「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」   作:クラウディ

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怒涛の連続投稿。

やっぱり、評価とか感想が来ると筆の乗り方が違うね!





ジャンヌ・ダルクとの邂逅

「あの~……大丈夫ですかジャンヌさん?」

「大丈夫ですよ。立香さん。あのようなことは慣れていますから……」

 

 あの後、ワイバーンの脅威を退けた私達は、あの町から離れた森の中にいた。

 そこで、ワイバーンとの戦いで協力してくれたジャンヌ・ダルクと名乗った彼女と話をしようとしたのだが……。

 

『そんな、貴女は――いや、お前は! 逃げろ! 魔女が出たぞ!』

 

 彼女が助けた騎士の男性が、彼女を魔女と呼んで、おびえながら逃げていってしまったのである。

 当然、他の人達もそれに釣られて逃げ出してしまい、あの場には私たちだけが取り残されている状態だった。

 

『本当に君はジャンヌ・ダルクなのかい?』

「ええ、私はジャンヌ・ダルク。聖女などと呼ばれていた、ただの田舎娘です」

 

 ロマンが確認するように問いかけると、彼女は悲しそうな表情を浮かべながらも答えてくれた。

 どうにも、彼女の言葉を信じられないようだが、それは仕方ないだろう。

 だって、彼女は――

 

「間違いないよ。彼女こそ救国の聖処女……オルレアンの乙女にしてフランスを救った英雄。そして、僕のことをお兄さんと言いながら追いかけまわしていた元気っ子だよ」

「そうなの!?」

「!? に、兄さん! それは言わないお約束ですよ!?」

 

 思わず驚いてしまう。

 まさか、管理人さんの妹だったなんて……!

 

「ち、違いますよ立香さん! 彼は、私が子供の頃、近所のおじさんの家に居候していて、よく遊び相手になってくれてただけです! 別に兄妹というわけでは……!」

 

 管理人さんの言葉を聞いて、慌てふためく彼女。

 ……怪しい。管理人さんの言う通りなら、あんな反応はしないはずだ。

 つまり、あれだけ仲がいいのに、その仲を隠そうとするのは――

 

「もしかして……ジャンヌさんは、管理人さんに『ほ』の字ですか?」

「!? へ、へへへ変なことを言わないでください!!」

 

 図星らしい。

 顔を真っ赤にしている。

 可愛いなぁ~。

 胸もおっきいし、スタイルもいい。

 顔もよければ、あざとさも感じる。

 私なんか、この歳になっても好きな人もいないっていうのに。

 まあ、今はそんな場合じゃないけどね。

 とにかく、色々と情報を整理しないといけないだろう。

 ジャンヌさんをからかっていた管理人さんが、真剣な表情になって、静かに口を開いた。

 

「それで、ジャンヌはどうしてここにいるんだい? 僕達の情報が正しければ、君は既に……」

「はい……私は既に生者ではありません。英霊――『ルーラー』クラスのサーヴァントとして、この地に召喚されました」

 

 やっぱり……。

 目の前にいる彼女はサーヴァント。

 すでに死んでいるんだ。

 

 でも、それならなんでこんなところに現れたのか……それがわからない。

 疑問が浮かぶ中、管理人さんが質問を続ける。

 

「君はなぜ、自分がここに召喚されたのか分かっているかい?」

「……いえ。分かりません。本来、召喚されたならば聖杯戦争の知識が与えられるのに、今の私にはそれらに関する知識が大部分存在していません」

 

 どうやら、彼女自身、状況を理解できていないようだ。

 そもそも、サーヴァントとはマスターと契約し、初めて力を発揮することができる存在だ。

 それは、エミヤやクーニキなんかもそう。

 でも、管理人さんが付け加えた情報によると、『ルーラー』っているサーヴァントクラスはマスターを持たないらしい。

 魔力が必要ないってわけじゃなく、聖杯戦争によって周囲に被害が出る場合、被害を出した参加者を罰する立場にあるから、誰かに属することがないように聖杯と魔力のパスが繋がってるらしい。

 要は、中立の立場を貫いているサーヴァントのことみたい。

 

「だが、今回の聖杯戦争――「特異点」を創り出すために聖杯があっても、聖杯戦争という目的では使われてない。それは立香君。特異点Fから持ち帰った聖杯を知っているなら分かるだろう?」

「うん……」

 

 確かにそうだ。

 特異点Fの聖杯を回収したとき、聖杯からは、一般人だった私でもすっごい力を感じることができた。

 あんなにすごかったら、歴史もおかしくできるだろう、って考えられるほどに。

 でも、管理人さんが言うには、特異点Fに召喚されていたサーヴァントたちは、すでに行われていた聖杯戦争に参加していたサーヴァントが特異点の影響を受けておかしくなっちゃったらしい。

 だから、特異点を創ってる聖杯は、そもそも聖杯戦争をするためにあるわけじゃない。

 

「そういうことだ。おそらく、この特異点にジャンヌが召喚されたのは、暴れまわっているジャンヌ――仮称「魔女」としようか? そんな彼女への『カウンター』だろう。『抑止力』も、こういう時には働くんだね」

 

 管理人さんが言うには、聖杯戦争以外でサーヴァントが召喚されるのは、世界のバランスが崩れてしまったときらしい。

 つまり、この場にいるジャンヌさんではない別のジャンヌさん――「魔女」が暴れまわって、歴史――「世界」がおかしくなったから、こっちのジャンヌさんが召喚されたという。

 

「……実は私が召喚されたのは今から数時間前のことで、未だ事情が分かっていませんでしたが、そのようなことが起こっていたとは……。それに、私はルーラーのクラスとして定められていますが、何故だか、力のほとんどが使えなくなっています……ルーラーとして必要な「真名看破」も令呪の使用もできません」

「なるほど……。何者かによって、「魔女」が召喚されて歴史がおかしくなり、それを危惧した『抑止力』が、こっちのジャンヌを召喚したんだろう。でも、何故ジャンヌの力が……」

 

 管理人さんの言う通りなら、この場で聖杯戦争が行われているわけじゃない。

 なのに、ジャンヌさんはルーラーとして召喚されている。

 ジャンヌさんみたいなルーラーは、今を生きる人に憑依してマスターとサーヴァントを兼業するらしいのだが……。

 マシュみたいなデミ・サーヴァントなのかな? って思ったけど、それは違うって言われた。

 だけど、今のジャンヌさんは憑依した肉体などなく、管理人さん達みたいな普通のサーヴァントらしい。

 だからこそ、自分の力を使えないのかもしれない。

 まあ、力のことは置いておいて、まずは情報交換からだ。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「なるほど……人理焼却に7つの特異点ですか……。それを解決するために兄さ……管理人さん達は時間をさかのぼって戦っているんですね」

 

 私達が今まで何をしてきたのか、そしてこれから何が起きるのかをジャンヌさんに話した。

 ジャンヌさんは驚きつつも、納得している様子。

 ジャンヌさんは私よりもずっと大人っぽい。

 落ち着いていて、頼りがいがある。

 私なんて、目の前で人が死んでいくところを見て、取り乱してしまったっていうのに……。

 本当にすごいと思う。

 でも、やっぱりその胸はうらやましい。

 昔って、現代みたいに栄養とかたくさん摂れるわけじゃないんだよね?

 なのにその巨乳はどういうことなのか……?

 関係ないことを考えていると、管理人さんがとんでもないことを口にした。

 

「とりあえず、ジャンヌ。君の出力不足を解消しよう。服を脱いでこっちに背中を向けてくれ」

「ちょ!? 管理人さん!?」

「兄さん!?」

 

 あまりの爆弾発言に、マシュが飛び上がって驚いた。

 ジャンヌさんもびっくりしすぎて、管理人さんを兄さんって呼んじゃってるし……。

 えっと……つまり、管理人さんはジャンヌさんの裸を見るって言ってるの?

 いや、確かにジャンヌさんは美人だし、スタイルもいいよ! でも、私だって負けてないし!!

 

「ににに兄さん!? どういうことですか!?」

「どういうこともなにも、魔術的に君の霊基に干渉して、足りない部分を僕が持ってる『本』から引き出して、君の霊基に埋め込むんだ。そうすれば、本来のパフォーマンスを発揮できるだろう?」

「そ、それはそうかもしれませんが……」

「第一、君と僕は、一緒に風呂も入ったことがあるだろう?」

「それは子供の時だけです!」

 

 ジャンヌさんは顔を真っ赤にして抗議するけど、管理人さんはどこ吹く風。

 特に気にしていないようだ。

 いやいや……好きな相手から裸を見せてくれとか、普通は勘違いしちゃうよそりゃ……。

 だけど、目的がすっごい事務的な物だから、なんか肩透かしを食らった気分になる。

 なんかこう、私の知らないところで大人の階段上っちゃってたのかなって思ってたんだけどなぁ~。

 管理人さんって、見た目より恋愛に関しては鈍感なタイプなのかも。

 それとも、枯れてるのかな?

 

「……管理人。君がいつか刺されないことを願うよ」

「変わらねぇな管理人……」

 

 あの戦いの後も即座に対応できるようにと呼び出していたサーヴァントの二人が、それぞれ感想を言う。

 エミヤは遠い目をしながら、ワイバーンのシチューを作っており、クーニキは面白いものを見たとでもいうかのようにからからと笑っていた。

 ジャンヌさんは自分の体を抱きしめながら、管理人さんを睨みつけているが、管理人さんはまったく動じていない。

 なんというか、この二人……夫婦漫才みたい。

 そんなことを思いつつ、私はジャンヌさんに声をかけることにした。

 

「あの~……ジャンヌさん? 素直に聞いておいた方がいいですよ?」

「な、何故ですか立香さん! あなたも兄さんの肩を持つんですか!?」

「いや、そうじゃなくて……。多分、今のうちにしておかないと、寝ている間に勝手にされると思いますよ? 管理人さん、そういうところは抜け目ないですし……」

「!?」

 

 私が耳打ちすると、ジャンヌさんの顔色が一気に変わった。

 うん、分かる。

 今の管理人さんならやりかねない。

 実際、私が翻訳魔術を刻み込まれたときなんかは、夜中にこっそり私の部屋に入って来て、勝手に服をはだけさせて、勝手に刻み込んでたらしい。

 召喚による疲労で爆睡していた私を心配して、見に来てくれたマシュが発見した光景らしいのだが、暗い部屋で、本を片手にもう片方の手で私の背中に触れつつ、ぶつぶつ呪文を唱えながら魔術回路を起動している絵面は、完全に不審者だったという。

 

「そういうわけで、2人で楽しんできてください!」

「立香さん!?」

 

 私はジャンヌさんの背中を押して、管理人さんの下へと背中を押してあげた。

 後ろからは、「頑張れよ~」とか、「くわばらくわばら……」という声が聞こえた。

 

 もう、みんなジャンヌさんを労わってあげなよ!

 え、私?

 恋する乙女の背中を押してあげてるだけだよ?

 

 ジャンヌさんは覚悟を決めたのか、頬を染めながらも堂々と管理人さんの前に立つ。

 そして、自分の体を隠すように両腕で胸を隠し、俯いた。

 だけど、管理人さんは気にせずにジャンヌさんに近づいていく。

 

「んじゃ、扉を開くから、図書館の中で作業をすることにしよう」

「は、はいぃ……」

 

 なんでもなさげに言う管理人さんだったが、それに対するジャンヌさんは顔を見なくても、真っ赤だろうことが簡単に想像できた。

 虚空に豪華な扉を出現させた管理人さんは、ジャンヌさんを連れ立って入っていく。ジャンヌさんもその後に続いていったのだった。

 二人の後ろ姿を見た私は、こう言った。

 

「さらばジャンヌさん。生まれ変わったら、また会いましょう……」

「先輩……勝手に殺さないで上げてください……」

 

 残された私たちは、敬礼してジャンヌさんを見送った。

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