【完結】妖精國に落ちた超越者が、妖精騎士たちにほんの少しだけ救いを与えるお話【挿絵有り】   作:ロウシ

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第二話:誰の上にだって、お日様は昇るんだ

 

0.

 

 

 妖精國から帰還を果たしてしばらく。

 カルデアの一室。

 多目的実験室であった。

 広い部屋である。

 天井も高い。

 床も壁も、天井に至るまで、特殊な素材でできた真白い正方形のタイルが丁寧に嵌め込まれている。

 タイルの内側には緩衝材がふんだんに盛り込まれており、衝撃やエネルギーだけでなく、魔力をも遮断し室内に留める構造であった。

 

 壁面のひとつ。

 天井に向かって視線を伸ばすと、長方形に横広い窓が嵌め込まれている。

 その向こうの部屋は観測室である。 

 そこから、部屋の全景を覗けるようになっていた。

 

 実験室の中心に、ゴローはいた。

 窓の向こうから覗くのは、ダ・ヴィンチとホームズ。

 ゴルドルフにムニエル、そしてシオン・エルトナム・ソカリス。

 キャプテン・ネモに加えて、是非にと押しかけたキリシュタリア・ヴォーダイム。

 皆、真剣な表情であった。

 ダ・ヴィンチやキリシュタリアなどは、少し、わくわくもしている。

 ムニエルやダ・ヴィンチが測定器に伸ばした手に、細かなこわばりがあった。

 

 ゴローは姿勢を正しく立ち、胸のやや下の位置に両手を伸ばした。 

 吐き出す息と共に脱力し、軽く肘を曲げ、折り合わせた指で球状の空間を作る。

 

 むん、と彼が言った。

 

 すると、そこに小さな白い光が生まれた。

 光球。

 大きさは両手のひらに包まれる程度だが、部屋全体の光度を一段階押し上げるほどの光を放つ。

 その光が実験室を満たし、

 瞬間──カルデアの計器類が悲鳴を上げた。

 

 画面に書き出されるものは、計測不能の文字(エラー・メッセージ)

 エネルギーの量感を測るメーターの針は力無く落ち込んだ。

 エネルギーの性質を読み取るハズのセンサーは、そこに何者の存在をも見失ってしまった。

 

 おお、と声が上がる。

 ざわめき──

 

「こんなもんでいいかい?」

 

 ざわめきをかき消す声であった。

 窓を見上げて、ゴローが言った。

 視線が集まる。

 ゴローはそれを確認して、手のひらの光球を握りつぶした。

 光球は抵抗もなく消え果て、ふっ、と部屋の光度が一段落ちる。

 

『ああ、ありがとうゴロー。おかげでよーくわかったよ』

 

 ダ・ヴィンチが言った。

 ゴルドルフがええ!? と驚きをダ・ヴィンチに向けた。

 ホームズとキリシュタリアはふむ、と顔を傾けて、思考を巡らせている。

 それを聞き届け、見届けた時、ゴローの姿は実験室になかった。

 

「ざっくばらんに結論から言うと」

 

 ダ・ヴィンチが可憐に振り返る。  

 人差し指を伸ばし、曲げた肘から腕を立てている。

 

「きみの固有能力はこちらの世界で言う、魔法に値する」

 

 ダ・ヴィンチは特に慌てずに、導き出した仮説を並べていく。

 観測室内に、()()ゴローはいた。

 だが、それ自体には、誰も驚きはなかった。

 

 そうだろうねぇ。

 顎に手を添えて、顔を斜め上に傾けながら、ゴローは肯定する。

 

「概要をざっと聞いたに過ぎンけどね、俺の能力──というか神の()()は、概ね、こっちの世界で言う『魔法』を網羅してるみたいだねぇ」

 

 ゴルドルフが気難しく口を閉ざしていた。

 顔色が青い。

 シオンの目が、レンズの下で怪しく光っている。 

 無言で、きつく引き締まった表情であった。

 

 ゴローはブリテン異聞帯で、ケルヌンノスの発する引力を自ら発生させた光で『消滅』して見せた。

 それは宇宙法則そのものを消滅させた現象であり、その際にゴローが解説した能力の仔細──万物消滅。

 次いで、言葉として発した『無無』という概念。

 この場の集まりは、それらを聞いたシオンの提案により、ゴローの能力を測ってみたいという流れから発足したものであった。

 

 ダ・ヴィンチやホームズ、ムニエルも賛同した。

 ゴルドルフは恐る恐る、聞きつけたキリシュタリアは神妙に。

 当然ゴローもまた、賛成した。

 自身の力が観測されることは承知の上であった。

 

「無を生み出し無を上書きする力、並行世界の運営、魂の物質化、死の超越と蘇生……まあ、この辺は俺──というか、俺()()は全能抜きにしても、だいたい持っててアタリマエの技能、能力になるねェ」

「きみの能力は、神々の中でも特に、『消滅』に振り切っていると言うことかい?」

「うーん……チョット違うンだケド、まあ、そう考えてもらってもいいよん」

 

 怪訝な言い方であった。

 だけどさ、と、困ったように眉を顰めてゴローは続ける。

 

「さっき言ったばっかだけど、万物消滅に限らねンだが……程度の差を気にしねェンならさ、この手の能力は全能者ならいくらでも再現可能なのよ。つまり、俺ァ自称で『固有能力』なんて格好つけちゃアいるが、一定以上の全能者なら誰でもできんのよ、この程度は」

 

 俺が、俺の世界の戦争で、前線で通用しなかったってェのも頷けるハナシだろう?

 プロフェッサーから聞いたケド、この世界でだって、宮本武蔵がここ()()は至ってたそうじゃない。

 俺からしてみりゃア、ヒトの身に生まれて、たがたが二〇年やそこらでその境地に至れる方が、よっぽどバケモンだと思うがねェ。

 俺がこれに至ったの、少なくとも三桁年越えた後だしねぇ。

 

「うん、そこには関してはそうだね。そちらの領分(スケール)を噛み砕いて察するに、宮本武蔵が機神カオスとこちらの次元の狭間を断ち斬れたのも、改めて納得がいくよ。そして──きみがきみの世界では大したことがないというのも、間違いないんだろうね」

「あらら、そこは、少しァ否定して欲しかったがねぇ」

 

 ふふ、ごめんごめん。

 でも、学術に生きる者にとって、法則から算出される解は平等かつ絶対だ。

 私に師事したこともあって、物理法則を造る側でもあるだろうきみなら、わかってくれるだろう?

 

「説得の仕方も数学的でウマいモンだ。ようやく今、俺ァお前さんが"あの"レオナルド・ダ・ヴィンチだと確信を持ててきてるよ」

「ひっどいなあ! まだ信じてくれてなかったのかい?」

「ふふ、ゴメンゴメン。でも、おかえしさね」

 

 ごほん、と咳払い。

 わざとらしいものである。

 二人が間を開ける。

 その方を向く。

 まだ、少し青ざめた顔色のゴルドルフであった。

 

「悔しいと言うか、恐ろしいと言うか……」

 

 言葉に迷っていた。

 ゴローは黙って続きを待つ。

 その視線を受けて、意を決したのか。

 とにかく! と語彙を強め、ゴルドルフは言った。

 

「キミの力が、この世界で飛び抜けたものであることは、真実のようだ……」

 

 遠回しな言い分である。

 もちろん、これは能力的に優れた魔術家系にある、ゴルドルフ(ムジーク家)流の褒め言葉であろうが。

 

「私が聞きたいのは、その力を、人理再編のために使うことは……」

「すまンけどねぇ。それは、やめておくよ」

「や、やはりそうかね……」

 

 しょぼんと目を伏せるゴルドルフに、ああいや……と手のひらを向けてふり、違うんだよねぇ、とゴローは言葉を挫かせる。

 

「いや、その、違うンだよねぇ。ええと、なんて言ったらいいンだか……俺がこの世界で力を使うのは、とにかくダメなンだっていうか……この世界に限らねンだけど、とにかくどっちのタメにもならねェって言うか……」

 

 上手い表現を探して顎を掻く。  

 助け舟を出したのはダ・ヴィンチであった。

 

「きみの力は、既存世界のエーテルを上書きするからだろう?」

 

 おう、それ! とゴローが手を叩く。

 ゴルドルフはギョッとした表情を浮かべた。

 シオンのメガネがきらりと光った。

 

「俺の力は『万物消滅』。それァつまり、この宇宙の力場そのものごと物質や事象を消し去る能力だ」

 

 つまり──と続ける。

 

 宇宙を形成する力場そのものに、穴を開けちまうわけだ。

 描いたものを消すのに消しゴムをかけるのではなく、キャンバスに穴を開けちまう。

 だが、宇宙における力場、エネルギーと総質量は基本的に常に一定だ。

 だから……

 

「アナタの力が消し去った力場。つまりは世界を形成するエーテルがあった分だけ、自ら生み出した力場(エーテル)で穴埋めしてしまう……と言うことですね」

 

 言葉を挟み、そのまま続けたのはホームズである。

 ホームズに向いてその通り、とゴローは答えた。

 作用には、反作用が伴うかンね。

 と続けた。

 

「俺の世界で神の力を表す端的な言葉に、『この世は我が世』ってモンがある。これはつまり、神が存在し、神が認識する現実は全て『その神の世界(モン)』になるって意味だ」

 

 世界の恒常的な上書き能力。

 恒常的な侵食支配領域による現実改変。

 既存の世界を、自らの世界で侵食する力。

 

「それが他世界における、全能者の基本理念、生態なのさ」

 

 だから、俺がこの世界で消滅の力を使えば使うほど、この世界は基盤から崩壊して、俺の世界になっちまう。

 よその創造者の世界(領土)を、よその世界の神が勝手に上書きしちまうワケだ。

 

 そうなるとよ、どうなると思う?

 それをどんどんやり続けることは、どう言うコトだと思う?

 

世界(領土)の奪い合い……なるほど、戦争ですか」

 

 そうさ、ホームズ。

 自らの世界(武力)で、他者の世界(領土)を奪うんだから。 

 それァもう、戦争になるってことさ。

 全能の神の領分(スケール)のね。

 この世界でも、南米に落ちてるとかいう……オールトの蜘蛛がいるらしいじゃない。

 簡単にいやァ、全能の神の生態能力は、程度の差はあれどアレの能力と同じだよ。

 己の世界を外に広げて、世界を丸ごと侵食する。

 逆にいやァ、あの蜘蛛は能力だけなら限りなく()()()()の類友ってコトだ。

 本体の頑丈さもあるが、そらァ定命世界であの力をもってンなら、他の生物とは一線を画す最強者(いとつよきもの)なのは、当たり前のハナシさね。

 

 俺から言わせて貰えば、だけどねぇ。

 

「……なるほど、納得だ。ゴローの力はこちらで喩えれば、固有結界の侵食型と言えるね。確かにその力は、おいそれと、無計画に使っちゃダメだ」

「そゆことさ、ダ・ヴィンチ。『異星の神』は少なくとも、準惑星規模のパワーを持ってンでしょ? なら、俺が『異星の神』とやらを消滅させて、世界を元通りにしても、それは結局一見元通りなだけで、地球が宙域ごと俺のモンになるだけってハナシだもの」

 

 イヤだろ? それ。

 ましてや、そうなっちまったら他の星が黙っちゃいないだろうさ。

 ガイア論のまかり通る、この世界の場合は。

 結局、星系規模であらゆる星々と戦争になって、俺が勝っちまうから、太陽系全域が俺のモンになる。 

 するってえと、流石に観測者の爺さんやらも黙っちゃアいないでしょうよ。

 

「乱は乱を呼ぶ、と言うことですね」

「そうさ、キリシュタリアくん……それもまた、ひとつの真理ってコトさね」

「うーん、流石に星間戦争はカルデアの手には余るかなあ」

「ってワケなんだ。俺がおまえさんらに力ァ貸せねェのは。強すぎる力の反作用ってモンよ。強すぎるってェのも、ほとほと困りものさね。制御できなきゃア、そこにあるだけでいらねェ争いを呼び込んじまう」

 

 だから、俺たちの世界では。

 宇宙を跨ぐ全能者には常に、相応しい態度ってモンが求められンのさ。

 他所の世界には敬意を払わなきゃならン。

 誰彼構わず喧嘩し続けたら、いつか絶対、自分より強ェやつとヤるハメになるからね。

 そうなりゃ、イヤでもぶちのめされちまうだろ?

 だから、例え俺が降臨した()()()()で『最強者(いとつよきもの)』だとしても。

 それァ『自分より強い者のいない世界だから』ってことをよ、常に戒めておかねェといかんのよね。

 

「神には神の法がある。貴方も口にした言葉ですが……なるほど、まさか言葉通りとは」

「それ自体は、この世界にも強く当てはまるでしょ? キリシュタリアくん」

「……そうですね。この世界も、人には人の、神には神の、星には星のルールがあります」

    

 自らの行いを振り返りつつ、しみじみと語るキリシュタリアに太く微笑み、ゴローは全員を一望した。向き直った。

 

「さて、まだ他に、俺に聞きたいこととかあるかい?」

 

 うむむ、と頭を悩ませる。

 各々、聞きたいことは様々にあった。

 だが、その中で一番に声にしたのは、

 

「少し、よろしいでしょうか」

 

 シオン・エルトナム・ソカリスであった。

 

 

1.

 

 

「では、(わたくし)も準備に入りますわ」

 

 ストーム・ボーダーの一室で、バーゲストはゴローにそう言った。

 

 ツングースカ攻略の要決は、迅速かつ高火力で物量による殲滅戦となった。

 ビーストとして成体となる前に決着をつける。

 第一陣として藤丸立香とマシュ・キリエライトが降り立ち、彼らの現地入りを持って副次的に控えたサーヴァントを多数送り込み、勝負を決める。

 

 バーゲストもそのひとりに選ばれた。

 森林での行動に支障がなく、広範囲高火力の宝具を操り、敵対者の魔力を喰らうその性質は、確かにツングースカの環境に適応するだろう。

 

 マスターの期待に応えんと、意気揚々と待機室に向かおうとするバーゲストの腕を、しかしゴローは捕まえた。

 

 結構、強い力であった。

 

「あ、あの。どうかしましたか……?」

「え? ん、ああ。いや……スマンね」

 

 バーゲストが振り返り、正面から顔を見据えると、ゴローは手を離した。

 宙を掴む、惜しんでいる手つきであった。

 バーゲストはふふ、と笑う。

 

「どうしたんですの? (わたくし)のことが心配ですの?」

「あー、いや。心配はそうだケド……うん」

「大丈夫ですわ。マスターの騎士として、務めは果たしてみせます」

「──……ン、そうだよねぇ」

 

 ゴメンねぇ。

 と頬を掻きながら、表情にはやはり心配が浮かんでいる。

 

「大丈夫ですわ。私はちゃんと、帰ってきますし、もう暴走もしませんことよ」

「ン、そうだね」

 

 そうして、微笑んだ。

 

「バーゲスト」

 

 歩きゆく彼女を、もう一度呼んだ。

 バーゲストは顔を振り向かせる。

 

「後で、一緒に紅茶でも飲もうね」

 

 約束さ。

 と言った。

 

「ええ」

 

 約束しましょう。

 

 バーゲストはその顔に、それが形作る優しさに、深い深い愛情を滲ませて、微笑みを浮かべた。

 

 

2.

 

 

 予想外の事態であった。

 カルデアにとっては。

 

 ストーム・ボーダーがツングースカ上空から、障壁を破って突入した途端。

 召喚してあるサーヴァントが霊基グラフに強制退去させられたのだ。

 ホームズすら抗えない強制力であり、ダ・ヴィンチとキャプテンの咄嗟の判断により、作戦を変更する。

 藤丸たちはシャドウ・ボーダーに乗り込み、ホームズと待機していたサーヴァントの大半が退去した。

 キャプテンの指示で残ったスタッフたちを乗せたまま、ストーム・ボーダーは再びツングースカの障壁の外に待機する。

 

「まさか、ホームズまで退去しちまうとはねぇ……」

 

 ストーム・ボーダー内が安定したのを見計らったように、管制室にひょっこり顔を出して、ゴローが言った。

 

「ゴロー? 何しに来たんだ。キミはツングースカ攻略には手を出さないんだろう?」

「なんか、トゲのある言い方するねぇ、キャプテン」

 

 じとりと睨むようなネモの視線を受け止めつつ、ゴローは電算機のキーに手を伸ばした。

 

「キャプテン。チョット使ってもいいかい、これ」

「何をするかによる」

「マップメイク」

「──なに?」

 

 言うなり、かちゃかちゃとキーを打ち、ボートのすぐ上に設置されている小モニターに手のひらを乗せた。

 大きな手だけあって、指先は画面からはみ出ている。

 

「こっから見える範囲で、ツングースカの領域の地図を打ち込んでるンさ。細けェとこまでは無理だけど、大まかにね」

「ありがたいけど……作ってどうするんだい

? 僕たちはどのみちツングースカには入れないし、ゴローは手伝うことはできないんだろ?」

「キャプテン」

 

 一段強く、呼んだ。

 それは、ネモの言葉を断ち切り、その懸念を吹き飛ばす。

 ゴローの、大きな黒い瞳がネモを収めていた。

 どきりとする眼であった。

 吸い込まれそうな引力を感じてしまう眼だ。

 動悸の早まったその心中を察してか、ゴローはにやりと笑った。

 

「俺ァ解決に動かねぇってだけで、あっこに入らねェとは、言ってねぇぞい」

「!? な、なんだって……!?」

 

 モニターから手を離し、ゴローが向かう先。

 キリシュタリアがいた。

 待ちくたびれましたよ、と全身で言いふらす、ふふんと余裕の態度であった。

 

「キリシュタリアくん」

「なんでしょうか、全能の君」

 

 んもう、ゴローでいいよぅ。

 白い歯を見せて、にこりと笑う。

 

「ちょっと、お茶しないかい?」

「……いいですよ、ゴロー殿。お店の方はどちらに?」

「NFF本社ビル。コヤンスカヤのおごりといこう」

「!?」

 

 驚愕するネモたちをよそに、ふふ、とキリシュタリアは笑う。

 肯定のそれであった。

 返すように、ゴローも笑う。

 企みに満ちたる、太い──笑みであった。

 

「キャプテン、プロフェッサー借りていいかい?」

「えー? ……え!? わたしですかー???」

 

 ああ、とゴロー。

 

 コヤンスカヤとちと、話し合いたいことがあンだけど、そこにスペシャルゲストも呼ぼうと思ってンのよね。

 けどさ、一見様以下の、外様の俺が呼ぶにゃア、ちと図々しいというか、雲の上のヒトなのよね。

 だから、この世界に詳しいヒトがふたりもいれば、釣り合うかなーって。

 

「えー! わ、私でいいんですかー!?」

 

 モチロン。

 いや、本音を言うと、ホントはホームズに相席して欲しかったンだけど。

 まさか退去しちまうとは思わンかったし。

 なンだったら、俺がやろうと思ってるハナシに関しちゃ、ホームズよりプロフェッサーの方が適任かもしれンからね。

 あいつ、すぐ答えを導き出しちゃうから、そんなんでコヤンとゲストの機嫌を損ねてもつまらんしねぇ。

 

「う、うわー! うわー!! いきます、行きますー!!」

 

 喜びに手を挙げてばんざーいとする中で、ちら、とプロフェッサーはキャプテンを見た。

 

「……ダメって言っても、連れて行くだろ?」

「まあね」

 

 ネモははあ、と諦めに息をつく。

 

「わかった。でも、しっかり守ってやってね」

「あいあいさ、キャプテン」

「うわーい! キャプテンありがとー!!」

 

 さて、と三人は支度をした。

 

「あ、森林には入らンから、キリシュタリアくん、虫取り網とカゴはいらンからね?」

「な、なんですと!?」

 

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