怪物のバラード   作:ディヴァ子

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※ハンターさんはカムラの里出身デス。


愛とハンターの在る所

 へぇ、君ってロアルドロスって言うのか!

 君は泳ぎと水ブレスが得意なフレンズなんだね!

 

「うーん、「狂走エキス」欲しさに来たが、見当たらないな、ロアルドロス」

『ルドロスは居るんですがにゃー』『ワンワン!』

 

 ……って、ハンターが言ってた(意訳)。

 しかも、またお前かよ。何処にでも現れるじゃん。ゴキブリみたいな奴だなぁ。

 叩き潰さなきゃ……と言いたい所だけど、相手をする気は無い。何故なら、今僕らは疲れ切っているからだ。狂走エキス持ちとは言え、ロアルドロスくんは僕を引っ張り上げたばかりだし、僕は僕で腹ペコ青虫って感じだしで、戦う体力どころか逃げる余力が無い。

 ちなみに、ロアルドロスくんは僕の爆破アタックで一時は瀕死に追い込まれたものの、ボルボロスくんの持って来た虫やキノコに蜂蜜のおかげで息を吹き返し、今は少し弱っているくらいには回復した。秘薬と言うか、妙薬になりそうな食べ合わせをしたのに全快しないとか、僕の攻撃ヤベェ。少し自重しないと、その内ボルボロスくんまで巻き込んでぶっ飛ばしてしまうかもしれん。気を付けよう。

 まぁ、それはそれとして、早くどっか行ってくんないかな、あのハンターたち。何か武器も新調してるし。またローン組んだのかね。

 

「――――――何か、妙な気配がするんだが」

 

 何ィ、こちらの気配に気付いただと!?

 そんな馬鹿な。僕らが今いるのは、モンスターしか知らない秘密の抜け穴。ここに限らず、ハンターには踏破出来ない特別な抜け道というのは、何処にでも存在する。それはあまりにも道のりが険しかったり、ヤバい生物がわんさかだったりと、理由こそ様々だが、基本的にそこへ逃げ込めばハンターも追撃を諦めると言っていい。やっぱり命懸けだから、危険は侵したくないんだろうね。

 もしくは、あくまで抜け道は“通路”でしかなく、こちらにとっても居心地は良くないので、さっさと別のエリアに通り抜ける事を、ハンターたちも体感で分かっているのかもしれない。

 とまぁ、そんな感じで、僕らは入り浸りたくもない洞穴に身を潜めているのだけど、何故だかハンターはこちらに気付き、警戒している。これが狩人の勘って奴なのだろうか。野生動物より鋭いとか、逆に感動を覚えるんですけど。

 早く別のエリアに行けって話だが、そこは滝壺の近くなので、どう足掻いても僕では居座れない。

 だから、我慢出来ている間に、さっさと諦めて退いて欲しいのだが……。

 

『ロアルドロスかにゃ?』『ワンチャン?』

「いや、たぶん違うな。これはもしかすると――――――」

 

 と、ハンターがポーチから何かを取り出し、洞窟の入り口近くに放って来た。あ、あれは!

 

『ギヴェアアアアアアッ♪』

 

 サボテンの蜂蜜漬けだぁーっ!

 

「マジで居やがったよコイツ!?」『「砂漠の暴君」の異名はどうしたのにゃ!?』『キャワィーン!』

 

 しまったぁーっ、食欲に負けたぁっ!

 

「だがしかし、ここで会ったが百年目ぇ! 今度こそくだばりなぁ! この25年ローンの結晶、「衝鼓【叫虎】改」でなぁ!」

『ドンドンにゃふにゃふ~♪』『イヌヌワッ!』

 

 くそぅ、やっぱりローン兵器かよ。前回のと合わせれば半世紀じゃん。生涯現役で働く気なの?

 こんな幼気なモンスター相手に、そんなガチガチな武器を振り回すんじゃありません!

 つーか、そもそもローン兵器って何!? その武器、実はレンドリースなんじゃないのか!? 少しは出所を疑えよ! それ絶対後で難癖付けられる奴だってばぁっ!

 

「食らえぇっ!」

 

 食らうかぁ!

 

『ギヴェァアアアヴォッ!』

「ぐぼぉっ!? 何か前より強くなってるぅ!?」

 

 搦め手ばかりなのもアレなので、偶には正面から突っ込んでみました。何故だか吠えた後に攻撃すると、心なしか強くなってる気がするし。あれかな、右の差し歯が疼くからかな?

 

「あっ、またしても!」

 

 あ、何か嫌な予感――――――、

 

『アビバァアアアアアッ!』

 

 またしてもハンターが手放した狩猟笛が、僕の左牙を直撃。入れ替わるように融合してしまった。両方共差し歯になったぁ!

 というか前回共々、武器がすっぽ抜け過ぎだろ、お前ぇっ!

 自分の得物もロクに管理も出来ないなんてハンター失格だから、もう辞めちまえ、お願いしますぅ!

 

『グギャヴォオオオオオオオオオオオオオッ!』

「アッー!」『にゃーっ!』『ワンニャーッ!』

 

 あまりの痛さにローリング尻尾アタックを繰り出してしまい、それに巻き込まれたハンターたちは、短い悲鳴を残して星となった。今頃はキャンプ送りだろう。あるいは今の一撃で直送されかもしれない。

 それでも全然同情も罪悪感も湧かないのは、やっぱりハンターが相手だからかもね。二度と来るな、この野郎!

 

『『………………』』

 

 な、何だよぅ、君ら、その目はっ!

 まるで僕が馬鹿みたいじゃないか!

 いや、確かにサボテンに釣られて隠れ家から抜け出すなんて阿保の極みだけど、仕方ないじゃん、お腹空いてたんだもの。籠城戦には兵糧攻めが一番効くんだよぉ!

 ちっくしょぉおおおおおっ、サボテンがうめぇよぉおおおおおおおっ(涙)!




◆衝鼓【叫虎】改

 ティガレックス希少種から作成出来る狩猟笛。耳栓に環境の影響を無効化した上で攻撃力がUPする旋律を奏でられるほか、覚醒すると爆破属性を発揮する為、とんでもない攻撃力を発揮する。原種で有りがちなマイナス会心もなく、まさしく爆発的な威力を誇る。これだけでも充分に凄まじいが、上には上がある。
 ちなみに、ディアブロスのライバル(?)ハンターは、これもローン25年で購入した。
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