「図書館って、強い能力だよな」「お前は何を言ってるんだ」   作:クラウディ

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ランキング32位

( ゚д゚)

皆さん、この作品を楽しんでくださり、誠にありがとうございます!
これからも投稿を続けていきますので、楽しんでください!





オルレアンへ向けて

「先輩、朝ですよ。起きてください」

「ふわぁ~……おはよ~マシュ~」

 

 いつも通りの後輩の声で目を覚まし、大きく背伸びをする。

 隣を見ると、私を覗き込んでいるマシュの姿があった。

 寝ぼけた頭を何とか起こし、ベッドから出て着替え始める。

 着替え終わると、扉に手をかけて部屋の外に出た。

 部屋の外は、()へと繋がっており、先程の豪華な部屋とのギャップに少し苦笑いしてしまう。

 まあ、これも慣れてしまったけど。

 扉を出てすぐのところでは、管理人さん達が朝食の準備をしていた。

 

「おはよう皆! 今日も1日頑張ろう!」

「おはよう立香君。今日も元気だね」

 

 私の声に気づいたのか、こちらに振り向く管理人さん達。

 そして、同時に挨拶を返してくれる。

 これは毎日のことだけど、この瞬間だけはちょっと幸せだったりする。

 それから、簡易の食事場に集まって食事を摂り始めた。

 

「いや~、まさか特異点に来て、あんなフカフカしたベッドで寝れるなんてね~」

「適当に創ったんだけど、お気に召したようで何よりだよ。結局のところ、図書館に住んでいるのは僕だけだし、かなり部屋が余ってたんだ。まさかこういうことに使えるなんて思ってなかったよ」

 

 そう、先程まで私達がいたのは管理人さんの図書館の中なのだ。

 私とマシュが野宿に慣れていないことを知った皆がどうしたものかと考えていた時に、管理人さんが提案してくれたのだ。

 なんでも、元々図書館として使っていたのだが、他にも箱舟としても使用しているらしく、部屋はかなり多いらしい。

 それで、空き部屋になっていたところを改装して、まるで高級ホテルの一室みたいな部屋にしてしまったのだ。

 それを聞いた私達は大喜びした。

 確かに、レイシフトしてからずっと歩き続けていたため、かなり疲労がたまっていたのだ。

 そんな状態で野宿をするのかぁ……なんて考えてたら、管理人さんの図書館で泊まることになって、疲労もばっちり取れた。

 それに、あそこなら周りに気を使う必要もないからぐっすり眠ることが出来る。

 本当にありがたいことだ。

 そんなことを考えながら、朝食を食べていると、横に座っているマシュが口を開いた。

 ちなみに、今日のメニューは昨日のワイバーンシチューだ。

 

「それにしても、管理人さんは何でもできますよね。何かそういうことを学んだんですか?」

「ん? 僕は知識を収集することが好きなんだ。それは料理に関しても例外ではない。今回のワイバーンシチューだって、僕がエミヤ君に調理方法を教えたんだ。彼はその通りに作っただけさ」

「くっ……! やはり上には上がいるのか……!」

 

 そう言って笑う管理人さんと、悔し気に拳を握り締めるエミヤ。

 そういえば、前に聞いたことがあるような気がする。

 確か、管理人さんは、本を知識として修めることができて、それの模倣ができるって。

 しかも、新しい本を書けば、アレンジもできるらしい。

 そんな管理人さんに対して、エミヤは、『投影魔術』っていう魔術をすっごく上手く使うことができて、武器――特に『剣』の複製とかが得意なんだって。

 それで、武器とかの記憶を引き出して、それをマネできるらしいんだけど……結局のところはそれ止まりらしい。

 そう考えれば、どんなことでも模倣出来て、さらに発展させられる管理人さんは、エミヤの完全上位互換ってところか……。

 まあ、私にはさっぱりわからない領域の話なんだけど。

 そうこうしているうちに朝食も終わり、身支度を整えると、すぐに出発となった。

 

 向かう先は……オルレアン。

 

 魔女の根城だ。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「もうすぐラ・シャリテです」

 

 先導するジャンヌさんがそう言った。

 最終目的地であるオルレアンに、何も情報なしで突っ込むのは無策ということで、まずは情報収集から始まった。

 それで、近場にある「ラ・シャリテ」という町に向かっているらしい。

 町に着くまでは、まだ結構距離がありそうだ。

 そう思っていると、空中に投影されているモニターからロマンの声が聞こえた。

 

『ん? みんなちょっといいかい?』

「どうしたのロマン?」

「どうしたんですかドクター?」

 

 ロマンの問いかけに対して、マシュと一緒に返事をする。

 

『君達の行く先に、サーヴァント反応が探知された』

 

 ロマンの言葉を聞いて、皆が一斉に緊張の色を見せる。私だって同じだ。

 ついに来たか……!

 オルレアンの魔女……!

 聖杯によって蘇ったジャンヌさんの偽物にして、特異点の元凶と思われる存在。

 絶対に負けられない戦いが始まる。

 私は、そう確信していた。

 だけど……

 

『あ、あれ? でも遠ざかっていくぞ? ……ああ、駄目だロストした! 速すぎる!』

「……考えたくないことがあるんだけど言ってもいいかな?」

 

 ロマンの報告を聞いた管理人さんが、苦虫を噛み潰したかのような顔をしながら声を上げる。

 何だろう、嫌な予感が止まらない。

 そして、管理人さんはゆっくりと口を開くと、 とんでもない事実を口にした。

 

「魔女たちが、既にラ・シャリテを襲撃していて、壊滅させたから帰ったんじゃないかな?」

「「「「「!」」」」」

 

 全員が同時に息を飲む。

 管理人さんの予想が正しければ、サーヴァント反応(おそらく魔女かその仲間)が遠ざかるということは、もうラ・シャリテは壊滅済みだということ。

 つまり、今から向かっても無駄足に終わるということだった。

 ……いや、まだそうと決まったわけじゃない!

 そう思い、私たちは慌ててラ・シャリテに向かった。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「まさか――」

「ドクター、生体反応を――」

「うっ……」

 

 ラ・シャリテに到着したときは、もう酷い有様だった。

 町は燃え、所々に黒煙が立っている。

 生存者なんて、ほとんどいないんじゃないだろうか。

 ジャンヌさんは口元を抑え、マシュはロマンに生存者の確認をしてもらうようにお願いし、私は吐き気を抑えるので精いっぱいだった。

 

『……駄目だ。その町に命と呼べるものは残っていない』

「そんな――」

 

 その言葉に絶句する。

 その時、私の横を誰かが通り過ぎていった。

 それは……ジャンヌさんだった。

 ジャンヌさんは町の中へ歩いていく。

 その姿を見た瞬間、私もマシュ達を置いて走り出していた。

 ある場所で止まったジャンヌさんは、跪いて祈りをささげていた。

 

「ジャンヌさん……」

「主よ。彼らに死後の安寧を」

 

 ジャンヌさんは目を閉じて、静かに祈っていた。

 きっと……この町に住んでいた人たちのことを思ってのことなんだろう。

 この人は、本当に優しい人だ。

 だからこそ――

 こんな残酷なことをした連中を許せない。

 ギリッと歯ぎしりする。

 怒りがあふれてくるが、まだ終わったわけじゃない。

 みんなの下へ戻ろうとした時、何かが動く音が聞こえた。

 もしかして、生存者……!

 しかし、その予想を裏切るようにして、それは姿を見せた。

 

「!? なっ!?」

「あぁ……なんてことを……」

 

 確かにそれは人の形をしていた。

 でもそれは、生きているとは言えなかった。

 全身に焼け焦げた跡があり、体は真っ二つに裂けている。

 間違いなく、これは人間ではない。

 それに、もう一つ分かったことがあった。

 それは、これが一体だけじゃないってことだ。

 私たちが見ている前で、次々と同じようなモノが現れていく。

 次第に囲まれてしまい、逃げ道がなくなってしまった。

 このまま襲われる……そう考えてしまった。

 しかし、

 

「先輩っ!」

「勝手に前を行くなマスター!」

「危なっかしい嬢ちゃんだぜホント!」

「マシュ! エミヤ! クーニキ!」

 

 頼もしい後輩にサーヴァントの皆が駆けつけてくれた。

 これなら安心して戦える。

 そう思ったとき、 空に巨大な魔法陣が現れた。

 しかも一つではなく、無数に現れており、そこから光の波動のようなものが放出される。

 

「これは……?」

『大規模な浄化魔術! 教会の総本山だろうとこんなのは早々お目にかかれないぞ!?』

 

 突然のことに疑問符を浮かべていると、ロマンがそう説明してくれた。

 町を襲っていたであろうサーヴァントはこの町から離れて行ったから奴らの仕業じゃない。

 なら、自然と候補は絞られた。

 

「私が殺す。私が生かす。私が傷つけ私が癒す。我が手を逃れうる者は一人もいない。我が目の届かぬ者は一人もいない」

「管理人さん!」

 

 上空を見上げると、そこには管理人さんがいた。

 どうやらあの魔方陣を展開しているのは管理人さんのようだ。

 でも、その表情はとても苦しそうだ。

 まるで……自分を傷つけるような……。

 管理人さんは右手を掲げ、魔法陣を展開し続けている。

 

「打ち砕かれよ。敗れたもの、老いた者を私が招く。私に委ね、私に学び、私に従え。休息を。 唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる」

 

 それは、優しい声色だった。

 管理人さんの体から光が漏れ始め、それが町全体に降り注ぐ。

 すると、先ほどまで死んでしまってもなお動いていた人々の動きが鈍り始め、次第に体が崩れていく。

 それだけじゃない。

 さっきまで燃え盛っていた炎も消え始めている。

 町全体がどんどん綺麗になっていく。

 

「装うことなかれ。許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには闇を、生あるものには暗い死を」

 

「休息は私の手に。 貴方の罪に油を注ぎ印を記そう。永遠の命は、死の中でこそ、与えられる」

 

「────許しはここに。図書館の管理人たる私が誓う」

 

「────『この魂に憐れみを(キリエ・エレイソン)』」

 

 その言葉を最後に、町にいた死者はすべて浄化されるかのように姿を消した。

 残ったのは、ただ静かに佇む管理人さんの姿だけだった。

 その姿を呆然と眺める私達をよそに、管理人さんは次の行動に移った。

 

「皆、今のは死者を浄化する魔術だ。まだ生きているもの――ワイバーンが残っている。それを討伐したら、一旦休息を挟もう」

 

 そう言って、管理人さんは飛んできたワイバーンを倒しに向かった。

 ……やっぱり様子がおかしい。

 なんだか無理をしているように見えて仕方がない。

 心配になって追いかけようとしたけど、それよりも先にジャンヌさんが駆け出した。

 

「皆さん! 兄さんは私が援護します! 皆さんは周囲のワイバーンをお願いします!」

「っ! わ、分かった!」

「先輩! ワイバーンと接敵します!」

 

 ジャンヌさんに返事をして、マシュと一緒に戦闘態勢に入る。

 まずは目の前にいるワイバーンからだ!

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