怪物のバラード   作:ディヴァ子

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VSマガイマガド戦。


大きな超獣

『グヴルルルッ!』

 

 マガイマガドが吠え猛りながら突っ込んで来る。狙いは――――――、

 

『ギャヴォオオオ!』『ゴルヴァッ!』

 

 イージャンさんか!

 だが、甘いな。幾ら最強格の牙竜種とは言え、イージャンさんには敵うまい。彼はそんじょ其処らのラージャンじゃないんだぞ!

 

『ヴァォオオオッ!』

 

 突っ込んで来たマガイマガドを受け止め、そのまま岸壁に向かってぶん投げるイージャンさん。

 しかし、マガイマガドは猫の如く空中で体勢を立て直して壁に着地し、ヌシミツネを思わせる紫の炎を纏いながら、槍のような尻尾で牙突を放って来た。流石にこれは予想外だったのか、イージャンさんは諸に槍を食らってしまった。精々お腹の薄皮が剥けた程度だが、あれがクリーンヒットしたらと思うと恐ろしい。

 ……いや、言ってる場合か!

 ヌシミツネと同じ技を使うって事は、あの炎も纏わり付いて爆発する筈だ。このままでは、イージャンさんが更なる追撃を受けてしまう。そうはい神崎ィ!

 

『コァアアアアアツ!』『グルヴォッ!?』

 

 フッフッフッ、驚いているな!

 無理もない。僕のブレスがばら撒いた炎を掻き消したんだからな。

 最近の趣味として、消化出来る範囲を広げる為に色んな食べ物を毒味してるんだけど、そのおかげなのか消化こそ出来ないが、火炎草や流水草に落陽草などを呑み込まずに咀嚼し、体液と混ぜ合わせる事で様々な薬品をブレスとして放出する事が可能になったんだ。今回の場合は落陽草だから消臭ブレスだね。消臭ブレス(ハンターに言わせれば消臭玉)は悪臭だけでなく、爆破属性の粉塵炎を無力化する効能があるから、覿面に効いたよ。

 実にサポート寄りな能力だけど、僕の属性や状態異常に対する耐性はガバガバにも程があるので、大人しく裏方に回った方が良い場合も多い。どう考えてもイージャンさんの方が強いしね。

 ――――――ほらほら、僕に構っている場合かぁ!?

 

『ゴルァッ!』『ズワォッ!?』

 

 イージャンさんの嵐のようなデンプシー・ロールがマガイマガドの顔面を連続で捉える。頭を振って逃げようとしても無駄だ。彼の拳は左右だけでなく、上下も含めた縦横無尽な∞ループなんだからな。良いぞ、そのまま兜角も折っちゃえ~♪

 

『グルルル……!』

 

 だが、マガイマガドは上手くクリーンヒットを避け、角も守り切った。クソッ、生涯一魔法使いには出来ないか……!

 

『ギャヴォオオオオオッ!』

 

 しかし、その頑張りもこれまでだ。何故なら、イージャンさんが闘気化したからなぁ!

 イージャンさん、やっちゃって下さい。

 

『ゴギャアアアアアアッ!』

 

 イージャンさんの気光ブレスがマガイマガドを吹き飛ばす。属性こそ乗らないが、威力が馬鹿みたいに高いので、ダメージを蓄積させるのに持って来いである。

 さらに、飛び上がってからの口から雷弾&ローリングアタックがヒット。マガイマガドは見事に雷やられ状態となった。こうなると僅かな殴打でもスタンが入るので、かなり有利になったと言える。

 

『――――――ゴヴァアアアアアアアアアッ!』

 

 だが、マガイマガドは追撃を受ける前に立ち直ると、全身の甲殻を展開。トゲトゲの落ち武者のような姿となり、爆破粉塵を纏いだした。

 そうか、あれがハンターの言っていた「鬼火纏」って奴か。じゃあ、あの炎も鬼火か。なるほどなるほど……って、全力退避ィイイイッ!

 

 

 ――――――ドシュッ、ズギャァッ! ゴバァアアアン!

 

 

 もはや生物が出してはいけない音を立てながら、マガイマガドが空中をジグザグに飛び交い、爆炎を纏った体当たりをイージャンさんへ叩き込んだ。おそらく鬼火よるジェット推進なんだろうが、牙竜種が高速飛行するなよ!

 

『グルルル……!』

 

 流石にさっきの大技は効いたのか、イージャンさんが怯んでいる。確かにあの技、テオ・テスカトルより威力有りそうだもんな。

 

『ゴギャアアアッ!』

 

 それをチャンスと見たか、マガイマガドが更なる攻撃を仕掛ける。よく見ると鬼火が消え、甲殻が閉じているが、ラージャンの闘気化と同じく長時間は使用出来ないのだろうか?

 まぁ、それはそれとして……僕の事、忘れてないかい?

 

『グヴェアアアアアアアッ!』『ゴヴァッ!?』

 

 食らえ、突撃今日の晩御飯!

 灼熱サボテンとニトロダケを組み合わせた、グラビモス並みの爆炎ブレスでぶっ飛べぇ!

 

『グヴェァオオオオオオン!』『グフゥッ!』

 

 ついでにこいつもだ!

 翼による爆裂パンチ二連打からの角突き上げ、それから対空砲火の劇毒ブレスであるッ!

 

『ガヴォオオオッ!』『イヤァン!?』

 

 まさかの反撃食らったぁ!?

 こいつ、空中で鬼火を解放して再び高速飛行アタックをかまして来やがったよ!

 だが、甘いなぁ。僕がこの戦いで一体何度大声で叫んだ(・・・・・・)と思ってんだゴラァッ!

 

『ギャヴォオオオオオオン!』『ドワォッ!?』

 

 咆哮に乗じて掛かっていたバフにより、体力もパワーも全開なイージャンさんのフルボッコアタックがマガイマガドに決まる。一人用の大岩投げで撃ち落とし、最大出力の気光ブレスを浴びせかけ、怯んで動けなくなった所に元気モリモリな超特大の気光玉を食らわせたのだ。攻撃に容赦が無さ過ぎですねぇ。一体何竜分の僕が死ぬ事か。

 

『グルゥゥゥ……!』

 

 それでも死なずに撤退する辺り、こいつのタフネスも大概だけど。お前の身体は何で出来てるの?

 

『ゴヴァアアアアアアアアッ!』

『グヴェァアアアアアアアッ!』

 

 しかし、勝った事は紛れもない事実。僕とイージャンさんは思わず叫んだよ!

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

『グルヴォッ!』

『……また来てますよ、マガイマガド』『しつこいなぁ、もう……』

 

 まぁ、その後も何故か執拗に絡んでくるようになったんだけどね、マガイマガド。

 まだ若く力に溢れる個体なので、武者修行のつもりなのかもしれないが、いい迷惑である。イージャンさんの方に行けよ!

 

『ウギャゥーッ!』

 

 ちゃんと行ってるようでした。イージャンさんの自棄酒が進む進む。重ね重ね、お疲れ様です。

 ……早く死んでくんないかなぁ、あのマガイマガド。




◆マガイマガド

 竜盤目四脚亜目怨虎竜上科マガイマガド科に属する牙竜種。別名は「怨虎竜」。モンハンライズのパッケージを飾るメインモンスターでもある。
 全身を覆う甲冑の如き甲殻や兜飾りを思わせる角が特徴の、落武者と猛虎を合体させたかのようなモンスター。元は翼を支える骨であったであろう腕刃と尻尾の先にある展開式の十文字槍がメインウェポンだが、最大の武器は体内に溜め込まれている「鬼火」と呼ばれる爆発性のガス(骨まで食べた獲物を体内で分解される過程で生まれる代謝物質)で、散布して広範囲を爆破したり、点火して推進力に利用したりと、色々と応用が利く。尾の先端から鬼火をブーストして空中を縦横無尽に高速飛行する姿は、とても牙竜種とは思えない。バルファルクでさえ(形だけだが)翼で飛行してるのに……。
 怨“虎”竜ではあるが、どちらかと言うと生態はライオンに近く、雄が雌を侍らせるハーレムを形成する。
 しかし、雄に課せられた宿命は過酷そのもので、縄張りの安全性を絶対な物にしなければならない上に、一生に一度しか生えない角を完璧に維持しなければならないという、非常に無理難題な人生を送る事が運命付けられている。
 その為、雄個体はかなり凶暴かつ好戦的であり、そこらの大型モンスターはもちろん、古龍にまで喧嘩を売る、危険にも程がある古龍級生物である。
 ちなみに、百竜夜行には餌を漁りに来ただけで、実は何の関係も無かったりする。
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