「はぁっ!」『グヴォオオッ!』
……って、普通に強いね、ロンディーネさん。ファントムミラージュでズバズバ斬っておるわ。
いや、言うてる場合か。助太刀に来たんだよ、私は!
「せぇい!」『ガヴヴヴヴッ!?』
私の開幕叩き付け攻撃にヌシオウガがスタン状態となる。その隙に三音演奏で自分とロンディーネさんにバフを掛けていく。これぞ狩猟笛の良い所。
『グルヴォッ!』
クソッ、思ったより立ち直りが早いな!
『ヴァヴヴッ!』
「このっ……!」
しかも、何故か私ばかりに集中砲火。ヘッドバットからの素早いお手付き、更に尻尾によるサマーソルト、旋回尾撃と、隙が全く見当たらない怒涛の連続攻撃である。
『ギャヴォオオオッ!』
「なっ……危ねぇっ!?」
さらに、通常種であれば一瞬の雷爪撃が、風に傷付け大地を抉るような長距離攻撃となっていた。咄嗟に横向きの気を付けしなければクリーンヒットしていただろう。雷のカーテンが三方向に延びるとか恐ろし過ぎる。
あっ、この軌道は……ガルムぅうううっ!
『ワンダフォオオッ!』
褒めるなぁっ!
「フンッ!」『うにゃーっ!?』
ついでにロンディーネさんとキンカにも直撃。ロンディーネさんの方は見切りカウンターで消し飛ばしていたが、キンカは回復シャボンを出していた最中だったので諸に食らったようだ。こりゃあ暫く動けないな……。
『グルヴォオオオオオオッ!』
何だ、急に足元に違和感が――――――、
「がはぁっ!?」
こ、こいつ、何時の間にやら地表に通電していやがった。おかげで回避が間に合わず、角で突き上げられ、強烈な雷パンチを食らってしまった。マ、マズい、身体が痺れて……!
『グヴァォォ……グァッ!?』
「セェィバァアアアァッ!」
だが、更なる追撃を食らう前に、ロンディーネさんがヌシオウガに兜割りを叩き込んだ。それにより超帯電状態が解除され、頭を抱えながら苦しみのた打ち回る。
「た、助かりました……」
「なぁに、お互い様さ!」
ええ人やなぁ。
それにしても、超帯電状態が解かれてみると、かなり痛々しい姿をしているな、こいつ。全身が鎌鼬にでも遭ったかの如く傷だらけだし、打撲で鱗が剥げている所や甲殻が割れている所もある。何なら、頭の角なんて最初から一本折れていて――――――、
「こいつ、まさか……」
「どうしたのだ?」
「いや、その……」
いや、まさか、こいつは……あの時のあいつなのか?
ローンに吹っ飛ばされ先に居た、水没林のジンオウガ。だから執拗に私を狙った?
しかし、明らかにあの時よりも傷が増えているし、むしろ何故動けているのかも不思議なくらいの重体だ。ローンの出遭った奴らもそうだったらしいけど、ヌシってのは皆こうなのか?
いいや、今はいい。過去の亡霊が化けて出たと言うのなら、きちんと成仏させてやるまで。
安らかに眠れとは言わん。私はアイツ程優しくないんでな。最後の最期まで足掻いて見せろ。それが私なりの“礼儀”である。
『――――――ヴォオオオオオオオオオン!』
と、起き上がり様にチャージを始め、妨害の暇すら与えぬスピードで超帯電状態へ戻るヌシオウガ。よく見ると目が電気で光り輝いているので、これが正真正銘の怒り状態なのだろう。
つまり、奴はこれからフルスロットルで殺しに掛かって来る。一瞬でも気を抜いたり、怯んだりしたら……死ぬ!
――――――バチィイイッ!
『グルヴォッ!』
角で突き上げた時と同じく……否、それ以上の電圧で雷撃を撒き散らしながら飛び上がり、雷爪撃とサマーソルトを連続で放って来るヌシオウガ。それも一発ではない。サマーソルトの後に再び上昇し、空中で方向転換をするというラージャンみたいな真似をしつつ狙いを定め、再度雷爪撃を放って来る。その後は旋回尾撃からの連続お手付き、落雷付きのヒップドロップと、散り1つ残さず消し飛ばしてやると言わんばかりの苛烈な攻撃を仕掛けて来る。
「……はぁっ!」「ふぅっ……!」
しかし、回避に徹した事と、ジンオウガと戦った時の経験のおかげで、ギリギリで捌く事が出来た。途中、2回程攻撃が掠った物の、冷静な翔蟲受け身で着地狩りはされずに済んだ。
ロンディーネさんは何か普通に見切ってた。強過ぎません?
それはともかく、止めを刺して――――――、
『グルヴァォオオオオオァアアアアアアアア!』
うるせぇっ!
『ギャヴォッ!』『ギュアギュア!』
……って、この野郎、最後の悪足掻きで別のモンスターを呼び寄せやがった。それも何故かオサイズチばかり。幾らバリスタ攻撃でモンスターが減ってたからって、そんな事ある!?
く、くそっ、こんな名前負けしたクソ雑魚モンスター共に蹂躙されるだなんて、死んでも御免だぞ!
「――――――愛弟子ぃ! そりゃああああっ!」
だが、ヒーローは遅れて登場するもの。何処からともなくウツシ教官がかっとビングして来て、ご自慢のカムラ忍術で全モンスターを操竜待機状態にした。流石の早業である。何度見ても何をどうやっているのかさっぱり分からない。
『グギャヴォオオッ!』
「何ィ!? わーいっ♪」
しかし、何とヌシオウガが力尽くで翔蟲の拘束糸を引き千切り、カッコ良く着地したウツシ教官を殴り飛ばした。そういうとこやぞ。あと喜ぶな。
……ええい、ままよ!
「どりゃあああっ!」『ギャヴォッ!?』
という事で、待機中のオサイズチを1匹乗り回してみた。
「教官、ロンディーネさん!」
「……おうとも!」「承知!」
さらに、翔蟲受け身で復帰したウツシ教官と、最近イオリくんに教えて貰っていたらしいロンディーネさんも、残るオサイズチにライド・オン。まさかのオサイズチ三位一体となってしまった。
どうせ相手は瀕死寸前だし、このまま三枚におろしてやらぁ!
「てぇい!」『ギャアアッ!』
「はぁっ!」『ギュヴォッ!』
先ずはウツシ教官とロンディーネさんの同時攻撃。怯んだ隙を狙って、私が止めの一撃を、
『グヴォオオオッ!』
『「ギャピーッ!」』
刺せなかったぁ! 何で怯まないんだよ、こいつぅ!
『さっきのお返しにゃ!』『ワンオウガ!』
『グルヴォォオオオォ……ォ……ガァ……』
その上、トリをキンカたちに頂戴された。何てこった、パンをハムにハサムニダァッ!
……と、とにかく、これでこの砦はもう大丈夫――――――、
「ふぁっつ!?」
と思った矢先に、上空から飛んで来た龍属性塗れの空気弾に吹き飛ばされた(何故か乗られているオサイズチは無事だった。何でや)。
『コァアアアアアアアアアアアアゥン!』
そして、烈風が吹き荒ぶ暗天から、絶望の狂飆が舞い降りる……。
◆ヌシ・ジンオウガ
皆大好き、竜盤目四脚亜目雷狼竜上科ジンオウガ科に属する牙竜種……の突然変異個体。
ご存知の通り、テオとナナを鼻で嗤うレベルで傍迷惑な古龍夫婦の結婚式の犠牲者なのだが、何をどう間違ったのか、獄狼竜を遥かに超える化け物になってしまった。
攻撃後の隙が原種に比べて極端に少なく、威力もべらぼうに高い上に、全くと言っていい程に怯まない為、あっという間にハンターを虐殺してしまう。特に雷爪撃と言う名の風の傷から繋がるコンボは苦しむ間も無く死ねる。後ろはそこそこ安全と言われましても。
まさに無双の狩人……否、最終鬼畜兵器である。
おそらく、タイマンならマキヒコやナルハタより強い。
というか、バルファルクを倒さないと一騎打ちが出来ないヌシ・ディアブロスよりも後に出て来るのだから、そりゃあ最強でしょうよ……。