「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」 作:クラウディ
お待たせしてすいません(土下座ァ)
数か月という期間を経て、ここに復活です!
そんな今回はZero編です(マジですいません)
筆が乗ったんです……!
それでは、どうぞ!
Zero編:イレギュラーの介入
(あぁ……。なんでこんな目に……)
重力にひかれて落下していくのを感じながら、少女――遠坂……いや、「間桐桜」は、自分の不幸を呪った。
その顔には、深い絶望が張り付いていた。
背後には気味の悪い蟲の大群があり、落ちてくる
その様は、さながら蜘蛛の巣に落ちてきた蝶だった。
(……姉さん。お母さん。お父さん……)
最後に思い浮かぶのは、家族の顔。
それはもう二度と戻らない日々。
今目を閉じれば、すべてが元に戻るかもしれないという淡い期待。
(…………)
だが、そんな都合の良いことはありえない。
聖杯戦争。七人の魔術師による殺し合い。
落下していく自分を見下ろす老人――「間桐臓硯」の愉悦にゆがんだ表情を見て、それが現実だと悟る。
この老人にとって、自分はただの道具なのだ。
あの夜……この家に養子に出された時から、ずっと自分を縛ってきた呪いそのものなのだ。
(姉さん、お母さん、お父さん……誰か――)
だが、それでも……少しでもすがりたいと願ってしまうのは罪なのだろうか?
今まで信じていたモノが崩れ去り、拠り所を失い、どうしようもなく弱くなった自分がいた。
だから、助けを求めてしまうのも仕方がないのだ。
誰でもいいから助けて欲しい。
誰でもいいから優しくして欲しい。
何でもするから、お願い――。
――『分かったよ』
「え――」
「何――」
――それに応えた者がいた。
誰かの言葉がその場に響き渡り、それに驚いた全員が何かの気配を感じ取った。
その声色は優しく、遍くすべての人々が救いを求めるように耳を傾けるだろう。
それはある意味で、絶対者の宣告だった。
――『君の願いを聞き届けよう』
その言葉とともに、世界が変わる。
視界を覆う闇は消え失せ、見上げる空は白一色に染まっていく。
そこは果てのない空間。
どこまでも続く無限の回廊。
そして、そこには無数の本棚があった。
大小様々な大きさを持つ本棚たちは、それぞれが不可思議な力で浮遊している。
だがそれらは互いに干渉することなく、まるで星空のようにまばらに存在していた。
「こ、こは……!」
「きゃあっ!」
臓硯は知識があるがゆえにその本棚が浮遊する世界を構築する魔力の密度を感じ取ったことで驚愕に顔を染め、桜は浮遊感から解放され落下し始めた感覚に悲鳴を上げる。
――そんな桜を抱き止めた誰かがいた。
一瞬前まで何もなかったはずの場所に、いつの間にか一人の青年が現れていたのだ。
その姿を見た瞬間、臓硯の顔色が激変した。
なぜならそこにいる男は、彼が最も恐れていた存在だったからだ。
宝石のような赤みがかった黒い髪に優しげな容貌。
黒を基調とした魔法使いのフード付きローブと貴族服の融合したような衣装に身を包み、右手には煌びやかな本を携えている。
創作上での魔法使いそのままのような姿だったが、しかしそれは現実に存在するはずがなかった。
なぜなら彼は人間ではなく、この世界に在ってはならない異物なのだから。
「管理、人……!?」
「……久しぶりだねゾォルケン。少し、変わってしまったね……」
臓硯の呟きに応えることもなく、男――管理人は腕の中の少女を見下ろした後、彼の姿を見てそう言った。
その瞳は慈愛に満ちたもので、見る者すべてを安心させる力を持っている。
だが臓硯だけは違った。
彼は目の前に現れた存在が何なのか理解していた。
だからこそ恐怖に震える。
この男が現れた意味を理解してしまったがために。
「彼女の
管理人が一歩近づくごとに、臓硯は後ずさった。
彼に睨まれただけで心臓を鷲掴みにされた気分になる。
それは、生物として当然の反応だった。
――『世界の外側からの来訪者』。
それが管理人だと、はるか数百年前に本人から教えられていたのだから。
故に、彼に対して臓硯ができる唯一の抵抗は、ただ怯えることだけだった。
だが、管理人はそんな彼を哀れむように微笑んだ。
まるで子供を見る親のように。
それがますます臓硯を混乱させた。
――一体何を考えているのか? なぜ自分にそのような表情を向ける?
そんな彼に、管理人はそっと手を差し伸べた。
まるで救いの手を伸ばすかのように。
そして――
「ごめんね」
臓硯の意識はその言葉を最期に、完全に消滅した。
それは、あまりに呆気ない幕切れだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
――『遠坂桜が間桐の家に養子に出された』。
その知らせを聞いて、俺――「間桐雁夜」は絶望に打ちひしがれていた。
俺は魔術師の家系「間桐家」に生まれたが、今までの人生はクソだった。
何百年も生きる化け物「間桐臓硯」、そいつにすべてを支配されているといっても過言ではない。
魔術回路が貧弱な俺はどうあがこうと奴にとって塵芥でしかなく、そのせいもあって俺は家を飛び出した。
それからは気楽な日々だった。
ルポライターとして各地を巡り、それなりに充実した日々を送っていた。
だがそれも長く続かない。
ある日、また新たな土地に出向こうとしていた時だった。
親しい人であり、初恋の人でもある女性「遠坂葵」さんの娘である桜ちゃんが、間桐の養子に出されたということだった。
そしてそれを決めたのは、彼女の父親である「遠坂時臣」であり、桜ちゃんの了承を得ず、半ば強制的に送り出したという。
正直言って、許せなかった。
桜ちゃんはまだ十歳にも満たないというのに、勝手に養子に出してしまうとはどういうことだ?
しかも養子先の家があの『間桐』だというではないか。
あの蟲使いの一族が養子先では、どんな扱いを受けるかは火を見るより明らかだった。
すぐにでも彼女を助け出すべきだと思った。
――しかし、俺にはそれをするだけの力がなかった。
俺の持つ魔術のほとんどは平凡の枠すら出ておらず、それ以外の分野に関して言えば、まったくといっていいほど役に立たない。
いや、はっきり言おう。
――俺は、無力だった。
だが、彼女の代わりに苦痛を味わってもいいと思った。
彼女が受けるであろう仕打ちのすべてを受け入れようと誓った。
そして、間桐の家に着いた俺は――
「こうやって猫のような手で野菜を切るんだ。あまり包丁を上げずに、少しずつ切るように」
「こう、ですか?」
「そうそう。いい感じ。その調子だよ桜ちゃん」
――なぜか間桐の屋敷にいた正体不明の男と桜ちゃんが料理をしている光景を見て固まった。
いったいこれはどういうことなのか?
屋敷の中に入ったら桜ちゃんがいて、その隣にいる男は誰なんだ? そして肝心の臓硯はどこへ行ったんだ!?
「お、おま、お前!?」
「ん? 君は……あぁ、君が間桐雁夜か。台所で大きな声を出すのはやめたまえ。桜ちゃんがびっくりするだろう?」
「あ、そ、それはすまん……じゃなくて!」
あまりにも平然とした様子に思わず謝ってしまったが、そんな場合じゃない。
この男は何者だ!? こんな男がこの屋敷に出入りしていたなんて聞いていないぞ!
そんな俺の疑問を感じ取ったのか、男は軽く肩をすくめてから答えた。
「君が探しているであろうゾォルケン……今は臓硯だったね、はもういないよ。僕が殺した」
「……は?」
「さすがに旧友とはいえ、あそこまで堕ちてしまえば、もう真っ当にはなれない。そう判断して滅ぼさせてもらったよ」
たんたんと野菜を刻みながら臓硯を殺したと語る男。
その言葉に嘘はないと直感的に理解できた。
同時に、この男にだけは絶対に勝てないと悟る。
目の前に立つこの男の底知れなさに恐怖を覚える。
だが、それ以上に――
――こいつなら、桜ちゃんを救ってくれるかもしれない。
そう思ったんだ。
「あ、あんたの名前は……」
「僕の名前かい? そうだね……」
「『管理人』とでも呼んでくれ」
これが、救世主――『図書館の管理人』との出会いだった。
Q.なんで召喚されたか
A.気まぐれに世界覗いてたら見つけた
何時に投稿すると見やすいのか?
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1~3時
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