怪物のバラード   作:ディヴァ子

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百竜夜行、開始。


閑話:僕らは助け合って生きてゆこう

 ――――――第三次「百竜夜行」、里守の砦にて。

 

「頑張って!」「気を付けて!」

 

 ヨモギちゃんとイオリくんが勇ましく励ましてくれる。2人は里長から最前線に立つ事を禁じられており、この年頃であれば普通は不貞腐れてしまう所だが、自分なりの答えを見つけ出したのだろう。馴染みのアイツがそう言っていた。

 やぁ、私だ。カムラの里筆頭のハンター、メラルだ。

 ……いや、嘘吐いたわ。里一番の腕前を持っているのは、馴染みのアイツなんだよね。里長から太刀を貰うのもアイツだろうし、里の期待を一身に集めているのもアイツである。

 そう、私はあくまで二番手。だからこそ最終的に狩猟笛を選んだし、今も里守たちと共にバリスタに着いている。

 

『にゃーに卑屈になってるにゃー』『ケェエエン!』

 

 と、若干自己嫌悪に陥っている私を、キンカとガルムが後ろから小突いて来た。流石は我が相棒。私の気持ちなどお見通しという事か。

 

「……ふざけてないで、お前たちも配置に付け。第一波は目の前だぞ」

 

 しかし、素直に認めるのも何かムカつくので、強い口調で逆ギレしておいた。そんな私の本心も見透かされているのだろうけど。

 だが、そろそろ気を引き締めなければならないのも事実。通算三回目となる百竜夜行が、もうすぐ始まる。

 さらに、今回はヌシだけでなく、巨大なナニカが目撃されているらしい。これは勘だが、そいつが百竜夜行の原因となるモンスターだと思う。これは益々負けられないな。

 

「「来ます!」」

『ギャヴォオオッ!』『キュァアアアッ!』『バヴォオオッ!』

 

 ヒノエさんとミノトさんの掛け声が木霊すると同時に、無数のモンスターが砦目掛けて雪崩れ込んで来る。

 

「撃て撃て撃てぇ!」「弾幕薄いぞ、何やってんの!」「蜂の巣にしてやるぜぇ!」

 

 先ずはバリスタによる迎撃だ。

 百竜夜行に参加しているモンスターは各々で役割分担が為されており、ハンターや里守を攻撃する露払い、関門を壊す破砦役、空中から妨害を行う航空支援の3パターンに分かれている。特に厄介なのは破砦役で、こちらが幾ら攻撃しようとも、瀕死になるまでは何が何でも関門を壊そうとする為、露払いや航空支援による妨害に気を取られていると、知らぬ間に突破されてしまうのである。

 まるで機械のように正確なチーム編成だが、何故野生のモンスターたちが、そんな軍隊染みた真似をするのかは分かっていない。百竜夜行を引き起こしている何者かの仕業だろうか?

 ともかく、百竜夜行を攻略する鍵は、如何に破砦役を足止めし、仕留められるかに掛かっている。だからこそのバリスタ攻撃だ。バリスタを釣る瓶打ちする事で露払いや航空支援を釘付けにし、力あるハンターたちが破砦役を倒すのである。

 つまり、私とアイツの出番という訳だ。

 まぁ、私はあくまでも遊撃役なので、状況によりけりだが。

 

「行くぞ!」『気焔万丈みゃー!』『ウフルゥッ!』

『ガヴォオオァアアッ!』『キュァアアッアァッ!』

 

 おっと、さっそくアイツらが破砦役へ絡みに行ったか。相手はアンジャナフとヤツカダキ……問題無いな。私は空のリオレウスに集中しよう。オラオラオラオラッ!

 

『クァアアアアッ!』

 

 よし、帰ったな。次は――――――、

 

「うわぁああっ!?」

「……待ってろ!」

 

 しかし、里守の1人が集中攻撃に遭っていたのでバリスタを離れ、そちらの救助を優先する。バサルモス如きが舐めるなよ。グラビモスに成ってから出直して来い!

 

「関門が……!」

「今行くぞっ!」

 

 今度は第一関門が危険になってきた。アンジャナフとヤツカダキは退けたのだが、後からジンオウガやリオレイアの大群が押し寄せて来たのだ。今回は何時にも増して激しいな……!

 

「そらぁっ!」『ゴーゴーにゃーっ!』『バヴバヴッ!』

 

 リオレイアのサマーソルトを回避し、狩猟笛を叩き込む。ローンの意味不明さに比べたら、どうという事はない。負ける気がしないぞ!

 

「いけない、第二砦の方が押されています!」

「……ここは任せたぞッ!」「任されたッ!」

 

 ミノトさんから急報が齎され、私は第一砦をアイツに任せ、大翔蟲で第二砦へ移動する。こっちは確かハネナガさんが主役として戦っていた筈。おそらく、彼の弟子がヘマでもしたか。

 

「うわぁああっ!」

『コカカカカッ!』『カァカァッ!』『クワァォッ!』

 

 案の定、ハネナガさんの後輩が3羽のアケノシルムに取り囲まれ、ハネナガさん1人で破砦役を相手取っていた。このままでは突破される……!

 

「うるぁあっ!」

『クケェーッ!?』

 

 私は着地の勢いを利用して一番小さいアケノシルムを撲殺し、残る大と中のアケノシルムに猛攻を仕掛ける。所詮はアケノシルムなので大した事は無かった。

 

「……馬鹿! “まだ行ける”と少しでも思ったら、直ぐに下がれ!」

「は、はい、すいません!」

 

 よしよし、これで後輩くんがハネナガさんと合流出来るから、この砦は大丈夫だな。

 

「ああっ、第三砦がっ!」

「ロンディーネさーん!」『急ぐのにゃーっ!』『ワオンカード!』

 

 ヤバい、ロンディーネさんが協力してくれている第三砦の第一関門が突破されちまった!

 今行きますよ、ロンディーネさーん!

 

「……なっ!?」

 

 そして、大急ぎで第三砦に駆け付けた私の目に飛び込んで来たのは、

 

「――――――来い! 商人魂、見せてやる!」

『アヴォオオオオオオオオオオオオオオオッ!』

 

 痛々しい漆黒の巨躯を誇る、ヌシ・ジンオウガと太刀を交えるロンディーネさんの姿だった。

 ロンディーネさーん、魂の見せ所が違ぁーう!




◆百竜夜行

 風神&雷神の古龍夫婦が巻き起こす傍迷惑な婚活により、恐慌状態に陥ったモンスターたちがカムラの里へ雪崩れ込む怪現象。目指す理由は特に深く物でなく、単に広くて逃げ込み易そうだからである。
 誰がどう決めたのか、モンスター間で役割分担が為されており、執拗にハンターや迎撃施設を攻撃する者、関門を一心不乱に狙う者、上から空爆を行い妨害して来る者の3タイプがいる。モンスターたちも死に物狂いなので、種族の垣根を超えた連携が取れているのかもしれない。
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