やーっ! 僕だよ、つい先日イージャンさんと共にマガイマガドをボコったヴェノブロスこと、腰巾着気質なディアブロスだよ。
いやー、マガイマガドは強敵でしたね。
……でしたねって言うか、今でも強敵のままなんだけどね。ウザイくらいに絡んでくるもん。マジで死んでくれないかなー、あの虎猫。
ただ、年がら年中、24時間働けますって感じではなく、気が向いた時に襲ってくる程度なので、適当にあしらってやれば飽きて不貞寝し始めるから、そこまで大問題という訳でもない。あくまでにゃんこ武者修行って事か。迷惑な事に変わりはないけど。
そして、本日はごろ寝日和な模様。ハンターで言う所の「エリア5」に当たる広場でスヤスヤと眠っているのを見掛けた。あの分なら、今日は1日中起きては来まい。一生寝てろ。
――――――で、肝心の僕はと言うと、
『ZZZzzz……』
同じくお昼寝タイムだ。ゼルちゃんはバサルモスちゃんとお散歩しているので、1匹でゆったりとお休み中である。大抵は一緒に寝るけど、何時も添い寝ばかりでは窮屈だろうから、たまにこうしてお互いの自由時間をずらしている。新婚夫婦とは思えない行動だが、元来ディアブロスは孤高の存在なので、これでも充分だろう。むしろ異常事態と言っても良いかもしれない。気にしないけどね。
『キュァアアア……』
あ、リオレイアさん、こんにちは。見回りお疲れ様です。リオレウスさんにもよろしく言っておいて下さい。
うーん、それにしても本当に今日は良い日和だねぇ。雲は殆ど無いし、風も吹いていない。溶岩の脈動が若干煩いけど、気にしなければそれまでだし。
さーて、あとは夕方くらいまで惰眠を貪って、晩ご飯のサボテンを回収するとしようかな。それじゃあ、お休みなさい……。
――――――ゴン!
あ痛ッ!
何だよもう。このタイミングで落石とか、空気読んでよ活火山。しかも、出来立てホヤホヤなのか、妙な感触だし。まるで今にも爆発しそうな、
――――――ドギャアアアン!
『ギョヴェエエエエッ!?』
マジで爆発しやがった! 何でだよ!?
『ギュァアアアッ!』
さらに、リオレイアさんが何故か上空へ向けて咆哮を上げている。一体何だって言うんだ?
『アォオオオオオオオン!』
『ギヴェェエエエエエッ!?』
すると、サイレンのような雄叫びと共に、何かが僕へ体当たりをかましてきた。だから何でだよ!?
苛立ちを抑えつつ下手人を探してみれば、すぐ近くに巨大な飛竜の姿が。小振りな頭部に下半分だけ開き切った松ぼっくりみたいな首、への字の翼と首周りによく似た木槌のような尻尾を持つ、大型の飛竜種モンスター。今まで全く見た事の無い奴だが、少なくとも僕らにわざわざ喧嘩を売りに来た事だけは分かる。何てイビルジョーみたいな野郎だ!
『ヴァヴヴヴッ!』
と、謎の松ぼっくり野郎が突進を仕掛けてきた。喉元のドデカい鱗をばら撒きながら。走る速度はそこそこだから避けるのは簡単だが、あの鱗……何かヤバい気がする!
――――――チュドドドドン!
やっぱり爆発すんのかよ!
何時もより大げさなくらいに距離を取って良かった。さっきの落石もこいつの鱗か。この野郎、首に爆弾をいっぱい巻いてるとか、危険にも程があるだろ。これが世に言うテロリストか。
だけど、僕が1匹じゃないって事を忘れてないか?
やっちゃって下さい、リオレイアさん!
『キュアアアアッ!』
あれーっ、帰っちゃった!?
そんなのあァァァんまりだァァアァ!
『アァヴォオオオオオン!』
な、何をするだァーッ!?
お前、一挙手一投足で爆弾ばら撒くの止めろよ!?
だがしかし、首元に爆弾を抱えているというのは、弱点に他ならないぞ!
『ギャヴォオオオオオッ!』
『ホヴァァアアアアオッ!?』
どうだ、僕の爆炎ブレスは痛かろう。今朝のニトロダケと火炎草の食べ合わせの成せる業よ。己の抱いた爆弾で自爆するがいい!
『アヴォオオオオオオオ!』
しかしながら、本体の耐久力が馬鹿みたいに高い上に鱗はすぐに生え揃うようで、一瞬怯みはしたものの即座に体勢を立て直し、「バンザーイ!」をするような動作で鱗を全て引っぺがして、僕へ向けて雨あられとばら撒いてきた。ふざけるんじゃあ無いぞ、貴様ァ-ッ!
『ホヴォロロロロロ……!』
だが、そんな事は知った事かと言わんばかりに、首を擡げながら爆弾をばら撒き始める松ぼっくり。このまま爆発を交えつつ、ボディプレスを仕掛けるつもりだろう。何時の間にか身体中が赤熱化してるし、あれを真面に喰らったら一溜りも無い。
くそぅ、何て酷い野――――――、
『ヴォオオオッ!』『ヒァヴォッ!?』
しかし、止めを刺される寸前に、怒り心頭なマガイマガドが割って入って来たおかげで、事なきを得られた。たぶん、昼寝を邪魔されたからだろうが、今だけは感謝してやるぞ、ダボが!
『ヴルゥッ!』『アヴォオッ!』
おうおう、相変わらず凄まじい機動力だね。飛竜を相手に下から食らい付いてるよ。よし、良いぞ、やっちまえ!
――――――ドギャヴォッ!
『ヤッダーバァアアアアアッ!』
何でだぁあああああああっ!?
テメェ、今わざと突っ込んで来ただろゴラァッ!
うごがががが……お、おのれぃ……とんでもないダメージを食らっちまったじゃあねぇかぁッ!
だが、こんな意味不明な理由で死ぬ訳にはいかない。僕には待ってくれている
『アヴォオオオオオオン!』
お前どんだけタフなんだよぉおおおっ!
『ギュァアアッ!』『ギャヴォオオッ!』
しかし、手負いの虎ならぬ紅蓮滾る松ぼっくりが怒りの大空襲を仕掛けて来ようとしたが、そこへ新たな横槍が。リオレウスさんの火炎放射とリオレイアさんのサマーソルトが連続で叩き込まれたのだ。
おお、来てくれたんですね、リオレイアさん!
僕を見捨てて逃げたかと思ったけど、リオレウスさんの助力を求めて戦略的撤退をしただけだったんですね!
『ヒヒィイン!』
タフで凶暴な松ぼっくり野郎も流石にこれは厳しかったらしく、馬みたいな鳴き声を上げながら空の彼方へ飛び去って行った。
ふぅ……一時はどうなるかと思ったが、これで危急の脅威は去った。
――――――と、思ったんだけどなぁ。
『バリヤァアアアアアアドォ!』
爆撃松ぼっくりと入れ替わるように、空の悪漢「ライゼクス」が降雷したのだった……。
◆バゼルギウス
竜盤目竜脚亜目爆鱗竜上科バゼル科に属する大型飛竜種。
ワイバーン+焼けた松ぼっくりというふざけた見た目をしているが、頚や尻尾の下部に爆発性の鱗を無数に持つ危険なモンスターで、「爆鱗竜」の別名や「奇襲燎原」の異名を持つ。この「爆鱗」は、「爆腺」と呼ばれる器官から分泌される体液が冷えて固まった“爆弾”で、簡単に剥がれ落ちる上に僅かな刺激で爆発するというヤバい特性がある。
バゼルギウスは爆鱗の特性を完璧に理解しており、手榴弾の如く投げつけたり設置トラップとしてばら撒いたりする。最大の攻撃は爆鱗の連続空中投下で、その様はさながら爆撃機である。
さらに、好奇心旺盛かつ凶暴という面倒臭い性質を持っていて、事ある毎に他のモンスターやハンターに喧嘩を売りに行く。あろう事か古龍にまで突っ掛かるので、ライズでは「弁え知らず」呼ばわりされてたりする。
ちなみに、何故辺りを辺りを焼野原にする程の危険な爆弾を抱えているのかと言うと、顎の力が弱いから“調理”をする為だったりする。