?」

「なるほどねぇ……」

 

 管理人の言葉に思わず納得する。

 そういえば、こいつはとんでもない奴だったな。

 そりゃ、ファブニール程度じゃ傷一つ付けられないだろう。

 逆に、どんな存在だったらこいつを倒せるんだよ。

 師匠でも無理なんじゃねぇか?

 

「そういうわけで、明日の戦いには全員参加で頼むよ。君たち三人なら安心だろうけど、念のためさ。あ、それと、エミヤ君はこっちについてきてくれたまえ」

「……何の用だね」

「君は一度解析したものを投影できるんだろう? なら……」

 

 管理人はアーチャーを連れ立ってどこかへと向かう。

 残された俺は、ゲオルギウスの方を見て言った。

 

「アンタとは初めて会うが、背中を預けれそうだ」

「そう思っていただき光栄です。クー・フーリン殿」

「敬称はやめてくれや。背中がむずがゆくなる。クー・フーリンでいい」

「分かりました。クー・フーリン。明日は勝ちましょう」

 

 俺とゲオルギウスは拳を突き合わせ、笑い合うのであった。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「それで、ここは何だね?」

「宝物庫。図書館とは別で、友人たちからもらった物を保管しているよ」

 

 管理人に案内されてたどり着いた先では、たくさんの剣や槍などの武器類が置かれていた。

 その数は、優に百を超えていた。

 この中のいくつかは、私自身、一度は見たことがあるのだが、まさか現物を拝めるとは……。

 

「そうそうこれだ。ほいっと」

「これは……!?」

 

 そう思っていると、管理人からとあるものを投げ渡される。

 それはまるで鈍く光るような、()()()()()()()美しい短刀。

 一目見て分かる。

 これは本物だ。

 なんの?

 決まってる。

 これは……。

 

「宝石剣!?」

「そう。キシュアからもらったやつの一本だよ。それを使えば、キシュアのように、並行世界を渡れるほどの穴は開けられないまでも、小さい穴をあけて並行世界から魔力を集めることはできるはずだ」

「いや、そういうことではなくてだね!?」

 

 この人はなんてものを渡してくるのだ!?

 こんなものが魔術協会に知られたら、どんな手を使ってでも奪いに来るだろう。

 それほどの爆弾なのだ。

 この剣――「宝石剣ゼルレッチ」は。

 私の生前の友人――「遠坂凛」はこれを作り出すことができて、第二魔法の発動も弱いながらもできていたのだ。

 しかし、この剣一本を作り出すために相当な時間をかけたのだ。

 それを、十万ドルPONとくれるみたいに渡されたもんだから非常に心臓に悪い。

 

「それで、これを私に渡してどうしたいのだ?」

「うん。君は魔術師としての起源が「剣」だったよね? アルトリアの鞘が埋め込まれていた影響でそうなったと聞いてるよ。その影響からか、元から持っていた固有結界が「剣」を投影することに特化してしまった……」

 

 確かに、私は生前において、養父である切嗣からセイバーの鞘――「全て遠き理想郷(アヴァロン)」を埋め込まれて、魔術起源が「剣」となり、その影響で、生まれ持っていた固有結界が「剣」に関するものとなったのだ。

 固有結界の特性上、一度見た刀剣類は固有結界に内包され、そこから引き出すことで、様々な武器を使うことができる。

 管理人に渡されたことで、この宝石剣ゼルレッチも(ガワだけとはいえ)固有結界に内包された。

 しかし、それでは見た目だけのハリボテなのだ。

 実際に、この剣を使ったところで、並行世界の魔力を集められるはずがない。

 なぜなら、第二魔法とはそれだけ高度なものなのだ。

 

「そこで、君にはそれをほぼ完全に投影できるようになってほしい」

「……予想はしていたが、やはりそうか」

 

 私はため息を吐いて、管理人の話を聞くのだった。







・管理人のちょっとした秘密

 やろうと思えば、宝石剣ゼルレッチを作ることもできる。
 しかし、あまりにもやりすぎると某第二魔法使いに怒られるので、暇つぶし程度に作る模様。


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