「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」   作:クラウディ

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( ゚д゚)

ありがとうございます!
たった1日でここまでになるとは!
これからも皆様にご愛読いただけますよう、日々、精進していきますので、これからも本作をよろしくお願いします!





初陣

「ひどい……」

「町がボロボロだね……それに、外壁があまり壊れてない。町の中だけ破壊されてるなんて」

 

 管理人さんの言葉通り、破壊された町並みは外から見た限りではそれほど被害が大きくないように思える。

 ただ、それでも町の人の表情は暗く、活気がないように見える。

 きっと、この人たちは不安なのだと思う。

 

「本当に、ドラゴンが襲ってきたんですか?」

「ああ、俺はこの目で見たんだ。トカゲのような体躯に、長い首と鋭い牙。鱗で覆われた翼で空を飛び回り、口から火を吐く化け物――ドラゴンだ」

「……それも、君たちの言う蘇った魔女――『ジャンヌ・ダルク』がけしかけてきたと?」

「………………」

 

 管理人さんが男性の肩を掴み、問いただすようにそう言った。

 その顔はとても真剣で、まるで怒りに燃えているかのように見える。

 対する男性は管理人さんの顔を見つめ、静かに口を開いた。

 

「……ああ」

「……そうか。すまない、怖がらせるような真似をして」

「いいってことさ。アンタが言うには、聖女様が子供の時に親しく接してたんだろ? そんな可愛い妹みてぇな存在が、俺らみたいな見知らぬ誰かに『魔女』呼ばわりされてるのは、許せなかったんだろう」

 

 そう言って、男性は笑う。

 それを見て、管理人さんは目を伏せる。

 その気持ちが私にはよく分かるからこそ、何も言えなかったのだ。

 管理人さんは、すっごく長く生きているらしい。

 それこそ、神話という時代に生きていたメディアさんやクーニキ、アーサー王として知られているアルトリアさんと既知の仲だという。

 そんなに生きているなら、ジャンヌ・ダルクさんとだって知り合ってるはずだ。

 親しかった人が見知らぬ誰かに蔑称されているのなら、怒りが湧くのは当たり前。

 私だって、大切な仲間や友達が悪く言われてたら、絶対に怒るもん!

 ……まぁ、私はどちらかと言うと、その人たちに嫌われたりしないかな? っていう心配の方が大きいんだけど……。

 でもまぁそれはともかくとして。

 ともあれ、この特異点の原因は分かった。

 

「ねぇマシュ。そのジャンヌ・ダルクさんが、特異点の原因なのかな?」

「おそらくそうでしょう。この時代に現れた聖女もしくは魔女と呼ばれる人物はジャンヌ・ダルクただ一人ですから」

 

 マシュが確信を持った声で答える。

 うん。

 私もマシュと同じ意見だ。

 問題は、どうやって接触するかということなんだけど……。

 管理人さんが聞き込みを再開しようとした、

 

 その時。

 

 何かの咆哮が聞こえた。

 

「!? き、来やがった! 奴らが来たぞ!」

「っと、あれがそうだね。……うん、ドラゴンではなくワイバーンのようだ」

『君たちの周囲に、大型の生体反応を感知! しかも、速い……!』

 

 咆哮が聞こえたと同時に、騎士姿の男性は仲間たちに大声で知らせに向かい、管理人さんは遠くを見据える。

 モニターに映るロマンも異常を感知していた。

 

「目視しました! あれは、まさか――」

「あれがドラゴン!?」

 

 マシュの言葉にかぶせるようにして私は驚いてしまった。

 なぜなら、空に浮かぶその姿があまりにも想像とは違ったからだ。

 私の知っているドラゴンというのはもっと大きくて、山のように巨大な姿をしているものだと思っていたのに……。

 管理人さんがワイバーンと呼んだ生き物は、どう見ても想像していたドラゴンよりも小さく、弱そうに見える。

 

「先輩! あれはドラゴンではなくワイバーンです! そして、ワイバーンはドラゴンの亜種です!」

「亜種ってどういうことなの!?」

「ワイバーン。大きさは小さいが、ドラゴン――「龍」の幼体とは違い、種族としての源流が「龍」と同じなだけの木っ端だよ」

 

 マシュの指摘に思わず聞き返すと、私達の前に立つ管理人さんがまた違う本を片手に解説してくれた。

 ちなみに、管理人さんの持っている本は先ほどまでとは違うものになっていた。

 あの短時間で別の本が手元に現れたことに驚きつつも、今はそれよりも気になる単語があったのでそちらを優先することにした。

 管理人さん曰く、ワイバーンはドラゴンとは別の生物で、モ○ハンで例えるなら「ドラゴンが古龍で、ワイバーンはリ○レウス」というものらしい。

 そして、管理人さんはその知識を得るために、ドラゴンと戦ったらしい。

 なるほど、だからさっきあんなに詳しく説明できたんだね!

 ……いや待って、なんで管理人さんそんなにゲーム知ってるの?

 というか、モ○ハンやってたんだ……。

 

「僕の頭だけでは考えつかないものを作り上げるのが、「他人」という存在だ。どうしても僕一人だと凝り固まった想像しかできなくてね……。ゲームは暇があればいつでもやってるよ。それより立香君、戦闘準備を」

「あ、は、はい!」

 

 管理人さんの声に我に返って、慌てて礼装を装備する。

 その間に、管理人さんは手に持っていた本を空中に投げ捨てていた。

 すると、投げ捨てられた本は光となって消え、代わりにその場所に剣が突き刺さっていた。

 それはまるで、本が剣に変わったかのようである。

 

「さてと……立香君。僕はワイバーンの五割を相手取るよ。残った五割を君達に任せる。マシュ君は立香君の護衛を」

「は、はい!」

「ありがとうございます管理人さん!」

 

 私達が返事をすると同時に、管理人さんは駆け出す。

 それと同時に、マシュが盾を構えて私の前に立った。

 同時に、私も魔力を流して礼装を起動する。

 私が装備している礼装は、メディアさんやダヴィンチちゃんが作った、一級品の魔術礼装らしい。

 効果については、単純な身体能力強化に魔力の回転率の向上など、基本的なものばかりだけど、効果はバッチリだ。

 特に、防御に関してはカルデアの制服よりも高い性能を誇るとか。

 ただし、あくまで補助的なものなので、上手く扱えなければただの宝の持ち腐れになってしまう。

 私はまだ、そのあたりは未熟なのだ。

 それでも、マシュと一緒に戦えるようにと、頑張ってきたつもりだ。

 マシュも、私を守ろうと必死になってくれている。

 だからこそ、私はマシュを信じて戦うことができるのだ。

 そして、私達には心強い仲間がいる。

 

「来て! エミヤ! クー・フーリン!」

 

 魔力を通して礼装を起動し、サーヴァントである二人の名前を呼ぶ。

 すると、次の瞬間、目の前に二人の英霊が現れた。

 蒼いタイツを身に纏い、それとは正反対の赤い槍を持つ青年―――クー・フーリンは槍を手に、こちらに視線を向ける。

 褐色肌の青年―――エミヤは、油断なくワイバーンの群れを見据えて、その手に弓と矢を創り出す。

 

「さてと、初陣か!」

「ワイバーンか……流石に、私の矢で貫けないことはないだろうな……」

「ん? なんだ、ビビってるのかアーチャー?」

「そんなわけなかろう。貴様こそ、うっかり死ぬなよ。ランサー?」

「はっ! ったりめぇよ!」

「エミヤは町の方へ行きそうなのを撃ち落としていって! クーニキはこっちに向かってきたやつを仕留めて!」

 

 私の指示を聞いた二人は静かに武器を構える。

 クー・フーリンは槍を、エミヤは弓を構えた。

 その表情からは、これからの戦いに対する高揚感が感じられた。

 そんな二人を見て、少しだけ安心した。

 この二人がいれば大丈夫だと。

 そして、

 

「マシュ! 私の命、あなたに預けるから!」

「了解しました先輩! 必ず守り通します!」

 

 頼れる後輩もいる。

 なら、私は怖がらずに進むだけだ。

 マシュの言葉を聞いて、私は戦況を見据える。

 この特異点に来て、初の戦闘が起ころうとしていた

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 最初に飛び出したのはクー・フーリンだった。

 彼はワイバーンに対して、一直線に飛び込んでいく。

 

「ぜぇあっ!!」

 

 雄叫びと共に放たれた一撃は、ワイバーンの胴体を軽々と貫通して見せた。

 それだけでは終わらず、そのまま地面に着地することなく、空中で身体を回転させてもう一匹に蹴りを放つ。

 蹴られたワイバーンは、体勢を崩し、地面に落下していく。

 それを、

 

「ハァッ!」

 

 エミヤが的確に打ち抜いていった。

 撃ち抜かれたワイバーンはそのまま動かなくなり、絶命する。

 その様子を見て、私は思わず見惚れてしまう。

 すごい……これが本物の戦い……。

 ゲームとは違う、現実で起こる戦闘を目の当たりにし、改めて自分達はとんでもないことをしていることを理解した。

 

「ッ! 先輩!」

「ほわっ!?」

 

 気が逸れていると、クーニキに蹴り飛ばされ、エミヤに撃ち抜かれてもなお生きていたワイバーンが私に噛みつこうとしていた。

 ワイバーンっていう、人間よりも大きい怪物から噛みつかれてしまったら、私の上半身がおさらばしてしまうだろう。

 だけど、マシュが間に盾を滑り込ませ、それに気づいたエミヤが空中に剣を創り出して、ワイバーンを串刺しにすることで事なきを得た。

 

「先輩! 油断は禁物です!」

「ごめんマシュ! そしてエミヤもありがとう!」

「礼には及ばんさ」

 

 そう言って、エミヤはまた弓を構えて、狙いを定めていく。

 その間に、マシュは盾を構え直して、私を守る態勢を整えていた。

 そんなマシュの姿を見て、私も自分のやるべきことをやる。

 

「頑張って!」

「! っへ、ありがとな嬢ちゃん! おかげでやりやすくなった!」

 

 礼装に付与された魔術――「強化魔術」により、ステータスを強化されたクーニキがワイバーンをなぎ倒していく。

 クー・フーリンという英霊はケルト神話における大英雄であり、その中でも一際有名とされる半神の英雄だ。

 なんでも、ケルト神話版ヘラクレスとか呼ばれるほど。

 だが、それでもクー・フーリンだけでは手が回らない。

 

 そこで、管理人さんの出番だ。

 

「『灼火』『流転』『五月雨』『神風』」

 

 剣を構えながらの状態で、次々と紡がれる言葉に呼応するかのように、管理人さんの周りを滞空する本が魔法陣を展開する。

 一つ一つに膨大な魔力が込められており、それらが一斉に解き放たれた。

 

 その瞬間。

 

 ワイバーンの群れを様々な現象が一斉に襲った。

 

 まるで小型の太陽とも言うべき火球が一直線に飛び、一瞬にしてワイバーンを丸焼きにしていく。

 ある一定の空間がねじ曲がり、その場にいたワイバーンが粘土をひねるかのように変形させられて絶命する。

 魔力を含んだ水滴がワイバーンを撃ち落としていった。

 突如として吹き荒れる突風にワイバーンたちが体勢を崩した瞬間、全身を切り裂かれて絶命する。

 それらが一度に起こったのだ。当然、ワイバーンの群れなんて簡単に一掃されてしまう。

 圧倒的なまでの火力を前に、私はただ唖然とすることしかできなかった。

 これが……サーヴァントの力……。

 その力の一端を見せつけられ、呆気に取られてしまう。

 しかし、戦闘はまだ終わっていない。

 運良く攻撃を免れたワイバーンたちが町に攻撃をしようと火を吐いた。

 

「あ――」

 

 このままでは、町に被害が!

 クーニキは防御に優れていない。

 エミヤは防御できるのか?

 マシュは防御できるが、あれだけの広範囲を防げるのか?

 管理人さんは、さっきの魔法の反動で動けない。

 町が燃えてしまう……!?

 

 そんな絶望的な未来が脳裏を過った。

 

 しかし、

 

「はぁっ!」

 

 突然現れた人影が、炎と町の間に割り込み、その手に持つ――大きい旗を振るって、炎を吹き散らした。

 

 吹き散らされた炎の黒煙が晴れると、そこには金髪の女性が立っていた。

 綺麗な金色の長髪を後ろで編み込むことで、動きの邪魔にならないようにしており、瞳の色は澄んでいる。

 

 そして、何より目を引くのが、その手に持つ大きな旗だった。

 彼女はそれを軽々と持ち上げて、構えを取る。

 その姿を見ただけでわかる。

 

 彼女もまた――サーヴァントだと。

 

「兵たちよ、水を被りなさい! 彼らの炎を一瞬ですが防げます!」

「え……!?」

「そこの御方! どうか、武器を取って戦ってください! 私と共に! 続いて下さい――!!」

 

 そんな彼女は、眼前に迫って脅威によって、腰を抜かしていた兵士たちに発破をかける。

 すると、一人、また一人と立ち上がり、それぞれ武器を持ってワイバーンに立ち向かっていった。

 

「あの人は……」

『サーヴァントだ! しかし反応が弱いな。彼女は一体……』

「とりあえず、仲間ってことだよね!? なら、皆で協力してワイバーンを倒そう!」

「なら、私は撃ち落とすことに専念すればよいかね?」

「うん! 落ちたら、騎士の人たちとあの人が倒せるようになるから!お願い!」

 

 私が指示を出すと、マシュは盾を構え、クーニキは槍を構える。

 エミヤは空中に剣を創り出し、それを矢に変化させてワイバーンに向かって射る。

 管理人さんは、再び本を開きながら魔法陣を展開していき、接近してきたワイバーンを剣で迎撃していた。

 そして、先程まで尻餅をついていた兵士も立ち上がっており、それぞれの役割を的確にこなしていく。

 

 ほどなくして、ワイバーンは全滅した。







・管理人のちょっとした秘密

英霊になった人達のほとんどとは生前に出会っており、友人として過ごすことが多い。

恋仲といった関係になったことはない。

でも、好意的に見られていることは確かである。

あのAUOが宝物庫の合鍵を渡すほどだ。


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