「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」 作:クラウディ
いつの間にかUA85000行っててびっくりしました(小並感)
第一特異点からの帰還
第一特異点の終幕。
この人理焼却という異常事態の七分の一が解決されたことを意味する。
フランスを起点に発生した第一特異点は、ジャンヌさんの付き人であったジルさんの消滅によって幕を閉じた。
これにより、人理修復は一歩前進した。
しかし、まだ問題は残っている。
それはオルタの存在だ。
「影法師」と呼ばれるサーヴァント達とは違い、そもそも本来の歴史には存在しない文字通りの『偽物』。
普通のサーヴァントのように退去してしまうと、存在は残らずに消えてしまう。
そこで管理人さんはオルタの存在を『固定化』し、複製元であるジャンヌさんとは別の存在『ジャンヌ・オルタ』として存在を確立させたとのことだ。
正直、よくわからないけど、管理人さん曰く、ジャンヌさんと大本を同じにしているけれども、違う存在として同時に存在させているらしい。
まぁ、簡単に言えば「ジャンヌさんと同じ見た目をした別人にした」ということだろう。
つまり、オルタはもうこの世界から消えたりしない。
これからも、この世界で生き続けるのだ。
『変な出会い方になってしまったし、いろいろと困ることを持ってきてしまったけど、それでも僕は君を受け入れるよ。オルタ、改めてよろしくね』
『……う、うん……よろしく、お願いします……お兄さま……』
管理人さんがそう言うと、オルタは照れくさそうにしてそっぽを向いていた。
オルタがしてきたことは許されることではないし、裁かれることだとは思う。
でも、彼女は見た目に似合わず子供のように儚くて幼い存在だ。
まだこれからがある。なら、せめてそれまでは一緒にいてあげたいと思う。
管理人さんも同じ気持ちなんだと思う。
管理人さんは優しいから、きっと、そういうところまで考えて、この結論に至ったんだろうな。
私には真似できないな……。
その後、現地で協力してくれたサーヴァントの皆が退去を始めた。
『じゃあね、子イヌ? 私の知っている中で一番の子ほどじゃないけれど、悪くない戦いぶりだったわよ』
『それでは安珍様、またお会いしましょう。私は些か嫉妬深い
エリちゃんときよひー。
『マスター。短い間であったが、俺を頼りにしてくれて感謝する。もし
『私も力になりましょう。管理人がいるのなら喚び出されるのは近いでしょうから』
ジークフリートさんにゲオルギウスさん。
『管理人のことだからどうせ私も喚ぶでしょ。その時は私も力になってあげるわ』
マルタさん。
『立香! 貴女と出会えて楽しくてうれしかったわ! またいつでも喚び出してね?』
『ようやくお役目ゴメンか。……なにはともあれ、いい指揮だったよ立香。実に、実にやりがいのある仕事だった』
マリーさんにモーツァルトさん。
みんなそれぞれ一癖も二癖もある人達。
この特異点だけでもこれだけの人と出会えたのだ。
この先、もっといろんな人と出会うことになるのかな……。
そして、最後に残ったのはジャンヌさんだけだった。
他のサーヴァントは全員退去してしまった。
カルデアで召喚された皆もカルデアへと戻っている。
そんな中、ジャンヌさんは崩壊したオルレアンにて、管理人さんと二人だけで残っていた。
誰かを待つように……。
「先輩、特異点を維持していた聖杯を回収したことで特異点が崩壊していきます。私達は先に戻っていましょう」
「管理人さんは……大丈夫そうだね。うん、行こう」
マシュに促され、私達は管理人さん達を残してその場を後にした。
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ジャンヌと管理人だけが残された空間。
そこに現れたのは……。
「ジル……!」
「来てくれたんだね、ジル」
「っ! ……貴方達なのですね、ジャンヌ、管理人……」
息を切らした、生前のジルだった。
「一体、何があったのです……!? いえ、何より生きていらっしゃったのですか! このフランスは荒廃してしまったが、貴方達がいるなら、それだけでも……!」
ジルは驚きを隠せない様子で二人に駆け寄る。
そんなジルを手で制し、ジャンヌは言った。
「ごめんなさい、ジル。私達はもう行かなければならないのです」
「……そう、なのですか……」
ジャンヌは心配させないように言うが、ジルは悲痛な表情を浮かべていた。
しかし、ジャンヌは優しく微笑みながら言葉を続けた。
「ですから、その前にひとつだけ伝えさせて下さい。私達がここに戻ってきたことを信じてくれて、嬉しかったです。だから、ありがとう」
「……はい。お二人の無事を知って、本当に良かった」
涙を必死にこらえながら、ジルは答える。
それを見ていた管理人は口を開いた。
「ねぇ、ジル。君はこれからどうするの?」
「え? それは……わかりません。国は壊滅状態、どこへ行こうと自由だと思います」
「そうだね……」
悲し気に目を伏せる管理人。
すると、何かを決意したような目つきで顔を上げた。
「なら、この言葉だけ覚えていてくれないかい?」
「それは……?」
「……『僕達は恨んではいない。君のことも。残念だとは思っているけれども、誰かのためになれたなら本望だ』」
「!」
管理人がそう言うと、ジルは驚いた顔をして管理人を見た。
しかし、管理人も真剣な眼差しでジルを見つめている。
ジルはゆっくりとうなずき、答えた。
その目に迷いはなかった。
「分かりました……。貴方達は私にとって大切な友人であり恩人。この身に代えても忘れないと誓いましょう」
「うん。信じてるよ、ジル・ド・レェ。君ならきっと、僕のことも許してくれるってね。それと……ありがとう。こんな『愚か物』の……ジャンヌを助けられなかった物の言葉を聞いてくれて」
「フフッ……貴方が愚か者なら、私は何だというのですか……」
ジルはそう言って苦笑した。
そして、管理人に近づき、肩に手を置いて語り掛けた。
まるで、親友同士のように。
互いに信頼し合う友として。
ジルは涙を流しながら言葉を紡ぐ。
その姿は、懺悔して消えていったサーヴァントのジルと似ていた。
「さて、それでは僕達はいくよ。ジル、この世界……『悪夢』は覚める。だけど、本当の『夢の終わり』まではまだ先なんだ。そのためにも、僕達は頑張ってみるつもりなんだ」
「また、ですか……貴方達はいつも遠くへと行ってしまう。この世界で起きた出来事とは比較にならないほどの『未来』を生きていくのでしょうね……」
「うん……。だから、またいつか会おうね。その時は『あの時』のように楽しく話せるといいなぁ」
「貴方達の隣とは、恐れ多いですね……」
管理人の言葉にジルは微笑む。
そして、時間が来た。
「さて、それでは僕達は行くよ」
「ええ兄さん。ジル、貴方に主の加護があらんことを……」
別れの言葉を残し、管理人は霊体化してその場を後にし、ジャンヌは退去した。
聞こえるはずのない世界が崩壊する音の響くオルレアンの中心に一人残されたジルは呟いた。
「……ははっ……また、残されてしまいましたか……っ!」
崩壊した街に、一人の男の泣き声が響いていた。
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「……と、いうのが第一特異点の概要です先輩」
「うん、ありがとうマシュ」
無事にカルデアへと戻れた私は、同じく帰還していたマシュの言葉を聞いていた。
あれから数日、初のレイシフトからの初の帰還を経た私達は、すぐさまバイタルデータをチェックされた。
結果は……両者とも異常なし。
もちろん、私が死ぬわけもなく、マシュも無事だった。
それでもロマンはひどく心配してくれたようで、しばらく安静にしていろと言われたほどだ。
まぁ、無理もない。初めてのレイシフトで何度も死にかければ誰だって心配するだろう。
ただ、私にはやるべきことがある。
人理修復は始まったばかり。
管理人さんという特級のサーヴァントがいるからこうも簡単に進んでいると思えているだけで、管理人さんがいなかったらどうなっていたかは想像に難くない。
だからこそ、早く強くなって少しでも早く終わらせないと。
……と、その前に……。
「管理人さんとお茶会だね!」
「そ、そうですね……。ですけど、まずはドクターとお話をしてからですからね?」
「うぅ……分かってるよぉ……」
「もう、しっかりして下さい先輩」
「はーい」
マシュに怒られてしまった。
でも仕方がないよね!
私にとっては大事なことだし。
それにしても……。
「…………」
「どうかしましたか先輩?」
「ううん、何でもないよ。管理人さんとのお茶会は午後からだし、それまでに色々と片付けちゃおうか」
「はいっ、頑張りますね先輩!」
「あ、でもお腹空いちゃったから、先にご飯食べよっか」
「そうですね。先輩は先程起きたばかりですからね」
「それじゃ、食堂へレッツゴ――」
「ちょっと藤丸! あなたどこほっつき歩いてるの! 皆探してたわよ!」
早速、食堂へ行こうとしていた私たちに声をかけてくる人がいる。
その声は高く、女性だと分かった。
振り返るとそこには銀髪の女性がいた。
「あ! 所長!」
・管理人のちょっとした秘密
自分のことは「物」だと認識しているので、特にそれをネタにからかわれても怒ったりはしない。
それ故に、体を作り替えることや捨て身の特攻も選択肢の一つとして入れている。
何時に投稿すると見やすいのか?
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1~3時
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10時
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11時
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22~24時