「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」   作:クラウディ

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朝食

「お腹空いた~! エミヤ~! ご飯作って~!」

「はいはい、朝から元気なようで何よりだ、マスター」

 

 厨房に行くと、そこには既に先客がいた。

 赤い外套を着た男性で、白い髪と褐色肌が特徴の男性だ。

 彼は私が入ってくると、すぐに手を止めて振り返った。

 彼はエプロンを身に着けており、なぜか様になっている。

 彼のクラスはアーチャーなのに……。

 

「塩サバ定食一つ!」

「私も同じのを」

「了解した」

 

 注文すると、彼はてきぱきと調理を始める。

 慣れた様子なので、きっと普段から料理をしているんだろう。

 やっぱあの人アーチャーじゃないよ。

 絶対、クラス『オカン』とかだよ。

 

「む? 何やら変なことを考えなかったかマスター?」

「考えてない! 断じて!」

 

 うわっ、鋭い……。

 さすがに心を読むことは出来ないだろうけど、勘が良いのかな?

 私の表情の変化を見て取ったエミヤは、ふっと笑って作業に戻る。

 うぅ……なんか負けた気分だ。

 

「もぐもぐ……やはり、シロウのご飯は美味しいですね」

「あ、アルトリアさんもいたんだ」

「おはようございますセイバーさん」

「ええ。おはようございます。マスターにマシュ」

 

 私たちが話していると、いつの間にか後ろに来ていたのか、金髪碧眼の少女が立っていた。

 彼女はアルトリア・ペンドラゴンさん。

 アーサー王として有名な人で、私達が皆を召喚する前に挑んでいた特異点Fでは、強敵として立ちはだかった相手だ。

 だけど、その後いろいろあって味方になってくれた人でもある。

 ちなみに、このカルデアには彼女の他にもサーヴァントが何人もいる。

 みんな協力的だし、とてもいい人たちばかりだ。

 特異点で戦った記憶があるだけに最初は少し怖かったけど、人理のために一緒に戦ってくれると言ってくれて嬉しかった。

 今では頼れる仲間である。

 そんな彼女も、今は朝食を食べに来たらしい。

 サーヴァントに食事は必要ないのだが、彼女は食事が好きらしい。

 なんでも、故郷の飯が不味くて、現代の進歩した食べ物に感動したという事だった。

 うん、それは確かに分かる気がする。

 このカルデア……というか、エミヤのごはんはとてもおいしい。

 私だって毎日食べても飽きないだろう。

 

「……そう言えば、アルトリアさんって、エミヤのことをシロウって呼ぶけど、知り合いなの? やっぱり生前の知り合い?」

 

 ふと気になったので聞いてみる。

 アルトリアさんは聖杯戦争という戦いの中で出会った英霊だから、当然、その時の記憶を持っているはずだ。

 という事は、エミヤの事も知っているはずなのだが、何故か、顔を赤らめてこう言った。

 

「シロウは、私の鞘です……」

「はい?」

「え?」

「ブッホォッ!?」

 

 え?

 鞘?

 ドユコト?

 なんか、エミヤが厨房で吹き出してるけど……マジで何があったの?

 

「ん、んんっ! その話はまた今度にすればいいんじゃないかね?」

 

 咳払いをした後、エミヤは誤魔化すように話題を変えた。

 あからさま過ぎて逆に怪しい気がするんだけど……。

 でもまぁ、本人が言うならこれ以上は聞かない方が良いのかもしれない。

 私はそう思って引き下がることにした。

 

「さて、お待たせしたな。塩サバ定食二人前だ」

「おおっ! おいしそう! いただきます!」

「いただきます」

 

 運ばれてきた料理を前に、テンションが上がる。

 箸を手に取り、早速一口。

 はむはむ……

 う~まい!

 ご飯が進む進む!

 焼き加減が絶妙で、身がホロリとほぐれる!

 マシュの方も美味しそうに食べており、幸せそうだ。

 しかし、アルトリアさんの方は、どこか不満そうな顔で塩サバを見つめている。

 どうしたんだろう?

 

「シロウ……。何故先程の発言を邪魔したのですか?」

「うっ……。ひ、人には聞かれたくないようなことがあるのだよ」

 

 二人は何か話し合っているみたいだが、よく聞こえない。

 一体なんの話をしているんだろう?

 そんなことを考えていると、食堂に誰かが入ってきた。

 

「お~お~、お熱いことで」

「ランサー……貴様も朝から騒々しいぞ。静かにできないのか?」

 

 赤い槍を持った青年はクー・フーリン。

 アイルランドの英雄であり、私と契約しているサーヴァントの一人だ。

 彼は、ケルト神話の英霊で、何故だかエミヤと仲が悪い。

 いつも喧嘩ばかりしているが、なんだかんだ言って仲が良いのだろう。

 今も軽口を叩いている。

 

「さてと、俺もマスターたちと同じ、塩サバ定食をもらおうかね」

「了解だ。すぐに用意しよう」

 

 そして、クー・フーリンは注文すると、空いている席に座って、こちらを見た。

 じーっと見ている。

 なんか、観察されているようだ。

 居心地悪いなぁ……何考えてるのかなあの人。

 

「……どうしたのクーニキ? こっちをじろじろ見て……」

「いんや? うまそうに飯を食うな~って思っただけだよ。それと、俺をランサーとして召喚してくれたありがとな嬢ちゃん。これで思う存分戦えるぜ」

 

 にぃ、と笑ってそんなことを言うクー・フーリン。

 ああ、そういえばクーニキって、特異点Fでは、クラスが槍兵(ランサー)じゃなくて魔術師(キャスター)として現界した人だから、今までは満足に戦えなかったんだっけ?

 まぁ、それでも強かったけどね……。

 そんな彼が喜んでくれているというなら、私としても嬉しいことだ。

 これからもよろしくお願いします。

 クー・フーリンが来て少し経った頃だろうか。

 今度は紫髪の女性が現れた。

 彼女の名前はメディアさん。

 どうやら、顔色が悪いようで……。

 

「どうしたのメディアさん? 顔色が悪いけど……」

「マスター……あまり聞かないで頂戴。強いて言うなら、召喚されたとき、既に先生がいたから驚いただけよ」

 

 あー、なるほど。

 そういうことか。

 確か、メディアさんの師匠である管理人さんは、メディアさんが子供の頃からの知り合いだったらしい。

 だから驚いてしまったということなのか。

 ……それにしても、メディアさんが驚くなんて珍しいこともあるものだ。

 

「そんなに驚くの? 管理人さんも同じサーヴァントなのに……」

「……あなたのような普通の人だったら、驚かないんでしょうけど、魔術を学ぶものとしてはあの人ほど規格外な存在はなかなかいないわよ……」

 

 うんざりしたような表情で言うメディアさん。

 そこまで言われるとは、いったいどんな人物なんだろう?

 ちょっと気になるけど……、 今はそれより、ご飯を食べよう!

 もぐもぐ……ごっくん。

 

「ごちそうさま! 大将! おいしかったよ!」

「誰が大将だ。まるで居酒屋に通う中年ではないかマスター」

「そういうのあんまり気にしないでいいと思うんだけどなぁ……」

 

 エミヤがなんかぶつくさ言ってるが、無視しておこう。

 私は食器を片づけると、マシュも同じように食べ終わっていた。

 

「おいしかったねマシュ!」

「はい! とても美味でした先輩!」

 

 満面の笑みを浮かべている二人を見て、私はほっこりする。

 この笑顔を守るためにも頑張らないと!

 その後、私たちはそれぞれの部屋に戻り、準備を整えることにした。

 

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