怪物のバラード   作:ディヴァ子

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ここに来て一気に暗雲が立ち込メル……。


閑話:きっと君の下へ

『クァォオオオン!』

 

 雷神龍が、滅茶苦茶に雷を落として来る。毎回思うけど、古龍には生物であるという良識は無いのかァーッ!?

 

『キュァアアアッ!』

「ぬがぁっ!?」

 

 しかも、手からドーナツを出して来た。雷がリング状になるなんて、そんな事ある?

 

「アビバババババ!?」

 

 その上、とんでもない電圧を持っているのか、たったの一撃で雷やられ状態にされてしまった。頭の上でヒトダマ鳥がピヨピヨしてるよ~♪

 だ、誰か助けてぇーっ!

 

「メラルぅ!」「ごはぁっ!?」

 

 すると、アイツのデカい拳骨が私の顔面を打ち抜いた。もう少し真面な起こし方をしろよ!?

 くそぅ、今日は3人だからって、キンカたちに休暇を与えたのが裏目に出まくってるな。こんな事なら馬車馬の如く使い倒すんだった。

 

『キャォオオオッ!』

「危なーい!?」「くっ……!」

 

 とか何とか言っていたら、雷神龍が口から巨大な雷弾を放って来た。ラージャンのより、ずっとデカい。

 

『キュルァアァ……ギャヴォンッ!』

「きゅぴーっ!」「「メラルぅ!」」

 

 さらに、避けた先に尻尾がビターンと降って来た。いや、だからさぁっ!?

 もうキャンプに引き籠りたいーっ!

 

「この野郎!」『ギャヴォッ!?』

 

 と、アイツの飛影と滅・昇竜撃が連続でヒットし、ビリビリふわふわと浮かぶ雷神龍を大地へ叩き落す。やっぱり片手剣は盾だよな!

 

「はぁあああっ!」『ギィ!?』

 

 そして、ロンディーネさんの連続斬りと兜割りが奇麗に決まり、雷神龍の角を1本へし折った。

 流石はロンディーネさんだが、これでは私が鉄砲玉みたいじゃあないかぁ! そんな事、認められない!

 

「どっせい! どっせい! どっせいさん!」

『……ガァヴィィィアアアアアアアアアア!』

「ぇはぁん♪」

 

 しかし、私が震打を喰らわせている最中に雷神龍が復活。目が真っ赤な怒り状態となり、咆哮で私を吹っ飛ばした。だから、何で私だけ……?

 だ、だけど、諦めない……私だって、英雄になれるんだ~ッ!

 

『ガァヴィイァアアアアッ!』

「よろしくてぇえええええ!」

 

 駄目でしたぁああああっ!

 こいつ、怒ると全然隙が無いんですけど!?

 

『グルルル……!』

「なになになに!?」「地面が……」「浮かび上がっている!」

 

 さらに、強力な磁力により周囲の地盤を捲り上げ、その中心で身体を丸めて腹袋や触手を擦り合わせ始めた。まるで何かを溜めているような、

 

 

 ――――――キィイイイイイイイン!

 

 

 チャージを完了した雷神龍が、紫電が迸る雷ブレスを吐き散らかす。音が酸素をぶっ壊しそうなのよ!

 

『カァッ!』

 

 そして、最後に口から禍々しい雷弾を地上へ落とし、

 

 

 ――――――、――――――、―――ィアアアアアアン!

 

 

 な……何だ、今何が起こった!?

 着弾と同時に地表の全てが紫光に包まれて、音まで吹き飛んだぞ!?

 翔蟲で上空に逃げてなかったら、絶対に骨も残らなかったな、今のは!

 

「かっ……」

「嘘ぉっ!?」

 

 翔蟲が疲弊し糸を出せなかったせいでガードせざるを得なかったアイツが、何も出来ずに力尽きた。マジでか。ガード不能技なの、アレ!?

 アイツが力尽きた所、初めて見た……。

 

『キュゥゥゥ……!』

 

 わーい、またやる気だぞ~♪

 ヤバいヤバいヤバい、ヤバいってぇえええっ!

 

「させるかぁ!」『ハォオオン!』

『グギャァッ!?』

 

 おお、ロンディーネさんが何処からか大社跡の真なる主たるオオナズチを操竜して来ましたよ。もうカムラ人で良いじゃん、アナタ。

 良いぞ良いぞ、毒漬けにしてしまえぇ!

 

『ガァァァヴィイイァアアアアアアヴォオッ!』

「全然効いてねぇ!」「何だと!?」『ホァッ!?』

 

 だが、無意味だ。こいつ、毒が効かないのか!? しょんにゃあ~。

 

「ならば!」『プケェッ!』

『グルヴヴヴ……ッ!』

 

 しかし、そこは龍騎士様。ブレス攻撃を早々に諦め、物理攻撃にシフトした。長いベロと意外と早い体当たりが雷神龍に炸裂する。

 

「今だ!」『ホォオン!』

『クァアアアアァァッ!?』

 

 さらに、三連続尾ターンが決まり、雷神龍は地に落ちた。

 ……私、何度やってもその大技が出せないんですけど、どうやってるんですかね?

 おせーて、ロンディーネてんてー!

 

「よし、決めるぞ!」「は、はい!」

 

 そして、完全に引っ繰り返った雷神龍をここで仕留めてしまう為、アイツを除く2人で一斉攻撃を仕掛けた……のだが、

 

『キュルァッ!』

「「アッー!」」

 

 まさかのイブシマキヒコが登場。止めを刺そうとする私たちを纏めて掬い上げた。

 

『クルァッ!』

「「アン♪」」

 

 さらに、強烈な尾ターン攻撃を繰り出され、全員漏れなくキャンプ送りとなる。

 

『キュァン♪』『クルルル……♪』

「………………」

 

 慌てて撤退するネコタクに揺られながら、私は見た。宙を舞うように飛び交い、互いの邂逅を喜び合う神龍たちの姿を。

 そして、雷神龍と風神龍は私たちに目もくれず、逢瀬を果たした後は空の彼方へと飛んで行き――――――、

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 這う這うの体で里への帰還後、ギルドが雷神龍をナルハタタヒメと名付けた事、飛び去った龍神たちが何かを探すように各地を荒らし回り最終的に「龍宮砦跡」にて営巣を始めた事が、里長から伝えられた。

 特に溶岩洞の被害は甚大で、大型モンスターは軒並み姿を消し、小型モンスターも大分数を減らしており、ほとんど壊滅状態にあるという。

 

「ローン……」

 

 そこに、ヴェノブロスことローンの姿は無かった……。




◆ナルハタタヒメ

 別名「雷神龍」。禍群の鳴神と称される、風神龍イブシマキヒコの対となる存在で、雷を操る超大型古龍(ちなみにマキヒコは単なる大型古龍。つまり、タヒメは夫よりデカい)。腕や腹に「雷袋」という静電気を溜める器官を持ち、そこから生み出される電磁気で宙を舞い、稲妻やギャラクティカドーナツを生み出す事が出来る。こいつも大体夫と似たような特徴があり、その上背中からイソギンチャクみたいな触手が生えているので、余計に気持ち悪い。どこが姫なのよ。
 夫に輪を掛けて縄張り意識が強く、自分が「ここだ!」と決めた場所から動こうとしない。必死に探しまくる夫に対して「早く来い」と言い放つ辺り、種族的なヒエラルキーが窺える。雄が雌を探すスタイルは、よく昆虫類に見られる傾向なのだが……?
 まさに絵に描いたような恐妻であり、風神龍程アグレッシブではないにしろ、存在そのものが傍迷惑な種族である。
 ちなみに、今回のバトルフィールドが大社跡なので、タヒメが捲り上げる地盤に兵器がくっ付いて来る事は無い為、メラルたちはタヒメがチャージする光景をただ見ているしかなかった。
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