【完結】妖精國に落ちた超越者が、妖精騎士たちにほんの少しだけ救いを与えるお話【挿絵有り】 作:ロウシ
よろしければ、話を見直してもらうと、色々な仕込みに気づかれるかもしれませぬ。
2024 10/7 誤字修正
0.
滅びゆく世界であった。
神殿の、跡地。
偉大なるものの、残滓。
そこに、男はいた。
半身がない。
下半身は焼き砕かれた。
心臓には刃を突き立てられた。
だが、血が流れていない。
流れる血がもうなかった。
魔術刻印がゆっくりと、その機能を終えていく。
キリシュタリアは刻一刻と実感する。
己の死を。
この世界の崩壊を。
積み上げた世界は崩れ去った。
積み立てた神々は滅び去った。
ならば、神々と肩を並べた自分が、ここで死ぬのも道理だろうか。
自嘲する。
笑みをこぼしたい。
だが、頬肉がどうにも動いてくれない。
感じるものは、ふたつ。
ひとつは、滅びである。
もうひとつは、男に寄り添う
死にゆく男にとって、それだけは、今。
ここにある確かな吉兆であった。
ひとりで、やってきた。
ひとりで、歩いてきた。
少なくとも、『異星の神』の名の下では。
だから、ひとりで、死ぬものだと思っていた。
しかし、その温もりを感じられて逝くとは、役得極まりない。
全く、贅沢な最期だ……
サーヴァントと、いくつか会話を交わす。
最後の会話だ。
最期にして、最後。
思えば、良く生きた。
天才として生まれた。
その才のせいで、一度死んだ。
罪なき者の命と引き換えに生き返った。
そして、研鑽絶やさず練磨忘れず。
より良き世界へ。
より良き未来へ。
諦めを踏破して、死を覆して……
──他に、何を望もう?
いままで、よく、やってきたなぁ。
我ながらに思う。
自分の人生は星と共にあった。
悪い人生ではなかっただろう。
波瀾万丈ではあったが。
見上げれば、常にそこに星があった。
星を見ることができた。
それどころか、星々に座す神々と
で、あるならば、
──他に、何を望もう?
そうだなぁ。
Aチームの最後のひとりと、後輩のことかなぁ。
つまり、デイビット。
そして、カルデアのマスター。
頼れる後進の存在だ。
彼らの強さを知っている。
彼らの強さを知れて、逝ける。
幸福だよ。
それが、心なしか足を軽くする。
死への旅路を歩む足をだ。
……いや、足はもう、ないんだけどね。
物理的には。
温かなものに包まれた。
そんな気がするだけだ。
とっくに、皮膚も肉も、骨も神経も死んでいる。
だから、それがなんなのかを確認する術はない。
ただ、ふわりと、浮き上がる感覚があった。
時間の感覚がない。
世界が全て、止まったようだ。
ああ、これが、死か。
あの時は、死を味わう暇もなかったからなぁ。
感覚が無限に引き伸ばされているみたいだなぁ。
……この際だ。
たった一度の、全ての命に許された、平等の瞬間だ。
味わおう。
思い切り。
…………………………
ん?
あれ、なんだかおかしいな?
いつまで経っても意識が消えないんだけども。
暗い闇の中で、目を閉じて、身体も半分吹き飛んで、あれ?
痛みもない。
目を開けそうだ。
いや、開いちゃダメだろう、これ。
開けちゃったら、ダメだろう、これ。
流れ的に、完璧に息を引き取る流れだったじゃないか。
これで生きてたら、恥ずかしいとかそういう次元じゃないぞ。
ああ、でも、開きたい。
なんか、開けそうな気がしてきてる。
やめてくれ、心の内からムズムズ湧き上がる。
そういう好奇心に、私は弱いんだ。
ああ、でも、もうダメだ。
ああ、もう開こう。
開いちゃおう!
うん、これで生きてたら恥ずかしいってレベルではないけれども。
もしかしたら、枯れ葉が風に揺られて、枝から落ちるが如く、すっ、と死んだのかもしれないし。
それに気づいてないだけかも知れないしね、うん。
『葉っぱのフレディ』みたいに。
──よし!
私は、目を開くぞ!
もう開いちゃうからね。
そして、目を開いた私を、覗き込む『神』が迎えた。
太い──男だった。
掛け値無しに、大神ゼウスを思わせる筋骨隆々の身体。
上背もバツグンに高い。
上から下まで真っ白なゼウスとは真逆で、上から下まで黒い服を着ていた。
筋肉でぱっつんぱっつんだった。
頭に尾の長い、白いバンダナをかぶっていた。
見下ろす大きな顔に、生々しい肉が削げた傷がいくつかある。
特に、左頬から鼻を通って走る傷が、痛々しくも自己主張が激しい。
『神』は、目覚めた私を見て、ほっと、胸を撫で下ろした。
「あ、よかったァー! 目ェ覚まさねぇモンだから、介入のタイミングミスったンかと思ったじゃン」
「う、うわあああああああ!? 喋ったあああああ!?」
いや、喋るよ、そりゃァ。
と、ゴローはキリシュタリアの驚愕を淡々と受け流した。
1.
「と、言うわけで恥ずかしくも生きていた、私だよ!!」
ストーム・ボーダーの甲板で、キリシュタリア・ヴォーダイムは腕を組んで、仁王立ちして、キッパリはっきり宣言する。
いや、全然わかんねぇーッッ!!
それは、この場にいる、ホームズとゴローを除いたほぼ全員の感想だった。
「いや、なんで生きてるの? 亡霊? それともサーヴァントとして召喚されたの?」
「ゴルドルフ新所長。サーヴァントを使役するカルデアの総司令官が、仮に私が亡霊だとしてそれに慌てふためくのは……うん、ちょっと面白くて、いいと思います!」
キミ、なんか性格違くない?
「いやいやいや、確かに我々はギリシャ異聞帯で、キリシュタリア・ヴォーダイムとサーヴァントのカイニスの消滅は確認していないけどさぁ!?」
当然、オレもいるぜ!
久しぶりだなぁ、ゴッフ!!
と、炎の塊が人の形をとる。
槍を片手に、黄金色の鎧で身を固めた褐色肌のイケイケサーヴァント。
もちろん──カイニスである。
「イヤだわヴォーダイム。私たち、そんなに速く飛べないんだから、置いてかないでちょうだいな」
さらに、ドミノ倒しのように驚愕は続く。
キリシュタリアの背後に降り立った彼と彼女。
それを認識して──マシュ・キリエライトは涙をこぼしかけるほど喜んだ。
「ぺぺさん!!」
マスターに呼ばれたペペロンチーノは、はぁい、死に損ないのぺぺさんよぉ! と笑った。
「コーラルちゃんもありがとね。流石は上級妖精。秘蹟の力で空も飛べちゃうんだもの」
「いえ、私の力ではありません、
ペペロンチーノのそばに控えるのは、全身ピンク色の、美しい翅を持つ妖精。
「こ、コーラル!? 生きていたのかい!!? しかもぺぺを
ダ・ヴィンチがそう呼ぶと、コーラルは丁寧にお辞儀をした。
「はい。私、コーラル。不祥ながら、ペペロンチーノ様と契約を結び、彼の使い魔として参上いたしました」
一体全体どう言うことなのか!?
情報が大洪水で詰まりすぎて、大混乱である。
「というかホームズ! ゼンゼン驚かないあたり、これ、キミは知ってたのかい!!?」
ダ・ヴィンチの叫びに、ホームズはにべもなく頷いた。
「もちろん。私にだけ、ミスターM……ゴローが教えてくれていたことです」
「なんで話してくれなかったのさ!?」
「教えていたら、いくらダ・ヴィンチとはいえ……ブリテンでの行動に支障が出ると考えてだよ。これでも、熟考の末の判断だ。すまないとは思っているがね」
「思ってないだろ、その口調は!! でも、う〜っ! そ、それは否定しきれないのが悔しいけどさぁ……!」
待ちたまえ!
ほ、本当にどうなっているのだ!?
なぜ生きている!!?
というかどうやってブリテンに!?
そもそも、このキリシュタリアは我々が戦ったキリシュタリアなのか!?
どっか、よその特異点とかから引っ張ってきた、ニセモノとかでは……?
「正真正銘、ホンモンのキリシュタリアくんさね。ゴルドルフさん」
ゴローの言葉は、そこで止まった。
まだ、メリュジーヌが襲いかかってきている。
しょうがアンめぇ、
とゴローが言うと、彼は空に飛んだ。
「ちと、説明の時間稼ぎにじゃれてくるワ。キリシュタリアくんと、ホームズは解説、お願いしてもいいかい?」
「ええ、出来るだけ簡潔に行いましょう」
「ふふ、『全能の神』に真言を託されるとは、流石の私も緊張するね」
こんにゃろ、ゼンゼンそうは見えねーぞ!
と、キリシュタリアに吐き捨てて、ゴローは飛び去った。
2.
「つ、つまりこう言うことかね? ゴローは空想樹のネットワークを伝ってギリシャ異聞帯の過去に飛び、キリシュタリア・ヴォーダイムを蘇生させ、キリシュタリアはそのままブリテン異聞帯に来ていた。そして、スカンジナビア・ペペロンチーノを助けて、ペペロンチーノはそこの妖精と使い魔の契約を交わして、タイミングを見計らってここにきた、と……!」
わかりやすい要約、感謝いたします、Mr.ゴルドルフ。
とホームズが言い、
やりますね。
難しい単語を一切使わずに、さらりと解説し切ってしまった。
どうやら、やはり、新しい所長はマリスビリーとは、別種の才人であることは間違いないらしい。
とキリシュタリアが褒め称えた。
そ、そうかね?
と照れるゴルドルフ。
ゴローが戻ってきた。
「おかえり、全能の君」
「ゴロー殿、姉は……メリュジーヌは!?」
この場の奇蹟を何ひとつ飲み込めていないパーシヴァルの言葉に、
埋め込んできた。
とゴローは言った。
立てた親指で、肩越しに背後を指して、くいくいと動かす。
「ブリテンの最北の光の壁に、ちと埋め込んできた。まぁ、すぐ出てくるだろうケド、解説の時間ぐらい稼げらァな」
さらりと、恐ろしいことを言うのであった。
どこまで話したン?
とゴローはキリシュタリアに聞く。
概要はだいたい、とキリシュタリアが答えた。
「よし、じゃアほかに質問はねェな!」
「ありまくりだよ!!? 大体、何もかもがめちゃくちゃではないか! 順を追って、ちゃんと説明したまえよ!!」
ゴルドルフの剣幕に、ダ・ヴィンチは内心ガッツポーズを取った。
キリシュタリアは、
すごいな、掛け値無しの全能者に、『説明しろ!』って怒鳴れるんだ……流石はカルデアの責任者。
私も、こう言うところは見習わなくては。
と感心していた。
「まず、キリシュタリアを救うのはカンタンだった」
いや、カンタンてお前……
とムニエルは思った。
その心を見透かして知りつつ、ゴローは続けた。
空想樹が、ほかの異聞帯の繋がってる、ネットワークそのものなのはベリルから聞いていた。
だから、俺ァ自身を粒子情報体に変えて、空想樹に入り込んで、ギリシャ異聞帯の──キリシュタリア・ヴォーダイムが死ぬギリギリの時間に滑り込んだ。
「バカな!? それはつまり、時間逆行をおこなったと言うことか!? ……い、いや、ありえんだろう、それ。既に、ブリテンの二千十七年にはギリシャ異聞帯は滅び切っている。空想樹のネットワークを経由したところで、存在しない世界に乗り込むなど、不可能なのではないかね?」
「待ってください〜情報体化って、つまりタキオン粒子やヒッグス粒子化してたってことですか〜?」
おお、流石プロフェッサー!
そういうことさね!
時間を超える粒子体なら、時間流に逆らう超光速度でも存在を安定させられる。
ドンぴしゃりさね!
お礼に、今度、フェムトメートルの──純光子領域にご招待するよ。
「うわぁ〜! ほんとですかぁ〜!!」
「ちょっと、ゴロー! どさくさに紛れて僕の船員をタラシ込まないでくれるかい!!」
そんなつもりァ、ねンだけどね。
さて、話ィ戻すがね。
普通は、ゴルドルフさんの言う通り、時間逆行は難しい。
というのも、行くのはカンタンだが、帰れねンだ。
なんせ、多層世界の時間流を俯瞰して見るじゃン?
そしたらめちゃくちゃ──文字通り、時間点は無限大数有るワケよ。
だから、楔がないと、元の時間点に戻れるかってェのが、極めて怪しいからね。
A-A点に戻るつもりが、めちゃくちゃ良く似たA-B点に戻っちまう、なンてコトがざらにある。
だケド、空想樹ってェのは、空想樹のもたらす現代に根付いた現実は、『その過去の歴史丸ごと含んだ』モノなわけでしょ?
例えば、
こいつぁ、根付いた瞬間はスカサハ・スカディが三千年統治してる歴史になってた。
そンで、スカディたちにはその歴史を辿った実感はある。
だが、実際はそうじゃねぇでしょ?
北欧異聞帯は、汎人類史の上に、突然
いわゆる、
つまり……
「そうか! 空想樹は基本的に、その異聞帯の『過去の歴史』を情報として内包しているんだ!」
そうさ、ダ・ヴィンチ。
つまり、視点の問題さね。
どこを現在と捉えて、どこまでを過去として見るか……っていうね。
つまり、空想樹のネットワークの中にゃァ、滅び去ったギリシャの現在から未来は当然ねぇケド、滅び去るまでの歴史は、時間点によっちゃァ過去として、掘り出しゃァだけど、情報としてはちゃんと累積してたのさ。
ましてや、異聞帯ってェのは、過去改竄があったとしても、エヴェレット的な多層世界化──つまり、並行世界への分岐を起こさない、過去に上書きが行われるタイプの時間線だった。
それァ、ベリルに教えてもらったブリテンの歴史と比較すりゃァ明らかだ。
あらゆる過去改竄が、結局一本線の時間軸に収束すンなら、一本線の時間軸を俯瞰して、ピンポイントで時間点に介入して戻ってくンのは、俺たちにとっちゃァ、さほど難しくねぇモンよ。
だから、ベリル・ガットの離脱と、『異星の神』の目が離れる、キリシュタリアくんが死ぬ寸前の時間に、俺ァ見事に着地できた。
んで、戻ってこれたのさね。
そンで、そこでキリシュタリアくんの魂が抜けきらないギリギリで物質領域──つまり、滅びゆく時間を、
元がボロボロだったから、パンチ一発で壊せたし、結果として存在強度が『汎人類史』に耐えうるキリシュタリアくんとカイニスだけが、そこに残った。
ンで、俺ァキリシュタリアくんを蘇生させて、ちょうど世界を隔てる壁──ブリテンを覆う光の壁に、穴が空いたタイミングで、二人をブリテンに運んだのさ。
──光の壁に、穴が空いたタイミング……?
「そ、それって……」
「そうだ、レオナルド・ダ・ヴィンチ。私たちはカルデアのブリテン到着と、ほぼ同時にブリテンに到着したのさ」
ペペロンチーノとの話で、カルデアがどっから来ンのかと、いつ頃来ンのかは、大体ワカってたからね。
「イヤよねぇ。私とバーゲストとの会話の中で、全部これ、頭の中で組み立ててたのよ、このヒト」
ペペロンチーノがため息を吐いた。
ゴローはさらに続ける。
んで、今までずっと、彼らにゃァ、スプリガンの金庫城の最奥に、ずっと隠れててもらってたンさ。
ぺぺさんを助けたンは、俺ァ知らン。
キリシュタリアくんが勝手にやったコトさね。
だが、せっかくだから、俺ァそっちも利用するコトにした。
だから、戴冠式のどさくさにコーラルを引っ張ってきて、ペペロンチーノと使い魔契約を交わしてもらったンだ。
モルガン健在時のこのブリテンは、とにかくどこ向いても契約まみれだったモンねぇ。
全ての妖精たちァ、その存在、その魂のその仕組みからしてモルガンの玉座を経由する、『英霊の座』のシステムの廉価版だったからねぇ。
擬似英霊とでも、いやァ良いんかな?
いわゆる女王歴以降の次代妖精たちは、ほぼ全部コレ。
その辺は、カルデア側でも把握できてたでしょ? ダ・ヴィンチ?
「た、確かに……マシュを探すのに手間取ったのは、ブリテンで成されている契約の多さが理由だったけど……」
まさか、モルガンの玉座にそんなシステムが……
俺ァ、最初の謁見の時に、玉座のシステムは九割方解析できてた。
『大穴』を覗いた時、その奥に眠る呪いが何かわかった。
キャメロットの資料室で、ブリテンの歴史をたどって、バーヴァン・シーの魂の記憶から、トネリコ──つまり、モルガンの罪と罰、その苦悩を知った。
そこに、カルデアとクリプターの知識で『英霊のシステム』──座の話ィ聞いてよ。
その時から、アタマん中で全ての歯車を噛み合わせて、この時のために、手ェ回してたンだわ。
「見事──と、言うほかないですね」
あンがと、ホームズ。
でも、これ、俺ごときが、こンなアタマぁコネ回せンのもさ。
全部別世界といえ、おまえさんに師事したおかげでもあるンだぜぇ?
だから、あンがとね、ホームズ。
「光栄と言っておきましょう。Mr.ゴロー」
にしし、とゴローは笑った。
終末を迎えンのに、なるべく戦力揃えたつもりだぜ?
俺ァ、このブリテンじゃァ、無駄なことなンてなンもしてねぇよ。
「いや──まってくれたまえ」
と、ゴルドルフ。
話を飲み込めないのではなく、話を理解しているからこその、待ったであった。
「キミが、キリシュタリア・ヴォーダイムを蘇生させたり、時間を遡れるのは、まぁ百歩ゆずって? 『全能の神』? だから良いとしよう……」
だが──とゴルドルフ。
「なぜ、そんなことをしたのか、根本的にわからないんだがね? 全能の神に、ここまでの奇蹟を望むなら、相当の、その……対価を払わねばなるまいて!」
それは、誰が払ったのかね!?
そ、それとも、これから私たちが払うのかね!?
──ゴルドルフの言葉は尤もである。
全能の神が、ここまで手を回す。
なんのために?
なにを対価に?
妖精國のため?
それにしては、手が混みすぎている。
愛する女のため?
ならば、自身の全能で、もっとカンタンに、ラクチンに終わらせられるはずだ。
彼の全能性は疑いようもない。
その無限力は、この世界における『根源接続者』に比肩──あるいは、それを上回るかもしれない。
そんな怪物が、一体、なぜ?
誰の対価で、こんなことを?
「対価は、もう貰ってるよん……いや、まだ貰いきってはねンだけどね」
半ば詐欺だケド……まァ、確定でもらう事になってっから、いいンだけどね!
とゴローはカラコロと、太い笑みを浮かべる。
それを、正直不気味に感じているカルデアのメンバーに、ゴローは向き直った。
真剣な──真摯な表情であった。
次に、ゴローの口から出てきた答えは、その場にいる──キリシュタリアとペペロンチーノ以外の全て。
おおよそカルデアに属するものと、『異星の神』の使徒たる千子村正には信じられぬ驚きの言葉であった。
「キリシュタリアくんを生かしてほしいと、俺に頼んだンは、ベリル・ガットだよ」
間髪いれずに、続けた。
そして──と。
「キリシュタリアくんを生かす対価は──ベリル・ガットの命さね」
その場にいたメンバーの目が、否応なく開かれる。
特に、人一倍星々の煌めきを宿す、マシュ・キリエライトの目が、大きな驚愕に彩られていた。