【完結】妖精國に落ちた超越者が、妖精騎士たちにほんの少しだけ救いを与えるお話【挿絵有り】   作:ロウシ

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幕間です


幕間:皆殺しのメロディ
第一話:我々人類はバカ 過去・現在・未来、バカ


 

0.

 

 ブリテン異聞帯攻略のすぐ後。 

 ツングースカ攻略より少し前。

 まだ、彷徨海に『異星の神』が襲撃するよりだいぶ前になるだろう。

 

 ノウム・カルデアのある一室でのことである。

 キリシュタリア・ヴォーダイムと、カイニス。

 そして、ゴローが話し合っていた。

 

 ノウム・カルデアの、ごくごく普通の一室。

白い、壁と床に囲まれた粛々とした部屋である。

 部屋の中心に、なんの装飾もない正方形の机がひとつ、白い椅子が二脚置いてある。

 シャワー室や洗面台といった生活に気の利いたものは何もない。

 壁際には、使われなくなった資料や本が、乱雑に並べられた棚がひとつ。

 埃が糸のようになっている部分が所々にあって、それから、この部屋があまり常用されていないものだとわかる。

 机の占める面積が大きく、部屋の広さは本来ひとり用。

 倉庫といって差し支えない。

 ただ、なんとなく余った部屋を、それとなく整えただけのものだ。

 

 だが、今日この時において、この部屋の内外はさらに『別の次元』であった。

 これは、抽象的な意味では無く、物理的な意味で、である。

 

 図書館に向かう途中に待ち伏せされたキリシュタリアから、ゴローは改めて、話しておきたいことがあると言われた。

 その表情が彼()()()()()真剣でシリアスなものであったために、事情を察したゴローは、部屋に入るなり『この部屋』と『それ以外』の次元を一時的に隔ててみせた。

 

 そわそわと驚きを隠しつつ、キリシュタリアが先に椅子に座り、カイニスがその後ろに立った。

 それを見てから、キリシュタリアにゆるやかに促され、腕を組んで、ゴローは対面に立つ。

 

「座られませんか?」

「ちょっと、無理だねぇ」

 

 軽い微笑みを携えたキリシュタリアの問いを、ゴローは戸惑い半分に、にこやかに受け流した。

 

「あ、カンチガイしねぇで欲しいけど……別にキリシュタリアくんが信用できねェってワケじゃないかんね。単純に、それじゃあ俺の体重に耐えられねェだろうな、ってだけさね」

 

 腕組みしながら、器用に椅子を指差して、ゴローは言った。

 キリシュタリアが改めて視線を配る。

 白くて華奢な椅子は、なるほど大樹のような太い男には、なんとも頼りない。

 なるほど、と頷いた。

 配慮が足りませんでした。と軽く頭を下げた。

 ゴローはちょっと困り顔であった。

 彼の本性……というか、性格はとっくに知っている。

 すまし顔で気を遣われると、背中が痒いのである。

 言葉にするとキリシュタリアは傷つきそうなので、黙ってはいるが。

 

「まずは、ブリテン──いえ、ギリシャからここまで、ありがとうございました」

「……それは、(ベリルくんに)対価をしっかりもらってるから、きみから御礼を言われるスジあいはねェンだけどね」

「いえ、私を蘇生したことではなく、ベリルを救ってくれたことに対してです。クリプターのリーダーとして、御礼を忘れていましたので……」

 

 ああ、そういうことか。

 とゴローは驚きに片眉を上げた。

 ケルヌンノスを前にした時、その件についてペペロンチーノからは「ありがとう」と言われていたが、確かにキリシュタリアからはそこについて、何も言われていない。

 

 生真面目だねぇ。と呟いた。

 ゴローは、やはり、太く笑った。

 

「でも……それだけなら、他のヒトたちの前でも言えたよねぇ。ってこたァ、本題はもっと……カルデアのヒトたちの前じゃア話せないことなンだよね?」

「ええ。これはカルデアには、まだ話すのが早いと思っています」

「──デイビットって、にいちゃんのことかい?」

 

 ぴくりと、キリシュタリアが軽く、身を震わせた。

 目を閉じて、何かを思考し、ふ、とうっすら笑みを作る。

 観念の笑みであった。

 

「流石です。が、おそらくゴロー殿の思う()()と、私が考える()()は、少し違います」

「そうだろうねぇ。俺としては、それがダメな理由より、なんでそれをダ・ヴィンチやホームズに話せねェのか、ダメなのか? ってえトコが、気になって仕方ねぇもんよ」

 

 ゴローが名を上げるは、カルデアの誇る頭脳たちである。

 明晰快活たる万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。

 謎を解き明かすもの。世界最高の名探偵、シャーロック・ホームズ。

 この両名──特に、その存在があらゆる謎を解明することに結びつくホームズがありながら、カルデアに対しことに及んで隠し事をしようというキリシュタリアの腹づもりは不合理極まりない。

 かの探偵には、どんなにうまく隠し事をしても無駄である。

 いや、うまく誤魔化し続ければこそ、それを善悪を超えて炯々と暴き立てるのがシャーロック・ホームズという男であろう。

 謎解きのスペシャリストである。

 

 キリシュタリアは、そんなことが分からない男ではない。

 それを理解しても尚、ホームズには話せないほどの事情があるのだ。

 

 既に、カルデアはゴルドルフ主導の元、キリシュタリアとペペロンチーノに対する尋問を行う準備を忙しなく始めている。

 当然その場にはダ・ヴィンチとホームズも同席するだろう。

 カルデアのマスターも、ひょっとすると相席するかもしれない。

 彼らを前に質疑応答となれば、秘め事を秘め事のまま隠し通すことは、どんな偉人でも不可能に近い。

 たったひとつの単語、連続性のない言葉の中から金塊を掘り当てるのが彼らの英雄性なのだから。

 

 ならば、キリシュタリアのこれは、保険ということか。

 ゴローは思慮を巡らせる。

 カルデアに、カルデアが現時点で知るべきではない情報をつい漏らしてしまった時。

 あるいは、キリシュタリアのひと事かふた事から、芋蔓式に彼らが答えにたどり着いてしまった時、自身にそのフォローをして欲しいという遠回しな根回しか。

 ということは、その情報は当然、現段階においてカルデアが知るべきではなく。

 現段階で知ってしまえば、その時点で未来で詰んでしまうことがほぼ確約する、デストラップに等しいのだろう。

 

 と、なれば。

 この相談内容は、簡単に思いつく。

 

「つまり、キリシュタリアくんが俺に話したいコトってなア、最後のクリプター、デイビット──ひいては、そこから紐づけられる『異星の神』とやらのことかね? ……あるいはこの大冒険の、核心についてのコトなンだろうねぇ」

「そうです。これからアナタに話すことは、『異星の神』に対し、私が知りうること。そして──」

 

 デイビット・ゼム・ヴォイドについて。

 私が知る限りの、()()()()という組織についてです。

 

 

0-2.

 

 

「アドバイス……だと?」

 

 時間神殿──魔神王ゲーティアの視座。

 その眼下に在る『超越者(ビヨンダー)』は、その身から青白い光──神の証明を発しながら、言った。

 

「そうだ、()()()。俺も、色々と考えたンだが……どうにもワカランことが結構あってね」

「ほう。全能者たるものが、常世の条理を不可解と口にするか。面白いものだ」

「面白いと思うンなら、なおさら()()()()ちょうだいな……まァ、そうだよ。異聞帯ってェモンは、俺から言わせりゃア、あんまりにも不可解だ」

 

 だから、おまえさんのところに来た。

 ()()()における全能者、未来を見通すもの。

 俺ァ、かのソロモン王から派生したおまえさんなら、この星にあり得る不可解に対しては、すべからく、なにかしらの答えを得ていると思ってる。

 

「……」

「ま、答えはいらねェけどね。ヒント以下……アドバイスだけで十分だし、答えたくねェモンは黙っててくれていい。沈黙でもこっちが勝手に咀嚼するよ。こーいう世界だもンな。無知の知の幸と、狡知の知の愚はありふれてるでしょ?」

「……その獣は?」

 

 ゲーティアの示すもの──タマモヴィッチ・コヤンスカヤは呼ばれて、ようやく、にこやかに口を開いた。 

 

「これはこれは、お初お目にかかりますわ、『憐憫』のビースト、ソロモン王の残滓、()()()ゲーティアさま。『至高者』に近き孤高にあるお方が、(ワタクシ)などのことをご存知のようで、恐悦至極でございます」

「口の減らんものだ、『愛玩の獣』よ。幼体とはいえビーストが、他のビーストの領域に足を踏み入れるなど……融通無碍なものよ。自身の軽率な振る舞いが起こす未来を夢想もできんか」

「……あら、もし、(ワタクシ)、喧嘩売られちゃってます? これ? よろしいんですの? 今の私には最強最大のセコムがいるんでしてよ?」

「……言っとくけど、俺ァおまえさんがゲーティアに嬲られてもギリギリまで助けねェかんな……」

「まぁ!? なんということでしょう。ツングースカでは(ワタクシ)の情緒をあれだけ弄んでおきながら、契約をちゃんと結んでおきながら、いざとなれば責任のひとつも取らない、と……? 男らしさは見た目だけ、甲斐性無しは神の常……よよよ。ゴロー様も、所詮はひとやま幾らの多神のひと柱でございましたか……」

「なァ、こいつぶん殴っていいか?」

「なぜわたしに聞く、『超越者(ビヨンダー)』よ……」

 

 んべっと舌をだして可愛らしく両者を挑発するコヤンスカヤを、ひとりの全能者は冷ややかな目と声で指し、もうひとりの全能者はなんやかんや呆れ声で静止した。

 

「コヤンスカヤ連れて来たンは単にこの子の権能が異界を渡るのに便利だったからだよねぇ。単独顕現だっけ? オタクらの」

 

 この子の存在がおまえさんにとって煩わしいのは、なんとなしにわかるけど、見逃して欲しいねぇ。

 

「構わん。それは承知しよう。それで、何を聞きたい? 何の言葉を授かりたいと言うのだ?」

「ぶっちゃけ、ソロモンはどこまで視てたのか──かなァ?」

「────!」

 

 その言葉が、ゲーティアの世界に緊張を齎した。

 ゴローは語る。

 

 ソロモン王の千里眼は未来を見通す。

 見通したからこそ人理焼却に気づいてしまった。

 だからおまえさんはその解決に奔走してる。

 それに対応してカルデアが、藤丸くんが特異点を修繕し──()()()()()()()()ハメになった。

 俺の視点から見る、カルデアを取り巻く人理再編。

 特に、特異点修復に対する基本的な見解はこれだよねぇ。

 カルデアはあくまで後手から対応しているだけ。

 常に先手はおまえさんか、クリプター側……あるいは『異星の神』に譲っている。

 

 でもよォ、俺がイチバン気になンのは、ソロモンをサーヴァントにして聖杯戦争に優勝して、カルデアを造ったっていう、マリスビリー・アニムスフィアが、()()()()()どこまで知ってたのか、って点なンだよねぇ。

 

 どこまで知っていたんだい?

 どこまで見通していたんだい?

 

 言っちまえばよ、カルデアの旅はどっからどこまでが、マリスビリーによる『先出しされた後出し』なのか?

 これがちーっともわかンねェ。

 

 特異点修復はまァ、範囲だろうさ。

 おまえさんが動くことも。

 

 じゃァ──異聞帯は?

 

 そもそも、異聞帯ってェモンは、本当に異聞帯なのか?

 

「……どういう意味だ?」

「異聞帯の定義ってえヤツさ」

 

 先の詰まった人理の尻尾切り。

 まァ、ワカる。

 世界運営のリソースの節約。

 まァ、ワカる。

 剪定を行っているのは人間側の集合無意識。

 まァ、ワカらんでもない。

 

「けどよ。カルデアが巡って来た異聞帯の記録と照らし合わせると、俺にゃァどーも、その辺の定義がガバガバに見えンのよ」

 

 ロシア異聞帯──

 まァワカるよ。

 確かに、冬の惑星で営みを行える人類は限られる。

 冬は生命の天敵だ。

 それが永遠になればジリ貧にもならァ。

 春を目指したイヴァン雷帝の理想は痛み入る。

 どこまでも悲しいがね。

 

 北欧異聞帯──

 まァ、ここはそうだな。

 どうやっても詰んでた。

 そもそも人に限らず資源がねンだもん。

 そら生きていけねェよ。

 そら、オーディン(じっさま)だってスカディの心配するわな。

 

 中国異聞帯──

 始皇帝とは式部の図書館でちょっと話したが、オモシロイヒトだったよ。

 ヒトは自分だけで、民草からは知識と教養を奪い、ヤクばら撒いて統治しますはいかにもって感じだが。

 逆にいうと、始皇帝は民草の自由意志までは完全に奪っていなかった。

 学ぶことを禁じていたが、学べる知能は奪わなかった。

 それどころか、一部の英傑はそのままコールドスリープさせてやがった。

 案の定──カルデアの外部介入があっただけで、民草の自由意志は刺激され、人としての反応があったワケだ。

 

 インド異聞帯──

 ここはまァ、滅んで然るべしではある。

 俺も、神として似た()()()()は一度や二度じゃねェから、あんまヒトんこと強く言えねェけどよ。

 力を手に入れるために自らの感情その他を削りすぎたアルジュナは、ペペロンチーノやカルデアの介入の有無に限らず、あのままいけばどのみち、世界に一番不要なものが『自分』であることに気づいていたろうねぇ。

 そうなりゃア、ねえ。辿る未来は悲惨なモンだよ。

 ……ここは、北欧に負けず劣らずの詰みっぷりだわな。

 

 ギリシャ異聞帯──

 神の庇護下にヒトがある世界。

 この世界の、ふふ……ヒトと神とを分け隔てたギルガメッシュ王に聞いてみたら、スゴい顔しそうだよねぇ、ここ。

 ここも、ゼウスの統治に寿命的限界こそあれど、ゼウスは選民こそすれど、宇宙に安寧を求めて、その準備まで進めていた。

 先を見据え、プラン立てて、星からの旅立ちをイチバン現実的に用意していた世界だ。

 

 ブリテン異聞帯──

 ……まァ、ここは元から死んでるからな。

 俺にとっちゃァかけがえのない世界だが、それはそれとして、オベロンの気持ちァ痛ェほどよくワカる。

 

「こん中でもロシア、北欧、インド、ブリテンは『行き詰まる人理』として文句ないねェ。けど、中国、ギリシャに関しては、俺ァ()()()()()? って、思うわけだ」

「はてさて、ゴロー様。それはアナタが実際に、各異聞帯に足を運んでいらっしゃられないからこそ、感じる疑念だと考えますが……」

「コヤンスカヤ。俺ァキリシュタリアを救うために、空想樹の中に粒子化して入った時に、異聞帯のほぼ全域の時間に干渉してンだぜ?」

「──なんと、そういえばそうでした」

 

 つまり、何が言いたいかって。

 七つの異聞帯は、本当に空想樹によって掘り起こされたモンなのか?

 あれらは、本当に意味があって掘り起こされたモンなのか?

 ってことで。

 俺個人の考えとしては、カルデアが旅した異聞帯ってェのは、カルデアに試練を与えるために、無理やり掘り起こされたモンが混ざってると考えている。

 

「────」

「────詐欺ですか?」

 

 そう、コヤンスカヤ。詐欺の基本だ。

 お出しするものに虚実を混ぜる。

 本当に説明の通り『そう』であることと、

 本当は説明と違う『そう』であることを、

 一緒くたに混ぜる。

 ヒトは、最初にホンモノを味わうと、その後に出されたモノをまず全てホンモノと思い込む。

 猜疑心は自ら経験した過去のホンモノによって消され、自らの心の声を閉ざし、次にお出しされるモノにフィルターをかけ、見えるものまで見えなくする。

 

「オマケに、『異星の神』は、本来はキリシュタリアのみを頼りにしていたンだろ?」

「それはそうです。当初は、なんの問題もなければ──あれはギリシャの勝ち確出来レースでしたもの……対抗できるとすれば、デイビット・ゼム・ヴォイドの、南米異聞帯ぐらいのもの。でも、それは異聞帯の力というよりも、デイビット様の底知れなさに由来しますわ」 

 

 そもそも、デイビットを除く他のクリプターたちは、キリシュタリアが人理修復のシミュレートをその分こなし、成し遂げたゆえの蘇生である。

 蘇生後も、『異星の神』はキリシュタリアのみに目を配らせていた。

 他はどうでも良かったのだ。

 

「つまり、それってよ、他のクリプターにあてがわれた異聞帯もとい空想樹は、『異星の神』が体裁を整えるために突貫で用意したモンにならねェかい?」

「……ちょっと待ってくださいまし。少々理論が飛躍してませんこと?」

「いや、俺ァそうは思わンね」

 

 そもそも表に出てる空想樹が、なんでちょうど七本なんだ?

 そもそも、異聞帯はクリプターの介入で繋ぎ止め、空想樹を育てるための世界とは言うが、中国やギリシャの()()()()()()は芥ヒナコやキリシュタリアが介入せずとも問題はなかっただろう?

 ギリシャに至っては自身の限界を悟っていたゼウスが、その後のプランまで独自に練っていた。

 インドみたいに、外部の介入によって自ら寿命を縮めた世界はあるがね。

 

「つまり──『異星の神』とやらにとってのカルデアの『役割』は、カルデアが苦心苦悩の果てに異聞帯をいくつか切除するコトであって、異聞帯の数や質はどうでも良かったんじゃねェかな……って思ってよ」

 

 キリシュタリアの勝利をメインプランに立て。

 カルデアが異聞帯を切除することをサブプランとする。

 こうしておけば、どちらに転んでも目的は達せられる。

 キリシュタリアが勝とうが、カルデアが勝とうが、『異星の神』の真の目的に達するための過程でしかないとすれば、だが。

 

「おまえさんは知ってるだろうが……ゲーティア。俺ァここに来る前にアーキタイプと、つまりガイアの化身に話を聞いてンだよねぇ。アーキタイプは異聞帯の切除……もとい、剪定が行われることそのものを疑問視していたよ」

 

 墓の下から掘り出された世界。

 しかし、全てがそうなのか?

 本当に滅ぶべくして滅んだ世界だったのか?

 

「……それを知って、どうするのだ、『超越者』よ。おまえはこの世界において、神と星のルールに従うことを『神の言葉』として自らに誓ったはずだ。まさか、『異星の神』の真意を破壊するためだけに、今更この地球を消滅させ、都合のいい惑星となるよう再創造しようなどと思ってはいまい」

「ああ、うん。だからアドバイスが欲しいんだよねぇ」

 

 俺ァ、どうしたらいいんかね?

 神としての合理性に従うなら、抑止を異次元に避難させた上で、一度地球を吹っ飛ばすのがイチバン手間がかからねぇ。

 それで全部の問題は解決する。

 その後は、抑止の手を借りて、安全な別時間、別時空から地球を引っ張ってくるなりで複製を行えばいいし。

 時間超越点──境界記録帯か? まあなんでもいいけど、アレは時間の上位次元領域だから、バーゲストとまた会うだけなら、この宇宙を吹っ飛ばして並行宇宙に行って、そこで彼女を召喚すりゃァいいハナシだし。

 

「なァ、俺ァどうすりゃいいと思うよ?」

 

 ゴローは、困っていた。

 眉を顰めて、鬱陶しそうに目を閉じている。

 しかし、好奇心が表皮からにかすかに浮いているのも見て取れた。

 この好奇心が、全能者が全能者に問う禅問答に、果たしてゲーティア(自分)がどう答えるのか、その答えを期待しているそれであった。

 

 




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